□<霊都アムニール> 【
「ふむん、流石はボスモンスターのドロップアイテム、結構いい値段で売れたね」
「サリーちゃんに<魔法少女連盟>の生産担当の人達を紹介して貰いましたからね。お友達価格でかなり色を付けて貰いましたし、ついでにかなり良い装備も買う事が出来て満足です」
「あそこで売ってるのは殆ど女性専用の装備群だったけど、私達なら問題なかったしね」
「まあ『お前も魔法少女にならないか?』『魔法少女はいいぞぉ』って勧誘がしつこい所以外は良いクランだったね」
ハロウィンイベントが終わってから何日か経った後、私とミュウちゃんとミメちゃんとアリマちゃんはハロウィンイベントで手に入れたアイテムを売り終わって霊都の市街地を歩いていました。
今回のイベントではボスモンスターを倒した事もあってドロップしたアイテムは中々の物だったんだけど、装備品に関しては今の普段使いの装備から変える程の性能の物は無かったので、とりあえず特典耐性特化のアクセサリーをいくつか残して売り、それ以外の素材系に関してもお兄ちゃんが欲しいって言ってたヤツ以外は売ってお金にした感じである。
「魔法少女と言っても私は完全な物理戦闘職なんだけどねー。これで魔法少女とか言うのは無理では? 着ぐるみでメイス振り回す魔法少女とか、関節技主体の魔法少女レベルのイロモノじゃん」
「うーん、一応魔法剣士とか魔法拳士的な魔法少女も<連盟>には所属しているらしいよ? こうプリキュア的な感じで」
「姉様はともかく魔法戦士系ジョブである【
「精神汚染系魔法少女とかどう見ても悪役じゃん?」
「呪術系魔法少女も所属してるからセーフ! とも言ってたけど」
魔法少女とは貴女がそう思うモノが魔法少女なのです! ……とかサブオーナーのサリーちゃんが言ってたので、その辺り<魔法少女連盟>は割と自由なクランみたいなんだよね。
まあ、アリマちゃんは今の固定パーティーの居心地が良いので一人で何処かのクランに所属する気は無いらしく、私とミュウちゃんはそもそもレジェンダリアには一時的に所属しているだけだからね。
「それで次はどうしようかな? イベントも終わったし」
「そうだねー、何時ものメンバーとレントさんを誘って霊都以外の都市に行ってみるのはどうかな? ミュウちゃん達は霊都しか見てないから他の都市にも行ってみない?」
「それは面白そうですね。この霊都も神秘的で見ていて飽きない所ですが、どうせレジェンダリアに来たのなら別の所にも行ってみたいのです」
まあ、レジェンダリアに来てからは私の超級職就職の為のゴーレム装備千本ノックやら、ミュウちゃんとアリマちゃんのイチャイチャ(笑)やらで霊都周辺での行動ばかりだったからね。確かクロードさんクラリスさんでぃふぇ〜んどさんは三人でパーティー組んでて、シズカさんは新しく就いた【
……このレジェンダリアは<アクシデントサークル>を始めとする特有の自然現象があるぐらい自然環境が厳しく、更に様々な部族が集まって作られた連合国家である関係上その個々の部族が定めたルールで禁足地とかがある所為で『うっかり立ち入って指名手配』とかが割とあるの、慣れていないと国内旅行とかはし難いのもあるしね。
今は<Wiki編集部・レジェンダリア支部>が各部族毎のタブーや禁足地の情報をWikiホームページや掲示板に挙げていたり、デンドロ内でも冒険者ギルドと協力してそれらの情報を纏めたガイドブックを格安で販売してるから大分マシにはなったらしいけど、サービス開始直後は情報不足による指名手配犯がかなり出たとか。
「まあ、特定の部族が住まう『村落』とか『秘境』には伝手がないと難しいけど、この霊都みたいに多種族が入り混じって利用する『都市』ならそう言った禁則事項とかも無くて普通に行けるから大丈夫だよ。道中も私達なら問題ないし、<アクシデントサークル>もミュウちゃんが居れば大丈夫だし」
「【バイオハーデス】が自動で自然魔力を吸ってくれますからね。私の周りでは自然魔力が一定以上になる事は無いみたいです」
「お陰で蓄積魔力もギュンギュン溜まるよ」
「せっかく買った魔力霧散系アイテムが割と無駄になったけどねー」
そんな風に私達はのんびり駄弁りながら霊都を歩いていたのだが、ふと前を見るとお兄ちゃんとひめひめさんの姿があった……よく見ると、他に褐色肌の女性が四人ぐらいいるね。紋章はないからティアンみたいだし、一人は角とか尻尾とか生えてるけど亜人が多いレジェンダリアではよくある光景だからおかしくは無いか。
