場所は一面きらびやかに輝くサイバー空間、そこでオーブ ライトニングアタッカーは、目の前にいる金色の球体『バルディッシュ』に話し掛ける。
「AI、人工知能、なのか」
[ええ、その通りですよ、さ、あなたには出ていってもらいます]
「ちょ、ちょ、待ってくれ!?」
[.......何です?]
「俺は戦いをしに来たんじゃない、頼む、話を聞いてくれ」
[ほう、一体どういう理由があって、わざわざサイバー空間なんかに不法侵入したんですか?]
「理由はフェイト・テスタロッサ、彼女が戦う理由を知りたくてここにきた、それと不法侵入はこっちが悪かった、ごめん」
[Sirが戦う理由を? 何故ですか....]
「これはあくまでも俺の主観だが、フェイトは自分から好き好んで戦うような人じゃないと思うんだ、それに戦闘中のフェイトからは何か異様な感じがする、只戦うにしては不自然だ、だから、フェイトの戦う理由が知りたいんだ、そして今まさにそれが知れるチャンスなんだ!!頼む、暫くで良い、ここに隠れさせてくれ!!」
[フム....]
オーブの言葉を聞いて、バルディッシュは考える。
暫くの静寂を過ぎると、バルディッシュが口を開く。
[そうですね、あなたがSirの事を『心配』している人物か、ただの悪質なストーカーか、現状分かりません]
「す、ストーカーか....」
[ので、私が見極めましょう....あなたの事を]
バルディッシュがそこまで言うと、金色の球体が輝き形が球体から人型に変化していき、輝きが収まると、そこには戦闘準備の整ったフェイトが立っていた。
「フェイト!?」
[バルディッシュです]
「え、違うの?」
[この姿は私がSirのデータを元に形成した姿で、決してSir本人ではありません]
「そうなのか、でも何で....」
[ウルトラマン、あなたと戦う為ですよ]
「!? 待ってくれ、俺は」
[問答無用だ、ウルトラマン........それに、貴方にとっても悪い話じゃありませんよ]
「何?」
[単純な事です、私と貴方が戦って貴方が勝ったらこのサイバー空間に隠れる事を承諾しましょう]
「!!.......俺が負けたら?」
[勿論、大人しく出ていってもらいますよ.....どうです?貴方が戦おうと戦かわまいと、これから数秒後私は貴方に斬りかかるつもりですが....]
バルディッシュが金色の刃を展開して鎌をオーブに向ける、オーブは一瞬動揺するが深呼吸するとバルディッシュに向かってファイティングポーズを取る。
「それでフェイトの秘密を知れるなら.....やる!!!」
[やる気になったようですね]
「.....いくぞ」
[こい...!]
オーブは飛んでバルディッシュに接近し距離を詰める、バルディッシュはそこから動かずにオーブの動きを観察する、オーブはゼロ距離まで詰めるとバルディッシュに数発パンチを繰り出す、バルディッシュは鎌を器用に使いながらオーブの攻撃をいなす、隙をついてバルディッシュはオーブの腹部を鎌で斬りつけるが、オーブには全く効いていなかった。
[!?..硬っっ]
「ライトニングアタッカーは防御面に優秀なんだぜ!!」
動きの止まったバルディッシュにオーブは蹴りを打ち込みぶっ飛ばす、バルディッシュは咄嗟に受け身を取り体勢を整えるが、そこにオーブがさらに追撃する。
[っっ...!!]
「まだだ!!」
バルディッシュが鎌を振り下ろすが、オーブはそれを片手で防ぎ空いた手でバルディッシュの腹にチョップを打ち込み怯んだ隙に更にもう二発パンチを打ち込み最後に蹴りを放つ、バルディッシュは鎌を盾にして蹴りを防ぐがその威力に吹っ飛ばされてしまい、バルディッシュは受け身を取れずに電脳空間に落ちる。
[っ、う......強いな]
「こっちだって鍛えてるのさ!!...続けるか?」
[......当たり前ですよ]
バルディッシュはそういって立ち上がり特に構える事無くオーブを見据える、その時オーブはバルディッシュの雰囲気が変わるのを肌で感じた。
(?....何だ、雰囲気が変わった?)
