とある三兄妹のデンドロ記録:Re   作:貴司崎

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前回のあらすじ:妹「よし、一気に【ヒートライザ】を倒そう!」ラーゼクター『ドーモ、コンニチハ』妹「ゲェー! ナンデ⁉︎ <UBM>ナンデ⁉︎」


蠱毒の蟲/灼熱の竜

 □<クルエラ山岳地帯>

 

 伝説級<UBM(ユニーク・ボス・モンスター)>【蠱毒狩蟲 ラーゼクター】は自身を次の位階(古代伝説級)へと至らせる為、近くにいた逸話級<UBM>【熱態己竜 ヒートライザ】に狙いを定め、その場で人間達と戦っている隙をついて《蠱毒瘴気》による病毒系六重状態異常の罠に掛ける事に成功した。

 

コドクゼッサツ(蠱毒絶殺)……TIE!!!』

 

 そして【酩酊】の効果で倒れ込んだ【ヒートライザ】に向けて、腕に集中させた圧縮状態異常スキル《蠱毒絶殺》を叩き込もうとしていた。

 ……HP減算系の【猛毒】【溶解毒】と言ったの効果を圧縮した直接ダメージ特化”の一撃なら例え相手が<UBM>であれ致命傷を与えられ、《免疫生能》《害毒反転》の許容量を超えた圧縮状態異常の反動ダメージや相手の高熱によるダメージで腕一本犠牲になるだろうが、それも《混蟲代百化》によって再生可能と考えての一撃だった……が。

 

『それは“危険”過ぎるみたいだからさせないよ……《重破断(グラビトロン・ディバイダ)》《竜尾剣》!』

『ナッ⁉︎ KITIE!』

 

 そうして突っ込もうとした【ラーゼクター】に突如として『漆黒の刃を持った剣尾』が割り込んだ……当然それはミカの【どらぐている】による攻撃であり、彼女は()()()()()()()()()()()()()()()()と“直感”して、状態異常を【クインバース】の《インスタント・エンパイア》によって快癒させ【ラーゼクター】を奇襲したのだ。

 ……その攻撃自体は《危険感知》《殺気感知》で気が付いた【ラーゼクター】だったが、敵対対象であるが故に月夜の《月面徐算結界・薄明》の効果でAGIは亜音速レベルにまで下がっていた事と、その“漆黒の刃”から感じる危険な気配を警戒したが故に剣尾を掻い潜って【ヒートライザ】に攻撃する事が出来ずに一旦下がるしかなかった。

 

『あまりお前に好き勝手はさせたくないんだよね! 《テンペスト・ストライク》!』

『TI! 《ピアースニードル》!』

 

 そこにAGIバフのお陰で亜音速での移動が可能なミカが【ギガース】に暴風を纏わせて殴りかかっていく……が、それを躱した【ラーゼクター】の方もミカが何らかの方法で毒を無効化したと判断して反動が大きい《蠱毒絶殺》を解除、即座に腕の『蜂の針』の元になった【グレーター・ヴェノムホーネット】からラーニングした貫通力に特化したスキルで迎え撃った。

 ……【ラーゼクター】のステータスはSTR・ENDが5000、AGIが8000程度と伝説級としては低い方だが、自身にも状態異常を齎す《蠱毒瘴気》と状態異常による悪影響を反転させる《害毒反転》によってステータス半減の【衰弱】とAGI9割減の【麻痺】をそれぞれ“ステータス倍加”と“AGI90%増加”にしている。

 

『……《サンダースラッシュ》!』

『うげっ⁉︎ 今度は腕がカマキリの鎌に……おっとぉ!』

 

 よって【ラーゼクター】はSTR・ENDは一万以上でAGIは徐算を食らって尚5000に迫り、更に長年の修練や単独で狩りを続けていた事で正面戦闘の技巧においても()()()()()()()()()()に匹敵する実力を持ち、ラーニングしたスキル群を十全に運用出来る。

