ハイスクールD×D 駒王学園の赤と緋の双龍   作:フレイムドラゴン

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第四章、ヴァンパイア篇開幕です。


第四章 停止教室のヴァンパイア
Life.1 魔王と姉の来訪


 

 

「冗談じゃないわ! 堕天使の総督が私の縄張りに侵入し、営業妨害していたなんて! しかも、私のかわいいイッセーにまで手を出そうとするなんて、万死に値するわ!」

 

 

 部長が眉を吊り上げて、怒りを露にしていた。

 

 つい先程まで、イッセーは悪魔稼業にでかけていた。依頼主は、最近お得意さまになったという外国人の男性。――その依頼主の正体が堕天使の総督アザゼルだったのだ。

 

 向こうの要望で人数がほしいということで、自分たちの稼業で手がはなせなかった部員たちのかわりに付き添った俺と千秋も驚かされた。

 

 千秋にいたっては、イッセーを殺す指示を出していたこともあって殺意を全開にして襲いかかろうとしたので、慌てて取り押さえた。返り討ちにあうのが目に見えていたからな。

 

 

「本人が言うには、この町に潜伏していたのはコカビエルの動向を探るためで、まさか堕天使総督自身が潜伏している思わないだろうという心理的なものをついた行動だったらしいです」

 

「それはわかるけど、だからって、素性と気配を隠してイッセーと接触していたなんて・・・・・・」

 

 

 確かに。コカビエルの動向を探るだけなら、わざわざ悪魔稼業の依頼主に扮する必要はないはずだからな。

 

 いくら対価を支払っていたといえど、立派な営業妨害だった。

 

 

「そもそも、目的のコカビエルを捕えたのだから、もうこの町にいる理由はないはずよ。いくらトップ同士の会談があるからといっても、悪魔の縄張りであるこの町に堕天使の総督がいつまでも滞在するなんて大問題よ・・・・・・」

 

「・・・・・・やっぱ、俺の『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』を狙ってたのかな?」

 

 

 イッセーが不安を口にしていた。

 

 アザゼルは神器(セイクリッド・ギア)に造詣が深く、神器(セイクリッド・ギア)所有者を集めていると聞いてる。堕天使にいい想いを抱いていないイッセーが不安を覚えるのも無理はない。

 

 そんなイッセーの不安を和らげるように木場が言う。

 

 

「大丈夫だよ。僕がイッセーくんを守るからね」

 

 

 なんか、木場が熱い視線をイッセーに向けていた。

 

 そのせいで、イッセーが少し引いてた。

 

 

「あの日から僕は誓ったんだ。たとえ何者かがキミを狙っていたとしても、僕はキミを守ると。キミは僕を助けてくれた。僕の大事な仲間だ。仲間の危機を救わないでグレモリー眷属の『騎士(ナイト)』を名乗れないさ」

 

 

 なんか、主人公がヒロインに向けるようなことを言いだしたぞ、こいつ・・・・・・。

 

 

「問題ないよ。僕の禁手(バランス・ブレイカー)とキミの『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』が合わさればどんな危機でも乗り越えられるような気がするんだ。・・・・・・ふふ、少し前まではこんな暑苦しいことを口にするタイプではなかったんだけどね。それになぜかキミといると、なんだか胸の辺りが熱くなるんだ。でも、嫌な感じじゃないんだ・・・・・・」

 

「・・・・・・キ、キモいぞ、おまえ・・・・・・。 ち、近寄るな! ふ、触れるな!」

 

 

 ほんのり頬を染めながら言う木場にイッセーはガチ引きをしていた。

 

 

「そ、そんな、イッセーくん・・・・・・」

 

 

 イッセーに拒絶されたことで木場はシュンとしていた。

 

 そんな反応すると、余計引かれるぞ。

 

 

「しかし、どうしたものかしら・・・・・・。あちらの動きがわからない以上、こちらも動きづらいわ。相手は堕天使の総督。下手に接することができないから、文句も言いづらいわね・・・・・・」

 

 

 下手につつけば、悪魔と堕天使の関係が悪化しかねない。

 

 これからトップ同士の会談が控えてる以上、そんなことはできないからな。

 

 

「そんなに気にしなくても大丈夫だよ」

 

 

 いつの間にか、兄貴がお茶を用意していた。

 

 

「アザゼルさんはどちらかといえば問題児なヒトだけど、悪いヒトじゃないよ」

 

 

 いまいち安心できない評価だな・・・・・・。

 

 

「ていうか、アザゼルとも顔見知りなのか、兄貴?」

 

