オーブの力お借りします!!!!!   作:ゆにゆに

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 子ども達に魔法を見られた為、その説明に養育館に来るフェイトとアルフ、ちょっとしたごたごたがありながらもフェイトは魔法の事をカイと子ども達に話し秘密にして欲しいと頼む、カイと子ども達はそれを承諾し、更にカイと子ども達は旅館で助けてくれたお礼をフェイトとアルフにする、フェイトはその中で心が温かくなるのを感じ、カイ達とフェイトの絆はより深くなるのだった。


暴走

 フェイトとアルフが養育館に来て数日、かおりも無事退院し今キッチンで料理を作っていた、時間は午前五時である。

 

「っと、これをー」

 

「ただいま」

 

「! おかえり、カイ」

 

 そこにカイがランニングから帰ってくる、カイはキッチンに行くとかおりから水を貰う。

 

「ありがと、かおり先生」

 

「どういたしまして、にしても毎朝こんなに早くランニングとは()()()()()()()()()()

 

「そうでもないさ」

 

 かおりの発言にカイは笑いながら答える。

 そう、旅館での出来事もあり、カイはかおりにウルトラマンの力の事、なのはとフェイトの事、フェイトが狙っている宝石の事等、すべて洗いざらい話したのである。

 それからは、ウルトラマンの事はカイとかおりの秘密になった。

 カイはかおりから貰った水を飲むと、自室に入り筋トレを開始する。

 

 

 二時間後、朝食を食べ終えたカイは見回りを兼ねて町に行く準備をする。

 

「オーブリング入れてっと、良し!」

 

 カイはオーブリングを入れたリュックを背負い玄関に向かう、そこにかおりがやって来る。

 

「...またやるの?」

 

「文句いわないの!」

 

「でも、わぷっ!」

 

 カイが発言するより先にかおりはカイを抱き締める、その行為にカイは若干気恥ずかしさを感じる。

 かおりはカイを抱き締めながら、カイとのある会話を思い出す。

 

 

~~~

 

 

 場所は病室、ベッドに寝かされていたかおりにカイがウルトラマンの事を話し終わった所だった。

 

「......」

 

「やっぱり驚く?」

 

「そりゃあんた.....当たり前よ!!」

 

「でもかおり先生も体験したろ?」

 

「そ、そうだけど」

 

 カイの発言にかおりは言葉を詰まらせるが、暫くして口を開く。

 

「....一先ず、カイのしたいことも、ウルトラマンについてもわかった...けど」

 

「かおり先生?」

 

 かおりが急に悲痛な表情を浮かべてカイは困惑する、かおりはゆっくりと言葉を続ける。

 

「私は、ほんの少しだけウルトラマンとして戦った....その時、怖かったのよ、でもね...それ以上に怖いことがある、これからあんな事がまた起こったりして、それにカイが首を突っ込んで...そのまま」

 

 言葉の途中でかおりは声が上擦り手を震わせる、それを見てカイはかおりが考えている事を理解する。

 

「...そんな風になる可能性があるって考えると、あなたをこのまま...行かして良いのか」

 

「かおり先生」

 

 カイはそっと震えているかおりの手を掴み、かおりの目を真っ直ぐ見る、そしてかおりに語り掛ける。

 

「ありがとう、かおり先生」

 

「え?」

 

「そう考えてくれて凄く嬉しい...俺を大事に思ってくれてるって事だもんな」

 

「カイ...」

 

「大丈夫、門限は破るかもしれないけど...必ず俺は帰るから、俺を信じて、夜飯作って待っててよかおり先生」

 

 そう言ってカイはかおりに微笑む、かおりはそれを見てカイの握っている手を強く握り返して呟く。

 

「信じるわよ...カイ」

 

「ありがとう」

 

 

~~~

 

 

 かおりはより強くカイを抱き締める、カイはいい加減恥ずかしくなりかおりの脇腹をちょんちょんと差し、かおりに話し掛ける。

 

「なぁ、もう良いだろ?」

 

「あぁ、ごめんなさい」

 

 かおりはカイから離れる、カイは靴を履いてかおりに振り返る。

 

「...行ってきます」

 

「えぇ、行ってらっしゃい」

 