「……今日……助かっ……お礼…………」
「「「今回…………くれ……助け…………た!」』」
「どう……して……人間…………で」
「別に…………いいの…………わ」
……ふむ、話してる雰囲気的に何かトラブルという訳では無さそうかな。どうも僅かに聞こえる声から女性四人がお兄ちゃん達にお礼を言っているみたいだね。
とりあえず無視するのもアレなので声だけは掛けておこうと私達は近付いて行って……。
「……そういう訳でレント、どうか私を貴方の
「「いやちょっと待て、一体どういう訳だ(よ)?」」
「「「「…………なん……だと……?」」」」
何故か角と尻尾の生えた褐色金髪美少女がお兄ちゃんの妾になろうとしていた……何を言っているのか分からないかもしれないが、告白とか婚約とかそんなちゃちなモノじゃない。もっと恐ろしいモノの片鱗を感じ取ったよ……。
……ていうか一体どういう事なんだってばよ⁉︎ とにかくお兄ちゃんは詳しい事情を話すべき……と思った私達は彼等の下に詰め寄るのでしたとさ。
◇◇◇
□<霊都アムニール> 【
「……レント、ひめひめ、二人とも今回は本当にありがとう。お陰で助かったよ。……ほら、貴女達もお礼を言って」
「「「今回は私達の頼みを聞いてくれて、その上で<
「どういたしまして。まあ人間に敵対的な<UBM>を見かけたらとりあえず倒しておく方針なので」
「別にそこまで畏まらなくていいのに。大した事はしてないわ」
例の【グリムリープ】と戦ってハロウィンイベントを終えてから暫くした後、霊都で要らないイベントアイテムの換金などを終えた俺とひめひめはだったのだが、そこに先日の戦いで共に戦ったティアモとその時に俺達へと助けを求めた三人のアマゾネス──カチュア、シャニー、エスカという少女三人と遭遇してこうしてお礼を言われている。
……あの後はティアモが『別れた三人を探しに行く、後でお礼はする』と言って解散だったからな。どうやら無事に合流は出来たらしい。
「じゃあ前に言った通りまずは救援に対する礼を渡しておく。……とりあえず戦死したアマゾネスのアイテムから適当なのを見繕って……」
「いやいや、流石にそれは不謹慎では? ご家族の元への遺品とかあるし」
「ん? いや別にそこは気にしなくていい。彼女達も自分達の仇を討ってくれた人達の報酬に所持品が使われるなら文句は言わないと思う」
何でも彼女達曰く、戦いの中の生きるアマゾネス的には戦いの場で助けて貰った或いは仇を取って貰ったなら、その相手には最大限の礼を尽くすべきというのが基本らしい。
それと死者に関しては出来れば死体の弔いぐらいはするが、戦場では死体が残らない事も多いので基本的に『死ぬまでの生き様を生者が覚えておく』ものであり、死んでからの葬儀とかは殆ど行われないかあったとしてもあっさり済ませるのが普通だとか。
……彼女達のそんな説明を聞くに、この辺りは現実と違って一般的にモンスターが跋扈するデンドロだとまあある死生観だけど、戦いを好んで戦士としての誇りを高いアマゾネス達はそれが更に強い感じみたいだな。
「まあここは素直に受け取っておきましょう。……レジェンダリアではその部族特有のマイルールを持ってる事が多いから、下手に断ると面倒な事になるわよ」
「一応、私達アマゾネスは種族特性的に他種族から婿を迎える事が多い事もあって、そう言った独自の面倒極まりないルールとかは余り無いけど。さっき言った『アマゾネスの戦士としての在り方』も、この世界の戦士の多くが持っているものをはっきりと明文化しただけだし」
「それに愛用の装備とかは家族へ渡す用として残しますよ」
「……まあ、なら良いか。郷に入っては郷に従えとも言うし」
そう言う訳で俺たちは報酬として【グリムリープ】との戦いで死んだアマゾネス達が保有していたアイテムを貰う事になった……まあ、装備品の予備とかは殆ど女性前衛戦士系専門とかだったので、あの戦いで消費したアイテムを補填出来るだけの【ジェム】やらポーションやらを貰うぐらいで済ませたが。
「うむむ……消費アイテムしか報酬に支払える物が無いとは。装備品はアマゾネス製だとどれも尖り過ぎてるのが問題か」
「いや、消費した消耗品を補填してくれただけでも有難いから気にしなくてもいいんだが」
「それでも<UBM>討伐の報酬にはまるで足りないし、あの戦いでレントが使った【ジェムー《ホワイト・フィールド》】三つとかはレジェンダリアでも軽く百万リル以上するし」
