大海原には鬼が棲む 作:目玉焼きは醤油派
三種の神鬼
ジジイに今日もぶちのめされた。
あいつやっぱり人間じゃねェ。普通の人間は体を炎に変えたりできねェーよ。つい最近まで海賊やってたから普通だ、だなんて言うがこんな
なんだか知らねェが、ジジイが変な果物持ってきたが不気味だから要らねェったら無理矢理食わされた。
「何すんだジジイ! ……うぇ! 不味っ」
「馬鹿野郎!? 吐くな! 飲み込めド阿呆めっ!」
そう言って顎を動かすように直接手を使ってくるが、どうにか逃げようとする。
「さっさと飲み込め! このド阿呆が!!」
穏便にしようとしていたのかは知らないが、ジジイは堪忍袋が切れて顔面を思いっきり殴り果実はその衝撃で喉を通った。
「……ふっ! ……ふざけんなジジイ! こんな摩訶不思議なもん食わせてどういうつもりだ!?」
「テメェがいつまで経っても弱ぇからだ阿呆め。雑魚流桜を周囲に撒き散らしよって。そのくらいでのぼせ上がってるんじゃねぇぞ」
「あ!? 別にのぼせてねぇだろが!?」
「そんなチンケな流桜で、オレの技を引き継げるとでも思ってんのか!?」
「あんな物騒なもん誰が継ぐか!? しかも火を扱える奴の特権みたいなもんじゃねェかあんなもん! 出来るわけねェだろが!?」
「今までは……だ! オレのメラメラの実ほど特化してはねぇが、テメェの鬼も──」
「なに訳わかんねェこと言ってんだド阿呆めが! 俺はジジイの老後に関わってるほど暇じゃあねェんだよ! じゃあな!」
「ま! まて焔丸!」
焔丸と呼ばれた少年はジジイの手を払って約束の場所にへといく。
遊び盛りな5歳児がジジイから修行と言われて摩訶不思議なものを教わるよりも、友達との遊びをしたいのが焔丸である。
生まれてからずっと流桜という、けったいなもののせいでまるで
生まれながら、というのは出産の時からということで。
焔丸は母親の腹を突き破って生まれたという異様な経歴を持つ異端児。誰も寄り添はず、寄り添えず。そんな中に現れたのがジジイである。
経歴も素性も全て謎だが、火の妖術を使うということと九里が故郷であるということと元海賊。その情報以外は知りえない。
「ったく、なにが『加具土命』だよ。んな事より待ち合わせに遅れちまう」
全力で走る焔丸の体は、何故か異様なまでに軽かった。
ーーーーー
「む、遅いでは無いか
「悪いな、ジジイが変なことしてきてよ。まだ味が残ってんだ?」
「何事もないのなら良いが、では今日は何をする?」
「……そだなー……
「丸投げ!? ……ま、まぁ良い。そうでござるな、素振りというのはどうでござるか」
「そりゃつまんねーよ」
「聞いておいてか!?」
聞いておいて却下する。
これはある意味恒例とも言えるが、毎度乗って来てくれるところがノスケのいい所でもある。
焔丸とノスケは同い年で数少ない友達である。
「そりゃジジイとあんだけ殺しあえばウンザリするってもんだろ? それにお前の家族から殺るのは禁止だって言われてるからな」
「母上は関係ないであろう! 拙者がこの国を背負って立つならば、武力は必要であろう?」
「そう言ってもな、お前のカーチャン怖ぇし、そんでもってお前の妹も面倒臭ェ」
「妹に関しては済まぬとしか言えぬ……」
「いや、いいよ。アレの暴走癖は流石に慣れた」
「…………済まぬ」
焔丸とノスケの言っているノスケの妹とは、天真爛漫という言葉が良く似合う女の子である。最近言葉を話せるようになってノスケについて来ようとするが、体力がないため外で遊ぶ2人についていけず家の中で遊ぶように提案するが2人は拒否。
いつもは焔丸の肩にガッチリとしがみついて遊ぶのだが、今日はいないことに安堵する。あれをされたあと、かなり肩がこるからだ。
