ハイスクールD×D 駒王学園の赤と緋の双龍 作:フレイムドラゴン
「村山の胸、マジでけぇぇぇ!」
「80、70、81」
「片瀬ぇぇ、いい足してんなぁぁぁ!」
「78.5、65、79」
「こらー! 俺にも見せろ! 二人占めすんなってーの!?」
俺、兵藤一誠は現在、松田と元浜に連れてきてもらった覗きスポットに来ていた。場所は女子剣道部の部室の裏。そこの壁に穴が空いており、そこから部室内を覗けるのだ。
そして、いまは女子剣道部員たちが着替えの真っ最中! つまり、穴の向こうには楽園があるのだ!
・・・・・・なのに、松田と元浜がなかなか交代してくれないので、いっこうに覗けないでいた。
松田が感想を言い、元浜がメガネ越しに女子のスリーサイズを測定する特技でスリーサイズを言うたびにますますその穴の先が見たくなってくる!
「やばい! 気づかれたぞ!」
松田が穴から目を離して慌てた様子で叫ぶ。
どうやら、穴の先の女子たちに覗かれているのがバレたらしい!?
「逃げろ!」
元浜がそう言うと同時に松田と元浜が俺を置いて一目散に逃げだした!
「あっ、待てこらぁっ!?」
俺も二人を追って慌てて逃げ出した!
結局、俺は女子の生着替えを覗くことができなかった・・・・・・。
慌てて逃げてきた俺たちは、学園にある旧校舎の前にやって来ていた。
「ふざけんなよ! 俺だけまったく見れなかったじゃねえか!?」
俺が捲し立てて文句を言った。
「フッ、この場所を見つけたのは俺たちだぞ。そのぶん、優先権があって当然じゃあないか」
松田はニヒルに笑いながら言う。
元浜もメガネを光らせながら続ける。
「むしろ、連れてってやっただけでも感謝するべきだろう?」
「ああ! おっぱいのひとつでも見られたのなら、いくらでも感謝してやるよ!」
クソォォォォォッ! 俺も見たかったぞ! 女子の生着替え!
元浜がメガネを光らせながら言う。
「ふん! だいたい、千秋ちゃんと一緒に登下校しているヤツが贅沢を言うな!」
「まったくだ!」
元浜の言葉に松田も強く頷いた。
確かに、俺は千秋と一緒によく登下校している。仲のいい幼馴染みで、家が向かいだからそうなるのだ。俺も千秋みたいなかわいい女の子と一緒に登下校できて幸せだ。
ちなみに明日夏はなんか用事があるのか、いつもさっさと一人で行ってしまう。
「あーあ、これなら千秋と一緒に帰ったほうがよかったぜ」
俺は二人に自慢するように言ってやると、二人は悔し涙を流し始めた。
「ちくしょう! なんでイッセーにあんなかわいい幼馴染みがいるんだよ!?」
松田が慟哭するのに対し、元浜は感情を殺すように言葉を絞り出す。
「・・・・・・言うな・・・・・・! ・・・・・・空しくなる・・・・・・!」
それでも松田の慟哭は止まらない。
「おまけに、その幼馴染みには超美人なお姉さんがいて、そのお姉さんとも幼馴染みだという! しかもナイスバディ!」
「・・・・・・だから言うな・・・・・・! ・・・・・・空しくなる・・・・・・!」
松田が言っているのは、明日夏と千秋のお姉さんのことだ。名前は士騎千春さん。松田の言う通り、それはもう見事なナイスバディな美少女なのである。
そんな美少女姉妹と幼馴染みなのは、周りの男子からすればさぞや羨ましいことなのだろう。俺も逆の立場だったら・・・・・・うん、血の涙を流すかもな。
それから、明日夏たちには冬夜さんっていうお兄さんもいる。すごく頭がよくて、俺たちが難易度の高い駒王学園に入学できたのも、冬夜さんが家庭教師をしてくれたおかげによるところが大きい。──あと、超イケメンだ。明日夏もイケメンだし、まさにイケメン兄弟だ。
そんな明日夏たちとは幼馴染みで、明日夏とは親友とも呼べる間柄だ。
「ん?」
ふと、俺の視界に紅色が入る。
紅い──ストロベリーブロンドよりもさらに紅の髪を持った少女が、旧校舎の窓からこちらを見ていた。
リアス・グレモリー──この駒王学園の高等部三年生。俺の先輩にあたる。我が学園のアイドルでもある。出身は北欧っていう噂だ。
いいなぁ・・・・・・あの真っ赤な髪・・・・・・。
俺がその真っ赤な髪に見惚れてると、リアス先輩は身を翻して中のほうに行ってしまった。
―○●○―
「・・・・・・なんかゴメンな、千秋」
俺は隣にいる千秋に謝る。
あのあと、松田と元浜と別れ、一人で帰ろうとしたら、一人校門の前にいた千秋を見つけたのだ。
どうやら、俺を待っていてくれたみたいだ。
・・・・・・なんか申し訳なくなり、いまこうして謝っているわけだ。
「いいよ。私が勝手に待ってたわけだから」
「・・・・・・つってもな・・・・・・」
「気にしなくていいよ。・・・・・・あんまり気にされると・・・・・・私まで申し訳なくなる・・・・・・」
うーん、そこまで言われるたら、気にしないほうがいいのか?
