ハイスクールD×D 駒王学園の赤と緋の双龍   作:フレイムドラゴン

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『ジュニアハイスクールD×D』の発売日が判明しました。
主人公は宮本武蔵の子孫。ついにメジャーな日本の英雄キャラが登場。同じくメジャーな戦国武将は『織田信奈の野望』のコラボキャラだったからな。


Life.3 水着です! ピンチです!

 

 

「ぷはー」

 

「はい、いち、に、いち、に」

 

 

 俺は小猫ちゃんの手を持って、彼女のバタ足練習に付き合っていた。

 

 部長に頼まれたのは泳げない小猫ちゃんの練習に付き合うことだった。

 

 意外だったな。小猫ちゃんが泳げないなんて。運動神経がいいから、てっきり泳げるものだと思っていた。

 

 当の小猫ちゃんは時折息継ぎをしながら一生懸命にバタバタと足を動かしている。なんだか、一生懸命でかわいらしいぞ。

 

 意外と言えば──。

 

 

「槐、もうちょい肩の力を抜け」

 

「あ、ああ・・・・・・」

 

 

 隣のレーンで槐もバタ足練習をしており、明日夏が槐の手を持って練習に付き合っていた。

 

 槐も泳げなかったみたいで、レンが明日夏に頼んだのは槐の泳ぎの練習に付き合うことだった。槐は最初一人で練習しようとしていたけど、レンから「おまえ一人じゃ効率が悪い」と言われたので、渋々明日夏に手伝ってもらってる。

 

 

「がんばって、小猫ちゃん! 槐さん!」

 

 

 横でアーシアが二人の応援をしていた。ちなみにアーシアも泳げない。

 

 だから、小猫ちゃんのあとにアーシアの練習にも付き合うことになっていた。

 

 俺自身は別に泳ぎが得意というわけではなかったんだけど、明日夏が言うにはおそらく、眷属同士の連携力を高めるのが目的の眷属同士によるコミュニケーションもかねているとのこと。

 

 確かに、小猫ちゃんとこういうふうにコミュニケーションを取るのはあんまりなかったからな。

 

 

「・・・・・・イッセー先輩」

 

「ん、何?」

 

「・・・・・・付き合わせてしまってゴメンなさい・・・・・・」

 

 

 小猫ちゃんが申し訳なさそうに言ってくる。

 

 

「いやいや、女の子の泳ぎの練習に付き合うのも楽しいよ」

 

 

 本音だ。野郎ならともかく、女の子の練習、それもかわいい小猫ちゃんやアーシアが相手だったら、いくらでも付き合っちゃうぜ!

 

 初めての体験で新鮮だっていうのもあるかもしれない。千秋たちは皆、普通に泳げてたからな。

 

 鶇さんの場合、泳ぐというよりも浮いてるって言うべきかな。しかも、そのままお昼寝タイムに突入しちゃうんだよな。よく沈まないもんだ。

 

 

「うわっ!?」

 

「あっ!?」

 

 

 いつのまにか端に着いてることに気づかず、急に止まったもんだから、小猫ちゃんは勢い余って、俺にぶつかってきてしまった。しかも、思わず抱き止める体勢になっちまった!

 

 ヤッベ、殴られる!?

 

 いつもみたいに「・・・・・・触れないでください!」って殴られる! 

 

 警戒する俺だけど、訪れた反応はまったく別のものだった。

 

 

「・・・・・・イッセー先輩は意外に優しいですよね。・・・・・・ドスケベなのに」

 

 

 ・・・・・・誉められてるんだか、貶されてるんだか・・・・・・。

 

 小猫ちゃんの頬がほんのり赤いのは気のせいか?

 

 

「まあ、俺だって後輩に何かしてあげたいしさ。小猫ちゃんにはいつも迷惑かけてるしね」

 

 

 俺は小猫ちゃんの頭を撫でながら言う。──って、つい、よく千秋たちにやるように頭撫でちゃった!

