血染めの鋼姫   作:サンドピット

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色違いクチートにほのおのキバ遺伝させ忘れてたので悲しみの投稿。
実際問題アイヘと炎牙ってどっちが突破要素として強いのだろうか。


大事な面接で出し惜しみをするな。

 あの後キノココを始め、ポチエナやジグザグマ、タネボーやハスボーといった野生のポケモン達と遭遇し、その全てに勝利した。

 

 キノココの時に学んだ事だが、相手のポケモンを瀕死にさせたままその場で待機していると倒したポケモンの家族が助けに来る事がある。

 殆どが進化後のポケモンなので相手を倒したらすぐにその場を離れるようにしている。幾らフェアリータイプ持ってるとはいえキノガッサは死ぬ。

 

「クゥ」

 

 適当な倒木に腰掛け、オボンの実やクラボの実を黙々と食べる。食事時と同時に大顎で倒木を齧り、かみくだくを覚えないか試しているが成果は芳しくない。

 

 さて、体感ではあるがレベルも順調に上がり、20レベルくらいまで上がった気がする。

 現在使える技は、ふいうち、ようせいのかぜ、かみつく、なきごえの四つだ。

 最終的にふいうち、じゃれつく、アイアンヘッド、つるぎのまいで固める予定なのでじゃれつくを覚える49レベルは欲しいね。しあわせたまご落ちてねぇかな。

 

 そうそう、何度か戦っている内に自分の特性が分かった。……特性と言っていいのかどうか迷い所だが。

 

「コノ!」

 

 おっと、来たか。

 同レベル帯のポケモンを倒しまくったせいか森全体に密やかに色違いクチートの存在が知れ渡っている。多くのポケモンは興味無さ気に一瞥するだけだが、一部の血気盛んなポケモンは俺に戦いを挑んでくる。

 目の前のコノハナもその内の一体だ。そして遠くの木に紛れて見えにくいが親(ダーテング)同伴である。瀕死にしたらコノハナを回収しにくるので多分息子に経験値を積ませる目的なんだろうなぁ。

 

 傍らのオボンの実を左手に持ち、もう一つのオボンの実を薄桃色の自慢の大顎に放り込む。

 

 話が遮られたが、俺の特性は恐らく「もちものを二つ持てる」だ。とんでもない特性だし前世が人間だからじゃね? と俺自身思うのだが特性らしき特別な力はそれくらいしか思いつかない。

 思うにポケモンが持ち物を一つしか持てないのは集中力の問題だと思われる。戦闘中自分の技や相手の動きなど考えるべき事が大量にあり、普通のポケモンは道具を一つ持つので精一杯なのだろう。

 俺が前世由来の冷静な思考を武器にしている以上この特性は必ず武器になる。

 

「クチィ、チック」

 

(待たせたなコノハナ、始めよう)

 

 こうして今日もまた、俺が強くなる為の一日が始まる。

 

 

 

 

 

「いってきます」

 

「あまり遠くまで出かけないでね?」

 

 母さんのその言葉に頷き、家を出る。

 あまり遠くに行くなとは言われたが、ここら辺で良さ気な宝物は探しつくした。ここはどこか新しい場所に宝物を探しに行くべきだ。

 

(さてどこに行こうか、やはり川? いや、思い切って森とかどうだろう)

 

 川で見つかる宝物は良い物が多いがやはり危険だ。ここは森に行ってみよう。

 

 自分に虫除けスプレーを使い、近所の巨大な森に向かう。

 低レベルのポケモンと高レベルのポケモンが入り混じる為、自分のポケモンを持たない人はなるべく入らないようにと言われているこの森は、やはり宝物が沢山ある。

 

「……ん?」

 

 森の木漏れ日を感じながら歩いていると、一等綺麗な石が落ちているのを見つけた。思わずしゃがみ込んでその石を拾い上げる。

 まるで模様入りのビー玉の様に真ん丸で、そして宝石の様な神秘的な輝き。今まで集めてきた宝物の中で一、ニを争う程の美しさだった。

 

