では、どうぞ!
日本のとある県にある、海に面した町『海鳴市』
ここは、そんな海鳴市にある小さなゲームセンター、そこで一人の少年が......
「いぃやっふー!!!!」
発狂していた。
身長は130前後、黒い瞳に天然パーマを遊ばせた黒髪をしている、少年の名前は『
そんな彼は、今ウルトラマンのカードゲームの台の前で顔を輝かせていた。
「レアカードのウルティメイトゼロ!!!俺って運が良いなー!!はぁーはっはっはっはっ!!......まずはスリーブに入れて保管しないと、ん?」
ふと、カイの目にゲームセンターの時計が止まる、そして段々カイの顔色が悪くなる、時計は5時半を指しておりカイは驚愕の声を上げる。
「やっべぇ!?遊びすぎた!!!『施設』に帰らないと怒こられる~!!!」
カイはそう言ってゲームセンターを走って出ていく。
町を駆け抜ける事数十分、カイの前に旅館よりは小さいが人が数十人住めそうな施設『児童養護施設 月村養育館』に着いた、カイはそっと扉を開けて中に入る。
「たっ、ただいま~」
「カイ!!」
奥からカイを強く呼ぶ声がすると、一人の女性が奥の部屋から出てきてカイの元に歩いてくる。
身長は155cm、茶色の目に、茶髪を長くストレートに伸ばし、女性として少し残念な平たい胸が特徴の女性、彼女の名前は『
「カイ!!これで27回目よ!!ここの門限は5時です!!貴方もここにきてから一年経つんですからいい加減覚えなさい!!!」
「で、でも熱中しちゃうと時間を忘れちゃって...」
「言い訳無用!!みんなでご飯を食べた後説教ですよ!!覚悟しておきなさい!!」
「そ、そんな~がっくし」
そう言いながら、カイは部屋に入る。
「みんなただいま~」
「「カイ兄お帰り~!!」」
カイが部屋に入ると、中にいた3から5才位の子供達が一斉にカイに駆け寄る。カイはそれを優しく受け止め子供達と話し合う。
「カイ兄またかおり先生に怒られてやんの~」
「うるせぃ、ほっとけっての」
「カイ兄見て見て、ガイアとアグル僕が書いたんだ~」
「おっ上手いな~、また絵が上手くなったんじゃないの?」
「カイ兄ほら、友達に貰ったんだ~良いでしょ!!」
「ん~、何々....どわっふ!!それ限定品のグリッターティガじゃねぇか!!めっちゃ羨ましい!!!」
「はい、みんなご飯食べるわよ、席について~!」
「お、飯だ!!全員席に付け!!」
「「了解~!!!」」
カイの掛け声で子供達は一斉に自分の席に付く、そこにかおりが人数分よそったカレーを出していく。
子供達は出来立てのカレーを見て興奮し、カイも待ちきれないとよだれを垂らしていた。
かおりの分も出し終わり、かおりも席に着くと全員が手を合わせて、
「「「いたたぎます!!!」」」
一斉に食べ始めた。
一部の子供達は暑いのかハフハフしながら食べ、他の子供達も美味しそうに味を噛み締める子や、一気に食べすぎて喉につまらせちゃう子、それを面倒見るかおり、それを見て楽しむカイ、そこには間違いなく暖かい家族の空間が広がっていた。
数十分後、かおりが皿を片付け、子供達はカイの元に駆けつけていた。
「ねぇねぇ、カイ兄!!いつもの!!」
「ふっ、くると思ったぜ」
そう言って、カイはポケットからボロボロのハーモニカ......いや、オーブニカ(カイの自作)を取り出し、目を瞑ってメロディを奏で始めた。
子供達はそれを静かに聞き入る、そしてカイが今奏でているメロディは『ウルトラマンオーブ』の劇中で、クレナイ ガイがオーブニカを使って奏でていたのと全く同じだった。
かおりは台所から皿洗いをしながらカイのメロディを聞く、食後にカイの演奏を聞く、それはここ月村養育館では当たり前になっていた。
時間にして数十秒、カイの演奏が終わり子供達はカイに拍手をする、かおりもにこやかな笑みを浮かべ、台所からカイに声を掛ける。
「やっぱり上手いわねカイ、それはそれとしてお皿洗ったらー」
「先生カイ兄外に行っちゃったよ!!!」
「.....ふぅ、カイィィィ!!!!」
かおりの受難は続く。
さて、かおりの災難の元凶であるカイは、月村養育館近くの草むらを『DX オーブリング』片手に進んでいた。
「もう少しっと、ここだ!!!」
カイが草むらを抜けると、そこには小さな公園が入る位の開けた場所があった。
そこで、カイは夜空に浮かぶ月を見る。
「今日も月が綺麗だ...ここでのなりきり遊びは最高なんだよな!」
そう言ってカイは、自分の一番のお気に入りであり、
~一年前~
白青 カイは、元々三人家族で暮らしていた。
仲の良い両親とひとり息子のカイ、とても幸せな家庭だった。両親は決してカイを否定せず、されど道を間違えないように教育し、年が経つにつれ、子供達にウルトラマンを卒業しなさいと言う人達が出てきてもカイの両親は