「うん、『ネスト』、あと『刃狗(スラッシュ・ドッグ)チーム』っていうエージェントチームのメンバーと仲良くなった縁でね。あと、僕の神器(セイクリッド・ギア)に興味があったこともあるかな」

 

「兄貴の神器(セイクリッド・ギア)って、アザゼルが興味を持つほどのものだったか?」

 

 

 兄貴の神器(セイクリッド・ギア)の能力は知ってるが、ありふれた類の『龍の手(トゥワイス・クリティカル)』などよりはめずらしいかもしれないが、そこまでスゴいものという印象は抱かなかった。

 

 

「まあ、能力をパッと見た感じじゃ、そんなにスゴい神器(セイクリッド・ギア)っていう印象は抱かないだろうね。なんだったら、完全上位互換があるしね」

 

 

 そうなんだよな。能力だけ見れば、完全上位互換といえる神器(セイクリッド・ギア)があるんだよな。

 

 まあ、もしかしたら神器(セイクリッド・ギア)に造詣が深いアザゼルならではの観点では、何かあったのかもしれないな。

 

 

「で、アザゼルって、どういうヤツなんだ?」

 

 

 他の皆も兄貴に注目していた。

 

 ただ一人、副部長だけは無関心なのか、視線をそらしていた。――というより、聞きたくないって感じだな。

 

 副部長は堕天使の幹部の一人、バラキエルの娘。そして、そのことをかなり嫌悪していた。

 

 父親との間に何かがあったのは確実だろうが、一体何があったんだ?

 

 部長の眷属になってることとも関係あるのかもしれないな。

 

 

「アザゼルさんはざっくり言えば、面倒見がいい、悪戯好きなヒトだよ。少なくとも、皆がいままで出会ってきたどの堕天使よりはマトモだよ」

 

「でも、あいつはイッセー兄を!」

 

「あっ、千秋、ストップ!」

 

 

 アザゼルがイッセーを殺す指示をしたことを千秋が言及しようとして、兄貴は慌てて止めようとするがすでに手遅れだった。

 

 

「そのアザゼルってヒト、イッセーくんに何かしたの?」

 

 

 鶫が低い声音で訊いてきた。

 

 

「あっ・・・・・・」

 

「あちゃー・・・・・・」

 

 

 イッセーが悪魔になったことは話しても、その過程でイッセーが死んだことは鶫と燕には内緒にされていた。

 

 それを聞けば、二人とも酷いショックを受けるのわかりきっていたので兄貴が配慮したのだ。

 

 ・・・・・・こうなると仕方ねえか。

 

 

「・・・・・・アザゼルは当時のイッセー、人間だった頃のイッセーでは『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』の力を制御できないと判断され、抹殺指令を出したんだ。そして、イッセーは派遣されてきた堕天使によって殺された。そのイッセーを部長が転生悪魔として生き返らせてくれたんだ」

 

「「なっ!?」」

 

 

 案の定、鶫と燕は酷くショックを受けていた。

 

 鶫にいたっては泣きながらイッセーに抱きついていた。

 

 

「その件に関してはアザゼルさんに悪意はまったくないよ。組織の長としては間違ったことをしたわけじゃないし、暴走した結果、世界に悪影響が出ることを案じてだろうからね」

 

 

 アザゼルもそんな感じのことを言っていたな。

 

 それに関しては一応頭では理解できる。ただ、感情では納得できていなかった。

 

 

「まあ、僕も個人的にはその件に関して一言もの申したいけどね。とりあえず、アザゼルさんはそういう冷酷な判断ができる一方で身内にはとても優しいヒトだよ。神器(セイクリッド・ギア)所有者の引き入れも本人の意志を無視して無理矢理なんてことはないよ。僕もスカウトされたことあるけど、無理強いはされなかったし」

 

 

 スカウトされたことあるのかよ。

 

 

「イッセーくんに接触したのは、純粋に『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』と所有者のイッセーくんに興味があったからだと思うよ」

 

「・・・・・・あくまで興味があっただけで、危害を加える気はいっさいないということなのね」

 

「あとは、ちょっとした悪戯かな」

 

「それが一番タチが悪いわよ!」

 

 

 兄貴が最後に付け足したことに部長は声を荒げる。

 

 まあ、当然だ。ただでさえ、トップ同士の会談が迫っているデリケートなときだというのに。

 

 

「彼の言う通り、アザゼルは昔からああだからね。あまり気にしないほうがいい」

 

 

 背後から突然、気さくに話しかけられ、俺たちは後ろに振り替える。

 

 