「今日は巻いてきたのか?」
「うむ、今はお菊が世話をしているはずでざる」
「お菊って……あー、
「にゅうかまあ? 外来の言葉か?」
「なんかジジイが言ってた。外の世界では珍しくないらしいぞ」
「ふむ、にゅうかまあ……なるもの、中々響きが良いではないか。帰ったらお菊に知らせよう」
ノスケは自分の父親が海へと出ている為に外の世界のことを信じている。この国は鎖国国家であるということで、世界はここだけしかないと勘違いするのもいるがノスケはそうではない。世界は広いと知っている。
「ノスケは確か海に出たことあるんだろ?」
「拙者が乳のみ子の頃の話でござる、記憶は殆どない」
「まぁ今のワノ国を見たらな……確かに俺も出ていきたくなるよ」
「何!? 焔丸は拙者の家臣になるのではなかったのか!?」
「いやならねェよ」
「なぬ!?」
「別に上や下じゃなくていいだろ? 手前がやべェ時は俺が助ける、だから俺がやべェ時は手前が助けろ」
「──なッ!? ……ま、まぁ良いでござる」
「俺たちャ、五分の兄弟分だ。だから俺は家臣にはならねェよ。酒は不味いから飲まねェけど」
「味を楽しむものではないと思うぞ」
会話中ノスケが焔丸をジト目でみていた気もするが、焔丸は気付いているのか気づいていないのか……。
それを加味しても2人の友情は固い。それがよくわかる会話である。
「兄上〜〜〜!!!!」
二人の背後から聞きなれた声がする。
まだ3歳児になったばかりのノスケの妹。
そして2人は顔を見合わせて嫌な顔をする。なぜならいつも決まって合流する時は。
「──ブハッ!?」
後ろから飛び蹴りをされるからだ。
今回標的になったのはノスケ。いつもは半々の確率だが、焔丸が流桜を制御できるようになってからは、やや焔丸の方が多い。
「危ないでござろう
「私は危なくないですよ! あ! 焔! 遊びましょう!」
「近いし、うるせェよ」
登場してから近距離で大声を出す少女、日和に対して焔丸は嫌な顔を隠そうとしない。ノスケは城の家来を上手く巻いてきたが、日和はそうはいかずに何人かノスケの父親の家臣がひょっこりと姿を見せている。
全員が非常に強く、侍や忍び更には獣人までいる。
そして、その中で一番後々面倒になるのが二人の母親である。
ことある事にガミガミと言ってくるので焔丸は毛嫌いしている。そして少し奇妙な縁が関係していることも理解してる
「んで? 何すんの?」
「ふふ、そういう結局折れてくれるところ私は好きですよ」
笑いながら日和はそういうが、隠れている気になっている家臣からの殺気がすごいことになっており、ノスケも「はっ!」と気づいている。
天然なのか計算なのか、後者ならとんでもない悪女になりそうであり。前者ならそれはそれで悪い女になりそうだ。
「そうですね───じゃあ!」
ーーーーー
結局日和が遊び疲れて寝てしまい、ノスケが日和を背負って帰っていった。治安が悪いからか家臣は影で待機していたが、日和が寝てしまってからは表に出てきてノスケと一緒に帰って行った。
焔丸はと言うとやることも無いので家に帰ることにした。
家に着く直前にとてつもない熱気と殺気を感じ取る。
ジジイから独特な攻撃を出された。
目に見えないほどのソニックブーム。そしてそれを作り出すほどの速さである炎熱。
焔丸は指で印を結び制限している流桜を前方に解放して、見えない壁を作り出してジジイの攻撃を相殺する。
「──!」
いつものように相殺しようと思ったが、思った以上に流桜が出てしまいジジイの攻撃を相殺したままジジイへの攻撃まで可能とした。
「食べた初日から効果アリかよ……とんだバケモンだ」
