寄稿文 『ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人』 E’s story 作:Lton
自分なりにサイヤ人化したさくらとGTの話を書いております、Ltonです。
実はこのお話、元々皆さんにお見せしてよいと考えていませんでした。
(だって自分で新しい登場人物を考えてしまった物だし……)
でも第一話を見たカンナムさんから『大丈夫』との言葉をいただいたので、腹括って続きを書く事に決めた!という経緯がありました。
だからこそ、第一話掲載から1週間後の 突然の退会に本当に混乱したのですが…今はこれを書ききるよう頑張ります!
(8/23 後書きに絵を追加しました。)
それでは、どうぞ_φ(・_・
―数日前、どこかの場所
「それじゃあ、惑星サイヤについて説明するね!」
肩で息をするベジータ相手に、フューが明るく声をかけている。
一時休憩だろうか?
重力室のような場で、サイヤの姫巫女が悟空とベジータに話した事を語る。
「待て。銀河パトロールすら知っていたその惑星サイヤの情報は、なぜフリーザ軍に流れてこなかった?」
フューを信用していない、という事の現れだろう。
鋭く質問するベジータだが、疑われているフューにとってそんな物はどこ吹く風だ。
「あぁ簡単だよ。惑星サイヤはサイヤ人達が外に出て、
「何?」
訳知り顔で応えるフュー。
「簡単に言うと、惑星サイヤは結界を張っていたんだよ。外からは何も無いように見せつつ、不幸にも結界に入ってしまった人間は外に出る事も通信も出来なくなる『監獄』をね。」
「君には『魔の海域』って言ったほうが分かりやすいかな?そこに入ると船が行方不明になるっていうアレ。地球にも確かー、なんとかトライアングルってあったよねー?」
地球暮らし故の知識を訊ねるフューに対し、やはりベジータは答えない。
やれやれと肩を竦めたフューは、タブレット型端末に目を向けながら続きを話す。
「『魔の海域化』を解除したのは孫悟空とベジータが会ったサイヤ王の先々代で、銀河王に接見したのは王子だった先代だよ。だけどまだ惑星に問題は山積みだし、もう滅んでたけど君達惑星ベジータによるサイヤ人の悪評も強かったからね。」
「惑星サイヤのサイヤ人を見定めたい銀河王と、外への接触は慎重にしたいサイヤ王の利害が噛み合って、公的な宣伝はしなかったみたいだ。」
「フリーザが倒されて軍の衰退が始まってからは、正体を明かして少しずつ交易とか銀河パトロールへの協力とかやってたみたいだけど、小規模な地方限定さ。」
「まぁジュード王の頃には親密な関係が築いてるんだから、次世代への繋ぎ方は上手かったんじゃないの?」
その言葉に―――ベジータの目つきが変わった。
だがそれは、フューがまたベジータに話しかけた時にはいつも通りの顔に戻っていた為、誰にも気づかれる事はなかった。
―現在、西の都
地球人には追いきれないスピードで西の都に到着した少女―ロッサムはかかとに踏ん張りを効かせ、大通りの真ん中で止まった。
「よっ!ーと。………………誰かいませんかー?」
周囲を見回して叫ぶが、当然返事はない。
声は何にも邪魔される事なく、通りを抜けていく。
ロッサムは寂しさと不安を感じながら、シャロットと分かれた事を後悔した。
『まずいなぁ……。巻き込まない為にあの子のこと置いてきたのに……私もしかして、悪の本拠地に来ちゃった?』
西の都で唯一感じるブルマの気から、説明を聞く事やZ戦士と合流できる事態で無い事を察するが、ここまで来たら進むしかない。
荒らされた様子の無い都の、普段なら通れる筈がない車道の真ん中を進む。
『街に誰もいないのにブルマさんの気だけ感じるなんておかしいし……、まさか人質にでもされて』
突然ロッサムが前方に跳躍した。
さっきまで足を着けていた車道が爆裂するが、それは彼女の脚力によってではない。
背後から足元に迫っていた気弾が地面に着弾したからだ。
巻き起こる爆風と煙の、避けなければ頭があった位置を薄紫色の気弾が貫く。
片足を回転させ着地したロッサムは、右足に力を入れて 左足を後ろに振り上げた。
「ーっ!」
振り下ろされた左足は狙い通り気弾に当たり、そのままサッカーのシュートのように蹴りあがる。
再び白煙を突っ切り、向こう側へと消える気弾。
ロッサムの耳に、誰かに当たって弾かれた気弾がビルを壊す音が届いた。
煙が晴れていく。
そこには地上に構えを緩めた笑顔の悟天と、空中に険しい顔で力を入れているトランクスがいた。
「トランクスさんに悟天さん!? でも今の気弾ピンク……えっ?!」
思わぬ人物の登場に一人慌てるロッサムに対し、悟天とトランクスも二人で会話を始める。
「すごい子だなぁ!トランクスー、大丈夫だったー?」