 そうしてカイは養育館から出る。

 町に出たカイは周りを見ながら歩き、考えごとをする。

 

(特に変わった所は無いか...このまま問題なかったら師匠の所にいくかな)

 

 瞬間、カイの周りから人が消える。

 カイは咄嗟に建物の物陰に入り上空を確認する、そして空を飛ぶ白服の少女高町 なのはを見つける。

 

「なのはちゃんか!!」

 

 カイはなのはを追って路地裏をパルクールの要領で移動する、暫くしてなのはが空に滞空し、その先にフェイトとアルフがいるのを確認すると、また建物の陰に隠れてカイはその場で様子を伺う。

 実はカイは旅館の出来事以降宝石(ジュエルシード)関連で、ある事を決めたのだ、内容は簡単あまり介入しないという事である。

 自分がウルトラマンとして介入しすぎると、また龍の怪獣のような奴が誕生していまうと考えたからである。

 

「まぁ、状況は確認させて貰うけどね」

 

 カイはそう言ってオーブリングを掲げ、光がカイを包み込む。

 光が収まるとカイは水色の異空間に移動しており、カイはウルトラマン80(エイティ)のカードを手に取る。

 

80(エイティ)さん!!!」

 

[ウルトラマン80(エイティ)! シォア!!!]

 

「超能力お願いします!!!」

 

 カイはカードをリードしオーブリングを起動させる、すると物陰に隠れているカイの前にウルトラマン80が等身大で現れる。

 

「80さん、お願いします」

 

 カイの願いに80は頷き超能力で離れているなのはとフェイトの会話を聞き取り、その内容を超能力でカイに送る。

 

 

 上空、そこでなのはとフェイトは再会した、フェイトの後ろにはジュエルシードがあり、フェイトが強制的に発動させたのがわかる。

 なのははジュエルシードよりもフェイトを見て話し掛ける。

 

「フェイトちゃん...」

 

「高町 なのは...」

 

「怪我大丈夫?」

 

「え?」

 

 なのはの発言にフェイトは間抜けな声をあげる、なのはもフェイトの反応を見て(あれ、私変な事言ったかな?)と思いつつ話を続ける。

 

「えっと、ほら旅館での事だよ、フェイトちゃんも凄い怪我してたし」

 

「え、あぁ....大丈夫、アルフに手当てして貰ったし、治癒の魔法である程度傷も治せるから...あなたは?」

 

「私は二日入院しちゃって、病院の先生とかが居ない間にユーノ君に治して貰ったりしてたの」

 

「そう...それであなたは何でここに?」

 

「っ....フェイトちゃん」

 

 なのははフェイトから向けられた冷たい目に一瞬縮こまる、なのはとフェイトはお互い杖を展開し構える、アルフとユーノも構えて、魔法少女は上空で戦う(ぶつかる)

 ユーノとアルフは互いになのはとフェイトから離れて戦い、なのはとフェイトは高度な空中戦をする。

 

「ディバイン シューター!!!」

 

「!!」

 

 なのはは杖の先端のクリスタルから桃色の光弾を発射する、フェイトは高速で動きすべての光弾を避ける、なのはは続いて光弾を発射するが、フェイトはすべて紙一重で避けてなのはに接近する。

 フェイトは金色の刃を展開してなのはに切りかかる、なのはは瞬時に障壁を展開してフェイトの斬撃を防御する、なのはは杖をフェイトに向ける、フェイトはそれを確認するとなのはから離れ刃を収納し杖をなのはに向ける、そしてなのはとフェイトは同時に魔法を展開する。

 

「フォトンランサー!!」

 

「ディバインシューター!!!」

 

 なのはとフェイトの間で桃色と金色に光る無数の光弾が衝突する、お互い撃ち終わり、なのはとフェイトの間に緊張が生まれる、その中でなのははフェイトに話し掛ける。

 

「フェイトちゃんは、言葉だけじゃなにも変わらないって言ってたけど、話さないと、言葉にしないと伝わらない事だってあるよ!」

 

「...! そんなの」

 

「私が、ジュエルシードを集める理由はユーノ君の為なの、元々ユーノ君一人で集めようとしてたけど、それでユーノ君ひどい怪我しちゃって、それで私が力になれそうだったから、私はユーノ君に協力してジュエルシードを集めてるの!! フェイトちゃんは?」