「カイが楽しいならそれで良い」
とカイを見守っていた。
カイもそんな両親が好きだった、この両親がいたからこそカイはウルトラマン好きを貫けていた。
しかし、そんなカイ達に不幸が降りかかる。
カイが8歳の頃、カイの同級生がカイをウルトラマンを見ていると言う理由だけでいじめ始めたのだ、カイは決して挫けなかった、それでいてやり返しもしなかった。
理由はある、ここで只やり返しても何も変わらないし何より自分をいじめている奴らと同じになると思ったから、そして何よりカイはウルトラマンに憧れていたから、自分の憧れるウルトラマンは只やり返すなんて事はしないだろうと考えていた。両親にも言わなかった。
そんなカイを見ていじめっ子達は面白く無かったのか、カイの持っている物に当たり始めた、そしてその行動がいけなかった。
いじめっ子達は、カイの持っているオーブニカを取り上げボロボロにしたのだ、そしてついにカイはキレた。
ソレを見つけたのはカイの通っている学校の教頭だった、騒がしい音がしたと学校裏を見に行くと、そこには瞼を青紫色に腫らし、鼻や口から血を出して、身体中痣だらけになったカイとカイの周りに倒れているいじめっ子達だった。
すぐにカイといじめっ子達の両親が、学校に呼び出されて緊急会議が開かれた。いじめっ子達は自分達は悪く無いと言ったが、カイがボロボロになったオーブニカを出した事で、先生達に問い詰められあっさり自白、カイとカイの両親は一先ず帰る用に言われ学校を出た。
その帰り道、カイの母がつい言ってしまう。
「カイ、もうウルトラマンは卒業した方が....」
これはもちろんカイの母がカイを思って言った事である。カイの母はウルトラマンがいじめられる原因になるのなら辞めさせた方が良いんじゃないかと考えたが、カイはその言葉を聞いてキレた。
「母さんまでそんな事言うの....ふざけないでよ....ふざけないでよ!!!!!!母さん達もあいつらと一緒だ!!!そんな母さん達は大嫌いだ!!!!」
そう言ってカイは走り出した、カイの母はその言葉を聞いてしまったと顔を曇らせる。すぐに追いかけようとするがカイの姿はもう見えなかった。
数分後、カイは泣きながら家に向かっていた。家に着きドアを開けようとするが、鍵が無い事に気付き玄関前に座りこむ。
そしてポケットからボロボロになったオーブニカを取り出して唇を噛む。
それから数十分玄関前で両親を待つが一向に帰って来なかった。
それからさらに一時間後、カイの頭は冷静になっていた、両親が帰ってこない事を不思議に思いながら、カイは何故母があんな事を言ったのか分かりかけてきた、母を突き放した時は頭に血が上っていてわからなかったが、母は自分の身を案じてあんな事をいったのでは? と、そこに息を切らした教頭がカイの家の前に訪れた。
カイは不思議に思ったが、すぐに教頭に連れられて海鳴大学病院に向かった。
病院前までくると、教頭がカイと目線を合わせてゆっくりと話し始めた。
「カイ君、よく聞いてほしい」
「?」
「.........ご両親がトラック車に轢かれた」
「....は?」
カイは理解出来なかった、突然の言葉にカイは困惑する。
そこに病院の先生がきて、カイは病院の先生に連れられて一つの病室に向かう。
病室の前に立つと、先生がゆっくりとドアを開けてカイは中に入っていく。
白く細長い袋が二つ置いてあった、カイは光の無い瞳をしてゆっくりと袋に近づいていく。
「父さん?...母さん?」
わからない、そう、カイはわらないのにわかった.....この袋の中にいるのが両親だと、わかった。
そこに、看護婦の一人が一つの袋を持ってカイの側に寄る。
「....なんですか?」
「これ...ご両親が見つかった時に持っていた物よ」
「?」
カイは袋を受け取り、中を見ると入っていたのは『DX オーブリング』と一つの紙だった。
カイは、その時すべてを理解し泣いた、母がああ言った真意、何故不自然に帰りが遅くなったか、オーブリングと一緒に入っていたバースデーカードとバースデーカードに書かれていた
「ごめんなさい」
と言う、文字を見て。
後から聞けば、両親を轢いたトラックの運転手は飲酒運転をしており、歩道を歩いていた両親に突っ込んでいったらしい。
もちろん、カイには多額の賠償金が払われたがカイの心はもちろん晴れない。
そしてその後、両親の残した金と賠償金を持って月村養育館に来て、その金は月村養育館にすべて投資した。
これが白青 カイの一年間である。
~~~~~
カイはオーブリングを掲げて電源を入れる。
オーブリングのリング部分が光り待機音がなる、カイは腰に付けたカードホルダーから二枚のカードを取り出し、オーブリングにリードする。
「ウルトラマンさん!!」
[ウルトラマン! シュア!!!]