「アレは全部自作だから……」
俺は上級職複数取れるから【
「でも<UBM>討伐の報酬としては少ないし……そうだ、丁度いいからアレにしよう……そういう訳でレント、どうか私を貴方の
「「いやちょっと待て、一体どういう訳だ(よ)⁉︎」」
「「「「…………なん……だと……?」」」」
それでも何か納得が行かなそうにしていたティアモだったのだが、少し考え込んだ後にそんなめっちゃ訳の分からない提案をして来たのだが……と言うか何だ『妾』って⁉︎
……と、俺とひめひめが彼女の意味不明な提案に混乱していたら、いつの間に居たのかミカとミュウちゃんとアリマちゃんが慌てた様子でこっちに駆けてきた。
「どどどどどう言う事お兄ちゃん⁉︎ 何でいきなり妾を迎えてるの⁉︎」
「いや別に迎えて無いんだが……」
「そうですよ⁉︎ ひめひめさんという者がありながら!」
「そこは大丈夫。私達アマゾネスは一夫多妻製だから正妻はひめひめさんで私は愛人的な感じで良いから」
「いや貴女もちょっと待ちなさい」
「これが大人の恋愛……⁉︎」
……あーもうめちゃくちゃだよ。妹達も珍しく動揺しているみたいだし、これはどう収拾を付けるべきか。
◇
「……さて、それでどうしてレントの妾になろうと思ったのかしら? 詳しく説明して頂戴」
「命を助けて貰った時にピンと来たし、実力に関しては言うまでもなくその後の対応から人格面でも問題無さそうだったから『旦那様にするにはこの人がいいな』って思ったから告白した。妾なのはひめひめさんが既に居たから」
「えぇーっと! 一応アマゾネスは恋愛に関しては積極的なので、気に入った男がいたらとりあえず想いを伝えるのは良くある事です!」
「愛なら付き合ってからでも深められるみたいな考えですね。アマゾネス内では割とよくある考え方です」
「後、ティアモは割と口下手な上に天然気味なので結構変な発言もあるんです! だからそんなに怒らないで下さい正室さん!」
あれから騒ぎ立てる妹達をバフ込みSTR五千くらいチョップで(物理的に)黙らせて、少し目立った所為で他の人に迷惑を掛けそう(後なんか変態も寄って来そう)だったので、その場の者達を連れて事前に取ってあった宿屋に駆け込んで詳しい事情を聞いたらこんな感じだった。
……まあそれに別にひめひめはこの程度で怒ったりはしないし、顔が強張ってるのは単に状況が面倒になってるから頭を痛くしてるだけだから。
「……やっぱり文化の違いかねぇ」
「いや、なんか余裕そうだけどこの状況をどうするのお兄ちゃん?」
「それよりもひめひめさんは正室なのですか兄様?」
「もっかいチョップ食らわすぞ」
後、ウチの妹二人が何故か意外と食い付いているんだよな。まあメンタル面では基本女子小学生だから色恋沙汰に興味深々でもおかしくはないんだが……しかし、どうするかな。
俺には
「……ふむ、どうやらいきなりの告白で動揺させてしまったみたい? お婆様からも『アマゾネスの恋愛感は性急な所もあるから、相手に引かれたら一旦時間を置きつつ地道に好感度を稼いだ方が良い』って言ってたし……うん、今は別に返事をしなくて良いよ。時間を置いてゆっくり考えてくれれば良いし」
「あ、はい」
「とりあえずそういう事を目の前で言うのは度胸があると言うべきかしらね?」
「ティアモは天然なだけです! ちょっと天然なだけなんですぅ⁉︎」
……とか思っていたら、ティアモがあっさりとそんな事を言って来たので何かを言う機会を逃してしまった。アマゾネスって色々割り切りが早すぎないかと思ったが、後ろでオロオロしている三人娘を見る限りティアモが特に
「そういう訳で次の話に行こうか」
「「この空気で⁉︎」」
「? ……今回【グリムリープ】の所為で遠征隊が私達以外が全滅したから、この霊都からアマゾネスの本拠地である<麗都アンティアネラ>まで戻るのが不安なので護衛を頼みたい。後二人には出来れば麗都で戦闘時の報告も頼みたい。勿論報酬は追加で出すし、麗都につけば族長あたりからかなりの報酬を貰えると思う」
なんか本当にティアモの切り替えが早すぎて俺もひめひめも状況に対応出来ないんだけど……今までシズカさんを代表例としてそれなりに『アレな性格の女性』とは会ってきたが、彼女は今まで居なかったタイプだなぁ。
「……実は都市についた瞬間に大量の男日照りのアマゾネス達が襲いかかって来るとかは無いわよね?」