 

「私....は」

 

「フェイト!!」

 

 突然アルフがフェイトに言葉を投げ掛ける。

 

「今はジュエルシードを回収するのが最優先だよ」

 

「!...そうだね」

 

「フェイトちゃん!」

 

 なのはの呼び掛けを無視してフェイトはジュエルシードの元に飛んで行く、なのははそれを追いかける、ユーノも追おうとするがアルフに邪魔される。

 

「なんで!?」

 

「あんたらにフェイトの事は理解できないよ!!!」

 

 アルフの叫びを聞きながらアルフとユーノは戦う。

 フェイトとなのはは互いにジュエルシードに向かって行き、そして同時にジュエルシードに杖を当てる。

 瞬間、ジュエルシードから衝撃波が発せられて二人は後退し互いの杖は破損する。

 

「なに!?」

 

「これは!?」

 

 空中に浮いた宝石、ジュエルシードはその輝きをどんどん強くする、それを見たユーノは驚愕し声を上げる。

 

「こっ、これは、ジュエルシードの暴走!?」

 

 

 ジュエルシードの異変は離れていたカイにも察知でき、カイは物陰から出る。

 

「ありゃ、流石に不味いだろ!?」

 

 カイは80をカード状態に戻しオーブリングを掲げる、光がカイを包み込む。

 光が収まるとカイは紫に光る異空間に移動しており、カイは素早くウルトラマンのカードを手に取る。

 

「ウルトラマンさん!!!」

 

[ウルトラマン! ヘアッ!!!]

 

 カイがカードをオーブリングにリードすると、カードは青い粒子となり、カイの左隣にウルトラマンとして現れる。

 カイは続けざまウルトラマンティガのカードを手に取る。

 

「ティガさん!!!」

 

[ウルトラマンティガ! ジャ!!!]

 

 カイがカードをオーブリングにリードすると、カードは黄色の粒子となり、カイの右隣にウルトラマンティガとして現れる。

 そしてカイは力強く叫ぶ。

 

 

光の力.......お借りします!!!!!!!!!

 

 

[フュージョンアップ!!!!]

 

 

[ウルトラマンオーブ!!! スペシウムゼペリオン!!!!]

 

 

 

 暴走したジュエルシード、フェイトは破損した杖をネックレスにして収納し、ジュエルシードに向かって飛ぶ。

 それを見たアルフが声を上げる。

 

「フェイト無茶だ!!」

 

「それでも!」

 

 ジュエルシードまであと数センチの所で、紫の光がジュエルシードを掠め取る、フェイトとなのははその光を見て声を上げる。

 

「「オーブ(さん)!?」」

 

「ごめんけど、これをフェイトに触らせる訳にはいかないよ!!」

 

 オーブは上空に飛びながら、ジュエルシードを両手で押さえつけ考える。

 

(横取りしたは良いけど、俺はこれをどうやって押さえるか知らないぞ!? どうする!?)

 

「つうかこいつ、なんてパワーだ!?」

 

 オーブはなんとか押さえつけているジュエルシードのエネルギーに驚愕する、ジュエルシードを押さえている両手は震えて激痛がカイを襲う。

 

「くぅ、そ...こいつは....きつい」

 

(スペシウムゼペリオンのパワーじゃ、ダメだ!!!)

 

「なら!!」

 

 カイは異空間でオーブリングを掲げ、光がカイを包み込む。

 カイは紫に光る異空間から黄色に光る異空間に移動し、直ぐにウルトラマンタロウのカードを手に取る。

 

「タロウさん!!!」

 

[ウルトラマンタロウ! トゥア!!!]

 

 カイがカードをオーブリングにリードすると、カードは赤い粒子となり、カイの左隣にウルトラマンタロウとして現れる。

 カイは続けざまウルトラマンメビウスのカードを手に取る。

 

「メビウスさん!!!」

 

[ウルトラマンメビウス! セアッ!!!]

 

 カイがカードをオーブリングにリードすると、カードは白い粒子となり、カイの右隣にウルトラマンメビウスとして現れる。

 そしてカイは熱く叫ぶ。

 

 

熱いやつ.......頼みます!!!!!!!!!

