魔法少女リリカルなのは ガンダムブレイカー 【リメイク】 作:文房具
俺はとりあえず、森を出た。とりあえず、人がいるところまでいかないといけないと思ったからだ。
とはいえ、今の俺は子供の姿である。つまり、バイトもなにもできない。バイトができなければ、お金を稼げない。つまり、寝るところも、食料の確保もできない。
どうすんだろう、この状況。下手すれば、野垂れ死にじゃん。
あの幼女、家かなんか作ってくれればよかったのにさ。せっかくもらったガンダム能力も、こんな状況じゃ意味ないし。
いっそのこと、どこか預かってくれる施設に行くか?
そんなことを考えながら歩いていると、横を車が追い抜いていった。そのトラックを見ていると、いきなり少女が道から飛び出してきた。
まずい!!! トラックも気づいて急ブレーキをしてるけど、このままじゃあの女の子が轢かれちまう!!
「間に合えーーーー!!!!!」
俺は、ダッシュしてこの女の子を抱え込み、ギリギリのところで女の子を助けた。
「はあ、はあ、危なかったな、大丈夫だったか?」
俺は息を切らしながらも、笑いながら、優しく声をかける。
「あ、は、はい。大丈夫です」
自分に起こった自体がまだよく呑み込めていないせいか、女の子は曖昧な返事をする。
これが、俺と高町なのはの出会いだった。
しばらくして女の子は落ち着いたようで、あらためてお礼を言ってくる。
「助けてくれてありがとう。私の名前は『高町 なのは』なの」
高町、なのは? あれ? この世界のもとになったアニメって確か『魔法少女リリカルなのは』だよな。ってことは、この子がこの世界の主人公?
「あなたのお名前は?」
女の子改めなのはちゃんが、笑顔で聞いてくる。
「あ、ああ、俺の名前は『櫻井 悠斗』だよ」
俺は少し動揺しながらも答える。
「櫻井、悠斗君。………ユウ君!! ねえユウ君、もし用事がないんだったら、これから、わたしのお父さんとお母さんの喫茶店に行かない? 今のお礼がしたいの」
「いいけど………」
喫茶店やってるんだ、なのはちゃんのご両親は。
「じゃあ、行こ」
笑顔のなのはちゃんに腕を引かれながら、俺たちは歩き出した。
しばらくして、『翠屋』という看板がある喫茶店に着いた。
なのはちゃん、俺の順番で入ると、そこでは一人の若い女性がレジを打っていた。
「ただいま、お母さん」
お母さん!? 若すぎだろ………
「お帰りなさい、なのは。あら? そっちの男の子はどちらさま?」
なのはのお母さんは、こちらに笑顔を向けてくる。
やっぱり親子なんだな、なのはちゃんのツインテールを降ろしたらあんな感じになるんじゃないか?
「はじめまして。俺………いえ、僕は櫻井 悠斗です」
「私の新しいお友達なの!!」
「そうなの。私はなのはの母親の『高町 桃子』です。悠斗君、なのはと仲良くしてね」
優しそうな良いお母さんだな。
と、そこに。
「おかえり、なのは」
一人の今度は若い男性が、カウンターの奥から出てきた。
なのはのお父さん………だよな、だぶん。
「お父さん、新しい友達のユウ君だよ」
なのはちゃんが俺の方を指さしながら言う。ダメだぞ、人を指さしちゃ。
「こんにちは、櫻井 悠斗です」
俺は、ペコリと頭を下げる。
「こんにちは。なのはの父親の『高町 士郎』だよ。それで悠斗君、いったいいつ、なのはと知り合ったんだい?ここら辺では見ない子だし、なのはの通っている学校にもいなかったと思ったんだが」
なんか目がギラリと光った気がする。過保護なのか?
「ユウ君は、私が車に引かれそうになったのを助けてくれたんだよ」
「「ええっ!!!!!!」」
2人とも驚いている。まあ、そりゃあ、自分の子供が車に引かれそうになったのに、驚かない親はいないか。
「悠斗君、なのはを助けてくれて本当にありがとう。お礼と言ってはなんだけど、お昼はまだかい? まだなんだったら、ごちそうさせてくれないか?」
「本当ですか!? ありがとうございます!!」
よかった。
もうおなかペコペコだったんだ。
俺は今、好きに選んでいいと言われた店のメニューからミートソーススパゲッティを選択して、野獣のようなスピードでそれを食べている。
すると、桃子さんが近くに来て、
「ユウ君、お礼がしたいから、親さんの電話番号か何か教えてくれないかしら?」
「グッッッッ!!」
思わず、スパゲッティをのどに詰まらせてしまうほどの、特大の爆弾を落としてきた。
「ユ、ユウ君、大丈夫?」
なのはが水を差し出してくれる。それを飲みながらどう答えればいいのか考える。
しかし、ボキャブラリーの少ない我が頭脳では、良策など思いつくはずもなく、水を飲み干してしまいタイムアップ。
仕方ない、こうなったら………
「えーっと、親は両方とも死んでしまってるんです」
自分で言って、なんて無茶なことなんだと思う。
「「えっ…………」」
なのはちゃんと桃子さんの顔が、驚愕に染まり固まる。
「ご、ごめんなさい」
桃子さんが慌てた様子で謝ってくる。
「い、いえ、いいんですよ」
嘘だもん。
その言葉を最後に俺たちは無言になり、暗い感じになる。
すると桃子さんが立ち上がりどこかに行き、しばらくすると戻ってきた。
「ユウ君、いま少し士郎さんとお話ししてきたんだけど、うちに居候しない?」
「え………いきなりそんなこと言われても」
住まわせてくれるのはありがたいけど、今日あったばかりの人にそれを頼むのは………
「そうしてよユウ君!!!!」
なのはも横で声を上げる。
「ご迷惑に、ならないんですか?」
「もちろんよ」
「じゃあ………よろしくお願いします」
こうして俺は、高町家に居候することになった。
これは、原作と呼ばれる事件が起こる僅か半年前の出来事だった。