(まるで運命だね)

 

 機嫌良くその宝石をかばんに詰め込んだ。

 さて他にいい物は無いかなと立ち上がり、――悪寒。

 

「――ダーッテ!」

 

「うわっ!」

 

 そんな声と共に暴風が吹き荒れる。

 風に押し流されるまま転がり、顔を上げるとそこにはよこしまポケモンのダーテングが敵意を剥き出しに立つ姿。

 

 ――そしてそのダーテングに立ち向かう、クチートの背中を見た。

 

 色違いなのだろう、図鑑で見たものよりも朱色がかったそのクチートはこちらを振り返り、信じられないものを見たとでも言うように目を見開いた。

 運命は突然に訪れる。だがそれら全てに偶然は無い。……僕は生涯この出会いを忘れない。あの石が運命を手繰り寄せてくれたように思える、今日この時を。

 

 

 

 

 

 コノハナと戦って伸した後、案の定介抱しに来たダーテング夫妻を横目にオボンの実を貪り体力を回復させる。

 相手の方がレベルが低いにも関わらず戦闘中に持ち物のオボンの実を二つとも消費させられた。やはり俺には経験値が足りないらしい。

 レベルアップの為の物ではなく、純粋な戦闘経験が。課題が見つかりさてどうしようと考えた所でダーテング夫妻が目に留まる。

 

「クチッ、チィ」

 

 持ち物にオボンの実を補充した俺は調子に乗ってダーテングに喧嘩を吹っかけた。

 コノハナに都合のいい喧嘩相手になってやったんだから俺の頼みも一つくらい聞いてくれ、とそんなニュアンスだった気がする。

 

 ダーテング達は暫く顔を見合わせ、メスの方がコノハナを運びオスの方のダーテングがその場に残った。

 進化条件がリーフの石とはいえ確実に俺より強い。下手したら40レベルは行ってるんじゃなかろうか。

 

(願ったり叶ったりだ。さぁ、胸を借りるつもりで――)

 

「ダーッテ!」

 

 “ふきとばし”

 

 戦意はダーテングの豪風と共に吹き飛んでいった。戦う場所を変えるにしても強引過ぎない……?

 

 だが空中で身を捻り体勢を整えるのにも慣れたものだ。最近キノガッサの当たり屋紛いのスカイアッパーを喰らったりしてる内に自然と身に着いた。姿勢制御に大顎がまぁ役に立つこと。

 体重が軽いからかかなりの距離まで飛ばされるも危なげなく着地に成功する。さぁダーテングと戦おう、という所でふと違和感を覚える。

 

「うわっ!」

 

 直後にダーテングが飛んでくると同時に、そんな声が背後から聞こえた。

 すわ新手かと振り返り――生まれてから一番の衝撃を覚えた。

 

 癖っ毛が目立つ空色の髪にこちらを見て驚愕を浮かべる髪と同じ空色の瞳。

 道中で見つけたのだろう、懐のガラス瓶の中には綺麗な石が大切に仕舞われていた。

 

 外見的特徴、石を大切にする精神。思っていたよりも遥かに幼いが間違いない。

 

 ――ツワブキ・ダイゴ。

 

 後のホウエン地方チャンピオンである。

 

 そうだ、長らくバトルに次ぐバトルで忘れていたが、この世界で生きるためになるべく強いポケモントレーナーの手持ちになる事を目指していたんだった。

 その点で考えればダイゴは完璧じゃないか。はがねタイプ使いでもあるのでクチートが手持ちでも問題無かろう。

 

 ……しかしどうやって捕まえて貰う? おーっす未来のチャンピオン(ガチ)って言っても何だコイツと思われるのは目に見えている。そもそも人の言葉は喋れない。

 

「……ダァ?」

 

 ダーテングの訝しげな声にハッとする。そういえばダーテングと戦うのだった。

 ……待てよ? 今ここでダーテングと戦って自分の強さを見せればダイゴも俺を捕まえてくれるのでは?