 

 

[フュージョンアップ!!!!]

 

 

[ウルトラマンオーブ!!! バーンマイト!!!!]

 

 

 オーブは赤く角が生えた、バーンマイトに変身してジュエルシードを押さえつける。

 

「紅に....燃えるっ、ぜぇ!!!」

 

 しかし、バーンマイトのパワーですら完全に押さえる事は不可能だった。

 四苦八苦しているオーブを見て、ユーノは考える。

 

(あそこまでいくと封印するのにもほぼ全ての魔力を使うのに、暴走したジュエルシードを力で押さえるなんて無茶だ!!)

 

 ユーノはこの状況をどうするか必死に考える。

 ユーノの考えなんて知らずにオーブは力でジュエルシードを押さえる、しかしジュエルシードのパワーはどんどん強くなりオーブの両手からは肉が吹き飛び血の代わりに光が両手から溢れ出る。

 

「っぁあ、痛ってぇなぁ!?」

 

(くそ、やべぇ、どうするパワーが足りない、だがこれ以上のパワーは...)

 

 異空間の中でカイは必死に考える、この状況を打開できる策を、そしてふとあるオーブのフォームが頭に浮かぶ。

 

「パワーならアレがあるが、アレは大丈夫なのか....いややめた方が、ぐぅ!?」

 

 オーブで受けたダメージがカイにフィードバックしてきて、カイの両腕からは鮮血が流れ出る。

 カイはそこで決める。

 

「くそ、もうアレしか....ないだろ!!!!!」

 

 カイは叫びながらオーブリングを掲げ、黄色の異空間から赤く光る異空間に移動する。

 カイは痛む手で、ゾフィーのカードを手に取る。

 

「ゾフィーさん!!!」

 

[ゾフィー! ヘアァ!!!]

 

 カイがカードをオーブリングにリードすると、カードは黄色の粒子となり、カイの左隣にゾフィーとして現れる。

 カイは続けざまウルトラマンベリアルのカードを手に取り、見つめる。

 

「ハァ、ハァ、ベリアルさん....頼みます!!!!! おぉぉぉあああ!!!!」

 

[ウルトラマンベリアル! ヘェアァ!!!]

 

 カイは叫びながら、ベリアルのカードをオーブリングにリードする、するとカードは紫の粒子となり、カイの右隣にウルトラマンベリアルとして現れる。

 そしてカイは振り切るように叫ぶ。

 

 

光と闇の力.......お借りします!!!!!!!!!

 

 

 瞬間、大量の闇の力がカイに流れ込み、あらゆる負の感情が爆発しカイを蝕む。

 

「ぐぅがぁ、な...にぃこれは.....ぁ!?」

 

(痛い痛い痛い痛い苦しい苦しい壊す壊す壊す痛い苦しい痛い壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す痛い痛い痛い痛い痛い壊す壊す壊す苦しい痛い壊す壊す壊す壊す壊す壊す)

 

「ヤバい...意識がぁ」

 

(苦しい壊す壊す壊す壊す痛い苦しい痛い壊す壊す壊す壊す壊す痛い苦しい壊す壊す壊す壊す苦しい苦しい苦しい痛い痛い痛い壊す壊す壊す痛い壊す壊す壊す痛い痛い痛い苦しい壊す壊す壊す壊す壊すこ)

 

「こ.....れ....は、軽率.....だった」

 

 

(殺す!!!!)

 

 カイの意識はそこで吹き飛んだ。

 

 

[フュージョンアップ!!!!]

 

 

[ウルトラマンオーブ!!! サンダーブレスター!!!!]

 

 

 オーブを突然巨大な赤い光が包み込み、なのは達は驚く、瞬間とてつもない轟音が鳴り響き地面が土埃を上げる。

 

「なんなの!?」

 

「オーブさん!!」

 

 土埃が消えると、そこには巨大化し全身のほとんどを赤と黒で身を包み、両手に爪の用な物があり、まるで悪役のようなつり上がった目をしている、ウルトラマンオーブ サンダーブレスターがいた。

 オーブはそのつり上がった目をジュエルシードに向けて、片手でジュエルシード押さえつける、それでもジュエルシードは強く反発する、すると一瞬オーブの目に血管の用な線が流れ、オーブはジュエルシードを思い切り投げる。