 ……今ももう片方の腕に【スラッシャー・ドラグマンティス】の鎌を生やして、全身を着ぐるみで覆われたミカにも通じうる【剣聖(ソードマスター)】のティアンからラーニングした雷の斬撃を放っていた。

 

『……ふむ、それは直接受けたらやばい感じだね……こっちは受けよう』

『TIE! 《パラレルスティング》!』

 

 だが、ミカは持ち前の“直感”で《サンダースラッシュ》の攻撃軌道を先読みして回避、逆の手から放たれた【細剣士(フェンサー)】の二連続刺突は威力が大してないと見抜いて【ギガース】を盾代わりに受け止めた……この様にミカは数多のスキルを使う【ラーゼクター】を相手にして、それら全てを先読みする事で辛うじて凌ぎ続ける事が出来ていた。

 ……そうして彼等が戦う間に状態異常を食らって蹲っていた月夜達もまた動こうとしていた。

 

「六重の病毒系状態異常とかウチじゃ完全に治すんは無理やけど、効果を軽減するぐらいなら……《ホーリーゾーン》! 健やん!」

「了解! 《瞬間充薬》【快癒万能薬(エリクシル)】セット! 《霊薬は口に易し》《皆癒の落涙》!」

 

 まず月夜が【司教(ビショップ)】の一定範囲内の病毒・呪怨系状態異常を軽減する《ホーリーゾーン》を使って周囲の人間を多少動けるぐらいに回復させ、その後に健太が【ヒュギエイア】に病毒系状態異常を回復させる【快癒万能薬】を入れ上に向けて引き金を引き、その効果を味方全体に作用させる事で彼等に掛かっていた状態異常を全て回復させた。

 

『よし、動ける様にはなったな……助かった』

「もっと感謝してもええんやで〜クマやん……ん?」

 

 シュウからの(微妙な雰囲気だったが)感謝の言葉に上機嫌な月夜だったが、ふと視界に目に入った物を見て目を細めた……その彼女の視界の先には肉体が【麻痺】し地面に倒れ伏したままもがいている【ヒートライザ】の姿があった。

 

「アイツ倒れたまま……ああ、この【衰弱】と【麻痺】に加えてウチの《薄明》の所為でAGIが下がり過ぎとるんやな。……アレ? これはチャンスでは?」

『まあ、奇襲を仕掛けてきた【ラーゼクター】の方はミカちゃんが抑えているしな。……ここでさっさと【ヒートライザ】の方を倒して向こうの援軍に行ければ一番良いだろうな』

「せやね〜、折角の機会を逃す必要は無いわな。……全員攻撃準備や」

 

 当然、彼等がそんなあからさま過ぎるチャンスを逃す訳がなく即座に【ヒートライザ】へと一斉攻撃を仕掛けようとして……その直前に【テレパシーカフス】からミカの慌てた声による警告が飛んできた。

 

『ストップ! 今【ヒートライザ】に攻撃したらダメ! むしろ少し離れた方が良い!!!』

「え? 一体どういう……」

『ッ⁉︎ おい見ろ!』

 

 その警告に疑問を呈する月夜だったが、直後にシュウから発せられた警告に従って【ヒートライザ】の方を見て目を見開いた……何と【ヒートライザ】の身体にあった古傷の様に模様が全て開き、そこから『赤い蒸気』を吹き出しながら先程までとは明らかに違う異常な雰囲気を纏って立ち上がったのだ。

 

『GURURURU……GUAAAAAAAAAAA!!!』

「な……熱ぅ⁉︎」

『これは……まだ奥の手を隠してやがったな!』

 

 そうして立ち上がった【ヒートライザ】が大咆哮を上げるとともに全身に付いた傷口から大量の『赤い蒸気』を噴出して、それと同時に先程までとは比べ物にならない程の熱波を放出し始めたのだ……シュウの言葉通り、これが【ヒートライザ】が<UBM>になった際に覚えた三つ目のスキル《熱体血放(ヒートライズ)》──自身の体温を急上昇させて病毒系状態異常を熱消毒する事で無効化し、更にSTR・AGI・熱系スキル効果を()()にするという超強力スキルである。

