インフィニット・ストラトス 蒼空に鮫は舞う 作:Su-57 アクーラ機
キャノンボール・ファスト当日。
会場は超満員で、空には花火がポンポンと上がっている。
「おー、よく晴れたなぁ」
「青空ってのは、やっぱり気持ちの良いもんだ」
秋晴れの空を見上げながら、俺は日差しを手で遮る。
今日のプログラムはまず最初に2年生のレースがあって、それから1年生の専用機持ちのレース、そして1年生の訓練機組みのレース。そのあと3年生によるエキシビジョン・レースだ。
「一夏、ウィリアム、こんな所にいたのか。早く準備をしろ」
「おう、箒。いやなに、スッゲー客入りだと思ってな」
「だな。よくこれだけの人数が集まったもんだ。収容過多で立ってる客までいるぞ」
「まあ、例によってIS産業関係者や各国政府関係者も来ているようだしな。警備だけでも相当な数だろう」
それを抜きにしてもこれだけの人数が集まるのだから、ISの注目度がどれほど高いのかが分かる。
何にしてもこの大観衆の前だ、
「(しかし、これだけの人数となると、いくら警備がいるといっても心配だな)」
以前、学園祭で遭遇した『
「(それに、大きなイベントがあるたびに俺達は何かしらトラブルに巻き込まれるからな、ったく……)」
「いてててっ!?」
頼むから何も起こらないでくれよ、と思いながら観客席の方を見ていると、いきなり一夏が悲鳴を上げた。
振り向くと一夏の耳がグイィッと、誰かに引っ張られている。言わずもがな、引っ張っているのは箒だった。
「さっさと来い! まったく……子供じゃあるまいし」
「あ、あのなあ! 子供扱いしているのはそっち……いててて!」
「お前が来ないと私が先生に怒られるんだ! ウィリアム! お前も早く来い!」
「分かった分かった。すぐ行くから、取り敢えず一夏の耳を放してやれ。片方だけ
「まったく」
そう言って一夏の耳を解放して、ピットに向けて歩を進めていく箒。
「ははっ、真っ赤なお耳の一夏さんだな」
「笑い事なもんかよ。マジで千切れるかと思ったんだからな?」
「でも千切られてはいないだろ? ほら、もう片方も引っ張られる前に戻ろうぜ」
「確かに、こんな所で油を売っていても仕方ないしな」
そう言葉を交わして、俺と一夏もピットに戻ることにした。
わぁぁぁ……! と、盛大な歓声がピットの中にまで聞こえてくる。
今は2年生のレースが行われている。どうやら抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げているようで、最後まで勝者の分からない大混戦らしい。
「あれ? この2年生のサラ・ウェルキンってイギリスの代表候補生なのか」
「おお……。よくもまあ、訓練機であれだけの操縦ができるもんだ」
「ええ。専用機はありませんけど、優秀な方でしてよ」
わたくしも操縦技術を習いましたもの、と付け加えるセシリア。その姿はすでにIS【ブルー・ティアーズ】の高速機動パッケージ『ストライク・ガンナー』を展開している。
同じく、俺と一夏もISを展開してレースの準備に取りかかった。
「セシリアのやつ、やる気満々だなぁ。俺も負けないようにしないと」
「一夏、その意気込みは大いに結構だが、間違っても壁に――」
「イチゴジャムをぶちまけるなよ」
「イチゴジャムをぶちまけるなよ、だろ?」
「分かってるじゃないか。熱くなるのはいいが、頭の中はクールにしていこうぜ」
「おう」
ピットには俺や一夏、セシリア以外にも参加者である箒、鈴、ラウラ、シャルロットが控えている。
みんな各々のISを展開してレースの準備に取り組んでいた。
「それにしても、なんかゴツいな鈴のパッケージ」
「ふふん。いいでしょ。こいつの最高速度はセシリアにも引けを取らないわよ」