[貴方の強さ感心しましたよウルトラマン......これからは私も本気で行きますよ]
「.....今までは本気じゃ無かったと?」
[ええ、これからが本当の戦いです]
「ダイナさんみたいな事を、はぁ!!!」
オーブはバルディッシュに向かって走り出す、が、バルディッシュはそれをただ見ているだけで一向に動こうとしなかった。
(動かない!?どういう事だ、だが!!)
「はあぁああ!!!」
ゼロ距離まで詰めてオーブがバルディッシュにパンチを放った瞬間、バルディッシュはその場から忽然と消える。
「何!?..っっ!!」
突然オーブの背中に衝撃が走り、オーブはその場でふらつく、咄嗟に後ろを見ると、そこには鎌を振り下ろしたバルディッシュがいた。
「何で!?」
[さぁ、何故でしょう?]
オーブはバルディッシュに向かって走り出すが、突然バルディッシュの鎌が目の前に現れ、オーブは速力も相まって鎌に直撃してその場で一回転し背中からサイバー空間に落ちる。
「っっあ!?」
[フッ]
オーブは笑みを浮かべるバルディッシュを見て、さっきバルディッシュがした事を理解する。
オーブは体勢を整えてバルディッシュから離れる。
「っっ、『テレポート』かさっきからやってるのは!!」
[まぁ、そういう所ですね、より正確にいうのなら『私が私の位置を書き換えてる』って事ですがね]
「位置を書き換える!?」
[サイバー空間とはデータで出来た空間、貴方は私の干渉を受けないようですが、貴方を除いた今この空間内におけるすべてのデータは私が管理しているのですよ? その私がそのデータを書き換えれば、それらはこのサイバー空間内において現実になり現象として起こる、私が今ここに居ようと、私の位置情報を書き換えれば私はそこに居ることになる]
「なるほどな..」
[そう、だから私はこの空間においてこんな事も出来る........アークセイバー!!!!]
バルディッシュがオーブに向かって鎌を振ると光刃が発生し、真っ直ぐオーブに向かって飛んでくる、オーブは叩き割ろうと拳を構える、それを見たバルディッシュは光刃に手を向ける、瞬間、光刃一瞬光ると光刃は数百個に増えてオーブに襲いかかる。
「何だと!?」
オーブはパンチを繰り出して光刃を破壊するが、すべて破壊する事は出来ずに数百の斬撃がオーブを襲い全身を切り刻む。
「があぁぐぅぅ!?」
数百という斬撃の雨が止みオーブはその場に膝を付いてしまう。
「っぁ、く」
[まだですよ、ウルトラマン]
「何!?」
[言ったでしょう、本当の戦いはこれからだと]
バルディッシュはそういってその場で回りだす、すると電脳空間の光がバルディッシュに集まっていき、突然巨大な光がオーブを包み込む、オーブは顔を腕で覆う。
オーブが顔を覆った腕を下げると目の前には、数百人に分身したフェイトの姿をしたバルディッシュがいた。
「嘘だろ...!? そんなウルトラマンマックスみたいな事出来るのかよ!?」
[データの複製、Sirの戦闘データ、身体データを元に分身を作るのは容易い事、もっともそれらをコントロールする、いわば本体は一人だけですがね]
「く、ぐぅ」
[一つ言っておきましょう....]
「っっ!?」
[このサイバー空間で私に勝つ事は出来ない!!]
数百人のバルディッシュはオーブに向かって一斉にビームを放つ、オーブは急いでバリアを張ってそれを堪える。
「ぬっぐぐぐ、っ、ああ!!」
[ハア!!!!]
バルディッシュ達は更にビームの威力を上げ、バリアは破られオーブはビームの直撃を受けて吹っ飛ぶ。
「がぁぁあああ!?」
[そら、まだまだ行きますよ!!]