「そういえば、明日夏は?」
「買わなきゃいけないものがあるから、商店街のほうに行くって」
「そっか」
──あいつ、完全に主夫だな。
明日夏たちは幼い頃に両親を交通事故で亡くしている。そのために、冬夜さんと千春さんが仕事に出て生活費を稼いでいる状態だ。
その冬夜さんと千春さんは仕事の都合で家を空けている。そのため、明日夏が自主的に家事なんかをやっているわけだ。本人が家事が好きだってのもあって、特に苦には感じていないみたいだ。
その姿はもう主夫と言ってもいいぐらいだ。無愛想だけどイケメンだし、性格も悪くないし、家事もできて、たぶん、いい旦那さんになるだろう。
・・・・・・それに引き換え俺は・・・・・・学校では松田と元浜と共に変態三人組と女子に嫌われ、彼女のいない学園生活を送っております。
クソッ! なぜだ!? 当初の計画では、入学早々に彼女をゲットしているはずだったのに!
そのために、女子の多い駒王学園に冬夜さんの家庭教師とスケベ根性で入学したのに!
女子が多ければ彼女の一人や二人、すぐにできると思ったのに──結果は一部の男子──いわゆるイケメンがモテて、俺なんて女子の眼中に入ってなかった。
・・・・・・・・・・・・はぁ・・・・・・世の中不公平だよなぁ・・・・・・。
・・・・・・俺たちの相手をしてくれる女子なんて、ここにいる千秋ぐらいだ。
ちなみに、千秋とは仲のいい幼馴染みで、とくにそれ以上でもそれ以下でもない。
定番の仲のいい幼馴染み同士が恋人同士に──なんていう展開はもちろんなかった。千秋にとって俺はもう一人の兄みたいな感じなんだろうな。まあ、俺も千秋のことを妹のように思っているけど。
・・・・・・・・・・・・はぁ・・・・・・暗い青春だぁ・・・・・・。このまま俺の学園生活は花も実もなく、おっぱいに触れることすら叶わず終わっちまうのかぁ・・・・・・。
「どうしたの、イッセー兄?」
「ああいや! なんでもない!」
そんなふうに、内心落ち込みながら千秋と帰ってると──。
「あ、兵藤くん」
俺たちに話しかけてくる少女がいた。
「霧崎さん?」
話しかけてきたのは、メガネをかけた少女、霧崎美優さんだった。
買い物をした帰りなのか、手には商店街の袋を持っていた。
霧崎さんは俺と同じクラスの女子で、ほとんどの学園の女子に嫌われているであろう俺たちにも普通に話しかけてくれる少女なのだ。
一人暮らしで、よく買い物をしているイメージがあった。
それに、家事好き同士で明日夏と意気投合しており、よく明日夏と意見交換してる場面を目撃する。
その縁で、俺たちもちょっとした知り合いになっていた。
──ちなみに、元浜がスカウターで測定したところ、着痩せするタイプで、隠れ巨乳らしい。
「あれ、買い物した帰りなら、ここで会うのはおかしくないか?」
たぶん、商店街で買い物してたんだろうけど、それなら、ここで会うのはおかしかった。
商店街から帰る場合、こっちは霧崎さんが住んでるところとは真逆のはずだからだ。
「うん、ちょっとね」
「何、学校に忘れもの?」
「ううん、そうじゃなくて、兵藤くんに会いたいって子を連れてきたんだ」
「俺に会いたい子?」
なんだ、誰だろう?