 ……それによって状態異常から回復した【ヒートライザ】は自身の近くで戦っていた【ラーゼクター】とミカに目をつけ、熱系スキル強化により5000度を優に超える超高温となった《ヒートボディ》付きの爪牙を使い、先程とはまるで違う荒々しい暴力的な動きで二人を噛み砕かんと攻撃を仕掛けていった。

 

『あ、ヤベ、全力で離れないと死ぬ……《竜尾剣》!』

『GUUUUAAAAAAAAAA!!!』

『TIE!!!』

 

 その直前に“直感”で【ヒートライザ】の攻撃を感知したミカは、即座にその場から飛び退ると共に《竜尾剣》を地面に突き刺して全力で伸長させる事で自分の身体を無理矢理移動させた……それに僅かに遅れて【ラーゼクター】も攻撃に気が付きその場から逃れようとしたが、その一瞬が致命的となり本能のままに動いている【ヒートライザ】に“最も脅威度に高い敵”としてロックされてしまった。

 ……予想外の展開になったもののAGIに関しては自分の方が上なのでどうにか逃れようとした【ラーゼクター】だったが、距離を取った瞬間に【ヒートライザ】が()()()()()()()で放った《ヒートブラスト・コンバージェンス》によって片腕を吹き飛ばされてしまった。

 

『GI⁉︎ 《コドクショウキ(蠱毒瘴気)》《ウィングド・リッパー》!』

『GAAAAAAAAAAAAAA!!!』

 

 それでも【ラーゼクター】は口から目眩し代わりとしてMP消費を抑える為に【毒】のみに効果を限定した瘴気を撒き散らしながら《混蟲代百化》を使って新たに腕を生やしつつ、残った方の腕から斬撃波を放って【ヒートライザ】を牽制して離脱を試みた……が、今の【ヒートライザ】にとってはむしろ逆効果でしか無く、本能のままに自身を攻撃して来た【ラーゼクター】に向かって攻撃を続行していったのだった。

 

 

 ◇

 

 

 ……そうして【ヒートライザ】と【ラーゼクター】が熾烈な攻防を繰り広げている横で、戦闘から離脱したミカはシュウや月夜達と合流していた。

 

『はいお待たせ。それでこれからどうする? ……ちなみにあの戦闘を放置したままだと()()()()()になるし、このままだと私達は蒸し焼きだけど』

「ただいまミカやん。……それで最悪の事態って? ウチはあのままアイツらに戦闘を続けさせれば自滅してくれへんかな〜って思っとるんやけど」

『……えーと……』

 

 戦闘を続けてややハイテンションになっているからかフォロー役(レントとミュウ)が居ない事を忘れて“結果”のみを話すミカに対して、月夜は冷静に状況を見つつ詳しい事情の説明を求めた……が、理屈を無視して結果だけを理解しているミカは言い淀んでしまった。

 ……なので、それに答えたのはキチンとした理屈としてこの状況の先を読んでいたシュウであった。

 

『いや、確か<UBM>が<UBM>を倒すと勝った方に大量の経験値が与えられて進化するって話を聞いた事があるワン。……それにさっきから気温の上昇率が急激に上がってやがる。多分後数分もしないうちに俺たちの熱耐性を抜いてくるぞ』

「あー、アイツらの戦いが終わったら残った方が更にパワーアップして襲い掛かってくる上、このまま待機したら葵ちゃん以外は全員焼け死ぬと。今もサウナみたいに暑いしなぁ」

「……流石に私一人じゃ勝てない」

『とにかく、どうにかしてアイツらのどっちかを倒さないと……何かいいアイデアは無いかな』

 

 そのシュウと月夜の説明によって現在実に面倒な状況になっている事を理解した彼等は、下手に割り込む事も難しそうな二体の戦いを見ながらどうしようかと悩んで居たが、そこで二体の<UBM>に《看破》を使っていた<月世の会>メンバーの立花翔が取得出来た情報を提示した事で状況は動き出した。

