ハイスクールD×D 駒王学園の赤と緋の双龍   作:フレイムドラゴン

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Life.13 旧魔王派

 

 

 カテレア・レヴィアタンの放った強大な魔力弾によって会議室どころかその周辺までもが跡形もなく吹き飛ばされてしまった。

 

 だけど、僕たちは無事だった。サーゼクスさま、ミカエルさま、アザゼルの三大勢力のトップの方々が強力な防御結界を張ってくれたからだ。

 

 

「三大勢力のトップが共同で防御結界。ふふ、なんと見苦しい」

 

 

 それを見て見下すように笑うカテレア。

 

 旧魔王の一族。噂には聞いていたけど、まだ存在していたんだね。

 

 長きに渡る戦いで、悪魔は疲弊を極めていた。このまま戦争を続ければ、種の存続も危ういほどに。そんな中で徹底抗戦を最後まで唱えたのが、旧魔王の血を引く者たちだったという。

 

 そのため、悪魔政権は種の存続のために停戦を主張するハト派と戦争続行を主張するタカ派に二分され、内乱となった。

 

 タカ派だった旧魔王の一族とその一門は内乱に破れ、冥界の隅に追いやられた。

 

 その内乱で活躍されたのがサーゼクスさまをはじめとする現四大魔王の方々であり、その功績により、現魔王を襲名し、新政権が樹立されたという話だ。

 

 その旧魔王の一族がテロリストによって襲撃されているこのタイミングで攻撃してきたということは──。

 

 

「──これはクーデターか、カテレア?」

 

「その通りです、サーゼクス。旧魔王派の者たちはほとんどが『禍の団(カオス・ブリゲード)』に協力することにしました。今回のこの攻撃も我々が受け持っております」

 

 

 そう、これはクーデター。現魔王派に対する旧魔王派の反乱だった。

 

 

「どういうつもりだ、カテレア?」

 

「この会談の正に逆の考えに至っただけです。神と魔王がいないのならば、この世界を変革すべきだと」

 

 

 神の不在、三大勢力の和平、それを全て知った上でのクーデターということか。しかも、その考えはここにいる方々とはまったく逆の道。

 

 

「カテレアちゃん、やめて! どうして、こんな!」

 

 

 セラフォルーさまの叫びにカテレアは憎々しげな睨みを見せる。

 

 

「セラフォルー、私から『レヴィアタン』の座を奪っておいて、よくもぬけぬけと! 私は正統なるレヴィアタンの血を引いていたのです! 私こそが魔王に相応しかたった!」

 

「わ、私は・・・・・・」

 

 

 カテレアの言葉に表情を陰らせるセラフォルーさま。

 

 

「ふん、安心なさい。今日、この場であなたを殺して私が魔王レヴィアタンを名乗ります。そして、オーフィスには私が魔王となった新世界の神となってもらいます」

 

「やれやれ、悪魔のとんだクーデターに巻き込まれたと思ったが・・・・・・」

 

「・・・・・・あなたの狙いは世界そのものというわけですね?」

 

「ええ、アザゼル、ミカエル。神と魔王の死を取り繕うだけの世界。この腐敗した世界を私たちの手で再構築し、変革するのです。その象徴がオーフィスです。サーゼクス、アザゼル、ミカエル、あなたたちの時代は終えてもらいます」

 

 

 両手を広げてそう答えるカテレア。

 

 その言葉にトップの方々は表情を陰らせていた。

 

 ただ一人を除いて──。

 

 

「ふっふふふ、はははは」

 

 

 アザゼルだけは愉快そうに心底おかしそうに笑っていた。

 

 

「・・・・・・アザゼル、何がおかしいのです?」

 

 

 アザゼルの態度にカテレアは明らかに怒りをあらわにしていた。

 

 

「くっくっく。腐敗? 変革? おいおい、聞いたかよ、シオ。ずいぶんと陳腐だよなぁ、おい?」

 

「ですね。もうちょい大物ムーブかましてくれれば、まだ格好つきますけど、言動がもう、序盤で主人公の噛ませにされて速攻で退場する敵役のそれですね」

 

 

 アザゼルに振られたシオ・ヴィリアースも、おかしそうにお腹を抱えて笑い堪えていた。

 

 