よく見ると、霧崎さんの後ろに見慣れない制服を着た少女がいた。
「ほら、ちょうど兵藤くんに会えたよ」
「──あ、あの」
霧崎さんに促されて、少女に話しかけられる。
黒髪がツヤツヤのロングでスレンダーな女の子だった。
「駒王学園の兵藤一誠くん・・・・・・ですよね?」
少女はもじもじしながら尋ねてくる。
か、かわいいぃぃッ!
とにかく、かわいい子だった!
「あのっ!」
「ああっ! な、何か俺に用・・・・・・?」
少女は少しのあいだもじもじすると尋ねてくる。
「・・・・・・えっと・・・・・・兵藤くんって・・・・・・いま付き合ってるヒトとかいます・・・・・・?」
「えっ?」
「あっ」
少女は俺の隣にいる千秋を見て、とたんに不安そうに訊いてくる。
「もしかして、隣の子が・・・・・・か、彼女さんですか・・・・・・?」
「あ、いや。この子は幼馴染みで妹みたいな子で・・・・・・彼女は・・・・・・別にいないけど・・・・・・」
それを聞いて、少女は安心したように息を吐く。
「よかったぁ!」
少女は決心したかのような表情になると言う。
「──あ、あの・・・・・・私と・・・・・・付き合っていただけませんか」
「はっ? い、いま、なんて・・・・・・?」
き、聞き違いじゃないよな!? い、いま──。
「──以前、ここを通るのを見かけてて・・・・・・それで・・・・・・あの・・・・・・兵藤くんのことを・・・・・・」
お、おい! これって!?
「わ、私と・・・・・・私と付き合ってください!」
マ、マジっスかぁぁぁぁぁっ!?
俺、兵藤一誠──女の子から告白されましたぁぁぁぁぁッ!
―○●○―
「なっ!? 何ぃぃぃぃぃっ!?」
「なぜぇぇっ!?」
翌日、松田と元浜があるものを見て驚愕していた。
それは──。
「ああ、この子、天野夕麻ちゃん」
イッセーの隣にいる天野夕麻という名の少女のことだ。
「こいつら、俺のダチの明日夏に松田、元浜」
「よろしくね」
天野夕麻が微笑みながら挨拶するなか、イッセーが俺たちにだけ聞こえる声で言う。
「一応、俺のカ・ノ・ジョ♪ ま、おまえらも彼女を早く作れよ♪」
そう言うと、イッセーは天野夕麻を連れて行ってしまう。
で、松田と元浜を見ると──。
「うぅっ! 裏切り者めぇぇぇっ!」
「あぁぁ・・・・・・」
元浜は血の涙を流さんばかりに慟哭しており、松田は涙を流しながら呆然としていた。
で、今度は千秋のほうを見ると──。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
うなだれていた。耳をすませば、すすり泣きが聞こえてきた。
──さて、情報を整理するか。千秋に聞くところ、昨日、イッセーは千秋と一緒に帰っているところに、イッセーに一目惚れしたという天野夕麻に告白され、イッセーは即OKした。
で、今日ここでその天野夕麻をイッセーに紹介された。そして、そのことに松田と元浜は慟哭し、千秋はうなだれながらすすり泣いてるわけだ。
うん・・・・・・なんでこうなったんだ?