 

 千秋たちはいつも嬉しそうにするんだけど、小猫ちゃんにとって嬉しいかどうかわからないのに。

 

 

 ザバン!

 

 

 誰かがプールに飛び込む音が聞こえてきた。

 

 見ると、部長、朱乃さん、千秋、千春さん、燕ちゃんの五人が競走していた。

 

 こ、これはチャンスだ!

 

 俺は急いで水中に潜り、『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』を出す。

 

 籠手を自分の顔に当て、倍増した力を譲渡した。

 

 

Transfer(トランスファー)!!』

 

 

 俺の両目に力が流れ込み、視力が一気に上がった!

 

 遠くで泳ぐ部長たちの姿を鮮明に捉える!

 

 素晴らしい肢体まではっきりと見えるぜ!

 

 うひょー! 揺れてる! 揺れてるよ! 部長、朱乃さん、千春さんのおっぱいが水の抵抗で揺れてるよ!

 

 俺の『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』はやっぱこういうことに使うべきだよな!

 

 さっそく、脳内の新種フォルダに──あ、クソッ、保存の途中で別のレーンで泳いでた木場が視界を遮った!

 

 

「コラッ、邪魔だ木場!?」

 

 

 上がって叫んでいると、腕をひっぱられた。

 

 いつのまにかプールサイドに上がっていた小猫ちゃんが俺の二の腕を掴んでいた。

 

 

「・・・・・・次はアーシア先輩の泳ぎを見るんじゃないんですか?」

 

 

 不機嫌な様子の小猫ちゃん。横ではアーシアが涙目だった。

 

 

「うぅ、私だって私だって・・・・・・!」

 

 

 俺はアーシアのご機嫌を取るためにすぐにアーシアの練習に取りかかるのだった。

 

 

-○●○-

 

 

「・・・・・・きゅぅぅぅ、疲れましたぁ」

 

 

 プールサイドに敷いたビニールシートの上でアーシアがダウンしていた。

 

 隣では塔城も「・・・・・・すーすー」と寝息をたてていた。

 

 水中での運動は陸上以上に体力を使うからな。泳ぎ慣れていなければなおさらだ。

 

 槐はまだ余裕はある感じだが、それでもかなり疲れてる様子だった。

 

 

「どうよ。成果は?」

 

 

 いつのまにか木場と一緒になって泳いでいたレンがやってきて訊いてきた。

 

 

「この調子だと正直微妙って感じだな」

 

「うっ・・・・・・」

 

「だろうな」

 

 

 俺の答えに槐はバツが悪そうにし、レンは予想通りの答えが返ってきたという様子で苦笑いを浮かべていた。

 

 センス自体は悪くないんだが、どうも緊張してなのか、張り切りすぎてなのか、力みすぎてるんだよな。そのせいで体が固くなって泳ぐのに支障を出していたし、余計な体力の消耗にも繋がっていた。

 

 

「こいつは昔っから体を動かすことになると無意識に力みすぎるクセがあってな。剣術にしてもそうだ。力みすぎてるから、体が固くなって余計な体力の消耗はするし、剣技の精度にもムラができる。極めつけは『錬域』だ。集中しようと無意識にさらに余計な力を入れるから、消耗はさらに激しくなる。自然体な集中状態じゃねぇから集中力にもムラがあるものになる。だからスムーズに『錬域』状態になれないうえ、ちょっと感情が高ぶっただけで『錬域』状態が解除されるんだ」

 

 

 レンの矢継ぎ早の指摘に槐はうなだれてしまう。

 

 

「ま、それであれだけ戦えるわけだから、おまえの戦闘センスや剣の才能は大したもんなんだが。だからこそ惜しいけどな。とりあえず、もっと肩から力抜いてリラックスしろ。それを意識しないでやれるようになれば、だいぶマシになるはずだ」

 

 

 レンのアドバイスに槐は頷きながらも、また気負いすぎてしまい、レンから注意されていた。

 

