こんな話作るはずじゃなかったんですよ。ただ僕の左手が勝手にやったんです。信じてください!僕は悪くない!
明久「騙されたぁ!」
雄二に騙され、Dクラスに逝かされた明久が教室に戻って最初の一言がこれである。この男はいつか詐欺に遭うんじゃないかな?
雄二「よし、じゃあ作戦会議するぞー。」
明久「雄二!やっぱり使者への暴行があったじゃないか!」
雄二「当然だ。そんなことも予想できないで代表なんて務まるか。」
明久「少しは悪びれろ!」
そんな言い合いをしている明久に瑞希と真司、美波が近づく。
真司「ずいぶんこっ酷くやられたな笑笑」
瑞希「吉井君、大丈夫ですか?」
まさに悪魔と天使である。
明久「大丈夫、ほとんどかすり傷だから。でも真司は止めてくれても良かったんじゃないかな?」
真司「何も知らん転校生の俺にあの場を止めろと?笑笑」
美波「吉井、本当に大丈夫?」
明久「島田さんも心配してくれるの?(いつか真司も同じ目に合わせてやる)」
真司「決意してるとこ悪いが、そうなったらお前俺の肉壁な」
美波「よかった、ウチが殴る余裕はまだあるんだ…」
明久「あぁっ…もうダメ!死にそう…(あれ?声に出してたっけ?)」
真司「お前の場合表情でモロバレだ」
瑞希「シン君、あんまり吉井君をいじめたらダメだよ?」
真司「ほいほーいっと」
雄二「屋上行くぞー」
明久「待ってよ、雄二」
〜屋上〜
何やら恐ろしげな美波とビビってる明久がいたが、まぁ気にしなくてもいいだろう。
雄二「さて、作戦会議を始める。明久!ちゃんと宣戦布告はしてきたか?」
明久「うん。一応昼休みが終わってからって伝えたけど」
真司「それじゃあ先に昼飯だな」
雄二「そうなるな。明久、今日くらいはまともな飯、食えよ」
瑞希「吉井君てお昼食べないんですか?」
明久「いや?食べてるよ?」
雄二「違うぞ明久」
明久「何が?」
雄二「お前の主食は水と塩だろ?」
明久「失礼な!ちゃんと砂糖と油も食べてるよ!」
そういう問題では無いと思う。こいつの生命力はゴキ⚪︎リ並か?
真司「お前…流石にそれはないだろ。しかも水と塩と砂糖と油って"食べる"とは言わんしな。」
秀吉「舐める、もしくは飲むが正解じゃな」
康太「………驚異の生命力」
雄二「ま、飯代まで遊びに使い込むお前が悪いよな」
明久「し、仕送りが少ないんだよ!」
真司「ようし、瑞希。携帯貸せ。」
瑞希「何する気?」
真司「こいつの親に現状を報告する」
明久「やめてよ!そんなことされたら僕はおしまいだぁ…てかなんで真司がうちの親の電話番号知ってんのさ?」
真司「仕送りが少ないんだろ?だったら親に頼むしかあるまい。それに電話番号についてだが、お前ん家に行ったら「明久がなんかしたら連絡してくれ」ってお前の母ちゃんケータイの番号くれたぞ?」
明久「あの人はなんてことしてくれてんだ!これじゃあ僕は平穏な毎日を送れないじゃないか!しかも僕がやらかすの前提なの!?」
真司「むしろやらかさないと思っていたのか?ハハッ、これは傑作だ笑笑」
明久「そう言われると何も言い返せない…」
美波「あんた、昔からってどんだけやらかしてんのよ…」
明久「それはともかく、作戦会議だったよね?雄二、なんでDクラスなのさ?」
真司「あ、話逸らした」
瑞希「あのぅ…もしよかったら明日、私がお弁当を作ってきましょうか?」
真司、明久、猛「ゑ?」
美波「機能停止してる吉井はともかく、藤堂、霧島、なんであんたたちまでそんな反応してんの?」
真司「島田さん、真司でいいぞ。君たちはこいつの料理に何が入っているのか知らないからそんなことが言えるんだ」ブルブル
猛「あれはトラウマものだったよ」ゲッソリ