いや、別にイッセーに彼女ができたことが信じられないわけじゃない。ていうか、彼女ができても別におかしくないからな。
イッセーはスケベだが、それを除けば、その人柄はよく、非常に真っ直ぐなところがある。
実を言うと、俺はイッセーのそういうところに密かに憧れてたりする。
まあ、それはいいとして。──そういうわけだから、イッセーのそういうところに好感を持ち、惹かれる女子も少なくはないだろう。
・・・・・・だが、それは付き合いが長くなり、イッセーのことを理解した場合においての話だ。いや、一目惚れすることがないとは言いきれないが・・・・・・。
まあ、それもいまどうでもいいか。
「まさか、兵藤くんに彼女さんができるなんてね」
いつの間にか、俺の隣にいた霧崎がそう言ってきた。
「兵藤くんのことを聞かれたときは、まさかとは思ったけど、本当にそうだったから、びっくりしたよ」
千秋から聞いた話じゃ、イッセーのところに天野夕麻を連れてきたのは霧崎だったらしい。
「ところで、あれ大丈夫なのかな?」
霧崎が指をさすほうを見ると、いまだに泣きわめくバカ二人といつの間にか膝を抱えてうなだれている千秋がいた。
まあ、このままにしておくわけにはいかないよな。
それにしても──。
俺はイッセーたちが歩いて行ったほうを見る。
「どうしたの、士騎くん?」
「──いや、なんでもない」
あの少女、天野夕麻を見てると、なんでか・・・・・・
―○●○―
数日後──。
イッセーと天野夕麻は今日、デートすることになった。
なんで知ってるかって? イッセーに自慢されたから──てなわけではなく、デートプランについて相談されたからだ。
・・・・・・なぜ恋愛経験のない俺に訊く? まあ、それ以前に、知り合いに恋愛経験がある奴なんていないけどな。
──で、アドバイスなんてできるわけもなく、結局、雑誌などを参考にして、内容は王道なものになった。
そして、俺がいま何をしているのかというと──イッセーたちのデートの尾行をするために、二人の待ち合わせ場所から少し離れた場所にいた。
ちなみにイッセーは、気合を入れたオシャレをして、待ち合わせ時間の三時間前に来ていた。
で、待ち合わせ時間が間近に迫ったところで、イッセーに女性が一人近づく。
「あれは――」
イッセーは女性からチラシを一枚受け取る。
遠目ではなんのチラシなのかよくわからないが、おそらくあれは──。
「イッセーくん!」
そして、天野夕麻がようやく到着した。
「ゴメンね! 待った?」
「いや、俺もいま来たところだから」
三時間もまえに来て、なに言ってんだか。
ちなみに相談時にイッセーはこんなことを言っていた。
『一度、「待った?」て訊かれて「いま来たところだから」て言ってみたいんだよな』
そのために、確実に先に来るためにイッセーは三時間もまえに来ていたのだ。
そして、二人はデートを開始する。俺は気づかれないように二人のあとをつける。
そもそも、なんで俺がこんなことをやっているのかというと、あの日、イッセーに天野夕麻を紹介されてから抱いたいやな予感。・・・・・・それが日増しに強くなっていくのだ。
それが気になってしかたなかった俺はそれを確かめるためにこうして尾行をしているわけだ。
・・・・・・俺の気のせいで済めばいいんだけどな。
デート風景そのものはいい感じといったものだった。町を歩き、ショッピングをし、その際にイッセーが彼女にプレゼントを買ってあげ、ファミレスで食事をする。──王道で鉄板物なデートだった。
ここまでいい雰囲気だと、俺のいやな予感も気のせいのように思えてきた。
「――帰るか」
これ以上は二人に悪いだろうと、踵を返して帰ろうとすると──。
「ん? あれは──」
俺の視界にあるものが入る。それは──。
「・・・・・・・・・・・・何やってんだよ・・・・・・」
変装をしてイッセーたちを尾行している千秋だった。
いやまあ、気持ちは察せなくもないが、その変装が問題だった。
千秋の出で立ちは、フード付きのパーカーにサングラスに帽子というものだった。・・・・・・うん、怪しさ満点だ。
変装ってのは、自分を隠すのではなく周りに溶けこませるようにするものだ。「木を隠すなら森」ってな。自分を隠そうと着飾れば着飾るほど、かえって目立つ出で立ちになってしまう。
俺も変装しちゃいるが、髪を後ろで縛り、伊達メガネをかけた程度だ。あとはスマホをいじるふりでもしていれば、人通りの多いここなら、そのへんにいる若者程度にしか認識されないだろう。
まあ、それはどうでもいいとして。・・・・・・あれ、どうするか?