 その行動になのは達は驚く。

 

「ジュエルシードを投げた!?」

 

「一体何を....!?」

 

 皆が驚いている最中、オーブは行動を続ける。

 オーブはカラータイマー部分を光らせると、オーブの前に禍々しい黒い雷を纏った円が現れ、オーブは左手に青いエネルギー、右手に赤黒いエネルギーを纏うと、ジュエルシードに向かって腕を十字に組んだ。

 

「ガァァアアアアアァァアァアアアアアア!!!!!!!!!」

 

 オーブの叫びと共に、黒い雷を纏った水色の光線『ゼットシウム光線』は圧倒的な威力を持ってジュエルシードに直撃する。

 なのは達はその光線の威力ゆえに、腕をクロスさせて身体を守る。

 ゼットシウム光線は結界もろともジュエルシードをどんどん削っていく、それを見てフェイトはオーブが何をしようとしてるのか理解する。

 

(まさか、ジュエルシードを破壊する気なの!?)

 

 ゼットシウム光線を受けているジュエルシードはひびが入る、ひびは徐々にジュエルシード全体に広がり、遂に結界もろとも粉々に爆散する。

 それを見たフェイトは咄嗟に適当なビルの屋上に隠れてオーブ及びなのは達の様子を伺う、そして驚愕した。

 

「なんで、隠れないの!?」

 

 そうオーブが一切動かなかったのだ、なのは達は建物の裏等に隠れたが、オーブは一切動かなかった。

 フェイト達魔法使いはあまり一般人に認知されない、特にこの地球では魔法は絵空事として知られているため、魔法の存在が知られると大変な事になるだろう、だからフェイト達は活動の際には結界を張り一般人に自分達の存在を認知されないようにしてきたのだ、なので結界が無くなると一般人に見つからないように路地裏や建物の裏に隠れるのだ。

 結界が無くなった事により、それまでオーブを認識できなかった、一般人達はオーブを認識する。

 

「お、おい何だあれ..」

 

「で、でけぇ五十メートルはあるぞ」

 

「きょ、巨人だ! 巨人だ!」

 

「でも何だか怖い顔してる」

 

 一般人達はオーブを見て写真や動画を撮ったりする、オーブはそれをじっと見つめる、フェイトは魔法は解かずにオーブを観察し、ふと赤ん坊の声が木霊する。

 

「ぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ」

 

 場所はオーブから数十メートル離れた道に居て母親が赤ん坊をあやしていた、オーブは赤ん坊の方をじっと見つめて、右手をおもむろに上げる。

 瞬間、フェイトは背中に氷を大量に入れられた用な感覚に陥り動き出した。

 オーブは右手に赤黒い光を纏とい、赤ん坊の方に振り下ろした。

 母親は反応出来ずにその場に立ちすくんだまんまだったが、高速で移動したフェイトが赤ん坊と母親を抱き抱えてその場を離れる。

 ドゴォン!!!!という音と共にさっき母親がいた所は粉々に吹き飛ぶ。

 なんとか母親と赤ん坊を救いだしたフェイトは母親を地面に降ろすと、息を切らしながら叫んだ。

 

「逃げて!!!!!」

 

 オーブの行動を見た一般人達は我先にと走って逃げる、フェイトはそれを見ると自分に向けられている圧倒的な殺気を感じて、瞬時に空に飛ぶと、あと数センチの所でオーブの拳が振り下ろされた。

 オーブは外しても尚、その目をフェイトに向ける、そしてフェイトは理解する。

 

(この殺気、とことん私を殺す気のようね!!!)

 

「ゴァアアアァァアアアアアアアア!!!!!」

 

 オーブが超速の拳をフェイトに放つ、フェイトは紙一重でそれを避けてオーブから離れる。

 そこにアルフが合流する。

 

「大丈夫かいフェイト!!?」

 

「今は大丈夫....でもちょっとヤバいかもアルフ」

 

 フェイトはオーブを見ながら冷や汗を流しアルフもオーブを睨む、オーブはじっとフェイトとアルフを見て雄叫びを上げる。

 

「ガァァアアアアアアアアアアアアアァァアァアア!!!!!!!」

 

 フェイトは短くアルフと話し合う。

 