「てめぇら! 真なる魔王レヴィアタンさまを愚弄する気か! クソ堕天使の総督に下等なクソ人間風情が!」

 

 

 カテレアの背後にいた男性の一人が顔を上げて激怒する。

 

 暗い赤色の髪で、言動からして粗雑そうな男性だった。

 

 

「落ち着きなさい、アルガード。それに言葉使いが下品です。お仕えするカテレアさまの品性が疑われてしまいます」

 

 

 カテレアの背後にいた女性が激怒していた男性──アルガードを諌める。

 

 暗い緑色の長髪で、こちらもカテレアのように胸元が大きく開いた深いスリットの入ったドレスを着ていた。

 

 

「堕天使総督殿。私は真なる魔王にお仕えする『XIII魔将(じゅうさんましょう)』が一角、リッデルトと申します」

 

「こいつはご丁寧だな。『XIII魔将』なんて組織は聞いたことねえが、他の三人含めて、かなりやるみたいだな?」

 

「ええ。私たちは真なる魔王さまの剣となり、盾となるために産み出された『強魔兵(きょうまへい)』なのですから」

 

「──ッ!? カテレア、あの非道な所業を再開させたのか!?」

 

 

 リッデルトと名乗った女性が口にした単語を聞いた瞬間、サーゼクスさまが驚愕すると同時にカテレアに怒りをあらわにされていた。

 

 あのサーゼクスさまがここまで感情を荒らげられるなんて、一体何が?

 

 サーゼクスさまが憎々しげに説明なされる。

 

 

「・・・・・・『強魔兵』とは、投薬、遺伝子操作、肉体改造などを行い、能力を無理矢理高めた悪魔の兵士のことを言う。そして、その被験者は主に下級出身の民たちで、本人の意思を無視して登用されていた。旧魔王派の者たちが行っていた非道な所業だ」

 

 

 そんな非人道的なことを旧魔王派の者たちは大戦中に行っていたのか!

 

 サーゼクスさまが感情を荒らげられるのも無理もなかった。この方は本当に下級・中級・上級問わず、民を愛されているのだから。

 

 

「すべては戦争に勝つためです。それに、いくら下々の者が衰退しようと、我ら魔王の血族が生き残れば悪魔の存在は揺るぎませんからね」

 

 

 非道な行いに対して、カテレアは罪悪感などまったく抱いてなかった。それどころか、民がいくら犠牲になろうが、自分たち魔王の血族さえ生き残ればいいとさえ宣っていた。

 

 ・・・・・・種の存続を考えず、戦争続行を主張しただけはあるよ。まさに暴君の所業だった。

 

 そこへ、リッデルトが淡々と言う。

 

 

「それに、それは出来の悪い失敗作の話です。私たちはそれをはるかに上回る、いわゆる『第二世代』と呼ぶべき存在です。そして、その中でも特に高い能力を認められた者たちが私をはじめとする『XIII魔将』です」

 

「ああ、あれだろ? おまえら、『試験管ベビー』的なもんだろ?」

 

「その通りです、アザゼル総督。流石の慧眼です」

 

「これでも研究者なんでな」

 

「あなたの言う通り、私たちは受精卵の段階で遺伝子調整を施すことで能力を高められて誕生した存在です。大戦時に動員された、いわゆる『第一世代』の強魔兵は能力こそ高くても、それはとても不安定なものでした」

 

「ま、強引に体を(いじく)ってるんだ。そういう不調も出てくるだろうよ。無理矢理だったんなら、なおのこと、精神的に不安定になっていくだろうからな。それに、おまえらだって、完璧じゃないんだろ?」

 

「ええ。元々、悪魔は妊娠率が低いので、無理矢理な受精は負担を大きくかけ、また、すぐに徴兵するために、人為的に急成長させたため、その影響で私たち第二世代強魔兵は寿命が極端に短いです。個人差はありますが、短ければ人間と同じくらい、長くても数百年といったところです」

 

 

 一万年以上も生きる悪魔からしたら、確かにそれは短命だった。

 

 

「ですが、構いません。真なる魔王さまの道具となって役立つ。それが私たちの存在意義ですから」

 

「裏切り防止のための服従遺伝子を利用したマインドコントロールか。こっちもこっちで非道だな。まさに文字通りの悪魔の所業ってやつか」

 