「えぇ……流石にそんな事はしない。邪妖精とかじゃあるまいし。……まあ、良い男を見かけたら声を掛けるアマゾネスは居ないことも無いけど、アマゾネス全体のイメージにも関わるからそういう無理矢理な迫り方はしないよ」
「<アンティアネラ>はアマゾネスだけではない様々な種族が仲良く暮らす平和な都市ですよ! 【女帝】を筆頭としたアマゾネス精鋭戦士達が守りに付いているので、レジェンダリアでも屈指の治安を誇ってますし!」
「そもそもアマゾネス達の恋愛アプローチはあくまで個人でするもので種族を上げてとかはしないです。恋愛・結婚・妊娠・出産の各種サポートは充実している街ではありますが」
「少なくとも禁足地とか言って問答無用で攻撃を叩き込んで指名手配する事もある所と比べれば、<マスター>にとっても遥かに過ごしやすい都市だと評判」
……少なくとも《真偽判定》に反応は無いから嘘では無いだろうし、そもそも<麗都アンティアネラ>の情報はガイドブックにも普通に載ってたしな。
「……成る程、
「二人は何か昔アマゾネスから被害を受けた事でもあるの? もしそうなら同族として謝るけど……」
「ああ気にしなくて大丈夫よ。アマゾネスはアマゾネスでも私達が元いた世界に生息していた連中の事だから。……昔南米でちょっとね」
「アレは……嫌な事件だったな……」
「ひめひめさんとお兄ちゃんが凄い遠い目をしてる……二人の過去に一体何が?」
正直言ってスーパー超人アマゾネス軍団に追いかけ回されるのはもう勘弁願いたいかなって……まあ、デンドロのアマゾネスは大丈夫そうだし、妾云々はさておき彼女達の依頼を受けるぐらいはしても良いかな。
あとがき・各種設定解説
<魔法少女連盟>:様々な魔法少女が所属しており新規勧誘にも余念がない
・尚、彼等の言う“魔法少女”とは『魔法少女っぽい格好で魔法少女らしい行動をしている』ぐらいの割とファジーな感じなので、所属している魔法少女達の種類は多種多様。
・各種属性特化魔法少女や付与呪術系魔法少女、更には魔法剣士系姫騎士魔法少女とか打撃系プリキュア的魔法少女などなど……色物枠で銃火器特化魔法少女とか歌いながら戦う魔法少女とかマッスルビルダー魔法少女とかサブミッション魔法少女とかが居るとか居ないとか。
・実際の所、クラン所属の魔法少女になると高級オーダーメイド装備を格安で提供して貰えるからそれ目当てで加入する人もいて、宣伝も兼ねて一部商品を売りに出したり魔法少女的に各種ボランティア活動をしてたりするのでクランとしては上手くやってる。
兄&ひめひめ:アマゾネスに関しては少しトラウマあり
・まあちょっと用心深くなっているだけなので、誤解が解けた後はティアモ達“デンドロのアマゾネス”とは普通に接する事が出来る模様。
・尚、ティアモの告白に関しては二人共現実ではそれなりにモテるので経験が無いわけでは無く、更に『まあ昔のファンタジー系殺し愛希望とかと比べればマシかな?』とか思ってるのでそこまで動揺してない。
ティアモ:天然口下手系マイペースアマゾネス
・尚、アマゾネス的には好意を抱いた相手にまず自分の想いを伝えてからアプローチするのは割とよくある事で、それで断られたとしても『自分の魅力が足りなかったから鍛え直そう』とさっぱり切り替える事が多い(個人差あり)
・彼女の場合、命を救ってもらって<UBM>も倒して貰ったのに報酬を大して渡せなかったので『じゃあ私自身を報酬にすれば良い。レントも伴侶として欲しいし』みたいな考えで行動した。
・また、彼女自身『戦場で<UBM>相手に命を救われた』という状況に“何かの拘り”があり、それが『二人』に執着する原因になっていたりもするのだがそこは追い追い。
・ちなみに麗都への護衛依頼は『これを機会に二人の好感度を稼ごう』と言う狙いもある。
アマゾネス三人娘:ティアモとは同年代の幼馴染
・なので、独自のペースを持っていて偶に突拍子も無い発言をする彼女をフォローする事は良くある模様。
・ちなみに彼女達の合計レベルは大体150前後だがこの年代のアマゾネスとしては普通かそれよりも少し優秀ぐらいで、それに比べてティアモのレベルが高いのは特典武具持ち故に特別な訓練をしていたからである。
読了ありがとうございました。
そんな訳で次章は『アマゾネス編』になる予定。これからもちょくちょく更新して行くので、感想・評価・誤字報告などお願いします。