 

「ふぃー、泳いだ泳いだ」

 

 

 さっきまで部長と副部長と競走していた姉貴、千秋、燕がやってきてビニールシートの上に座る。

 

 

「誰が勝ったんだ?」

 

 

 五人ともなかなかのスピードだったからな。気になったので訊いてみた。

 

 

「僅差で千秋。二位が燕。やっぱ水の抵抗が少ないとそのぶんスピードが出るもんだな」

 

「「・・・・・・勝ったのに嬉しくない・・・・・・」」

 

 

 姉貴の言葉を聞いて不機嫌になった千秋と燕が胸に手を当てて姉貴を睨む。

 

 ・・・・・・この話題はもう触れないほうがいいか。

 

 

「あ、イッセー。リアスっちがあんたを呼んでたよ」

 

「部長が?」

 

「サンオイル持ってたから、オイル塗りでもお願いするんじゃない」

 

「オイル塗り!? 兵藤一誠、ただちにに向かいます!」

 

 

 興奮したイッセーは反対側のプールサイドにいる部長のもとに向かって猛ダッシュする。

 

 

「なんだったら、おまえらも塗ってもらえばどうだ?」

 

 

 俺はイッセーの反応に不機嫌そうになってる千秋と燕に言う。

 

 途端に二人は一転して顔を真っ赤にしてもじもじしだす。

 

 

「・・・・・・そ、それは・・・・・・」

 

「・・・・・・あたしは別に塗ってもらいたいなんて・・・・・・」

 

 

 いつものように千秋はヘタレるし、燕もわかりやすいツンデレを披露していた。

 

 

「じゃあ、あたしは塗ってもらおうっと」

 

 

 姉貴がそう言うと、二人は悔しそうに姉貴を睨んでいた。

 

 

「そういや聞いたぜ。おまえと千秋、ハンターになるんだってな。しかも、いきなり上位ランクから」

 

「兄貴から聞いたのか?」

 

「おう。槐共々、先輩としてビシバシシゴいてやるぜ──と言いたいところだが、実は俺も近いうちにAランクに昇格なんだよな」

 

 

 マジか──と一瞬驚きかけるが、そもそも、肝心のAランカーにレンほどの奴は多くない。下手すれば極小数しか居ないことを考えれば納得だな。実績のほうも申し分ないだろうし、S級賞金首であるカリスの討伐を任せられるぐらいには信用もあるようだからな。

 

 

「時期はおまえらがハンターになるころと同じだな。そうなると、俺は単独でやることになる。Aランカーは基本的に単独行動だからな。おまえらと組んでもおもしろかったろうにちょっと残念だな」

 

 

 それは初耳だったな。もっとも、当てはまるのは現在の基準でAランクになった奴だけなんだろうがな。

 

 

「でだ、千春。ちょいと頼みがあるんだが」

 

「槐のことだろ」

 

「ああ。俺の代わりに一緒にいてやってくれ。つっても、たぶんこの調子だと、おまえもAランカー入りしそうだけどな」

 

 

 姉貴もBランカーとして、だいぶ活躍してるからな。Aランカー入りもそれほど先の話でもないだろうな。

 

 

「というわけでだ。明日夏と千秋にも頼むわ。ハンターになったら、槐と組むようにしてくれねぇか」

 

「・・・・・・ずいぶん過保護だな?」

 

 

 槐はほとんどレン、たまに姉貴と組まされて行動することが多いと槐本人から若干愚痴のように聞いたことがある。いささか過保護がすぎるんじゃないのか?