「まさにジャガーノートといったところだな。こいつは
「それを言うならウィルもだけどな。ヤバすぎだろ、その背中のガトリング砲……」
「うわっ、ほんとだ。アンタそれで何を撃つ気よ」
「ふっふっふっ……。なんだと思う?」
「言わなくても分かるわよ……」
鈴の専用機【
衝撃砲が真横を向いているあたりは、妨害攻撃のためなのだろう。
「(キャノンボール・ファストのためだけにあるような仕様だな)」
そういう意味では、俺達の中では一番有利かもしれない。
セシリアのパッケージは本来
「ふん。戦いは武器で決まるものではないということを教えてやる」
そんな格好いい台詞を言ったのは箒だった。
エネルギー不足にかなり頭を悩ませていたそうだが、展開装甲をマニュアル制御することで問題を解消したらしい。
「戦いとは流れだ。全体を支配する者が勝つ」
3基の増設スラスターを背中に装備したラウラが話に入ってくる。
専用装備ではないとはいえ、新型のスラスターは性能的に十分らしく、今回のレースも自信があるらしい。
「みんな、全力で戦おうね」
そう言って締めたのはシャルロットだった。ラウラと同じく3基の増設スラスターを肩に左右1基ずつ、背中に1基配置している。
元々カスタム仕様のシャルロットの機体はオーダーメイドのウイング・スラスターを装備しているが、そこにさらに出力を足した形になっている。
「みなさーん、準備はいいですかー? スタートポイントまで移動しますよー」
山田先生の若干のんびりとした声が響く。
俺達は各々
移動する
「(エンジン回転率よし。操縦システム及び火器管制システムにも異常なし。ロックンロールと行こうぜ、相棒)」
『それではみなさん、これより1年生の専用機持ち組みのレースを開催します!』
大きなアナウンスが会場に響き渡る。
俺はジェットエンジンの出力を
キィィィィィィィンッッ!!
聞き慣れた甲高い音をBGMにハイパーセンサー・バイザーを下ろし、俺は意識を集中させる。
超満員の観客が見守る中、シグナルランプが点灯した。
3……2……1……GO!!
「ッ……!」
急激な加速で俺を置いて行く6機のIS。こちらも負けじとアフターバーナー全開で追跡を開始する。
「(まずはセシリアが先頭に立ったようだな)」
あっという間に第1コーナーを過ぎ、セシリアをトップにして列ができる。
「さぁて、ここから勝負をかけさせてもらうか」
俺は前方を飛ぶ箒に狙いをつけて30ミリ ガトリング砲『アヴェンジャー』を発砲した。
その砲弾をかわそうと機体をわずかに上昇させた
さらに、その先で鈴の衝撃砲を横ロールで回避していたシャルロットをも追い抜き、俺は一気に順位を押し上げた。
「よし、この調子で――」
刹那、前方から大口径リボルバー・キャノンの砲弾が飛来する。
「……行けるわけないよなっ!」
命中する寸前で機体を傾けると、ヒウンッ! と風切り音を立てながら鉄の
「(この正確な実弾射撃はラウラか……!)」
あんなものが被弾したら、例え直撃しなかったとしてもコースアウトは
実際に目の前でコースラインから
「くっ! さすがに
なおも続くラウラの
下手に近づけば被弾の確率は上がるが、だからといってこんな所で大人しくしているつもりもない。
「一夏! 横、失礼するぜ!」
「おおい、マジかよ!?」
回避機動によって速度を減退させる一夏を抜き去り、俺は弾幕の中へと突っ込んだ。
「やはり追い付いてきたか、ウィル」
「ビリっけつを飛ぶのは
「ふっ、それでこそ私の嫁だ」
ニヤリ、と楽しそうに口元を歪めるラウラ。
「だが……」
しかしそれも一瞬のことで、すぐさま鋭い目つきとなった彼女は、早速俺に対して
「そう
「言われなくとも分かってるさ!」
ロールやヨーイング、