 

「クッチィ!」

 

 そうと決まればポケモンバトルである。ダイゴさん、見ててください。あとダーテング、お前ダイゴさん巻き込むなよ?

 

「ダァ、テテテ!」

 

「チッ!」

 

 そんな事知ったこっちゃ無いとばかりにダーテングがわるだくみを積む。まぁ安全第一で逃がす事を優先しなかった俺が悪いな。

 こちらもなきごえを使うが……十中八九特殊構成だよなぁ、まぁ無いよりマシ程度に考えておく。

 

 ダーテングの団扇に木の葉が集まるのを見て、俺は大顎を振り回して風を起こす。

 

 “グラスミキサー”

 

 “ようせいのかぜ”

 

 木の葉の嵐と神秘的な風が互いの敵に到達する。

 

 クチートはくさタイプを半減し、ダーテングにフェアリータイプは効果抜群だ。だがダーテングはわるだくみを積んでおり、俺にはレベルが足りない。

 一見こちらが有利に見えるダメージ競争はダーテングの有利に終わった。クチートの特防が低い事もあり、早速持ち物のオボンの実を一個消費する事になった。

 

 大顎を振り回して俺の周りを飛ぶ木の葉を払うとダーテングが一対の大団扇に風を集めている所だった。

 

(ふきとばし!? いや違う、さっきはあそこまで溜めなかった。考えろ、ダーテングが覚える可能性のある技……まさか)

 

 ――かまいたちか。最悪だ、あのダーテングがっつりダイゴさんを巻き込むつもりだ。

 ゲームであれば1ターン後に発動する技だが、この世界ではターンなどあって無い様な物だ。どれだけ早く的確に判断出来るかに掛かっている。

 

 もう安全策を取れる段階は過ぎ去った、だから俺は賭けに出る。

 

 “ふいうち”

 

 瞬間的に全速力で駆け抜け相手の虚を突くこの技も手馴れたものだ。

 視界外からの強襲に着実にダメージを重ねるダーテングだが、かまいたちは止まらない。知っている。ふいうちはそういう技では無いから。

 

 ふいうちを使ったのは間合いを埋める為。ここまで来ればダーテングより先に行動できる。

 

「チィーット!」

 

 “かみつく”

 

 俺は自慢の大顎を開けて勢い良くダーテングに噛み付いた。

 ふいうちとタイプが被っているにも関わらずその技を覚えているのは偏に追加効果の優秀さからだ。

 

 30%の確率で相手をひるませる。

 

 アイアンヘッドまでの繋ぎには十分に過ぎる。

 そして見事に乱数を引き寄せ、唐突な痛みにダーテングは集中を乱し、かまいたちは不発に終わった。

 

「ダァ、グッグ」

 

 自分の技が封じられたダーテングは、されど怒りに震える訳でもなく少しはやるじゃないかと不敵な笑みを浮かべる。

 ダーテングにとってこれは、俺がコノハナにしているのと同じただの戦闘訓練でしかないのだ。

 

「チチチ」

 

 上等である。それでこそ、戦いを挑んだ甲斐があるというものだ。

 

 

 




【名前】――
【種族】クチート
【性格】しんちょう
【特性】たからあつめ
【レベル】20
【持ち物】オボンの実・オボンの実

【技】
・ふいうち
・ようせいのかぜ
・かみつく
・なきごえ

たからあつめ:持ち物を二つ持つことができ、通常ポケモンが戦闘中使用できないアイテム(キズぐすり等)を使用できる。

何だこのクソポケ(驚愕)
主人公のステです。普通の特性を闘争本能ありきとはいえ元人間が使えるとは思えんなぁ、せやオリジナル特性持たせたろ(楽観)の精神でこんなの出来ました。
まぁ未来のチャンピオンの手持ちやしこれくらいええやろ。……たからあつめ実機でも欲しいわぁ。ドヒドにかいふくのくすりとスペシャルガード持たせたい。

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