 

 

「さっきも言ったが、槐は力みすぎるクセがある。そんな状態で実戦なんて致命的なミスをしでかしかねない。というか、前科があるんだよ。俺がよく槐と組むのもそのへんを心配してだ」

 

 

 なるほど。それは確かに心配になってあまり単独行動はさせたくないな。

 

 槐も不満そうにはしてるが、前科もあるので何も言えずにいた。

 

 

「そういうわけだ。いざってときはフォローしてやってくれ」

 

「・・・・・・逆にこっちがフォローされることが多いかもしれないんだがな」

 

「おまえらなら大丈夫だろう。案外、俺と組むよりもいいチームになるかもだぜ」

 

 

 まぁ確かに、近接型の俺と槐、中遠距離型の千秋とチームバランスはいいからな。前の戦いのときもそれなりに連携できたし、レンの言う通り、いいチームになるかもな。

 

 

 ドゴンッ!

 

 

『ッ!?』

 

 

 突然の破砕音に驚いた俺たちは音が鳴ったほうを見る。

 

 

「・・・・・・朱乃。ちょっと、調子に乗りすぎなんじゃないかしら?」

 

 

 部長がドスの効いた声音を発し、手のひらから魔力のオーラを放出していた。目が据わっており、見るからに完全にキレていた。

 

 部長の視線の先にはイッセーとイッセーに抱きついて、いつものニコニコフェイスを浮かべている副部長がいた。

 

 二人の後方では飛び込み台のひとつが破壊されていた。

 

 ああ、これは・・・・・・。部長がイッセーにオイルを塗ってもらっていたところに副部長が乱入し、そのまま副部長がイッセーにアプローチ的なことを始めだして、部長にとうとう我慢の限界が来てしまったというわけだな。

 

 

「あなた、自分が私の眷属で下僕だということを忘れているのかしら?」

 

「あらあら、そちらがその気なら私も引かないわ」

 

 

 おいおい、いつもは部長を諌める立場の副部長が受けて立つ気満々で手のひらから雷をほとばしらせやがった!

 

 声にも怒気が含まれているし、本気だなこりゃ・・・・・・。

 

 というか──。

 

 

「部長、副部長、何やってんですか!? 二人がやり合ったら、この辺一体が消し飛びますよ! あと、男の目もあるんですから、ちゃんと水着を着てください!」

 

 

 部長も副部長もイッセーにオイルを塗ってもらうためにブラを取り払っているので目のやり場に非常に困る。

 

 

「イッセーはあげないわ!」

 

「かわいがるくらいいいじゃないの!」

 

「だいたい、あなたは男が嫌いだったはずでしょ!」

 

「そういうあなたも男なんか興味ない、全部一緒に見えると言ってわ!」

 

 

 だが、俺の叫びも虚しく、二人の口論はヒートアップするいっぽうだった。

 

 そして、ついに悪魔の翼を広げて空中で魔力の撃ち合いが始まってしまった。

 

 

「朱乃のバカ!」

 

「リアスのおたんこなす!」

 

「朱乃のあんぽんたん!」

 

「リアスのすっとこどっこい!」

 

「朱乃のおたんちん!」

 

 

 口論のほうも子供のような罵倒の言い合いになっていた。・・・・・・完全に子供のケンカだ。

 

 

「あわわわわ、どうしましょう!?」

 

「・・・・・・一度始まった二人のケンカを止めるのは自殺行為です」

 

 

 騒ぎで起きたアーシアはあわあわし始め、塔城はもう完全に諦めていた。

 

 

「いやー、眼福眼福だなぁ」

 

「この調子だと、プールの汚れどころか、プールそのものを掃除しかねないなぁ」

 

「二人とも呑気なこと言ってる場合ですか! あと、兄上はあっちを向いててください!」

 

 

 二人の喧嘩を若干楽しんでる様子のレンと姉貴に槐がツッコむ。

 

 

「イッセーは何やってるのよ!? あいつを取り合ってケンカしてるんだから、責任持って止めなさいよ!」

 

「イッセー兄なら、もう避難してるよ」

 

 

 燕が喧嘩の原因であるイッセーに毒づいており、当のイッセーは千秋の言う通り、すでに避難していた。

 

 まぁ、ケンカしてるあの二人を止めるのは荷が重いだろうからな。

 