 

 アザゼルは嫌悪感をあらわにして皮肉を言っていた。

 

 

「さて、話はここまでにしましょうか」

 

「そうだな。正直、ヴァーリほどじゃないが、俺もじっとしてるのには飽きてきたところだったからな。いいな? サーゼクス? ミカエル?」

 

 

 カテレアが臨戦態勢に入ると、アザゼルが薄暗いオーラを放ちながら戦場に立つ。

 

 

「・・・・・・カテレア、降るつもりはないのだな?」

 

「ええ、サーゼクス。あなたはよき魔王ではありましたが、残念ながら最高の魔王ではなかった」

 

 

 カテレアはサーゼクスさまの最後通告を拒否する。

 

 

「そうか。・・・・・・残念だ」

 

 

 その確認を見ると、アザゼルは漆黒の十二枚の翼を広げ、カテレアと共に上空へと場所を変える。

 

 

「旧魔王レヴィアタンの末裔。『終末の怪物』の一匹。相手としては悪くねぇ。ハルマゲドンとシャレこむか?」

 

「堕天使の総督ごときが!」

 

 

 対峙した二人は、そこから激しい攻防を繰り広げだした。その激しさは、周りの魔術師が巻き込まれて消し飛ぶほどだった。

 

 

「では、忌々しき偽りの魔王と天使の長は私たちがお相手をしましょうか。アルガード、デリオル、ゼルファ」

 

 

 リッデルトとアルガード、デリオルとゼルファと呼ばれた男性たちも臨戦態勢に入った。

 

 サーゼクスさま、セラフォルーさま、ミカエルさまが身構えようとしたところで、一人の男性が前に出てそれを制した。

 

 

「魔王さまと天使長さまは動けなくなってる連中を守ってやっててください」

 

 

 男性──シオ・ヴィリアースが防御結界から出ると、リッデルトたちと相対する。

 

 

「ぶっちゃけ、あの魔法使いの大軍の一斉攻撃を防げる防御結界を張れるのは、あんたたちだけだからな。メイドさんも、転移ゲートの解析で手が離せないだろうし。ここは、会談の護衛を任されてる俺に任しといてください」

 

 

 手のひらに拳を打ち付けるシオ・ヴィリアースに対して、アルガードと他二人の男性──デリオルと呼ばれていた暗い青髪の男性とゼルファと呼ばれていた暗い茶髪の男性が彼を嘲笑う。

 

 

「調子に乗るなよ、下等生物が」

 

「これだから下等な存在は己の力量を弁えない」

 

「ま、いまのうちにカッコつけさせておけばいいさ。すぐに後悔することになるんだからな」

 

 

 彼らはシオ・ヴィリアースを、いや、心底、人間という種族を見下していた。

 

 まあ、彼らに限らず、人間を下等種と見下している異形は珍しくないんだけどね。

 

 

「三人とも、油断しないでください。この男、かなりできますよ」

 

 

 対して、リッデルトだけは、油断せず警戒心をあらわにしていた。

 

 だが、そんなリッデルトに対して、三人は鼻で笑う。

 

 

「おいおい、リッデルトよ。おまえ、いつから目が節穴になったんだ?」

 

「できるといっても、所詮は下等な人間です。私たちの敵ではありませんよ」

 

「それをいま証明してやるよ」

 

 

 彼らは手元に巨大な魔力の塊を生み出した!

 

 なんて大きさだ! 

 

 だが、そんな魔力の塊を見ても、シオ・ヴィリアースは不敵に笑みを浮かべていた。

 

 

「「「死ね」」」

 

 

 三人の魔力弾が同時に放たれた!

 

 

「いかん! セラフォルー! ミカエル殿!」

 

 

 サーゼクスさま、セラフォルーさま、ミカエルさまが展開していた防御結界を強化する。

 

 次の瞬間、魔力弾が炸裂し、校舎をさらに破壊し、巨大なクレーターが生み出された!