秀吉「真司よ、どういうことなのじゃ?」
真司「こいつは昔から台所に立ちたがっていてな、あれは中学に上がる頃、だったか。その日はたまたま俺と猛が瑞希ん家に遊びに行っていたんだ。あの頃からこいつ、化学だけは得意だったんだよなぁ。」
〜中学入学3日前〜
瑞希「今日はみんなのために私がご飯を作るね!」
瑞希父「瑞希が作ってくれるのか!これは楽しみだ!」
瑞希母「あら、私の料理じゃダメっていうの?」
瑞希父「そういうことじゃない。父親なら娘の手料理を食べてみたいっていうのが夢なんだよ。な、真司君、猛君」
真司「おじさん、まだ俺ら小学生だからそれはわかんないよ」
瑞希母「それなら仕方ない。瑞希、包丁と火の扱いには気をつけるのよ?」
瑞希「大丈夫。私、この日のためにこっそり練習したの!」プクッ
姫路母「そう、それなら安心ね。何かあったら必ず呼ぶのよ?」
姫路父「真司君、君ならわかると思うが、今の瑞希の顔のおかげで僕の鼻から熱いリビドーが出そうだよ…」
真司「出たよ、親バカ」
〜瑞希、料理中〜
真司「なぁ猛、なんか悪寒がしないか?」
猛「兄さん、体調悪いんじゃない?大丈夫?」
真司「そういう悪寒じゃないんだよ。何かまずいものが出てくる気がしてな」
猛「そう?そんな感じしないけど。まぁ瑞希なら大丈夫でしょ」
瑞希「出来た!舌もとろける特製の肉じゃがです!」
瑞希父「おぉ、肉じゃがか!これはうまそうだ!」パクッ
瑞希「お父さん、つまみ食いはダメだよ」
バタッ
真司「おいおい、何が起きたんだ?猛、状況を説明してくれ。俺は理解できん」
猛「兄さん、偶然だね。僕もわからないよ。瑞希の手料理を食べてすぐ倒れたってことしか。」
真司「俺の感は正しかったのか…瑞希、これは何が入っているんだ?」
瑞希「特別なものは入ってないよ?玉ねぎとにんじんとじゃがいもと牛肉、それからしらたきだね」
真司「俺が知りたいのはそこじゃない。その辺なら見りゃわかる。調味料に何を使ったのかと聞いているんだ。」
瑞希「お砂糖とお塩、お醤油、みりん、それから隠し調味料だよ」
真司「そこまでは普通の肉じゃがだな。ん?隠し調味料?お前は隠し調味料と称して何を入れたんだ?それを入れなきゃ普通の肉じゃがなのに」
瑞希「それを言ってしまうと隠した意味がないんだけど、濃硫酸とクロロ酢酸、それに硝酸カリウムだよ」
真司「お前は料理を化学実験か何かと勘違いしてないか?わからないなら教えてやる。それでは質問だ。第一問、塩にクロロ酢酸を加えると何ができる?」
瑞希「私に化学で勝負を挑むの?クロロ酢酸ナトリウムと塩酸だよね?」
真司「正解だ。では第二問、硫酸に硝酸カリウムを加えると何ができる?」
瑞希「まだやるの?硫酸カリウムと硝酸だよね?」
真司「ここで気づいて欲しかったんだが仕方ない。では最終問題だ。塩酸と硝酸を混ぜると何ができる?」
瑞希「最後にしてはとても簡単ね。王水…あっ!」
猛「兄さん、王水ってなんだ?」
真司「お前が知らんのも無理はない。王水は高校行ってから習うものだからな。王水は金をも溶かす最強の酸化剤だよ。」
猛「サンカザイ?ってのがわからないけどとりあえずやばいってことだけはわかったよ…」
〜回想終了〜
真司「あいつは無自覚に化学兵器を作っていたんだ。流石に王水が出てきたときはビビった。俺も存在は知っていたが、この目で見る日がこんなにすぐくるとは思わなんだ。あいつが作った料理は文字通りおじさんの舌を溶かしかけたんだ…」
美波「瑞希、あんたすごいもの作ってたのね…」
瑞希「シン君、やめてよ!それは昔の話だよ!今はそんなことないのに!」