ヘッドギアのノーズに収められた火器管制レーダーが正面のラウラを
――
ビーッという電子音が鳴って、ラウラに重なっていた照準サークルが緑から赤に変色する。
そして、開放した右ウエポン・ベイから『スカイバスター』を発射しようとした瞬間、俺はいきなり背後からの銃撃に襲われた。
「
悪態をつきながらバレルロールで緊急回避を行う俺の真横を、オレンジ色の機影が高速で通過して行く。
「ウィル、お先に」
「シャルロット! 仕掛けてきたか!」
「キャノンボール・ファストはタイミングが命だからね。それじゃ」
さらに出力を上げたシャルロットが、ラウラへとジワジワ肉薄して行く。
落ちた順位を巻き返そうとする俺の後ろでは一夏と箒が接近しての格闘戦を繰り広げていた。
「やるな!」
「そう簡単に墜とされるかよ!」
そこへさらに復帰したセシリアと鈴も加わって大混戦へと発展する。
ドンッ! と、目標から外れた衝撃砲の砲弾がコースの緩衝壁に当たって爆ぜた。
「レースはまだまだ!」
「これからが本番よ!」
白熱するバトルレース。それが第2ラップに突入した時に、異変は起きた。
――警告! 識別不明機1機が接近中! 武器システムの起動を確認!――
「なに……?」
ハイパーセンサーが発する警告に
短距離・広範囲の設定にしていたそれは、前を飛ぶラウラとシャルロット以外にもう1つ光点を点滅させていた。
「――ッ!? ラウラ! シャルロット! 左右に回避機動を取れ!!」
確証の無い、ただの
「ぐぅっ!?」
「あああっ!」
しかし俺の声が届くよりも先に、2発のレーザーがラウラとシャルロットを容赦なく撃ち抜いた。
「あは♪」
コースアウトするラウラとシャルロットを見下ろす襲撃者。
バイザーに隠れて顔をしっかりと確認することはできないが、その口元は確かに笑みを作っていた。
「クソッ! ラウラ!」
「大丈夫か! シャル!」
俺と一夏はすぐさま壁に激突した2人の元に駆けつける。
俺はラウラとシャルロットを離れた場所へ退避させるため2人を引き上げ、一夏は『雪羅』のシールドエネルギーを展開して防御支援に
次の瞬間、BTライフルの追撃が降り注いだ。
「くっ……! 攻撃が激しい……!」
「チッ! トドメを刺そうってか……!」
「お2人とも! あの機体はわたくしが!」
「セシリア!? おい!」
「待て! 1人で行くな!」
「BT2号機【サイレント・ゼフィルス】……! 今度こそ!」
俺達の制止を聞かずに、セシリアは単機で襲撃者――【サイレント・ゼフィルス】へと向かって行く。
しかし、高機動パッケージを装備している今のセシリアは、通常時と違ってビットの射撃能力が封印されている。そのための大型BTライフルらしいが、火力が落ちているのは事実だ。
「一夏っ! ウィルっ! 2人は任せたわよ!」
【サイレント・ゼフィルス】に向かって行くセシリアを、慌てて鈴が補佐する。
セシリアのレーザー射撃、そして鈴の衝撃砲が一気に目標に対して放たれる。
「逃がしませんわ!」
「いけえええっ!」
しかし、【サイレント・ゼフィルス】は特に回避することもなく、それどころかのんきに鼻歌まで歌っている。
攻撃が直撃する瞬間、パァンッとビーム状の
「なっ……!?」
「くっ! やはり、シールドビットを……鈴さん! 多角攻撃! 一度に行きますわよ!」
「あたしに指図しないでよ! ったく、付き合ってあげるけどさあ!」
セシリアと鈴の多角攻撃が始まる。それに合わせるように、【サイレント・ゼフィルス】は飛翔した。
「あれはイギリスの機体が強奪されたものだ……」
「ラウラ! よかった、なんとか無事だったか」
「ああ。世話をかけたな。もう降ろしてくれていい」
「その状態で動いても平気なのか?」
「直接戦闘には加われないが、固定砲台くらいにはなれるだろう」