分身達は金色の刃を展開してオーブに次々と突っ込んでいく、オーブは咄嗟に分身達を迎え撃つ。
オーブは二人の分身の斬撃をいなすとその二人を蹴りで吹っ飛ばす、が更に二人が現れオーブの両腕を二人で押さえる、その隙にもう一人の分身がオーブに連続で斬撃を食らわせる。
オーブは斬撃に怯みながらも両腕を押さえてる分身を振りほどき、斬撃を繰り出す分身もろとも蹴り飛ばす、そこに五人の分身が現れて、分身達はオーブに向かって一斉に魔弾を発射する。
オーブは後ろに飛びながら魔弾を回避する、すべての魔弾を回避した瞬間、金色の鎖がオーブを足を固定し、数十人の分身達が高速でオーブに斬りかかる、オーブは防御が遅れて全身を斬られる、斬られた部分からは火花が飛び散りオーブは苦しみの声を上げる、斬撃が終わるとオーブの前に数十人の分身が出てきて一斉にビームを放つ、オーブは咄嗟に腕をX字にして光線を放つが押しきられ、ビームが直撃しオーブはまた吹っ飛ぶ。
「っっ、がぁ!?」
オーブはふらふらと立ち上がりバルディッシュ達を見据える、それと同時に胸のカラータイマーから音がなり赤く点滅し始める、それはオーブに限界が近付いている事を意味していた。
異空間内でカイはこの状況を打破する方法を考えていた。
「はぁ、はぁ、ヤバイな、このままじゃ......どうする、フォームチェンジするか?いや、バーンマイトがバルディッシュの影響を受けたのを考えるに、ライトニングアタッカーじゃないとまずバルディッシュと同じ土俵にすら立てない.......もしくはフルムーンザナディウムか、いや駄目だフルムーンザナディウムの能力上、この戦いには向いてない、何か手は!?」
瞬間、カイの目の前にギンガとエックスのカードが現れて、カイに何かを訴える。
「何です? ギンガさん、エックスさん.......まだ足りない?」
[シャオラァ!!!]
[イィィス!!]
「!....できるんですか!?...でも、使えるのかは.....」
[セェィア!!!]
[エェィサァ!!!]
「自信を.......わかりました、お二人の力もっとお借ります!!!!!」
カイがそう叫ぶと同時に、オーブは両腕を構える。
バルディッシュはオーブが何かしようとしているのを察知する。
[何を企んでる? しかし!!!]
分身達はオーブを囲いエネルギーを貯める、そしてバルディッシュはオーブに向かって叫ぶ。
[これで終わりだ、ウルトラマン!!]
全方位からオーブに向かって一斉にビームが放たれ、ビームはオーブに直撃し、オーブは爆発に包まれる。
[やったか!?]
爆発の煙が消えてバルディッシュは驚愕する、何故なら爆煙の中でオーブは悠然と立っていたのだ、
オーブがビームの直撃を食らう寸前に着けたその鎧はウルトラマンエックスの能力である、怪獣の力を解析して作り上げたそれらの鎧の名を『モンスアーマー』そして今オーブが着けているアーマーの名前は!!!
「ゼットンアーマー!!!!」
「できた、はは、出来たぜ!!」
[なんだ、それは!?]
「こいつはゼットンアーマー、エックスさんの怪獣との絆で作った鎧さ!!」
[絆....]
「さぁ、反撃といくぜ!!!」
オーブはアーマーからゼットンシャッターを展開して、その場で回り始める、分身の一人がオーブに向かって魔弾を発射するがゼットンシャッターに当たった瞬間くだけ散る。
[なるほどさっきはあれを展開して防いだのか!?]
オーブは回転が一定の速度になると、トルネードを発生させながらそのまま分身達に突っ込んでいく。
「ゼットントルネードだぁぁぁぁ!!!!!」
分身達はテレポートを駆使して避けるが対応出来ずに数十人の分身達はゼットントルネードによって消滅する。
オーブはそのままバルディッシュ達の上に移動するとゼットントルネードを止めて、バルディッシュ達を見下ろす。
「まずは分身を消す!! はぁぁぁぁ!!!」
オーブが力むとクリスタル部分が赤くなり燃え上がる、それと同時にオーブの周りには火球が生成される、そしてオーブは腕のアーマーをバルディッシュ達に向けてその場で回り始め、そして思い切り叫ぶ。
「くらえ!!! ギンガファイヤーボール&ゼットン火炎弾だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」
[こ、これは!!?]
オーブは超広範囲に火球と火炎弾を雨霰のようにばらまく、バルディッシュ達はテレポートしながら避けようとするが、あまりの弾幕の密度に耐えいきれず次々と分身達は火球と火炎弾に直撃し消えていく。
[まずい、分身達が!?!....がぁ!?]
ついに火球がバルディッシュの本体に直撃する、バルディッシュが怯んでる所にオーブは接近していく、バルディッシュは分身を使って足止めしようとするが、既に分身は全滅していた。
[な....に!?]
「お前に時間は与えない!!」
[くぅ、サンダースマッシャー!!!!!]