 

 なんて威力だ。上級、いや、それ以上の力があるのが容易に見て取れた。

 

 だが──。

 

 

「ケホッケホッ。ったく、旧レヴィアタンさまもそうだが、せっかく直した校舎をぶっ壊してんじゃねぇよ」

 

 

 クレーターの中心で、シオ・ヴィリアースは()()の状態で立っていた。

 

 

「おいおい、どういうことだよ?」

 

「確かに直撃したはず?」

 

「どういう手品だ?」

 

 

 自分たちの攻撃をくらっても、まったくの無傷だったことに、アルガード、デリオル、ゼルファは困惑していた。

 

 

「彼が例の『神滅具(ロンギヌス)』候補の所有者ですか」

 

 

 ミカエルさまの言葉を聞いて、僕はもちろん、ゼノヴィアやイリナさん、ライニーにユウナさんが驚愕する。

 

 『神滅具(ロンギヌス)』と呼ばれる神器(セイクリッド・ギア)は十三種存在しているが、元から十三種存在していたわけではなく、初めはひとつだけだった。

 

 そして、時代を経るごとにその数を増やし、現在の十三種となった。当然、これからも増えていく可能性もあった。その候補に選ばれた神器(セイクリッド・ギア)をシオ・ヴィリアースが所持していた。

 

 

「んじゃ、今度はこっちの番だ」

 

 

 シオ・ヴィリアースは拳を引き、正拳突きの構えを取る。

 

 一体、彼の神器(セイクリッド・ギア)はどんな能力を?

 

 そんな僕の疑問に答えるように、ミカエルさまが彼の神器(セイクリッド・ギア)について説明してくださる。

 

 

「彼の持つ神器(セイクリッド・ギア)の名は『不屈の撃滅拳(ダイハード・インパクト)』。その能力は所有者の身体能力と防御力を極限にまで高め、さらに高い再生力を与えます。所有者によっては、神であっても打ち破ることはできないと言われています」

 

 

 神であっても打ち破ることのできない防御力と再生力。なるほど。だから、あの一撃が直撃しても無傷だったのか。

 

 

「そして、『神滅具(ロンギヌス)』候補に選ばれた一番の理由、それは──」

 

 

 シオ・ヴィリアースが拳を打ち出した。

 

 

「その拳の一撃は神をも滅ぼすと言われているからです」

 

 

 放たれた拳から轟音をともなって衝撃波が生みだされた。

 

 

-○●○-

 

 

 カテレアと戦ってる最中、とてつもない衝撃波が魔法使いたちを巻き込みながら学園を覆ってる結界に叩きつけられた。その際、結界に亀裂が入った。

 

 シオの一撃だな。

 

 

「・・・・・・これは・・・・・・」

 

 

 カテレアがシオの一撃に眉をひそめていた。

 

 

「うちのモンの一撃だぜ。なんせ、あいつが持ってる神器(セイクリッド・ギア)は『神滅具(ロンギヌス)』候補のひとつだからな」

 

 

 しかも、あれで結界を壊さないように加減してるわけだからな。しかも、禁手(バランス・ブレイカー)にもなってないであれだ。『神滅具(ロンギヌス)』に数えられるのも時間の問題だろう。

 

 

「ホント、神はおもしろいモンを残してったよな。おかげで退屈しない。俺が唯一、奴を尊敬するところだ。ま、『神滅具(ロンギヌス)』や『禁手(バランス・ブレイカー)』といった世界の均衡を崩せるだけの『バグ』を残して死んでったのはアレだがな」

 

「ご安心を。新世界では神器(セイクリッド・ギア)なんてものを絶対に作りませんから」

 

「おいおい、俺の楽しみを奪ってんじゃねぇよ──っと」

 

 

 俺は幾重もの光の槍を放つ。

 

 それをカテレアは何重もの防御魔法陣で防いでいた。

 

 

「思ったよりも食い下がるじゃねぇか。伊達に魔王の末裔じゃねぇってわけか」

 

 

 それでも、客観的に見れば、俺のほうが実力は上っぽいがな。

 

 

「では、そろそろ本気を出すとしましょう」

 

 

 そう言い、カテレアは懐から何かを取り出した。

 

 蛇だと?