自分の妹があんな格好でウロウロしているのは、正直、勘弁願いたいな。
そう思い、千秋のところに行こうとした俺は、視界に入った光景に驚愕する!
イッセーにチラシを渡していた女性がいつのまにか千秋にもチラシを渡していたからだ。
千秋はジーッとそのチラシを眺め、何かを決心したような表情でウンと頷いた!
別のいやな予感を感じた俺はダッシュで千秋のもとまで走るのだった!
―○●○―
「今日は楽しかったね!」
「ああ! 最高の一日だったよ!」
夕麻ちゃんに笑顔で訊かれ、俺も笑顔で答える。
デートは順調に進み俺と夕麻ちゃんは町外れ公園に来ていた。
夕麻ちゃんは小走りで公園の噴水の前まで行くと、俺のほうに振り向いて言う。
「ねえ、イッセー君?」
「うん?」
「私達の初デートの記念にひとつだけ私のお願い聞いてくれる?」
来た、これ! 来ましたよ!
「な、何かな、お願いって?」
こ、これって! もしかして、キ──。
「──
冷たい声音でそう言われてしまった。
「え? それって・・・・・・あれ? 夕麻ちゃん、ゴメン。もう一度言ってくんない? ・・・・・・なんか・・・・・・俺の耳変だわ・・・・・・」
聞き違いだと信じて、乾いた笑いを上げながら訊き返したが──。
「死んでくれないかな?」
夕麻ちゃんは俺の耳元ではっきりとそう言った。
その瞬間、夕麻ちゃんが着ていた服が弾け飛び、ものスッゴいエロい衣装を身にまとい、背中から黒い翼が生えた!
見えた! いま見えたよな!? 一瞬だけど、たしかに生おっぱい! ついに初の生おっぱいを拝んじまったぜ! それにこんなかわいい女の子の!
こういうのをなんだっけ、眼福っていうんだっけ!?
──って、そうじゃない! そうじゃなくてさ・・・・・・羽?
・・・・・・目の前の光景にただただ混乱してしまう。
夕麻ちゃんは冷たい目つきで言う。
「楽しかったわ。ほんの僅かなとき、あなたと過ごした初々しい子供のままごとに付き合えて。あなたが買ってくれたこれ、大切にするわ」
そう言って、夕麻ちゃんは俺が買ってあげたシュシュを見せつけてきた。
「──だから・・・・・・」
冷笑を浮かべた夕麻ちゃんの手に光る槍みたいなものが握られる!
「・・・・・・夕麻・・・・・・ちゃ──」
「死んでちょうだい」
俺の言葉をかき消すかのように、手に持つ槍を投げられ──槍は俺の腹を貫いた。
―○●○―
「──クソッ! なんなんだ、この胸騒ぎは!?」
あのあと、千秋を諌めるのに苦労させられた。
千秋はイッセーのことになると奥手で恥ずかしがり屋になると言ったが、ときどき変に暴走することがある。そのときは諌めるのに苦労するんだよな・・・・・・。
だが、いまそれはどうでもいい!
千秋を諌めるのに苦労したせいで、イッセーたちのことを見失った。
別に帰ろうとしてたから、問題なかった──はずだったのに、その瞬間にいやな胸騒ぎ──警告音のようなものが俺の中で響いた!
俺は千秋を適当な理由で帰らせ、イッセーたちを探し始めて現在に至る。
相談のときに聞いたプランと確認できたデートの進行状況をもとに、いまイッセーたちがどこにいるのかを予測する。
そして、おそらくいまは町外れの公園にいると推測し、そこに急いで向かう!
日が傾くにつれ、胸騒ぎがどんどん大きくなっていく。
そして、公園に到着した俺の目に映ったのは──。
「死んでちょうだい」
──服装が変わり、背中から黒い翼を生やした天野夕麻がその言葉と同時に、冷笑を浮べながら投げた槍のようなものでイッセーを貫く光景だった。