言うなり、地面に足を降ろしたラウラは【サイレント・ゼフィルス】に向けて砲撃を始める。
しかし、圧倒的な機動性能に
「速いっ……!」
セシリアと鈴を相手にしながら、ヒラヒラと舞い踊るように【サイレント・ゼフィルス】は
「一夏! ウィル! ここは僕が! 2人は箒と一緒にセシリア達を!」
「シャル! ダメージは!?」
「スラスターが完全に死んじゃったよ。PICで飛ぶことはできるけど、あの機体相手じゃ追いつけない」
そう言ってシャルロットは増設スラスターを切り離す。グシャリとひしゃげたそれはスクラップ同然で、もう空を飛ぶことはないだろう。
「支援砲撃するラウラの防御に回るから、2人は行って!」
「分かった!」
「任せたぞ!」
ラウラの防御をシャルロットに任せて、俺と一夏は【サイレント・ゼフィルス】に向かって飛び出す。
途中で箒と合流し、連携して攻撃を仕掛けた。
「うおおおっ!」
「はあああっ!」
「可愛がってあげる」
一夏と箒の格闘攻撃に、ライフル先端に取り付けた
「墜ちろっ!」
俺はその頭上を取って『ブッシュマスター』の30ミリ
「狙いは何だ! 『
「一夏! こんなクズどもに答える根性なんざ無いさ!」
「ふふっ♪」
「なっ……!?」
刹那、【サイレント・ゼフィルス】は一夏の斬撃を受け流し、そのまま蹴りを浴びせる。
「ぐっ!」
「一夏っ!」
ライフルのゼロ距離射撃を、箒がギリギリのところで突進して防いだ。
しかし、それならとばかりに【サイレント・ゼフィルス】はBT
「こんなものっ!」
シールドモードの『雪羅』でその射撃をどうにかさばく一夏。
しかし、防御に意識を割かれるあまり、そのまま壁に背中から激突した。
「がはっ!」
致命的な
「もう少し遊びたかったんだけどなぁ」
バカッと中央から割れたライフルが、最大出力で一夏を狙う。
「ちくしょうっ、一夏ぁ!!」
周りを飛んで妨害してくるシールドビットを避けながら、俺は一夏の元へ全速力で飛ぶ。
これだけ妨害されている中では機銃の狙いを定められない。ミサイルも今からロックしていては間に合わない。
バチバチと放電状のエネルギーを溢れさせるそれが、一夏に向かって放たれた。
▽
「ん~~、さすがはゲイマーくんだぁねぇ。あれだけの専用機持ちを相手に、よく立ち回れるものだよぉ」
キツい度の入った
男の見た目は恐らく60代手前。痩せ細った体を白衣に包み、本人の趣味なのか前歯の1本は純金の輝きを放っている。
「しかしぃ、彼らも大したことないねぇ。もう少し頑張ってもらわないとぉ」
いやにネットリとした口調で呟く男の背中に、声がかけられた。
「あら、イベントに強行参加しておいて、その言いぐさはあんまりじゃないかしら」
男は振り向かず、不気味な笑みをさらに濃くする。その声の主ならもう分かっているから。
――
「IS【
「よくご存知ね。でもそれは前の名前。今は【ミステリアス・レイディ】と言うの」
「ほぅ……」
男がゆっくり振り向く。刹那、壁の陰から現れた『ISに似た何か』が凄まじい速度で楯無に斬りかかった。
「あら、こんなか弱い女の子に対して酷いことするのね」
瞬間的にISを展開した楯無は、それを
襲いかかってきた機体は全体的に灰色をしていて、まるで女性の体をそのまま
しかし、その胴体には釣り合わない巨大な左腕とブレードが一体化した右腕のアンバランスさが異様な雰囲気を
「『
「残念だけどぉ、それは言えないねぇ」
「無理矢理にでも聞き出して見せるわ」
「君にできるのかねぇ? 更識 楯無くぅん」
「やると言ったわ、
敵機の腹を蹴り飛ばし、同時に蛇腹剣を捨ててランスを呼び出す。
4連装ガトリング砲を内蔵しているそれは、形成するなり一斉に火を噴いた。
ドドドドドドッ――!!