 

 それは黒い蛇のようなものだった。

 

 カテレアはそれを呑み込んだ。

 

 途端に奴の魔力が膨れ上がり、不気味なオーラを漂わせ始めた。

 

 とりあえず、光の槍を放つが、腕をなぐだけで弾き飛ばされた。

 

 黒い蛇。そして、奴のバックの存在。なるほど、そういうことか。

 

 

「覚悟を決めてもらいましょうか、アザゼル!」

 

 

 カテレアは杖からいままでとは比べ物にならないくらいの禍々しくて強大な魔力を放ってきた。

 

 俺はそれを躱し、奴の背後に回り込む。

 

 すかさず、カテレアは魔力を纏った裏拳を打ち込んでくるが、俺はそれを手の甲で防いでやった。

 

 

「このオーラの量、たかだか魔王の末裔風情の力じゃねぇな。オーフィスに何をもらった?」

 

「答える意味はありません。あなたがたはいま、ここで滅ぶのですから」

 

「そうかい」

 

 

 ま、だいたい察しはつくがな。オーフィスは『無限』を司る。他者の力を強化するアイテムを作れても不思議じゃねぇ。

 

 見たところ、副作用の類もなさそうだな。そして、『無限』を司るオーフィスに生産の限界なんてないだろうし、『禍の団(カオス・ブリゲード)』の幹部クラス全員はもちろん、最悪の場合は構成員のほとんどががオーフィスの蛇で強化されてると見ていいだろうな。

 

 ・・・・・・厄介だな。この蛇ほしさにテロリストに組みする奴も多そうだな。

 

 ったく、野郎はなんでテロリストの親玉になったのやら。カテレアの言う新世界の象徴なんて興味ないはずだろうに。元々、世界の情勢になんて無関心な奴だったからな。だからこそ、放置できたってのに。

 

 ま、いまはとりあえず、こいつをなんとかすっか。こいつが今回のテロリスト側の大将なのは間違いない。大将さえ討ちとれば、連中も一気に瓦解するだろう。

 

 いまのカテレアの力はオーフィスの蛇の影響で先代魔王に迫るほどになってはいるが、俺のほうにも()()()はあるしな。余程のことがなければ負けることはないだろう。

 

 問題はハーフヴァンパイアを救出しに行ったリアス・グレモリーと兵藤一誠だな。

 

 今回のテロの要は停止能力を持つハーフヴァンパイアだ。当然、相応の戦力がハーフヴァンパイアのそばにいるだろう。もし、あの強魔兵、しかも、オーフィスの蛇を持った奴がいるとしたら、リアス・グレモリーと兵藤一誠だけじゃ力不足かもしれねぇな。

 

 

「考え事ですか? そういえば、サーゼクスの妹がいませんでしたね? ハーフヴァンパイアの救出に向かったのでしょうか? だとしたら、サーゼクスの悲しみと憎しみで歪む表情が見れそうですね。なにせ、ハーフヴァンパイアのそばには『XIII魔将』の一人がいるのですから」

 

 

 やっぱりか。あのリッデルトとかいうの、パッと見ただけでも、最上級悪魔クラスはあるのが見て取れた。それがオーフィスの蛇を使用した状態でなのか、そうでないのか、どちらにしろ、同じクラスの奴がいるのなら、リアス・グレモリーと兵藤一誠じゃ荷が重いな。囮組と合流して厳しいか。

 

 ──だとすると、鍵は冬夜の妹か。冬夜の妹が無事なら、ワンチャンあるかもな。

 

 

-○●○-

 

 

 転移が終わると、そこは部室だった。

 

 転移したら目の前に魔法使いがいるんじゃないかと身構えてたけど、部室内にいたのは、血まみれで動かなくなっていた魔法使いたちだけだった。

 

 これやったのって千春さん? ・・・・・・だとしたら、容赦ないな。明日夏と千秋もだけど。

 

 

「ギャスパーと千春さんがいませんね?」

 

「おそらく、ギャスパーが封じられていた部屋にいると思うわ。緊急時にはそこに避難するように言っていたから」

 

 

 てことは、そこで魔法使いたちに捕まったってことか?