 というか、どうするか、マジで・・・・・・。

 

 この調子だと、姉貴の言う通り、プールの掃除に来たのに本気でプールそのものを掃除してしまったことになりかねない。生徒会の負担を減らすために掃除を請け負ったのに、このままでは逆に増やしてしまうことになる。

 

 

「このまま見てたいけど、さすがに止めたほうがいっか」

 

 

 そう言うと、姉貴がプールの水面の上を歩き始めてしまう。

 

 姉貴はプールの中央で立ち止まると、手を部長と副部長のほうに向けてかざす。

 

 

「水牢」

 

 

 姉貴の言葉に反応するようにプールの水がうねり、水が部長と副部長のほうに飛んでいく。

 

 

「「えっ!?」」

 

 

 部長と副部長は突然のことに対応できないまま、水が二人を包み込んだ。

 

 

「そりゃ」

 

 

 そのまま姉貴が手を振り下ろすと、二人を包んだ水の塊がプールに向けて勢いよく落下していく。

 

 

 ドボォォォン!

 

 

 高い水飛沫を上げながら、二人を包んだ水の塊がプールに叩きつけられた。

 

 

「「ぷはっ・・・・・・げほっげほっ・・・・・・」」

 

 

 水面に上がり、咽せている二人に姉貴は水面の上でしゃがみながら言う。

 

 

「はいはーい。お互い譲れないんだろうけど、学校の施設を壊しちゃダメっしょ。あと、ケンカするにしても、イッセー以外の男の目があるんだから、やるならちゃんと水着着ようね」

 

 

 そう言いながら、水で器用に二人の水着のブラを持ってきて二人に渡す。

 

 

「・・・・・・ちょっとムキになりすぎたわね」

 

「・・・・・・私もリアスを煽りすぎましたわ」

 

 

 二人もやりすぎたと反省していた。

 

 

「ところで、いまのって、あなたの神器(セイクリッド・ギア)の能力かしら? 明日夏からあなたたち兄弟全員が神器(セイクリッド・ギア)の所有者だと聞いてたけど」

 

「そ、いまのはあたしの神器(セイクリッド・ギア)、『海龍の蒼槍(ブルー・スプラッシュ)』の能力」

 

 

 姉貴の神器(セイクリッド・ギア)の本来の姿は水を発生させ、操る槍なんだが、水のある場所なら、槍を出さなくても水を操る能力だけを使用できる。久々に見たが、コントロール技術に磨きがかかってるな。

 

 

「あら、そういえばイッセーくんは?」

 

「そういえば、いつの間にかいなくなっているわね」

 

 

 ここで二人はイッセーが避難していたことに気づいた。

 

 キョロキョロとイッセーを探していた二人にレンが言う。

 

 

「あいつなら用具室のほうに逃げてったぜ。ちなみにちょっとおもしろいことになってるぜ」

 

「「おもしろいこと?」」

 

「デュランダルちゃんに迫られてるぜ」

 

「なんですって!?」

 

「・・・・・・あらあら」

 

 

 レンの言葉に部長は驚愕し、副部長はニコニコフェイスながら不機嫌そうにしていた。

 

 ゼノヴィアの奴、いまのいままで用具室で着替えてたのか。

 

 つーか、いったいぜんたい、なんでゼノヴィアがイッセーに迫ってるんだ?

 

 とか気にしてるあいだに部長と副部長、姉貴と槐を除く女性陣が用具室のほうに駆けてった。

 

 とりあえず、俺も木場(余程集中しているのか騒動に気づかず泳ぎ続けていた)を除く残りのメンバーと一緒について行く。

 

 

「・・・・・・イッセー、これはどういうこと?」

 

 

 用具室の前に着くと同時に、部長の冷淡な問いかけが聞こえた。

 

 用具室の中を除くと、上の水着を着ていないゼノヴィアがイッセーに抱きついていた。

 

 