「お、お兄さま!?」

 

 

 そこにいたのは部長の兄であり、現魔王の一人のサーゼクス・ルシファーとグレモリー家のメイドのグレイフィア・ルキフグスさんだった。

 

 即座にその場で跪くグレモリー眷属。

 

 跪いていないのは、このヒトと初めて会うアーシアとゼノヴィアだ。

 

 

「くつろいでくれたまえ。今日はプライベートで来ているのだから」

 

 

 魔王は手を上げて、イッセーたちにかしこまらなくていいと促す。

 

 全員がそれに従って立ち上がった。

 

 

「プライベート?」

 

 

 魔王の言葉に部長が怪訝そうにしているなか、ゼノヴィアが一歩前に出る。

 

 

「あなたが魔王か。はじめまして、ゼノヴィアという者だ」

 

「ごきげんよう、ゼノヴィア。デュランダルの使い手が我が妹の眷属になるとは、最初に聞いたとき、耳を疑ったよ」

 

「私も悪魔になるとは思いもしなかったよ。我ながら大胆なことをしたと、いまでもたまに後悔している。・・・・・・うん、そうだ、どうして悪魔になったんだろう? ヤケクソ? いや、だが、あのときは正直・・・・・・。でも・・・・・・」

 

 

 頭を抱えて考え込むゼノヴィア。

 

 

「ハハハ、妹の眷属は楽しい者が多くていい。ゼノヴィア、どうか、リアスの眷属として、グレモリーを支えてほしい。よろしく頼むよ」

 

 

 魔王の言葉にゼノヴィアは気を取り直して答える。

 

 

「伝説の魔王ルシファーにそこまで言われては、私もあとには引けないな。どこまでやれるかわからないが、やれるところまでやらせてもらう」

 

「ありがとう」

 

 

 ゼノヴィアと魔王の会話が終わる頃合いを見計らって、部長が魔王に訊く。

 

 

「それより、お兄さま、どうしてここへ?」

 

「何を言ってるんだ。授業参観が近いのだろう?」

 

「なっ、まさか!?」

 

「私も参加しようと思っていてね。ぜひとも、妹が勉学に励む姿を間近で見たいものだ」

 

 

 げっ、そう言えば、もうそんな時期だった・・・・・・。てことは――。

 

 俺と千秋は兄貴のほうを見る。

 

 俺たちの視線を受けて、兄貴はニコッと笑みを浮かべてVサインを出して言う。

 

 

「もちろん、僕と千春も参加するよ」

 

 

 ・・・・・・だよなぁ・・・・・・。家族絡みのイベントを兄貴たちが逃すはずもねえよなぁ・・・・・・。

 

 いや、来てくれること自体は嬉しいんだがな。だが、それはそれとして、俺も千秋も気恥ずかしいものがあるんだよなぁ・・・・・・。

 

 

「ていうか、姉貴も帰ってくるんだな?」

 

「なんだったら、もうここにいるよ」

 

『え?』

 

 

 兄貴の言葉に俺やイッセーたち幼馴染み組は素っ頓狂な声が出てしまう。

 

 

「うわっ!?」

 

「呼ばれて飛び出てギュー」

 

 

 イッセーの悲鳴とこの場にいない女性の声に俺たちは慌ててイッセーのほうを見る。

 

 

「姉貴!」

 

 

 俺と千秋の姉――士騎千春がイッセーの背後から頭に胸を押しつけるようにしてイッセーに抱きついていた。

 

 

「ちょっと、あなた! 私のイッセーに何をしているのよ!?」

 

 

 部長が怒りを露にしていた。

 

 千秋たちも驚きつつも不機嫌そうに姉貴を睨んでいた。

 

 

「何をしてるって、なんのこと?」

 

 

 わざとらしくとぼけながら、さらにイッセーの頭に自分の胸を強く押しつける。相変わらず、イッセーへのスキンシップが激しいな。

 

 それを見て、部長たちがさらに怒る。

 

 姉貴はそんな部長たちの反応を見て楽しんでいた。

 

 そして、件のイッセーは姉貴の胸の感触にデレデレとしていた。

 

 

「姉貴、話が進まねえから、イッセーを開放しろ」

 

「うーん、イッセーはあたしから離れたい?」

 

「いえ、ずっとこのままでも――」

 

「――イッセー」

 

「いえ、そろそろ開放してください!」

 

 

 部長に一睨みされたことでイッセーは戦々恐々としながら姉貴から慌てて離れた。

 

 イッセーが離れたところで、姉貴が自己紹介を始めだした。

 