「ティガさん!!!」
[ウルトラマンティガ! ジャ!!!]
「光の力.....お借りします!!!!」
そう言ってオーブリングを天に掲げ、ボタンを押す。
それと連動してオーブリングのウィッグが開き、変身音が鳴る。
カイはそれを聞いて笑みを浮かべる。
(あぁ、良い......この時はウルトラマンだけじゃなくて、父さんと母さんと一緒なれている感覚がする)
「ん?」
一瞬夜空に何が光った、夜空を見ていたカイが声を上げる。
「いま一瞬...!?」
瞬間、紫の閃光がオーブリングに直撃する。
カイは衝撃でオーブリングを手放してしまう、オーブリングはカイの数メートル後ろに落ちる。
「っっ...!!今、何が!?...なっ!!」
カイが急いでオーブリングを拾うと、オーブリングの中心部に紫色の宝石が撃ち込まれてこり、撃ち込まれた部分は破損していた。
「なんだこれ!?宝石....じゃなくて、オーブリングが嘘だろ!?」
カイはボタンを押したりするが、オーブリングは何の反応も示さなかった。
「そんな嘘だ、なんでこんな...くそ、急いで
カイがそう言った瞬間、オーブリング...正確にはオーブリングに撃ち込まれた宝石が光だす。
カイは突然の事に驚き目を覆う。
数秒後、光が収まりカイが目を開けるとオーブリングは全く無傷の状態になっていた。
もちろんカイは驚く。
「え、あれ?え、オーブリング....なんともない?」
カイはオーブリングの電源を入れて操作するが、普通におもちゃとして動作した。
カイが困惑してると、茂みが揺れてかおりが出てくる。
「やっぱりここにいたわね、カイ」
「げっ、かおり先生」
「さぁ、施設に帰ってお説教....ね♡」
「ひっ、許してくださぁぁい!!」
その後、施設に帰ってこってり絞られた後、三十分正座の刑になったカイであった。
~そのまた三十分後~
「ひ、ひぃぃぃ足がぁぁ痺れるぅ」
カイは足を震わせながら、自分に用意された部屋に入る。
部屋に入ると、カイはオーブリングとカードホルダーを両親が写っている写真の横に置き、考える。
(あの時の宝石...何だったのだろうか、俺の見間違いか?)
カイはオーブリングをじっと見つめる。
(まぁ、俺の見間違いなんだろう...)
「て言うか、あ足が...早くベッドに入ろう」
カイはベッドに倒れてこみ天上を見る。
(さて、明日の予定は明日発売される限定ソフビを買うだったな..)
「早起きするか...」
目覚ましをセットしてカイはオーブリングをチラッと見た後、小さく呟く。
「ウルトラマンに...なりたいな」
カイの意識はそこで落ちる.......
.........かおりも含め養育館の全員が寝静まったころ、カイの部屋にあるオーブリングが光を放つ、数秒光った後に光は静まり、そこには
カイ「よっしゃー、限定ソフビを買いにー..って化け猫ォ!?」
???「ディバイン バスター!!!」
カイ「えぇ、なによこれぇ...!? 危ない!!!」
???「えっ!?」
カイ「やばっ..オーブリング!? 何で、いや考える時間はない!!!」
???「あなたは?」
カイ?「俺の名は...」
次回「少女と出会う光」