>>PV:1047 コメント数:91(迫真)
「ファッ!? めっさ来とるやんけ!?」
想像以上に来てビビり散らかしております。沢山のアイデアありがとうございます。
特に期限も無ければコメント受付を終了する事も無いのでこれからもアイデア送ってくださるとめっさ嬉しいです。
デボンコーポレーションのある応接室にて。
「おぉ、おぉ! これは確かに! 紛れも無く! 絶対に! 太古の昔に存在したポケモンの化石でございます!!」
大きな机を挟んで、ツワブキ親子と化石研究員二人が顔を合わせていた。
「あの、申し訳ありません。所長はいつもはここまでハイテンションではないのですが……」
「あぁ、分かっているとも。石に対する情熱で言えば、私達も似た様なものだからな。だが、そろそろ落ち着いてはくれないかな?」
「落ち着いていられるものですか! 社長のご子息様の手から渡されたこの化石群には古代の残滓が眠っている! ご子息様がこれを手になされた時の話を聞く限りこれは奇跡が折り重なってできた産物だ! いや、もしくは堅牢な結束によって作られたのかも? あぁ、何とも興味深い! すぐにでも調べ尽くさなくては!」
「そろそろ落ち着いてはくれないかな?」
「――あっはい」
大仰な仕草と共に興奮していた様子の化石研究所の所長はムクゲの言葉で大人しくなった。
現在俺はダイゴの隣でソファに腰掛けており、ダイゴが持ってきた化石を改めてまじまじと見ていた。
ダイゴに同行しているのは俺だけで後は自宅で待機している。まぁ会社に持ってくにはあいつらでかいし……。
という訳で護衛兼見学の名目でダイゴに付いていき、デボンコーポレーションにやってきたのだった。
あわよくばある人物と会えないかという希望的観測もあっての事ではあるが……それは今はいいだろう。
落ち着きを取り戻した所長にムクゲが話しかける。
「さて、その化石の所感を述べてくれないか? 精密機器が無いから難しいだろうが、どのようなポケモンの化石かも分かるとありがたいのだが」
「そうですね、まずお伝えしますとこの化石は三体のポケモンの化石が一つに合わさって出来ています」
「――え?」
冷静さを取り戻した所長の言葉にダイゴが反応する。当然だろう、そこまで複雑な物だとは思っていなかったのだから。
「ご子息様がこれを手になされた時、少し疑問に思いませんでしたか? 岩がこびり付いているにしてもやけに大きく、そして重いと。まぁ見て貰った方が分かりやすいでしょうな、この場で表層を綺麗にしても構いませんか?」
そう言って所長は小さいツルハシとブラシ、そして大き目のタオルを取り出した。ムクゲとダイゴからの許可が下りたと同時に手早く化石の表面に付いた岩が剥がされ、一分と掛からずに化石の本体が見えてきた。
所長が綺麗にした化石は植物の根の様な物と大きな甲殻類の爪が絡み合った様な物で出来ていた。
(ねっこのカセキとツメのカセキだ。両方取れるとかあるんだ)
「これは別々のポケモンのカセキなのか、どういう経緯でこうなったのか非常に興味深いな。所長、三体の化石が合わさった物だと言っていたがもう一体のポケモンの化石はどこにあるんだ?」
「あぁ、それはこちらに」
所長は化石を裏返してブラシで表面を掃う。そこには透き通る黄色い石が埋まっていた。
「これは、琥珀か?」
「えぇ、ご丁寧に内部に小さな吸血虫が入ってます。光に透かせばやや赤味がかって見えるので血を吸ってそのまま琥珀に飲まれたんでしょうな。ねっこの化石とツメの化石、そして秘密の琥珀が一箇所に纏まり永い時を経てご子息様の手に渡った。だからこそこれは、奇跡が折り重なって出来た産物なのですよ」
所長はそう化石を褒め称えたが、俺としては岩に覆われた状態からそれらを全て見抜いた所長の観察眼に驚きを隠せなかった。
