適当に戦闘書いてたら当初の予定よりトウキが化物になってたから丸々書き直してたでな。
向こうはハリテヤマを、ダイゴの方はフォートを繰り出した。
事前にエアームドが撒いたまきびしとステルスロックがハリテヤマの身体を傷付けるが、全く意に介してないな。特性はあついしぼうだろうか? いや、まだ決め付けるには早いな。
対してこちらのフォート、エアームドと同じくあるアイテムを持っていた。
フォートの持ち物はゴツゴツメット、被攻撃時に相手の最大HPの六分の一を削るとんでもないヘルメットである。一応弱点として非接触技には効果が発揮されないのだが相手は格闘タイプのポケモンばかり、心配はいらないだろう。
「フォート! しねんのずつき!」
「迎え撃て! はっけい!」
ダイゴはバレットパンチで様子見する事無くしねんのずつきで落としに掛かった。カウンターを受けても耐えられると踏んだのだろう。
“しねんのずつき”
フォートの鋼鉄の頭部がハリテヤマへと突き刺さる。地味にメタングって頭部にトゲ付いてるから滅茶苦茶痛そうなんだよな……。
だが、その頭突きを受け止めて尚動きを止める事無く、ハリテヤマはフォートへ向けて張り手を繰り出した。
“はっけい”
「テヤッ!?」
ハリテヤマが初めて苦悶の声を上げる。
はっけいを喰らったフォートの全身には水晶の様に透き通る岩が生成されていた。と言うよりかは、実体を伴った幻影に近いだろうか?
(ゴツメのダメージってあんな感じになるんだな、ちょっと面白い)
反撃ダメージがあると言えど、ただゴツゴツしたヘルメットであれば装着した頭部以外を攻撃すればいい。だがそれでは「どうぐ」に満たない唯の道具でしか無いだろう。
普通はありえない効果を宿し、ポケモンが使う事で初めて真価を発揮するそれこそがアイテムなのだから。
それを試作品ながらも開発できたというデボンコーポレーションの技術力は、既にトップクラスと言っていいだろうな。
「へぇ、面白いもん持ってんな。一応ダメージは通ってるっぽいが……流石に不利か?」
「畳み掛けろ! メタルクロー!」
「……いや、構うな! インファイト!」
フォートの鋼鉄の爪とハリテヤマの拳撃が幾度と無く交差する。ハリテヤマの連撃にフォートの身体は傷ついていくが、それ以上にハリテヤマの拳をゴツゴツメットの作り出す岩の幻影が傷付けていく。
トウキの言ったように、攻撃を重ねれば重ねるほど不利になるのはハリテヤマの方であった。
「潮時か、ハリテヤマ! きしかいせい!」
「ハァッリ!」
「――ッ! バレットパンチ!」
ハリテヤマの全身から淡いオーラが漏れる。それは己の体力の減少と反比例して増大する力そのもの。それをフォート相手に余す事無くぶつけるよりも前に、フォートの電光石火の一撃がハリテヤマの身体に突き刺さる。
だがしかし、ハリテヤマは止まらない。何度も何度もフォートはハリテヤマに対して攻撃を加え、それでも一度として動きを止める事は無かった。
何度か見て俺は漸く理解した。あれはハリテヤマの特性を派生させた技術だ。
恐らくハリテヤマの特性はあついしぼうで間違いない。トウキはそこから痛みに対する対策をハリテヤマに獲得させたのだ。怯みを無効にするせいしんりょく程ではないだろうが、その強靭な心構えは己の隙を殆ど無い物とする。単なる攻撃なんかでは決して退かない、決して止まらない。
(ゲームでは表現出来ないような、ほんの小さな技術だけど。物によっちゃこうも厄介なのか)
そうして、ハリテヤマの渾身の一撃はフォートに炸裂した。
“きしかいせい”
「……グッ――」
ハリテヤマの全霊の押し出しはフォートを吹き飛ばし、フィールドとの激突で土煙を撒き散らすに足る威力であった。
「うん、かなり仕事はしてくれたかな。ハリテヤマ、戻――」
「――フォート! おいうち!」
土煙の中から疾風の如く飛び出し、ボールに戻りかけていたハリテヤマをその鋼の拳で殴り飛ばす。