 

「オーナー、看破したところ【ラーゼクター】の方は先程の我々と同じ六重状態異常に掛かっていますが、逆にステータスにバフが掛かっている様です。そして【ヒートライザ】の方はあの状態に()()()()()H()P()()()()()()()()()

「うーん【ラーゼクター】の方は状態異常効果の反転って感じかな? 敵には状態異常をばら撒いて、自分は強化するっちゅう感じで」

『【ヒートライザ】の方はデメリット付きの強化スキル……いや、さっきまでの知性のある動きと違って今は本能のままに敵に襲い掛かってるから()()スキルと言った方が正解か』

 

 そう【ヒートライザ】のスキル《熱体血放》はステータス強化の際に《熱羽》でも放熱しきれないぐらいに体温が上昇してしまうので、体温を無理矢理下げる為に全身の古傷から自身の沸騰した血液を放出して強制的に放熱しているのだが、そのせいで十秒毎に最大HPの1%が減るデメリットが課せられるのだ。

 更にそれによる激痛で正常な思考が難しくなり、本能のままに戦闘する狂化系スキルとしてのデメリットを持ってしまっているスキルでもある……まあ、その分だけ強化値は非常に高い上、激痛によって精神系状態異常を無効化出来るというメリットもあり、更に好き勝手暴れるだけで《熱態圏》と放熱や強化された熱系スキルの組み合わせで周囲の全てを焼き尽くす灼熱空間が完成するが。

 ……それが分かっていた彼等もどうにかしてあの二体を倒す方法が無いかと考え、そこで翔が一つの案を提示した。

 

「【ラーゼクター】の方は状態異常に掛かったままスキルでその効果を反転させている……それなら俺の【コロッセウム】の()()()()()でなら対処出来るかもしれません。最悪でもあの二体を分断出来ます」

「成る程、カケやんの<エンブリオ>ならいけるか。今の【ヒートライザ】ならウチらが接近してもギリギリ死なへんやろし、さっき考えた作戦を実行するぐらいは出来るか」

『……どうも悠長に話している暇はなさそうだぞ。アイツらがこっちに来てる』

 

 そうシュウに言われた彼等は二体が戦っている方を見ると、そこには【ヒートライザ】に追われながら全速力でこちらに向かってくる【ラーゼクター】の姿があった……今の【ヒートライザ】がただ本能で獲物に襲い掛かっていると気が付いた【ラーゼクター】は、それなら近くにいる人間達に押し付けれ(MPKすれ)ばいいと考えたのだ。

 ……仮に人間達に攻撃されてもそれでターゲットが移るだろうから問題なく、もし押し付けられなくとも人間達を巻き込んで乱戦に持ち込んだ方が勝算は高いと判断しての戦術である。

 

『GAAAAAAAAAAAAAA!!!』

『TIE!!!』

「……うんしゃーない、カケやん必殺スキルを頼むわ。とにかく【ラーゼクター】の足止めをお願いや」

「了解しました。……後、足止めは構わないんですが……別に倒してしまっても構わないんでしょう?」

「一向にオッケーやで〜……てゆーか、それが言いたかっただけやろ?」

 

 バレました? といい笑顔を浮かべながら翔はパーティーから離れて向かってくる二体の前に出て行き、自身の<エンブリオ>が宿った左手を前に出した。

 

「味方側は俺一人、敵対象は【蠱毒狩蟲 ラーゼクター】同じく一体……各スキル設定完了。では行きますか……《絶対平等決闘場(コロッセウム)》!」

 

 そうして彼が必殺スキルの発動を宣言した直後、彼自身と【ラーゼクター】のみを囲む様に高さ10メートル程の壁が直径50メートル程の円形状に超高速で展開され、それ以外の【ヒートライザ】や他の人間達はまとめて外に弾き飛ばされた。

 