流石はデボンコーポレーションが提携を申し出た化石研究所の所属者と言うべきか、中々に優秀な人材が揃っているように思える。
「それで、化石から古代のポケモンの復元を行うとの事だが……その複雑な化石からでも可能なのか?」
「可能です。別々のポケモンの遺伝子を取り出し、三体全ての復元を行いましょう。ご子息様、重ねて感謝を。貴方のお陰で我々は更なる活躍が出来る。復元は全て一週間以内に終わらせるので、どうでしょう? 化石ポケモンの一体を貴方に渡すというのは」
一つの化石から三体のポケモンを復元させるという工程を一週間で行うと言い切った所長。隣の研究員から拒否の言葉が出ない辺り、化石研究部門の総意なのだろう。
ダイゴは暫く考え、首を横に振った。
「とても嬉しい申し出ではありますが、辞退させて頂きます。一週間もいるつもりはありませんし、それに自分では手に余しそうな気がするので……。代わりに、といっては何ですがツツジに選ばせてあげてください」
「ツツジ、ですか?」
「ほら所長、あれですよ。カナズミジムリーダーの孫娘の」
隣の研究員の言葉に得心がいったように所長は頷いた。
「あぁ、なるほど。畏まりました、ではそのように」
その後少しずつ会話を交わし、化石研究所の所長と研究員達はホクホク顔で応接室を退室した。
「さてダイゴ、これで化石の受け渡しは終わった。昨日も言ったが、良く無事に戻ってきてくれた。ありがとう」
「もういいよ、父さん。僕は何も後悔してないし、シルキー達も大事には至ってない。むしろ目指すべき高みを見られたんだし、差し引きプラスだと思ってるよ。さ、この後はデボンコーポレーションの試作製品を見せてくれるんだったよね?」
「あぁ、そうだな。行こうか」
「ほら、行くよシルキー」
「チッチ」
デボンコーポレーションでは様々な研究を行っている。広く浅く、ではなく広く深く。器用貧乏ではなくオールラウンダーを目指して。
それ故にカントーのシルフカンパニーと被っている面も少なからず存在するが、未だに大きな喧嘩が無いのはムクゲの手腕であろうな。
さて、そのデボンコーポレーションの開発途中の製品とは、ポケモンに持たせる事で特殊な効果を発揮するアイテム、――所謂「もちもの」であった。
「――クックチィ!?」
「あ、何かシルキーが凄い興奮してる」
これが興奮せずにいられるものか。
目の前には前世で死ぬほど慣れ親しんだ道具があるのだ。まだ効果の調整中とは言えど戦闘の幅が大いに広がる事は間違い無いだろう。
「社長、試作段階のアイテムはこれで全てになります」
「あぁ、折角だ。効果の説明をしてあげてくれないか?」
「分かりました」
そう言って道具類を持ってきた社員が咳払いを一つ零した。
「こちらの三つのアイテムは左から順にこだわりハチマキ、こだわりメガネ、こだわりスカーフと呼び、何れも戦闘中は一つの技しか使えなくなる代わりに攻撃、特攻、素早さがそれぞれ上昇する効果が確認されています。次にこちらはとつげきチョッキ、特防が上昇する代わりに変化技が一切使用できなくなる効果が確認されています。こちらはきあいのタスキ、着用者がピンチの時に強靭な精神力を付与し、一度だけ瀕死から立ち直る効果が確認されました」
その他にもゴツゴツメットやふうせん、メタルコートやピントレンズ、更にはじゃくてんほけんまで存在した。
いのちのたまは無いのかとやや落胆したが、この世界ではガチで命を削って攻撃力を上げる道具っぽいのでむしろ無くて良かったのかもしれない。
しかしどうするか、こだわりシリーズはつるぎのまいが使えなくなり自由度が減るのでNG、とつげきチョッキも同様の理由でNG。