“おいうち”
お返しとばかりに放たれた一撃で今度はハリテヤマが吹き飛んでいく。だが今までのダメージの蓄積に加え、きしかいせいでダメージを与えた時にもゴツゴツメットで反撃を受けたハリテヤマは虫の息とすら言ってもいい状況であった。
フォートのおいうちを受けて耐えられる道理も無し。ハリテヤマは膝を突き、意識を失った。
「……はは、すっげぇなぁお前、こりゃ一本取られたぜ」
「最後までチャンスを諦めちゃダメだって叩き込まれてますからね」
主にクレナイと例のフライゴンの比重が多いけどな。しかしまぁ窮地が人を助けるのはその通りであるらしく、バッジ集めの旅を始めた頃と比べれば遥かに力を付けただろう。これはもう実質ホウエンチャンピオンと言ってもいいのではなかろうか? 油断すれば足下を掬われるのは何時だってこちらなので自重はするが。
「んじゃまぁ、行ってこい! カイリキー!」
「このまま押し切るぞ、フォート!」
トウキは先ほどのカイリキーを繰り出し、ダイゴはそのままフォートを続投して勝負は続いていく。
ジムリーダーとの戦いは徐々に熾烈さを増していった。
先ほどのカイリキーが出てくる。一瞬の思考の後、僕は冷静さを取り戻した。
エアームドのステルスロックを利用された光景は衝撃的だったが、まだ対応できる範囲内だ。
トウキが繰り出したカイリキーは足下のまきびしに顔を逸らし、ステルスロックに顔をぶつけと散々な目に遭いつつもじわじわとダメージが蓄積していったが、ふと顎に手を添えて数秒考え始めた。
「覚えてるか?」
「カイッ」
つい、とカイリキーが周囲に目を向ける。その視線の先にあるのは全てエアームドが撒いたステルスロックだった。
このカイリキーは、既に透明になりもはや何処にあるのかすら分からない筈の全てのステルスロックに目を走らせたのだ。
「――フォート! メタルクロー!」
あのカイリキーは突拍子もない事をするが、それは技や特性の様な力ではない。それでも時間はカイリキーに味方をするだろうから速攻で決着を付ける必要がある。
フォートが念動力を纏いカイリキーに向けて突撃していくが、カイリキーは衝突時に後ろに飛んでダメージを最小限に留めた。それでも抑えきれない衝撃がカイリキーを吹き飛ばしていくが、トウキの目に焦りは無かった。
「翻弄してばくれつパンチだ!」
「相手の腕にバレットパンチ!」
ステルスロックを利用してカイリキーが縦横無尽に動き回る。傍から見ればカイリキーが重力を無視して異常なアクロバットをしている様な光景だが、ここまで動かれるともはやステルスロックの有用性は無いに等しいだろう。
現に動き回っているカイリキーを真剣な表情でトウキが見ている。ステルスロックの場所を自分も覚えるつもりだろう。
だが、それでもカイリキーは接触技しか使えない筈だ。絶対にフォートに近付かねばならない時が来る。こんな風に。
“バレットパンチ”
“ばくれつパンチ”
フォートの頭上から先ほどエアームドに当てたばくれつパンチを命中させようとするカイリキーの腕に、フォートの弾丸の様な拳が突き刺さる。
恐らくカイリキーの特性はノーガード、確か双方の技が必ず命中する様になる、だったか? だからこうも惜しげもなくばくれつパンチを放てるのだろう。
しかし近距離であれば、フォートの方が速い。拳に集中して技を邪魔すればばくれつパンチは不発に終わる。
「畳み掛けろ! しねんのずつき!」
「くっ、インファイト!」
そして近距離まで近付いたのならもう逃がしはしない。ステルスロックが相手の有利になるという事が分かっている以上態勢を立て直させはしない、決して。
互いの攻撃が互いの気力を削り取る。殴り、蹴り、叩き付け、頭突き、それでもフォートの優位は揺るがない。
カイリキーが拳をぶつける度にフォートのゴツゴツメットの反撃がカイリキーの体力を奪っていく。
「決めろフォート、バレットパンチ!」