真司「本当か?俺はあれ以来好きだった肉じゃがが食えなくなったんだぞ?トラウマで」
瑞希「それは…ごめんなさい…」
明久「まぁまぁ真司、それくらいにしておきなよ。姫路さんも悪気があったわけじゃないんだからさ。」
真司「お前あのとき大変だったんだぞ。おじさん息してなかったから救急車呼んで病院連れてって。医者にこの話するのは忍びなかったが、話したよ。あの時の医者の引きつった笑みは忘れられない。瑞希、ちゃんと薬品は全部処理したんだろうな?」
瑞希「あ、当たり前だよ!もうあんなお父さんは見たくないし!」
真司「それならその言葉、信じるとしよう。だが、次やったらどうなるか、わかっているな?」ニッコリ
瑞希「わ、わかっています!もうしません!」ガクブル
雄二「もう痴話喧嘩はいいか?それでは明久の質問に答えるとしよう。簡単な話だ。Eクラスは戦うまでもなく勝てる。ただ俺の話をいまいち信じ切れてないあいつらに勝って調子をつけてやりたくてな。明久、お前の周りには今誰が座っている?」
明久「え?美少女が2人とムッツリスケベが1人、天敵が2人と後はバカが2人だね」
雄二「おい、誰が美少女た!」
明久「え?なんで雄二がそんなこと言ってんの!?」
康太「………ポッ」
明久「ムッツリーニまで!?どうしよう!ツッコミが追い付かないよ!」
雄二「茶番はこのくらいにして、お前らが協力してくれれば俺たちは負けない。いいか、俺たちは………最強だ!
秀吉「気になったのじゃが真司と猛、姫路の関係性はどうなっておるのじゃ?よほど親しいと見えるがの?」
真司「…俺と猛は兄弟だよ。親が交通事故で死んで別々の家に引き取られたんだ。瑞希は親同士が仲良くてな、物心ついた時から一緒にいる。いわゆる幼馴染ってやつだ。ついでに明久は小学校から同じだ」
明久「僕はついでなの!?」
秀吉「辛いことを思い出させたの。すまなかったのじゃ。」
真司「いいんだ。いつかは話そうと思っていたから。ただ飯って感じでもなくなったな。俺ちょっと離れるよ。あんまり食欲ないし。雄二、Dクラス戦は俺は出ないんだろ?」
雄二「その予定だったが、大丈夫なのか?」
真司「大丈夫だよ。心配しないで。」
ガチャ…バタン
猛「兄貴、やっぱあの時のこと、まだ自分を責めているんだ。」
明久「どういうこと?あれはただの事故じゃないの?」
猛「もちろんただの事故だ。ただ、あの日、俺たちは誕生日だったんだ。兄貴と俺は大会に出てたからそれが終わってから家で瑞希んとこの家と一緒に誕生日パーティーをやる予定だった。ただその試合前にあんなことがなけりゃそのまま予定通りに進んだのかもしれなかったけどな。」
美波「あんなこと?」
猛「兄貴はお袋だけじゃなく、親父にも試合を見にきて欲しかったんだ。親父は土日も働いてたから中々試合も見に来れなくてな。その日は兄貴が先発だったから自分が投げる試合で勝って親父に自慢したかったんだろう。あんたの息子はあんたに教えてもらった野球でこんなに成長したんだよって。でも親父はやっぱり仕事だった。そんな親父に兄貴は「そんなに仕事が大事なら息子に野球なんか教えんな!」ってな。初めてだったよ、あんなに怒った兄貴を見たのは。そしてそれが親父と兄貴の最後の会話だった。その後、親父とお袋は俺たちの試合を見に行く途中で事故に遭ったから。だから兄貴は自分を責めるんだ。あんなことを言わなければ事故に遭うことも、それが最後の会話になることもなかったってな。悪りぃ、こんな話して。忘れてくれ、俺もちょっと離れるよ。」
美波「そんなことって…瑞希は今の話知ってたの?」
瑞希「はい、知ってました。その後、そのことを忘れようとして練習し過ぎ、左腕を壊したことも。」