 

「はいはい、注もーく。明日夏、千秋のお姉ちゃんで冬夜の妹の士騎千春でーす」

 

「・・・・・・やれやれ」

 

 

 嵐のような姉貴にため息を吐いてると、姉貴が口を尖らせて言う。

 

 

「明日夏ー、お姉ちゃんの帰還にその反応はどうなのー?」

 

「・・・・・・そういう反応されるようなことをしてるからだろ」

 

「イッセー、弟がお姉ちゃんに冷たいよー」

 

 

 姉貴はわざとらしくウソ泣きしながら再びイッセーに抱きついていた。

 

 それを見て、また不機嫌になる部長たち。

 

 とはいえ、流石にからかわれてるとわかったのか、部長はすぐに冷静さを取り戻すと、姉貴のことはひとまずおいて、グレイフィアさんに問い詰める。

 

 

「それよりも、グレイフィアね!? お兄さまに授業参観のことを伝えたのは!」

 

「はい。学園からの報告はグレモリー眷属のスケジュールを任されている私のもとへ届きます。むろん、サーゼクスさまの『女王(クイーン)』でもありますので主へ報告も致しました」

 

 

 それを聞き、部長は嘆息する。部長も俺たちみたいな感じか?

 

 当の魔王は兄貴と談笑していた。

 

 

「はじめまして、魔王サーゼクス・ルシファーさま。賞金稼ぎ(バウンティハンター)をやってる士騎冬夜です。弟と妹が妹さんのお世話になってます」

 

「こちらこそ、『龍弾の射手(デア・ドラッヘシュッツ)』。魔王のサーゼクス・ルシファーだ。こちらこそ、妹がご弟妹に世話になってるよ。キミも授業参観に?」

 

「ええ。かわいい弟妹の授業参観なら例え激務があったとしても参加したくなりますからね」

 

「まったくもってその通りだね。キミとは気が合いそうだ。時間ができたらぜひ、語り合いたいものだ」

 

 

 魔王相手だってのに、兄貴はあっさりと打ち解けあっていた。

 

 まあ、魔王も気さくな方だし、お互い下の兄弟を持つもの同士、気があったのだろう。

 

 

「お兄さまは魔王なのですよ! 仕事をほっぽり出してくるなんて! 魔王がいち悪魔を特別視されてはいけませんわ!」

 

「いやいや、これは仕事でもあるんだよ」

 

「え?」

 

「実は三大勢力のトップ会談をこの学園で執り行おうと思っていてね。会場の下見に来たんだ」

 

 

 マジかよ。この学園で会談をやるのかよ。

 

 他の皆も驚いていた。

 

 

「アザゼルがいまだにこの町に滞在しているのもそのためだよ。もしかしたら、初めからこの学園で会談をする腹づもりだったのかもしれないね。なにせ、魔王の妹が二人も通っている学舎なのだから」

 

 

 確かに。コカビエルもそれを理由にして、この学園を中心にして行動を起こそうとしていたからな。

 

 

「さて、これ以上難しい話をここでしても仕方がない。うーむ、しかし、人間界に来たとはいえ、夜中だ。こんな時間に宿泊施設は空いているのだろうか?」

 

 

 探せばあるだろうが、時間はかかるだろうな。

 

 

「あ、それなら――」

 

 

 イッセーの提案に魔王はにんまりと笑みを浮かべた。

 

 

-○●○-

 

 

「妹がご迷惑をおかけしていなくて安心しました」

 

「そんな、お兄さん! リアスさんはとってもいい子ですわよ」

 

「ええ、イッセーにはもったいないくらい素敵なお嬢さんです!」

 

 

 イッセーの家のリビングにて魔王とイッセーの両親があいさつを交わしていた。

 

 魔王の隣には部長が座っており、恥ずかしそうに顔を真っ赤にさせていた。

 

 グレイフィアさんは魔王の後方に待機しており、俺たちは離れた場所から様子を窺っていた。

 

 さて、なんでこんなことになったかというと、あのあと、イッセーが「それなら、俺の家に泊まりますか」――と提案し、魔王が「それはいい。ぜひとも下宿先のご夫婦にあいさつをしたいと思っていたのだよ」――と、イッセーの意見を快諾したからだ。

 

 ちなみに部長は「ダメ! ダメよ!」と必死に抵抗していたが、魔王を止められるはずもなく、こうして魔王がイッセーの両親と談笑している隣で恥ずかしそうにしているわけだ。

 