「おいジジイ何すんだ!? 今日はいつもの比じゃねぇぞ」
「テメェ、体に異変を感じねェのか?」
「あ!? ンなもんいつも……」
「体が軽ィ、力が溢れる。そんな感覚がねェのかって聞いてるんだよ」
「……まぁ、確かに変な感覚だ。漲るような、そんな感じはする」
「ああだろうな、そしてその原因はテメェの食った悪魔の実だ。それも動物系の幻獣種、悪魔の実でも更に希少なもんだ。銘は『ヒトヒトの実 モデル《鬼》』それがテメェの食った悪魔の実の力だ」
「悪魔だァ? 悪魔か鬼か妖怪か痴愚博じゃねェか!」
「そこはどうでもいいんだよ! 要はテメェが強くなったかそうじゃないかだ。溢れる力を解放しろ、そうすればテメェはもう一段階上に行ける。来るべき約束の日に向けて、テメェは力をつけなきゃいけねぇんだよ」
「来るべき約束の日だ?」
「そうだ。俺らの時代が終わり、次にロジャーが引き継いだ。そしてアイツが海賊の世界にするのは間違いねぇ、その時世界は動き出す。テメェはこんなチンケな国に居ていい男じゃねぇんだよ。世界と戦う時、末裔であるお前が必ず……」
「は! めんどくせェ話は終わったかよ。俺がどの道を進もうが俺の勝手だジジイに決められる筋合いはねェよ。俺は俺のやりたいように生きる!」
印を結んで流桜による衝撃波がジジイを襲う。
(なんつぅか、いつもより力が……これがあの不気味な実の力なのか?)
いつもならボコボコにされて終わるだけのジジイに互角以上に戦えている。そんな自分の力が誇らしいからか焔丸の口角が少し上がる。
「やっと引っ張り出しやがったな」
「あ? 何の──」
ジジイのその言葉になんの事だと返そうとすると、自身の体に異変が起こっていることに気づく。
体の高鳴りや血が沸き立つようなモノの正体として、己が額に角が生えている。
それは正しく鬼の如し。
体も一部が赤黒く染まっており、元の体よりも体に馴染み暑さを感じる。
「ンだこりャ」
焔丸からは見えないが、片目も鬼の眼となっており通常とは違う。
何もかも違う、だがしかし此方の姿の方が本当の姿だと思えるほどによく馴染む。
再び印を結ぼうとした時。
異変は起こった。
何気なく流桜による衝撃波を飛ばそうと思った時だ。
いつものようにしていたつもり。だがしかし、思った通りにはならなかった。
(炎だァ?)
衝撃波を出そうとしたが、そこに現れたのは焔。
それも通常の炎とは違い、浮世絵にでも書かれたかのような焔。ジジイの炎と比べて違和感があるが、それ以上に強さを感じ。そしてそれも当たり前のように使える。
頭の中で本能的に理解しているのだ。
炎のコントロールを間近出みていた手前、炎への理解は早かった。
炎を矢のように補足して推進力を加える。
それに適した力をかけ方を手の印を使って行う。
「これでも喰らえジジイ【方天戟】!」
「やっと炎に辿り着いたか……だが負けてやるつもりはないぞ童! 【居合手刀 弐ノ型 "月光”】」
高速で撃ち放った攻撃をジジイは両手を使って相殺する。
いつもとは比べ物にならないくらいの炎をあちらも纏っており、今まで手加減していたことを思い知らされる。
「手前ェ! ジジイ! 本気出せや」
「せめて同じステージに上がってからモノ言えや小僧がァ」
その日ワノ国で大妖術が行われたと【花の都】を中心に出回り。その噂はオロチにまで届いたという。
そしてらその騒動の主犯が誰かを直ぐに見抜いた光月トキは次にあった時焔丸に誇りある家系故に面倒事を起こすなと釘を刺すことに決めた。
オニオニの実と迷いましたがヒトヒトの実にしました。
理由は原型が焔《ビト》から来てるのでヒトヒトの方がいいかと。
ノスケは誰なのかー!(すっとぼけ)