「あらあら、ずるいわ、ゼノヴィアちゃんたら。イッセーくんの貞操は私がもらう予定ですのよ」

 

 

 ニコニコフェイスで危険なオーラを発している副部長。

 

 

「イッセーさん、酷いですぅ! 私だって言ってくれたら・・・・・・」

 

 

 アーシアは涙目になりながらも、しれっと大胆なことを言っていた。

 

 

「あぅわ・・・・・・」

 

 

 千秋は目の前の光景に不機嫌な感情と戸惑いの感情が混じって若干パニックになっていた。

 

 

「・・・・・・イッセーく〜ん。言ってくれたら、私と燕ちゃんが・・・・・・」

 

「なんで、私も入ってるのよ!?」

 

 

 相変わらず燕を巻き込む形で大胆なことを言う鶫にいつものように燕がツッコんでいた。

 

 

「・・・・・・油断もスキもない」

 

 

 塔城も半目でイッセーを睨んでいた。

 

 

「どうした、イッセー? さあ、子供を作ろう」

 

「バ、バカ、おまえ!? この状況わかってんのか!? ちったぁ、空気ってもんをよ!?」

 

『子供!?』

 

 

 『子供』という単語を聞き、女性陣の顔色が変わる。

 

 部長と副部長が用具室に入り、それぞれがイッセーの腕を掴むと、ズルズルと引きずってくる。

 

 

「ぶ、部長! こ、これにはわけが!」

 

「わかっているわ。私が悪いの。性欲過多なあなたから少しでも目を離した私のせいよね。でもね、イッセー。子供を作ろうってどういうことかしら?」

 

「そうですわね。どういう経緯で子供の話になったのか、詳しく教えていただきたいですわ」

 

「・・・・・・連行です」

 

「・・・・・・連行だよ〜」

 

 

 塔城と鶫にそれぞれイッセーの足を持ち上げられたことで、イッセーは完全に拘束された。

 

 

「うあああああああっ!?」

 

 

 プールに悲鳴を響かせながら、イッセーは女性陣によって連行されていった。

 

 

「うん、なるほど。イッセーと子作りをするには部長たちに勝たねばならないのか。これは至難の業だね。しかし、ライバルが多いとなると燃えるものがある」

 

 

 騒動の発端であるゼノヴィアは俺の隣でうんうんと頷いていた。

 

 

「「おまえはまず水着を着ろ!」」

 

 

 いまだに上の水着を着ていないゼノヴィアに俺と槐はハモって叫んだ。

 

 

「ほい、ゼノヴィアっち」

 

 

 姉貴が用具室の中から水着のブラを取ってきてゼノヴィアに渡す。

 

 姉貴から受け取った水着を着たところで、俺はゼノヴィアに問いかける。

 

 

「・・・・・・それで、いったいぜんたい、なんで子供を作ろうなんて言い出したんだ?」

 

「いやなに、私はいままでずっと信仰のために生きていた。主に仕え、主のために戦う。それが私のすべてだった。だから、主がいないと知り、悪魔となった私には、夢や目標がなくなってしまったんだ。これから何をしていいかわからず、そのことをリアス部長に尋ねたんだ。そしたら――」

 

 

 ――悪魔は欲を持ち、欲を叶え、欲を望む者。好きに生きてみなさい。

 

 部長にそう答えられたみたいだ。

 

 

「そこで私は主に仕えるとき捨てた女の喜びを堪能しようと思ってね。そして、新たにできた目標、夢が──」

 

「・・・・・・子供を作ることってわけか?」

 

「そうだ」

 

 

 確かに、子供を作ることが女の喜びなんて聞くこともあるが、それにしたって、他にもっとなんかあったんじゃねぇのか・・・・・・。

 

 

「で、その子供を作る相手をイッセーにした理由は?」

 

 

 俺の知る限り、こいつがイッセーに想いを寄せるようになった出来事はなかったはずだ。

 

 そもそも、ゼノヴィアの様子からしても、そういう感情があるようには見えなかった。

 

 

「なに、簡単な話だ。子供を作る以上、できることなら強い子になってほしいと思っていてね。父親の遺伝子に特殊な力、もしくは強さを望んでいるんだ」

 

 

 その考えは戦士だった故か?