雄二「そうか、だから中3の時に唐突に翔子に弟ができたのか。ところであいつらの旧姓は?」
瑞希「織田です。織田真司と織田猛。」
雄二「ん?織田?おい、姫路、それは本当か?」
瑞希「はい、そうですけど何かあったんですか?」
雄二「俺が神童と呼ばれていた頃、県の模試で1科目だけ1位を取れなかったのがあったんだ。」
瑞希「もしかして算数ですか?」
雄二「流石に姫路はわかるか。そうだ、俺が算数でどんなに高い点を取ろうが常に1位には同じ名前と同じ点数が載っていた。織田真司100点てな。目を疑ったよ、算数でどれだけの難問が出題されてもあいつは必ず100点をとるんだ。正直勝てるとは思えなかったよ。どれだけ勉強してもあそこまではたどり着けなかった。不思議と悔しさはなかったんだ。あいつには何をしても勝てないと本能でわかっていたんだろうな。」
瑞希「シン君の算数や数学は無類の強さを誇りますからね。小学生で大学の数学を解いていたのはシン君だけじゃないでしょうか。」
雄二「それならあの点数も納得だ。さて、作戦会議に戻ろうか。作戦は簡単だ。姫路の補充試験の時間を俺たちが稼ぐ。姫路は試験が終わったら下校する生徒に混じって平賀を討て。」
明久「それだけ?なら真司も出して無双させた方が良かったんじゃない?」
雄二「戦力はなるべく見せたくないからな。あいつは今回は休みだ。いいか、お前らが協力してくれればこの戦争は勝てる。俺たちは…最強だ!」
その言葉に根拠はなかったが、不思議と自信が湧いた、とのちにここにいたメンバーたちは語っていた。
一方その頃、屋上を離れた真司は新校舎にいた。
真司「父さん、母さん、あの時のわがままのせいでごめんな。もうわがままは言わない。だから、天国から見ててくれ。」
優子「わがままがどうしたの?」
真司「うわっ!…ってなんだ優子さんか。びっくりさせないでよ。」
優子「びっくりもなにもあなた、ここはAクラスの前よ。Aクラスの私がいちゃいけない?」
真司「ここはAクラスだったのか。ごめんね、優子さん。」
優子「気にしてないからいいのよ。それより真司君、あなたのクラスは?ここじゃないでしょ?」
真司「あぁ、Fクラスだよ。振り分け試験受けてないからね。」
優子「ということはこれから試召戦争じゃないかしら?姫路さんもここにいないってことは途中退席かなんかでFクラスだろうし、作戦会議に出なくていいの?」
真司「いいんだよ。今回は俺、試召戦争出ないし。」
優子「そうなの?それならいいけど。それはそうとわがままってなんのことかしら?」
真司「聞いてたの?どこまで?」
優子「わがままって言葉だけよ。なにを言っていたのかは聞こえてないわ。」
真司「そっか。それならいいや。優子さん、家族は大事にね。それじゃ」
優子「なんだったのかしら?まぁいいわ。次の自習の準備をしなくちゃ。」
そして運命のチャイムが鳴る…
ということでDクラス戦直前まででした。
基本的に真司くんは自己犠牲の精神なので不幸は全て自分の責任です。
彼の過去編は後々やりますが、色々な伏線が必要なのでまだ書きません。現在Bクラス戦までは書き終わっているのですが、あまり進まないままどんどんネタだけが増えている状態です。これからどう入れていくかを考えますが、どこになんのネタが入るのか、楽しみにしててください。
それでは次回予告
いよいよ始まったDクラス戦!戦後対談の内容がまさかのことに!?
え?ちょっと、真司くん?勝手に屋上行かないでもらってもいいかな?僕だって書くの大変なんだってばぁ…
次回『Dクラス戦と戦後対談』
夢の舞⚪︎へ駆け上がれ!