これらの道具をテスターとして装備できるのは嬉しくて仕方無いが、いざ選ぶとなると少々悩んでしまうな。
(ゴツメやとつチョはどちらかと言えばフォートやコドラが装備すべき物だろうし……うん)
「クチッ!」
「あ、シルキーはそれにするの?」
ダイゴの言葉にこくりと頷く。手に持ったのはじゃくてんほけんと呼ばれる一枚のカードだった。
持っていると効果抜群の技を受けた時、攻撃と特攻の能力ランクが二段階上昇する道具だ。存在しているだけで相手に効果抜群の技を撃たせる事を躊躇させる恐ろしい道具だが、この世界ではデボンコーポレーションの開発品であるため周知されてはいない。きっとガンガン効果抜群技を撃ってくれる事だろう。
「じゃあ、このじゃくてんほけんときあいのタスキ、それにゴツゴツメットと、後はメタルコートにします」
経過報告は追って連絡しますので、という言葉で道具の選択は終了した。この先これらアイテムが正規品として販売される様な事になればポケモンバトルもより複雑な物になるだろうな。
考える事が増えてトレーナーの負担が増すかもしれないが、まぁ発展に犠牲は付き物という事で。
デボンコーポレーションでの用事は済んだので一旦家に帰ろうかとお開きの雰囲気が漂ってきた。
俺とダイゴで道具を持ってムクゲに暫しの別れを告げて部屋を出る――
――瞬間に扉が独りでに開いた。
「えっ?」
「むっ、君は……あぁ、社長の。どうもこんにちは」
「社長、頼まれていた書類を作ってきました」
「あぁ、入りたまえ」
二人の男女と入れ違いになりながら、ダイゴと俺は退室する。決して、こちらの焦燥を悟られないように。目的を達成したと分からぬように。
あの二人の容姿には見覚えがあった。恰幅のいい細目の男性と、褐色肌の長髪の女性。
(……見つけた)
――マグマ団のホムラとアクア団のイズミだ。
まさか二人共いるとは思わなかったが、これで二つの悪の組織が存在する事が確認できた。さぁて、どうするべきか……。
「礼儀正しい子でしたね」
「うん、ホムラさんも驚いたぞ」
書類を持ってきた我が社の社員がダイゴに好感触な反応を示す。
「自慢の我が子だよ、あの子はもっと強くなる。さて、書類を持ってきたという事だが、例の計画の物で間違いないか?」
「はい、カロスにいる研究員との情報を統合し研究範囲を広げました」
「まだ確立した情報が少ないから未だに机上の空論ではあるけれども、実地試験の場が整えばかなり情報は集まると思うよ」
詳細はこちらをどうぞとイズミから渡された資料を受け取る。
あの日、ダイゴの相棒から受けた話に興味を持ち、一つの小さな疑問を持った。
――メガシンカがポケモンとトレーナーの力だというのなら、どのポケモンも潜在的には強大なエネルギーを持っているのだろうか?
もし、その力を何かに変える事が出来るのなら。
悪い事をしているという自覚はある。あるが、それと引き換えに。……いや、そのエネルギーを解析して犠牲すら出さずにエネルギーを作り出す事に成功すれば、ホウエンは今以上に大きくなる。
資料の最初には、「メガシンカの生体エネルギーの解明及び∞エネルギーへの転用実験における調査報告書」と書かれていた。
(そうだ、家の書庫に先代の残した手記があったな。何か、手掛かりは無いだろうか?)
誰もが犠牲になる事の無い未来を夢見て、私は資料をパラパラと読み進めた。
運命は集束する。
原作より幾分マシな思想を持っていたツワブキ・ムクゲですが、シルキーがうっかり零したメガシンカに興味を持つ事に。
どうしたって∞エネルギーは創られる運命にありました。
これでシルキーが剣舞弱保メガクチートというとんでもない奴になりました。これ持ってなー、フエンジムに行ってればなー、速攻で終わったんだがなー。
感想くれたらとても嬉しい。