 

 

「どうしますか? 外にいる明日夏たちと合流しますか?」

 

「いえ、時間も惜しいわ。このまま、ギャスパーのほうに向かいましょう」

 

 

 俺と部長はおそるおそる、扉から廊下を覗く。

 

 魔法使いはいないみたいだな。

 

 俺と部長は周囲を警戒しながらギャスパーがいた部屋に向かう。

 

 途中、部室にいたのと同じ血まみれで動かなくなっていた魔法使いはいたけど、生きている魔法使いに遭遇することはなかった。

 

 

「おそらく、ギャスパーのそばに最低限の人数を残して、残りは外の囮組の対処に当たっているのでしょう」

 

 

 囮作戦はうまくいってるってわけか。

 

 そうこうしてると、ギャスパーがいた部屋についた。

 

 

「間違いないわね。室内にいくつかの気配を感じるわ。ギャスパーもいるわね。なら、一気に行くわよ、イッセー」

 

「はい、部長!」

 

 

 俺と部長が一気に乗り込んで中を制圧しようとした瞬間──。

 

 

 ドォォォォォン!

 

 

「「──っ!?」」

 

 

 突然、扉が向こう側から爆発し、俺と部長は爆風で吹き飛ばされてしまう!

 

 

「・・・・・・ぐっ・・・・・・大丈夫ですか、部長!?」

 

「・・・・・・ええ、平気よ」

 

「クソッ、一体何が!?」

 

 

 部屋のほうに視線を向けると、爆煙の中から誰かが出てきた。

 

 

「やはり、外の者たちは囮だったか。お初にお目にかかる、偽りの魔王の妹君よ。私は『XIII魔将』が一角、ルーフェウス。短い間だが、お見知りおきを」

 

 

 現れた男は部長に丁寧ながらも高圧的な態度で挨拶してきた。

 

 

「ごきげんよう。私はリアス・グレモリー。こちらこそ、短い間でしょうけど、お見知りおきを」

 

 

 立ち上がった部長も負けじと不敵に返していた。

 

 それにしても、偽りの魔王ってなんだよ?

 

 

「偽りの魔王。なるほど、あなたたちの正体は旧魔王派ということね?」

 

「・・・・・・その呼ばれ方は忌々しいことこの上ないが、そういうことになる」

 

 

 旧魔王派?

 

 なんのことかさっぱりな俺の心中を察したのか、部長が説明してくれる。

 

 

「イッセー、戦争で四大魔王が滅んだとき、新しい魔王がその名を襲名したのは知っているでしょう?」

 

「はい。それが部長のお兄さんや会長のお姉さんだって」

 

「長きに渡る戦いで、悪魔たちは疲弊を極めていた。このまま戦争を続ければ、種の存続も危ういほどに。でも、先代魔王の血を引く者たちは、最後まで徹底抗戦を望んだため、その考えに賛同した者たちと共に冥界の隅に追いやられたの」

 

 

 なるほど、その追いやられた連中が旧魔王派ってことか。

 

 で、その旧魔王派が今回のテロの黒幕ってことか。

 

 

「だが、その忌々しい呼ばれ方はもうすぐ終わる。今日ここで忌まわしき偽りの魔王二人はもちろん、天使と堕天使の長も葬り、残る魔王二人もいずれは滅す。そして、真なる魔王が統治する新世界を創造するのだ」

 

 

 新世界の創造とか言いだしたよ。スケールが大きいな、おい。テロの黒幕が旧魔王の一族だっていう驚きもあって、頭がちょっとパンク気味だぜ。

 

 部長が大胆不敵に言う。

 

 

「そうはいかないわ。我らが魔王さまに牙を剥き、そして、そんなことのために私のかわいい下僕を利用するあなたたちは万死に値するわ。グレモリー公爵の名において、私があなたたちを滅ぼしてあげるわ」

 

 

 さすが部長。威風堂々としてらっしゃる。

 

 なら、俺も部長の眷属として気合を入れるか!

 

 

「イッセー、プロモーションを!」

 

「はい、部長!」

 

 

 部長の許可をもらい、『女王(クイーン)』にプロモーションする。

 

 

「・・・・・・リアス部長・・・・・・イッセー先輩・・・・・・」

 

 

 ギャスパーの声が聞こえ、室内のほうへ視線を向ければ、ギャスパーが魔法陣のようなもの磔にされていた。

 

 そして、ギャスパーの隣を見て、俺は驚愕してしまう!

 

 

「千春さん!?」

 

 

 ギャスパーの隣には傷だらけで同じように拘束された千春さんがいたからだ。

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