「アルフ、今回は逃げ回ろう...正面から戦って一撃でも食らえば....多分死ぬ」

 

「ああ、わかったよ!!」

 

 オーブはフェイトとアルフに向かってがむしゃらに拳を振るう、フェイトとアルフはなんとか避ける、オーブの放った拳はそのままビルを破壊する。

 オーブは右手にエネルギーを貯めて真っ赤な光輪を生成する『ゼットシウム光輪』である、オーブはゼットシウム光輪をフェイトに向かって投げる、フェイトは横に飛んで光輪を避ける、光輪は止まらずにビルや住宅を切り裂いき、オーブは海鳴市に惨状を作り出す。

 住宅街からは悲鳴が響く。

 

「ママー、怖いー」

 

「逃げろ、逃げろ!!!」

 

「化物だぁぁぁ!!!」

 

 海鳴市に緊急の避難勧告が出てサイレンが町に鳴り響く。

 

 

 そしてそのサイレンは月村養育館にも届いていた。

 かおりは子ども達を避難誘導しながら町で暴れるオーブを見る。

 

「あいつ、何やってんのよ!?」

 

「「かおり先生!!!」」

 

 かおりは子ども達を連れて災害時に指定されている避難所に向かう、走りながらかおりは考える。

 

(どうしたのよカイ!!! こんな、ウルトラマンのする事じゃないでしょ!! カイ!!!)

 

 

 かおりの考えは今のオーブには届かない。

 オーブは町を破壊しながらフェイトとアルフを狙い暴れる。

 

「ガァァアアアアア!!!!!」

 

「ハァ、ハァ、ハァ、っっ!!!」

 

 息を切らしながらフェイトは必死にオーブから逃げる。

 オーブの攻撃はパワーもさることながらスピードも圧倒的なのである、それを避けるためにフェイトは常に最大のスピードで避けていたのである、故に体力の消費が早くフェイトは窮地に立たされていた。

 オーブの右手の凪払いをしてフェイトはそれを上に飛んで避ける、しかしオーブはそれを読んでいた用に左の拳を放ちフェイトは一瞬反応が遅れる。

 

「しまっ!?」

 

「フェイトちゃん!!!」

 

 間一髪でなのはがフェイトを抱えてオーブの攻撃を避ける、フェイトはなのはが自分を助けた事に驚く。

 

「なんで?」

 

「なんでって....理由なんか無いよ危なかったから助けたの! 旅館の時だって協力し合ったじゃん!」

 

 なのはは満面の笑みをフェイトに向ける、フェイトはそれを見て目を泳がせるが直ぐに冷静になる。

 

「ふぅ.....ありがとう」

 

「どういたしまー!? フェイトちゃん!!!」

 

 なのはがフェイトを突き飛ばすと、二人の間をゼットシウム光線が走り抜ける、二人はオーブに向き直る、そこにユーノとアルフがやってくる。

 

「フェイト大丈夫かい!?」

 

「なんとか、大丈夫」

 

「なのは、無茶をして!?」

 

「私は大丈夫だからユーノ君」

 

 上空で四人はオーブを見下ろす、オーブはそのつり上がった目でしっかりと四人を捉える、フェイトはなのはに手短に話す。

 

「まともやり合おうとしないで逃げ惑って」

 

「わかった....オーブさんどうしたの?」

 

 四人が構えると同時に、オーブのカラータイマーが光りオーブの前に禍々しい円が出来る、それを見て四人に緊張が走る。

 

「ヤバい、あの攻撃がくる!!」

 

「動き回って!!!」

 

「うん!!」

 

 四人がバラけると同時にオーブは腕を十字に組んでゼットシウム光線を放つ、光線は四人の誰にも当たらずに空に伸びていく、それからも四人はバラバラに飛行しオーブを撹乱する。

 その中でなのははオーブに話し掛ける。

 

「オーブさん止めて!!! あなたはきっとこんな事望まないよ! あなたが人を無差別に傷つける人なら、私達を旅館で助けてない、あの暖かさは持てない!! お願い止めて!!! オーブさん!!!」

 

 なのはの事が耳障りだったのかオーブは狙いをなのはに絞り、なのはに向かって拳を放つ、なのはは下に飛びオーブの拳を避けるが、オーブの放った拳はなのはの後ろに合った建物を破壊して、瓦礫がなのはに降ってくる。