『GAAAAA!?』

「おっと、範囲内に入っとったか。でもこれで分断完了やな」

『成る程、TYPEキャッスル系列の<エンブリオ>だったんだね』

 

 ミカの言う通り、<月世の会>メンバー立花翔の【同一戦場 コロッセウム】はTYPE:テリトリー・キャッスルの円形闘技場型<エンブリオ>であり、その効果は……。

 

 

 ◇

 

 

『KITI……』

「おっと、温度も下がってるね。……まあ、以前の実験ではオーナーのスキルも外から中には届かなかったし、多分スキルが遮断されたからだろう」

 

 ところ変わってそこは展開された【コロッセウム】の内部……そこに居る【ラーゼクター】はいきなり周囲に壁が展開された事に驚きはしたが、目の前に一人の剣を持った人間がいた事からそいつが自分を閉じ込める目的で何かのスキルを使ったのだと直ぐに思い至った。

 ……更には男の発言と先程まで地獄の様な超高温だった気温が大幅に下がっている事から、上方は空いている様に見えても外部との繋がりが遮断されている事を察し、これまでの経験からこの手のスキルは術者を倒せば解除出来ると考えた……その直後、彼は自身を蝕む()()()()()()によって膝をついてしまった。

 

『KTI⁉︎』

「……どうやらキチンと【コロッセウム】の効果は効いているみたいだな。()()()()()()()()()()()()()という大雑把な設定だったから上手くいくか不安だったんだが……」

 

 ……立花翔の<エンブリオ>【コロッセウム】の能力特性は決闘場、及びその中での平等(無差別)なバフとデバフであり、現在は必殺スキルと緊急展開・格納用のスキル以外に三つのスキルを有している。

 まず一つ目が“内部にいる者の任意のステータス一つを半減させ、別の任意のステータス一つを倍加させる”《特殊規則:能力偏向》。二つ目が“内部にいる者の攻撃手段一つによるダメージ量を半減させ、別の攻撃手段一つのダメージ量を倍加させる”《特殊規則:攻撃偏向》。三つ目が“内部にいる者に任意のスキル種別一つの効果を半減させ、別のスキル種別一つの効果を倍加させる”《特殊規則:技能偏向》と言った具合だ。

 ……そして必殺スキル《絶対平等決闘場》は自身と味方を任意の数だけ指定して、それと同数の指定した敵対対象を【コロッセウム】内部に強制的に取り込み、更に上三つのスキル効果を強化及びスキル指定の為の“任意”の()()()を大幅に増した上で適応するという物である。

 

「現在、この【コロッセウム】内部では『AGI7割減、MP三倍』『生身の肉体を使った攻撃のダメージ7割減、武器によるダメージ三倍』……そして『<エンブリオ>以外のスキル効果7割減、<エンブリオ>のスキル効果三倍』のバフとデバフが掛かっているのさ。後、この必殺スキルを使った【コロッセウム】が敵味方のどちらかが全滅しない限り俺にも解除不可能だから」

『……ッ⁉︎』

 

 そう、この『<エンブリオ>以外のスキル効果7割減』のデバフによって《免疫生能》《害毒反転》の効果が弱まった所為で【ラーゼクター】は自身の六重状態異常の効果を受けてしまっているのだ。

 ちなみに彼が態々掛かっているバフデバフの効果を説明したのは、これらのスキル全てに『自身がこれらの説明前に攻撃した場合、コストである一分ごとの消費MPが百倍になる』というデメリットが課せられているからである。

 ……どこまでも“平等”を要求する(平等とは言っていない)自身の<エンブリオ>に苦笑を浮かべつつ、説明を終えた翔は手に持った剣を膝をついた【ラーゼクター】に向けて構えた。

 

「さて、平等とは名ばかりの一方的にこっちが有利な決闘場ではあるが、容赦なく行かせてもらうぞ!」

『……⁉︎』

 

