インフィニット・ストラトス 蒼空に鮫は舞う   作:Su-57 アクーラ機

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 以前に投稿していた小説のリメイクとなっています。

 知識が至らず、「?」と思われる設定や文章が見受けられるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。










プロローグ

 某所上空

 

 

《こちらタイガー・ワン、複数の敵機と接触。ミサイルをロックされている》

 

《了解、援護に向かう》

 

 

《ミサイルだ! ホーク・スリー、右へ回避! フレアもありったけぶち撒けろ!》

 

ブレイク(急旋回)する!》

 

 

《フォーメーションを組み直せ。数で押す》

 

 どこまでも青い空にまばらに浮かぶ黒煙、断続的に鳴り響く爆音。墜とし墜とされの戦いを繰り広げる敵味方の戦闘機。

 

《ウォーバード・ワン、ウォーバード・ワン! 1時方向に敵機!》

 

「任せろ、バード・ツー」

 

《了解。後ろに付きます、隊長》

 

 僚機からの無線に反応し、直ぐさま敵機の背後をとって機関砲のトリガーを引く。その間僅か数秒。

 しかし、その数秒で全身を孔だらけにされた敵戦闘機は破片や燃料を撒き散らしながら墜ちていった。

 

「敵機撃墜!」

 

《ナイスキル、ウィル! さすが、【サメ(アクーラ)】の名は伊達じゃありませんね!》

 

 ウィルの愛称で呼ばれたパイロット──ウィリアム・ホーキンス空軍中佐。彼は自身の乗機を巧みに操りながら次の敵機を探し、襲い掛かる。

 

《クソッ、奴だ! (サメ)野郎だ! 誰か援護してくれ!》

 

 ふと、無線機から誰かの焦燥しきった声が響いた。

 

《畜生、どこまでもついて来やがる……!!》

 

 苛立ちの籠った声と共に、僅かにレーダーロック警報の音も聞こえる。そして何より【鮫野郎】と言う単語。

 声の主は、現在進行形で回避行動をとっている敵機のパイロットだ。何かの拍子に無線が混線してしまったらしい。

 

「逃がさん……!」

 

 敵機を空対空ミサイルの射程内に収めたウィリアムは、操縦桿の赤いボタンをカチリと押す。

 バシュゥゥゥ! と言う音と共に機体主翼のハードポイントから射出された空対空ミサイルは逃げる敵機に狙いを定めて突入し、エンジン部を吹き飛ばした。

 

「よし、もう1機も墜とした!」

 

 破片に巻き込まれないように機体をバレルロールさせながら爆炎を通り過ぎる。

 

【鮫野郎】とは敵が恨みを込めて付けてきた渾名だった。彼、ウィリアムが搭乗する機体には機首にシャークマウスがペイントされていて、加えて彼自身の空での名前も【アクーラ(サメ)】である。

 それ故に敵に【鮫野郎】と呼ばれる他、味方からも【鮫】や【シャーク】と呼ばれたりしていた。

 

《バンディットフィニートォ! 今日の俺は絶好調だぜ!》

 

 無線越しにハイテンションな声を上げているのは、ウィリアムが隊長を務めるウォーバード隊の2番機であるパイロット──ガッツだ。

 

《隊長、こいつら航空学校ぐらいは卒業して来たみたいですね》

 

「おいおい、連中が操縦してるのは民間のセスナ機じゃなくて武装した戦闘機だぞ?」

 

 共に幾度と無く死線を潜り抜けてきたガッツはウィリアムが最も信頼する部下であり、また冗談を言い合う旧知の仲でもある。

 

《ははっ、違いない。さぁて、敵も残り少ない。ちゃちゃっと片付けましょう!》

 

「もちろんだ」

 

 そう言って、未だ空域に残っている敵機を排除しに向かおうと機体を旋回させたその時、悲劇は起きた。

 

「ッ!!?」

 

 ボンッ! という爆発音と共に襲い来る凄まじい衝撃波。それによって座席の背もたれに強く押し付けられるウィリアム。

 

 粉々に割れ、強風が直接吹き付けるキャノピー。

 

 鳴り止まない警報。

 

 ノイズが走り続ける計器板。

 

 そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ク……ソッ……!」

 

 ──飛び散った鮮血。

 

 コックピットのすぐ正面で突如として何かが炸裂した(・・・・・・・)のだ。

 

「グッ……!?」

 

 混乱する思考を無理に引き戻し、何とか機体の姿勢を整えようと操縦桿を動かした途端、腹部に鋭い痛みを感じてウィリアムは顔を歪める。

 ゆっくり視線を這わすと、そこには幾つもの鉄片が突き刺さっていた。敵味方どちらかの機が発射したミサイルが流れ弾となり、そこに運悪くウィリアムがいたのだ。

 

《中佐ッ!! 中佐、聞こえますかッ!?》

 

 霞む視界の中、ガッツが必死に呼び掛けてくる。

 

《中佐、機体から火が出ています! 脱出して下さい!》

 

 その言葉にウィリアムはだんだんと痛みの感覚が麻痺してきた体に鞭打って、股下の緊急射出(ベイルアウト)用のレバーを両手で引いた。

 が、しかし──

 

「……ダメだ、反応しない……」

 

 何度か試したが、射出レバーはうんともすんとも反応しない。

 

《そんな……!? 中佐、射出です! もう1度!!》

 

「ふっ……! ぐ……!」

 

 言われた通りもう1度レバーを引くが状況は変わらず、本来ならロケットモーターで飛ぶ筈の座席は無反応だった。

 

「反応無し……。機器がイカれたか……フレームが歪んで……配線が切れた……か……」

 

《中佐、どうしたんですか!?》

 

「っ……。……………」

 

《ッ!? まさか……! ダメです中佐、諦めないで下さい!》

 

 (まぶた)が徐々に重くなり始め、呼吸も浅く短いものになっていく。

 

「(あぁ……俺は、死ぬのか……?)」

 

《中佐、目を閉じちゃダメだ! 中佐……ウィルッ!!》

 

 そんなガッツの叫びにも似た声も、とうとう漠然としか聞こえなくなってきたところで、ウィリアムの意識は途絶えた。

 

 

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