バルディッシュはオーブに向かってビームを発射する、オーブはゼットンアーマーを解いて新しいアーマー装着する。
「エレキングアーマー!!!! エレキング電撃波!!!!!!」
オーブは右腕に着いたアーマーから電撃を放ち、オーブの電撃とバルディッシュのビームは衝突しせめぎ合う。
[ぬぅ、ぐぅぅぅぅ!!!]
「ま.......だぁぁ!!!!!」
オーブが空いた左手を上に上げるとクリスタル部分が今度は黄色に輝き雷を放ち始める、そしてあっという間にオーブの左手には黄色に輝く電撃を放つ銀河が生まれる。
「重ねがけだ!!!! ギンガサンダーボルト!!!!」
オーブが左手を振り下ろすと黄色の銀河はアーマーから出ている電撃と合わさり一気にバルディッシュのビームを押し返し、バルディッシュに直撃する。
[ぬぅがぁぁ!?]
「エレキングアーマー解除、ゴモラアーマー!!!」
オーブは新しいアーマーを着てバルディッシュに高速で接近して羽交い締めにする。
「捕まえたぜ、バルディッシュ!!!」
[この程度、位置を書き換えてしまえば....!?]
「テレポート出来ねぇだろ?」
[な、何を!?]
「ゴモラアーマーを通してお前にウイルスを流しているのさ、お前のデータ書き換え能力を阻害するウイルスをな!!!」
[なん......だと]
「そして食らえ!!!」
オーブは両腕にあるアーマーにエネルギーを貯める、バルディッシュは何とか抜け出そうと動くが抜け出すことはできず、アーマーのエネルギーが満タンになりオーブは力強く叫ぶ。
「ゴモラ振動波ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
[ぐぁぁぁぁぁぁ!?]
ゼロ距離で協力な爆発が起きてバルディッシュは吹っ飛ばされる、その中でバルディッシュは確と見た、アーマーを解き体を丸めてエネルギーを貯めるオーブの姿を。
「俺はフェイトを知りたい、力になってやりたい、ウルトラマンとしてだけじゃない、一人の男として!!! その為に俺は負けない!!!」
[!......成る程]
「終わりだ!!」
「アタッカァァァギンガエェェェクス!!!!!」
[....これが、ウルトラマンか]
オーブは体を大の字にしてX状のエネルギー波を放ち、そのエネルギー波はバルディッシュを飲み込み大爆発した。
オーブは静かに爆煙を見据える、すると中から金色の球体状のバルディッシュが出てきてオーブの前にやってくる、オーブは素早くファイティングポーズを取るがバルディッシュがそれを止める。
[待ってください....私の敗けです]
「え、い、良いのか!?」
[ええ、この勝負は貴方の勝ち、貴方がこのサイバー空間に隠れる事も承諾しますよ]
「よ、よっしゃぁ!!!....あ、そうだ、なあ一つ聞いて良いか?」
[なんです?]
「なんでわざわざ戦いを選んだのかそれを知りたくて」
[簡単ですよ、貴方を見極めるためです、貴方がSirを本気で思っているか、というね]
「ふむ」
[私は人の思いの力を信じてます、さっきも言った通りこのサイバー空間は私の思い通りになる場所です、それでも貴方が本気でSirを思ってるならこの空間内でも私を倒せる筈だと、私に負ければ貴方の思い等その程度の物、そんな奴にSirは任せられません]
「つまり、俺は認められたってことか.....ふふ」
[? 何笑ってるんですか?]
「いや、嬉しくてさ.....バルディッシュにアルフさん、フェイトを大事に思っている人がちゃんとフェイトの周りにいて」
[.......そう、ですか]
「? バルディッシュ?」
オーブは会話の中でバルディッシュが落ち込んだように感じた、ふとバルディッシュがオーブに話し掛ける。
[これから、貴方はSirが戦う理由を目の当たりにします......私から詳しい事は言えません、ただ一つ......一時の感情に身を任せないでください、もしそうなればきっと悪い方向に事が進むでしょうから]
「それって....?」
その時
カイ「ここがフェイトの家」
フェイト「今帰りました」
アルフ「もしもの時はあたしが....!!!」
カイ「こんな事が!!?」
バルディッシュ[何か、まずい気がする....ウルトラマン!!]
次回「悲劇が生んだ悲劇」