 

 

「イッセーは赤龍帝。神器(セイクリッド・ギア)はともかく、ドラゴンのオーラなどが受け継がれるかもしれないってか?」

 

「そういうことだ。木場祐斗や夜刀神蓮火の剣士の才能も捨て難いが、そちらのほうが可能性が高そうだからね。その観点で言えば、キミもドラゴン系神器(セイクリッド・ギア)を持ってるから適任だな。どうだ、私と子供を作らないか?」

 

 

 俺までターゲットにされてしまった。

 

 

「・・・・・・そんな軽い理由でできるか。おまえはまず一般常識を学べ。子供だとかそういうことを考えるのはそれからだろう」

 

「ふむ、そういうものか?」

 

「せっかく学校に通ってるんだ。勉学に遊び、その他色々なことを体験する機会もある。そういった経験から自ずとやりたいことや目標が見つかるはずだ。部長もそのつもりで言ったんだろう」

 

「なるほど。確かに、教会にいたときでは経験できない色々なことが体験できそうだからな。まず学園生活を満喫してみるか」

 

「それがいいだろう」

 

「それはそれとして。士騎明日夏、私と子供を作らないか?」

 

「・・・・・・だから、断るって言ってるだろ」

 

 

 ・・・・・・ダメだこりゃ。

 

 

-○●○-

 

 

 プール開きが終わり、俺、イッセー、木場、レンの男子組は校庭のほうへ歩いていた。

 

 女子組はシャワーを浴びたり、着替えたりする時間が男子よりもかかってるので、先に校門で待ってることにしたのだ。

 

 

「はぁ、酷い目にあった・・・・・・」

 

 

 部長たちにこってり絞られたのか、イッセーがげんなりしていた。

 

 まぁ、部長と副部長も騒ぎを聞きつけてきた会長に説教されてたけどな。

 

 いまは二人して自分たちが壊してしまったところを修復していた。

 

 

「僕が泳ぐのに夢中になっていたあいだにそんなことが起こってたんだね」

 

「・・・・・・いや、あの騒動に気づかねぇって、どんだけ集中してたんだよ」

 

 

 俺は苦笑している木場に呆れの視線を送る。

 

 レンがにやにやしながらイッセーに訊く。

 

 

「ちなみに、デュランダルちゃんに迫られた感想はどうよ?」

 

「そりゃ、ゼノヴィアもかわいいからな。まぁ、かなり突拍子もなかったけど・・・・・・」

 

 

 さすがのイッセーも、スケベ根性よりも戸惑いのほうが勝ってるか。

 

 そんな他愛のない話をしながら校門に向かってると、校門に誰かいるのに気づいた。

 

 ダークカラーの強い銀髪で、歳は俺たちと同じくらいの少年だった。

 

 見慣れない奴だな。新しい留学生か?

 

 少年が俺たちに気づき、歩み寄ってくる。

 

 少年が口を開く。

 

 

「ここで会うのは二度目だな」

 

 

 二度目? 会ったことあったか?

 

 いや、待てよ。この声、聞き覚えが・・・・・・。

 

 

「イッセーくん!?」

 

 

 木場の驚いたような声が聞こえ、イッセーのほうを見ると、イッセーが左腕を押さえていた。

 

 

「どうした、イッセー!?」

 

「・・・・・・わかんねぇ。また腕が・・・・・・」

 

 

 イッセーのこの症状──まさか!?

 

 俺は警戒心を最大にまで上げて少年のほうを見る。

 

 そして、少年が不敵な笑みを浮かべて名乗る。

 

 

「俺はヴァーリ。白龍皇──『白い龍(バニシング・ドラゴン)』だ」

 

 

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