「……………」
正確に相手を捉えた楯無だったが、しかし人間離れした反応速度で体勢を立て直した敵機には届いていない。
「どうだね、私の作品はぁ。素晴らしいだろぉう?」
「悪趣味な見た目のせいでマイナス点ね」
「おやおや、酷いこと言うねぇ」
わざとらしくガッカリした表情をする男は「まあいいか」と言って、楯無に背を向けて歩き始めた。
「待ちなさい! 逃がしてあげるなんて一言も言ってないわ!」
「私ももう少し観戦していたいが、まだまだやることが残っていてねぇ。ここいらで失礼するよぉ」
逃げる男を追おうとするが、まるで主を守るかのように敵機が間に割り込む。
「通さない、と言いたいわけね……!」
『……………』
水のドリルを
と次の瞬間、その灰色の胴体が内側から膨れ上がり、ズドーンッ!! と大爆発を起こした。
「自爆!?」
もうもうと黒煙が立ち込める。
幸い楯無にダメージが行くことはなかったが、ISのハイパーセンサーからはすでに男の姿が消えていた。
「くっ……! これで2回連続で取り逃がしたわね……」
正面からの対決なら、楯無はかなりの力を持っている。
しかし、相手が逃走に全力を注げば、逃がしてしまうこともある。楯無も人間なのだから、何もかも完璧にはいかない。
「(この機体、無人機だったのね。だから自爆なんて真似を……)」
クズ鉄と化した敵機の残骸を見下ろす楯無は、「はぁ……」と溜め息をこぼす。
「(……いいとこ無しじゃない、最近。一夏くんやウィリアムくんのことからかえないわね)」
いつもの茶化した態度とは違う、本当に悔しそうにしている楯無がそこにはいた。
▽
「きゃあああっ!」
「「鈴!?」」
【サイレント・ゼフィルス】のBTライフル最大出力射撃を受けた鈴は、強く弾き飛ばされる。
「無茶しやがる……!」
「ば、バカ! なんで俺なんかをかばって……おい! 鈴!」
「うっさいわね……。アンタがノロいからよ……ゲホゲホッ!」
「鈴!!」
身代わりになった鈴は、一夏に向かって拳を突きつけると、それを最後に意識を失った。
どうやら、ISが致命的なダメージを受けた時に操縦者ごと意識を失ってしまう最終保護機能が働いたらしい。しばらく鈴が目を覚ますことはないだろう。
「クソぉっ!!!」
一夏が体を起こすが、その時にはすでに『雪羅』のエネルギーが底を尽いていた。
そして再び、今度はシールドの無い状態で【サイレント・ゼフィルス】の攻撃が向けられる。
「2度もやらせると思うか!」
「させませんわ!」
発射直前、俺は機銃掃射で【サイレント・ゼフィルス】に回避機動を
「ウィル! セシリア!」
「一夏! 今のうちに箒から補給してもらってこい!」
「それまでわたくしがこの場を引き受けましたわ!」
セシリアは【サイレント・ゼフィルス】の両腕を押さえつけるように飛翔し、そのままアリーナのシールドバリアーに押し込む。
スラスターを噴かして何度も叩きつけるように突進していると、バリアーが4回目の突進で割れた。
そのまま割れたバリアーの隙間から、2機の青い機体が飛び立つ。
互いに一気に加速し、市街地へと飛び立って行った。
「おいおいおいっ! 市街地上空でやり合うつもりか!? ったく! とにかく一夏は補給を済ませてこい! いいな!」
それだけ言い残して、俺もバリアーの隙間からアリーナ外に飛び出す。
――警告! 火器管制レーダーの照射を検知! ロックされています!――
「!?」
先行したセシリアの支援に向かうため市街地上空を目指す俺に、またもやハイパーセンサーが警告を寄越してくる。
そしてその直後、ミサイル・アラートがけたたましく鳴り響いた。
「
「(こんな時に
捜索レーダーに視線をやると、ミサイルが飛来した方角に編隊を組む3つの光点を見つけた。短距離捜索モードにしていたがゆえに発見が遅れたらしい。
「
不明機編隊、なおも接近中。目視圏内まで、あと20秒。