 

「なっ!?」

 

 なのはは障壁を張って瓦礫を弾くが、瓦礫に押されて地面に落ちてしまう。

 

「っう...!?」

 

 なのはは立ち上がるが既にオーブは腕を振り上げていた。

 それを見てフェイトは咄嗟にオーブに向かって光弾を発射する、光弾はオーブの右頬に当たり、オーブは狙いをフェイトに変える。

 その間にユーノがなのはの元に駆け寄る。

 

「なのは大丈夫!?」

 

「うん、怪我は無いよ」

 

「一先ずここを離れよう!!」

 

「う、うん」

 

 なのはとユーノはオーブから離れる。

 オーブはフェイトを見てカラータイマーを光らせて禍々しい円を展開する、フェイトは上空に飛び動き回る、オーブはフェイトの動きをじっくり観察して、腕を十字に組んでゼットシウム光線を放つ、そしてゼットシウム光線は一ミリの誤差も無くフェイトに向かっていった。

 

「そんな!?」

 

 ゼットシウム光線がフェイトに直撃しようとした瞬間、フェイトはその場から姿を消す、転移魔法を使ったのだ。

 フェイトは転移魔法で上空から小さな建物の屋根に移動し、フェイトは息を整える。

 

「ハァ、ハァ、ハァ、」

 

(残ってる魔力を使った転移魔法、きっと次は通用しない....それよりさっきのはヤバかった...咄嗟に間に合ってよかった)

 

「ハァ、ハァ、ふぅ」

 

 フェイトが息を整え終えると同時にオーブの拳が降ってくる、フェイトは屋根から飛び降りてそれを避け、直ぐさま飛行する。

 オーブはそれを確認すると、近くにある高層ビルを引き抜き持ち上げる、それを見て四人は驚く。

 

「ビルを持ち上げた!?」

 

「まさか!?」

 

「フェイト!!」

 

 アルフはフェイトに駆け寄る。

 そしてオーブはフェイトとアルフに向かってビルを投げる、ビルは放物線を描きフェイトに降ってくる。

 

「この質量は!? 避けられ無い!!」

 

「どうする!!?」

 

 フェイトはネックレスを杖に変えて構える、そしてアルフに話し掛ける。

 

「破壊するしかない、アルフ!!」

 

「わかった、あたしも全力で!!」

 

「うん!! 頑張って『バルディッシュ』!!!」

 

 フェイトが叫ぶと杖は金色に光り魔方陣を展開する、フェイトはその中で頭をフル回転させる。

 

(詠唱の時間は無い、砲撃魔法でやるしかない!!)

 

「サンダースマッシャー!!!」

 

「オラァァ!!!」

 

 アルフは拳を連続で、フェイトは極太のビームをビルに向かって放つ、そのお陰でビルの降ってくるスピードは落ちたが破壊するには至らなかった。

 

「だっ、駄目、このままじゃ!!」

 

「くそっ、ヤバい!!」

 

「ディバイン バスター!!!」

 

 ふとフェイトの横から桃色のビームがビルに向かって放たれる、なのはである、なのははフェイトの横に立ち、フェイトに笑顔を向ける、一方アルフの元にもユーノが駆けつける。

 

「あんた!?」

 

「流石に見殺しには出来ないな!!!」

 

 ユーノはアルフに向かってそう叫ぶ。

 若干のズレがありながらも確かに、四人の力は一つになりお互いに魔力を高めていく、アルフの拳は強力に、なのはとフェイトのビームは威力を高めていってビルをどんどん削っていく。

 

 

「「はぁぁああああああああああ!!!」」

 

 

 そしてビルを完全に粉砕する、四人が微かに安堵した瞬間、四人に衝撃波が飛んでくる。

 

「ぐぅ!?」

 

「なぁ、っっ!?」

 

 四人はそれぞれ地面に叩きつけられる、フェイトが立ち上がろうと前を見るが四人の前にはすでに破壊の化身(ウルトラマンオーブ)が立っていた。

 オーブはカラータイマーを光らせて禍々しい円を展開し、ゼットシウム光線を打つ準備をする、フェイトはそれを見て軽く絶望する、今この状況で自分達が助かる方法が思い付かなかったからである。