 ……そうして【コロッセウム】内部における<月世の会>メンバー立花翔と伝説級<UBM>【蠱毒狩蟲 ラーゼクター】の“決闘”が始まった。




あとがき・各種設定解説

【同一戦場 コロッセウム】
<マスター>:立花翔
TYPE:ラビリンス
到達形態:Ⅳ
能力特性:決闘場・無差別バフデバフ
保有スキル:《高速展開:緊急収納》《特殊規則:能力偏向》《特殊規則:攻撃偏向》《特殊規則:技能偏向》
必殺スキル:《絶対平等決闘場(コロッセウム)
・モチーフは古代ローマに於ける円形闘技場の名称“コロッセウム”。
・自分が中に居る事が前提の<エンブリオ>なので、内側に自身を置いた状態ででしか展開出来ずスキル効果も機能しない。
・第四形態では直径50メートルぐらいで、それ以前の形態のより小さい決闘場を展開する事も出来る。
・《高速展開:緊急収納》はSPを消費して【コロッセウム】を高速で展開又は紋章で収納するスキルで、クールタイムは一時間。
・スキルを適応する条件は【コロッセウム】の展開前に設定する必要があり、展開後の再変更は不可能で変える場合には一度紋章にしまう必要がある。
・また、バフとデバフは“自身に全ての効果で適応出来る”様な設定でないといけない制限がある(例えば火属性魔法を覚えていなければ《技能偏向》で“火属性魔法”を指定出来ないといった具合)
・必殺スキルのクールタイムは24時間でバフデバフの効果は第四形態時でそれぞれ三倍と七割減であり、この部分は色々と矛盾が生じるので自身のスキルによる“<エンブリオ>の強化”を指定しても変更されない(レジストの難しさとかは上がっている)
・必殺スキル発動時には外部と内部は隔たれており、決闘場の上と下に半球状の結界が展開されて壁自体の強度も大幅に上がっているので外部からの干渉や脱出は困難(不可能とは言っていない)

立花翔:個人的にはあの決め台詞が言えた時点で満足
・現実では寝たきりの重病人でアニメの戦闘シーンが好きであり、デンドロのPVでの決闘シーンに憧れて自分もギデオンで決闘者をやっている。
・【コロッセウム】の効果を活かすために魔法も物理も出来る万能系ステータスになっており、事前に相手の情報を調べてメタになるバフデバフを掛けて戦うスタイル。
・ただ、<エンブリオ>無しではただの器用貧乏であり、特性的に集団戦が苦手なのでクランやパーティーでの戦いでは足を引っ張りがちなのを悩んでいる。
・なので、今回パーティーで自分が役に立っているのは内心喜んでおり、デスペナも辞さない覚悟で戦うつもり。

【ヒートライザ】:《熱体血放》を使うのは初めて
・なので大分能力を持て余しており暴走しているがスキルの解除だけなら任意で可能。
・《熱体血放》によって減った最大HPは時間を掛けて徐々に元に戻るが、それには24時間で5%程度と長い時間が掛かる。

【ラーゼクター】:人間のジョブスキルすら自在に使える
・《蠱毒瘴気》は自身が掛かった事のある毒を任意で選んで放出するスキルで保有する毒は二十を超えるが一度に選べる量には個々の毒の強度に応じて限度がある。
・普段使っている瘴気が強力な【溶解毒】ではなく【猛毒】なのもその辺りが原因で、この六つは色々試した上で自分にバフを掛ける事も考えて一番バランスの良い組み合わせである。
・《蠱毒絶殺》はその中から一つを選んで圧縮しながら自身の肉体に纏わせて直接相手に打ち込むスキルで、纏わせた部分にも毒が回るデメリットがあり直接攻撃にしか使えないがその分強力。
・そのダメージも《混蟲代百化》があれば治るが欠損部位を生やすのはかなり負担が大きく、一時的に最大HPが減るなどのリスクもある。


読了ありがとうございました。
思ったより長くなったから【ヒートライザ】との決着は次回。後かっぽーの新情報が色々と凄かった、特にドラム缶。予想通りだったけど予想以上にヤバいヤツだった。
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