ポケットモンスター・ジ・アース   作:HirakeGoma

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05  天空のバトルトーナメント

オモシキ山。山と言えば聞こえはいいが、実態は無数の岩山郡の総称である。標高はそれぞれ数千メートル級。切り立った岩山が隣接する造形物はまさに自然の雄大さを示し、同時に地域を代表する観光名所でもある。

しかし、麓には緑深き樹海が生い茂り、岩山の間を縫うように流れる気流が独特の気候を形成。霧や霞も多く、森の中に入ったら最期、外に出ることは不可能とされる危険地帯でもあった。

そんな未知なる領域だが、ポケモンバトルの会場は最も大きく頑丈な岩山の上に設けられている。オモシキ山名物、天空のバトルフィールドである。

いったいどうやってそこまで移動するのかと言うと、近場の街から特別仕様の飛行船に乗って空から会場入りするのである。これもまた大会の慣例であり、この日も多くの観戦客が会場を訪れていた。

そして、それはユウイたちも同様だった。

 

「うわぁ、空気うすっ」

「仕方がありません。ここは天空のバトル会場。世界で最も空に近いフィールド、というのがオモシキ大会のふれこみでもありますから……それより、本当にセラさんはご一緒なさらなくて良かったのですか?せっかく同郷の友人に会えたと言うのに……」

「本人がポケモンバトルには興味がないって言うんだからそうなんでしょ。昔から気ままな子だから、あまり気にしなくてもいいいわよ」

センカとフラタは応援席に移動。ユウイの出番を待っている。

オモシキ大会は既に開幕。目の前ではすでに白熱したポケモンバトルが繰り広げられている。勝利に歓喜する者。敗戦に肩を落とす者。トレーナーの表情は十人十色で、会場内では様々な感情が揺れ動く。

そして気が付けばいよいよユウイの順番が回ってきていた。

「さぁ、いよいよですね!どんなバトルになるのでしょう!?」

「良くも悪くもきっと無難なバトルになると思う。昔から華はないけど要領はいいやつだから――――」

 

1回戦第11試合。ユウイの相手は茶髪の髪をした少年だった。すらっとした立ち姿に、どこか気品溢れる雰囲気を持った大人びた少年。

その少年が最初に出したポケモンはニドリーノで、対するユウイはゼニガメで応戦する。一進一退の攻防。白熱したバトルの末、軍配はゼニガメに上がった。

間髪入れず、相手は2体目のポケモンを繰り出す。2体目はイーブイ。しかし、このイーブイが曲者だった。

ダメージが残っていたとは言え、ゼニガメを早々に倒し、ユウイの出した2体目のポケモン、キュウコンもまた序盤から圧倒するのだ。

再びの熱戦。試合はいよいよ終盤戦の様相を呈していた。

「イーブイ!“こうそくいどう”から隙を見て“でんこうせっか”に移れ!」

相手のトレーナーが指示を出すと同時に、イーブイは目の前から消えた。スピードに乗った攻撃。相手のすばやさにユウイたちは悪戦苦闘。トレーナーの的確な指示もあって、終盤まで試合のペースを完全に握られていた。

「キュウコン!一旦障害物の隙間に入って身を隠すんだ!」

ユウイは右往左往するキュウコンに指示を出すと、相手の出方を確認する。そしてタイミングを計ると一閃“はかいこうせん”と口元を動かした。

「え?」「は?」「ピカ?」

センカ、フラタ、ピカチュウが唖然とする中、キュウコンは障害物の隙間を這うように“はかいこうせん”を放出。それが見事にイーブイを直撃し、試合の大勢が決したのだった。

勝者、ユウイ。審判が宣言すると観客からは大きな歓声が湧き上がる。

「こ、これまたえげつないワザを―――」

「ユウイのやつ、わざと障害物の中に入って相手の移動範囲を制限したな」

「ピカピカ~」

フラタは驚き、センカは呆れ、ピカチュウは感心したような表情だった。

 

フィールド裏、トレーナー待機室前。

負けた茶髪の少年が汗を拭きながら通路を歩いていると、前からある男女が近づいてきた。片方はオレンジ色の髪をした女の子で、もう一方は背の高い細目の少年である。

茶髪の少年はふと二人に視線を配った。

「君たちがここにいるということは、あいつのバトルはこれからかい?」

「ええ、もうすぐよ……と、そっちは残念だったわね。実戦から離れて久しぶりの大会だったとは言え、正直一回戦で負けるとは思わなかったわ」

「ポケモンを温存したのが仇に出たみたいだったが」

「温存なんてしたつもりはないさ。スピード重視でぼくが“ニドリーノ”と“イーブイ”を選択したからね」

「ということは」

「ああ、相手がなかなかの強者だった、ということだ。あいつに伝えておいてくれ。しがない地方大会だからって甘く見ていると、足元をすくわれるってね」

「ええ、サトシに伝えておくわ。シゲル」

 

 

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