「自分の攻撃が効くものか。それより悟天、どうして頭を狙わなかった?その所為でタイミングがズレて反撃されたじゃないか。」
トランクスが空中にいる為そこそこの大声でされる会話は、困惑するロッサムの所までよく届いた。
「え~、だって……やっぱり女の子だしさぁ。」
「はぁ……そんなんだから姪になめられるんだぞ、
「!」
流石に怒る悟天と呆れるトランクスに、ロッサムは更に困惑をする。
『なんだろう……悟天さんもおかしいけど、トランクスさんはもっとおかしい気がする……。』
『さっきは初対面の私に凄い殺意を向けてたのに、悟天さんと話しているとそれを忘れている、みたいな?』
ロッサムがどんなに気を確かめても、それはトランクスと悟天だった。
なればこそ注意すべきは、物騒な会話の内容ではなく相手そのものだ。
「もー!そんなに言うんなら手本を見せてくれよ!手本を!可愛い女の子相手に戦うトコをさー!」
「……いいのか?それじゃあ遠慮なく、俺だけで殺してやるよ……!」
またトランクスに殺意が戻った。
肌をビリビリと刺してくる憎悪に、少女の身体が震える。
「……」
『怖がってる……。これじゃだめだ……すぐに終わる。』
着地し超サイヤ人に変身したトランクスが、無数の光弾を放った。
先程気づかせないために加減された弾より速度も威力もある。
動かない少女をそれでも確実に殺すための攻撃は、建物にもたれかかる悟天の視界から少女の姿を覆い隠した。
少女の殺す事になぜか
「―――ぐぁっ!」
「!」
だが爆音の直後、その目は聞きなれた声によって開かれた。
トランクスを防御越しに吹き飛ばす少女の姿が映る。
「っ、くっ!」
地面を擦りながら着地したトランクスは、忌々しさよりも信じられないものを見る目で少女と相対する。
彼女がしたことは実に単純、ただ前に走り、その推進力を両の手掌から気とともに叩き込んだだけである。
『こいつ、何考えてるんだ?!被弾覚悟で突撃なんて素人でもやらないぞ!?』
と思ってしまった自身の考えを、トランクスは既に半分程否定していた。
確かにこんな序盤の、悟天もいる中で被弾しながら攻めるなど戦い方は素人だろう。
だが変身したトランクスの攻撃を受けても止まらなかった肉体の強さがある。
つまりこの少女の実力は―――
「萌芽掌」
「!」
少女が声を出した。
「本当は、いまさら始まった勝負にこういうのはどうかと思うんですけど、言わせてもらいます。」
「私はロッサム!よろしくお願いします!」
握った右手を左手に一度叩き入れ名乗りを上げた少女は、気合いを入れて一気に闘気を放つ。
全身に纏われる青白い炎のようなオーラこそ、サイヤが生みし波動の力。
「……すごい。超サイヤ人でもないのに、変身した僕たちより気がある……!」
「少しの差だ!さっきのダメージもある!戦い方次第で十分勝てる!」
純粋に見入る悟天と奮起するトランクスは、やっとロッサムを見て気が付いた。
相手は一人だ。―――それがどうした?
しかも少女である。―――それがどうした。
そしてサイヤ人である。―――それがどうした!
闘いに笑い相手を見据えるその姿は、よく知る誰かと似たモノだと。
「……」
笑顔でまっすぐな目を向け対峙するロッサムに、トランクスの殺意が薄れ冷静な闘志が宿る。
斜に構え、体の前後に両掌を出し前傾姿勢をとるトランクス。
対するロッサムは右拳を胸の前に、斜に構えて左拳を脇に添える。
「行きますよー!!」
そして、ロッサムの掛け声とともに二つの拳が互いの中央でぶつかり合う。
凄まじい衝撃波を放つ戦いが、今始まった。
はい、今回はここまでです。
ここから本格的な戦闘シーン……、手元に残ってるカンナムさんの文を見ながら頑張ります!
お盆中に続きだしたいなぁ。
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出せなかったので代わりではないですが、ばんどうさんに倣って仮の物ですが、私もイメージ画を描いてみました。
【挿絵表示】
え?横になんか変なのがいる?
……今は気にしないでください。気の迷いで変えるかもしれないから。ヽ(゚ ゚_)♪
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これからのお話のネタバレにならない解説。
・銀河パトロールが接触
本来の文脈なら『パトロールに接触』又は『パトロールと接触』なのですが、惑星サイヤであるが故に
このGTのお話では出さないと思いますが、ヒントは惑星サイヤには誰が居て、銀河パトロールには誰の子供がいるかです。
・薄紫色の気弾
ベビー自身の気や洗脳された人の気弾はゼノバース:紫、アニメ:ピンク、ヒーローズ:中間位?なので、地の文はカンナムさんに倣い紫にしましたが、ロッサムにはピンクに見えるとしています。