 

(不味い、何か手は.............駄目だ、思い付かない.....ここで....終わり....そんな.....ごめんなさい.....お母さん、ジュエルシードは集められなかった、本当に駄目でごめんなさー)

 

(「またねー、フェイトお姉ちゃん!!!」)

 

「あ」

 

 ふとフェイトの頭に養育館の子ども達とカイが浮かび上がる、瞬間フェイトから絶望が吹き飛ぶ。

 

(そうだ、私は)

 

「そうだ、まだ...やられない」

 

「.....」

 

 フェイトの様子をオーブはじっと見つめる、フェイトは杖を展開して構える。

 

「そうだ、あの時『またね』って言ったんだ...!」

 

「....!」

 

(あの時皆に...カイに!! またねって言ったんだ!!!)

 

「だから!!!」

 

 フェイトは叫びながら金色の刃を展開しオーブに向ける。

 

 

あの時、皆にまたねって言ったんだ!!! また皆に会うまで!!! 私は死ねないんだ!!!!

 

 

「!!!」

 

 フェイトが叫んだと同時にオーブに異変が起こる。

 そう、フェイトの叫びはオーブにカイに届いたのだ!!

 

「っあ.....フェイト....俺は...ぐぅ!!! アアアアアアアア!!」

 

 カイは異空間の中で叫ぶ。

 

 

 オーブは突然フラフラしだして段々フェイト達から離れる、本当に突然の事にフェイト達は驚く。

 オーブはゼットシウム光線のエネルギーを貯めながら、必死に自分の闇と戦う。

 

「ぐっう、負けるかぁ、ぬぅおぉぉ!!!!」

 

(今...は、意識を保てるけど....また、持ってかれそうだ....なら!!!)

 

「ヌゥゥアアアアアアアァァアァアアアアアア!!!!」

 

 オーブは叫びながらゼットシウム光線のエネルギーを自分に打ち込む。

 フェイト達はその様子を見てさらに驚き、フェイトはオーブが何をしようとしてるのか感づく。

 

「まさか...自爆!?」

 

 ゼットシウム光線のエネルギーはオーブの身体を回り、オーブからは黒い雷が放出され、ついにオーブは大爆発を起こす。

 そうして爆煙の中にオーブは消えた。

 

 

 

 爆煙の下、カイは身体中ボロボロで倒れていた。

 

「くぅそ、サンダーブレスター...ヤバい...ぜ」

 

 カイがそう言っていると、ふとカイの近くに落ちていたラジオが声を発する。

 

『突如海鳴市に巨人が出現しました、巨人はそのまま海鳴市を攻撃、海鳴市に多大な被害を出しましたが、なんと負傷者はいるものの犠牲者は0という事です、巨人ですがー』

 

「犠牲者は.....0....フェイトと、なのはちゃん達のお陰だな...っう、しばらく....サンダーブレスターは封印だな」

 

 カイはオーブリングをなんとかリュックに入れると気を失う。

 

 

 オーブが自爆した場所に向かう影が一つ、高町 なのはである。

 なのははユーノを肩に乗せて、走って爆煙の方に向かう、ユーノがなのはに話し掛ける。

 

「なのは、別に様子なんて...」

 

「それでも気になるの!! 行かなきゃって思って」

 

「でも彼は僕達を攻撃してきた!!」

 

「旅館の時は助けてくれた!」

 

「なのは...!!」

 

 なのはの発言にユーノは心配になるが、なのははユーノに笑顔を向ける。

 

「大丈夫だよ、心配してくれてありがとうユーノ君、それでも私は....!? ユーノ君アレ見て!」

 

「何!?」

 

「人が!?」

 

 なのはは爆煙の中に倒れている人影を見つけて駆け寄る、そして人影の正体を見て驚く。

 

「カ、カイ君!? 何で!?」

 

 

 

 魔法少女は少年を見て何を思う.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なのは「なんでカイ君がこんな所に?」
ユーノ「あまりにも不自然だ、この状況は」
カイ「俺は...何を」
ユーノ「...! これは何だ? わっか?」
なのは「まさか.....カイ君が」

次回「私達の隠し事」
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