 一応、魔王であることは明かせないので、身の上は部長の兄で部長の父親が経営している会社の後継ぎということになってる。そのため、かつての名であるサーゼクス・グレモリーと名乗っていた。

 

 かつての名を名乗れてなのか、魔王は少し楽しげだった。

 

 

「そちらのメイドさんは――」

 

「ええ、グレイフィアです。実は私の妻です」

 

 

 おじさんの問いへの魔王の答えにこの場にいたほぼ全員が驚く。

 

 驚いていないのは部長、グレイフィアさん、兄貴、姉貴だけだ。

 

 グレイフィアさんは無表情のまま、魔王の頬をつねった。

 

 

「メイドのグレイフィアです。我が主がつまらない冗談を口にして申し訳ございません」

 

「いたひ、いたひいひょ、ぐれいふぃあ」

 

 

 静かに怒っているグレイフィアさんと、涙目で朗らかに笑っている魔王。隣で部長が恥ずかしそうに両手で顔を覆っていた。

 

 もしかして、この魔王さま、プライベートだといつもこんな感じなのか?

 

 グレイフィアさんも手慣れた感じだしな。

 

 つねられた頬をさすりながらも魔王はおばさんとの会話を続ける。

 

 

 「それでは、グレモリーさんも授業参観を?」

 

「ええ、仕事が一段落しているので、この機会に一度妹の学舎を見つつ、授業の風景も拝見できたらと思いましてね。当日は父も顔を出す予定です」

 

「まあ、リアスさんのお父さんも」

 

「父は駒王学園の建設などにも携わっておりまして、私同様、よい機会だからと顔を出すようです。本当はリアスの顔を見たいだけだと思いますが」

 

 

 楽しそうに談笑しているところに、おじさんが台所から秘蔵の酒らしきものを取り出してきた。

 

 

「グレモリーさん! お酒はいけますかね? 日本のおいしいお酒があるんですがね」

 

「それは素晴らしい! ぜひともいただきましょう! 日本の酒はいける口なのでね!」

 

「冬夜くんもどうだい? 今夜は飲んでも大丈夫なんだろう?」

 

「大丈夫ですよ。ぜひ、ご一緒させてください」

 

 

 その後、兄貴、おじさん、魔王で酒盛りが始められ、授業参観の話で盛り上がるのだった。

 

 

-○●○-

 

 

「ふぃー、ちょっとフラつくなぁ・・・・・・」

 

 

 家のリビングで酔っ払った兄貴が椅子に座って顔に向かって手で扇いでいた。

 

 

「得意じゃないのに飲み過ぎるからだ」

 

 

 酔いで若干フラついている兄貴に嘆息しながら水を出してやる。

 

 

「いやー、話が弾んじゃって、ついね」

 

 

 水を飲みながら朗らかに笑う兄貴。

 

 酔いが回ったこともあって、相当話が弾んでたからな。

 

 ちなみに魔王は今夜、イッセーの部屋で寝るらしく、イッセーと二人きりになりたいと言いだしたので、いつも一緒に寝てるらしい部長とアーシアは自分たちの部屋で寝ることになった。たった一夜だけなのにとても寂しそうにしていた。特に部長が。日増しに部長のイッセーへの依存度が増してるな。

 

 あと、魔王と一緒の部屋で寝ることになったイッセーは緊張して一睡もできないんじゃなかろうか?

 

 姉貴がつまんなそうに言う。

 

 

「ちぇー、せっかくイッセーと一緒に寝ようと思ったのになー」

 

 

 相変わらず、イッセーへのスキンシップが激しいな。

 

 幼稚園の頃からイッセーのことを気に入っており、しょっちゅう抱きついていた。

 

 それが恋愛感情からなのか、ただ単に弟のようにかわいがってるだけなのか、一度訊いてみたことがあったが、はぐらかされたんだよな。

 

 まあ、千秋たちがイッセーへ好意を寄せるようになってからは、千秋たちへのからかいと発破が主目的なところがある感じだけどな。

 

 

「さて」

 

 

 水を飲み干した兄貴は一転して真面目な表情を作る。

 

 とてもさっきまで酔っ払てたとは思えない切り替えの速さだった。

 

 こういうときの兄貴が話すのはかなり大事な話であることが多い。

 

 

「明日夏、千秋」

 

 

 いつにもまして真剣な表情をしていたので、俺も千秋も思わず固唾を呑んでしまう。

 

 

「近いうち、二人には正式にハンターになってもらうことになるかもしれない。それもいきなり上位ランクからね」

 

「「なっ!?」」

 

 

 兄貴の言葉に俺と千秋は驚愕してしまう。

 

 

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