体力の減少でよろめいたカイリキーの身体の中心を、フォートの不可避の一撃が捉える。
“バレットパンチ”
「カイィ……」
カイリキーはフィールドに倒れ付した。
「まさかまさかだ、こうも早く対応してくるとは思わなかったぜ」
トウキがボールを倒れたカイリキーに向けて回収する。ありがとよという感謝の言葉と共に。
「んじゃまぁ正真正銘最後の一体! 行こうぜ、――コジョンド!」
トウキが繰り出した最後のポケモンはコジョンド。イッシュ地方のポケモンという事位しか知らないが、トウキの手持ちなのだしどうせとんでもない奴なんだろうな。
フォートにはまた負担を掛けるが、頑張ってくれ。そう思いながら僕は気を引き締めなおした。
出てきたコジョンドはカイリキーと同じ様にまきびしを踏み、ステルスロックで身体を傷付けた。
鬱陶しげに眉を顰めるコジョンドにトウキが指示を出す。
「さぁ、何もかも吹き飛ばそうぜ? コジョンド、つるぎのまい!」
「コジョッ」
コジョンドが舞う。全てを巻き込むような、それでいて何もかもを寄せ付けないような。
シルキーのそれとはまるで違うそれに見入っていた。
すぐに異変は起きた。
コジョンドの周辺にばら撒かれていたまきびしとステルスロックがフィールドの外へ吹き飛んでいく。
「――こうそくスピンって技を知ってるか?」
徐にトウキが口を開く。
「相手に回りながら突撃する技なんだが、特筆すべき点としてフィールドにばら撒かれる全ての物体を取り除く効果を持っている」
「でも指示したのはつるぎのまいの筈、いや、そうか」
「お、気付いたか? 教え込ませるのに大分苦労したが、うちのコジョンドは天才でな」
コジョンドのつるぎのまいにはこうそくスピンの効果を両立させている。
トウキがそう言うがそれが何を意味するのか分かっているのだろうか? 単なる技術だけで、技を五つ覚えさせているに等しいのだぞ?
それが本当に単なる技術で出来る事だと言うのなら、僕のポケモン皆にそれを覚えさせる事も、或いは可能になるかもしれない。
「俺はジムリーダーである事に自信を持っててな、一匹も落とせずに全滅ってのはちぃと悔しいんだわ」
空気が変わる。
「――足掻くぜ俺達は。手負いの奴ほど危険って事を教えてやる」
幾ら技術を磨いた所で小手先の技に変わりなく、特性の不思議な力に遠く及ばない。
それでも技術を磨き続ければ俺達は無限に強くなれるんじゃないかって、そう思うんだ。
【種族】カイリキー
【性格】ゆうかん
【特性】ノーガード
【レベル】38
【持ち物】なし
【技】
・ビルドアップ
・みやぶる
・ばくれつパンチ
・リベンジ
【種族】ハリテヤマ
【性格】のうてんき
【特性】あついしぼう
【レベル】38
【持ち物】なし
【技】
・はっけい
・インファイト
・きしかいせい
・ヘビーボンバー
はっきり言っときますが、ここまで技術が戦闘を左右するのはトウキとトウキのポケモン達が天才だからです。簡単に言えばぎじゅつという能力値の個体値がMAX且つ努力値を252振りしてるようなもんです。
トウキの最後の手持ちであるコジョンドはそれが顕著ですね。……ホウエン舞台の筈なのにイッシュ地方のポケモン出しすぎてる気がする。便利だからしゃあないな。
それほど戦闘には影響しないのでステータスから除外しましたが、それぞれの技術に名前を付けるとしたらカイリキーは「超記憶」、ハリテヤマは「胆力」、コジョンドは「舞踏」になるかな。あくまでトレーナーとの修行の産物みたいな感じなんで異常個体が技術を持ってる事はあんまり無いと思います。
ジムと名付けられている以上トレーナーを強くする目的もあります。分かりやすいのはフエンジムの悪環境でも対応出来る様にするという物。ムロタウンジムは最後まで油断するなという精神を育てるジムになってます。
まぁムロジムの方はジムリーダーが負けず嫌いというだけの話ですが結果的にトレーナーの成長に繋がってるのでセーフ。
感想くれたらとても嬉しい。