とある三兄妹のデンドロ記録:Re   作:貴司崎

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前回のあらすじ:末妹「身体が軽い……! もう何も怖くない(2回目)!」兄「と思ってたら純竜が出たよ」

※【魔弓手】系統のスキル名が分かりにくいので全面的に変更しました。


霊林での戦い/冥樹降誕

 □<サウダーテ霊林>奥部

 

『GUGYURABAAAAAAAAA!!!』

「ッ⁉︎ 速い!」

 

 現れた【プランツアンデッド・グリーンドラゴン】は、AGI換算で5000(亜音速)以上の速度でレント達へと突撃した……元となった【グリーンドラゴン】というモンスターは全長5メートル程度と地竜種の純竜としては小型だが、これは木々が生い茂る森の中でも動きやすくなる様に進化した結果でステータスは十分に純竜級と言えるものを持っており、更に植物や毒物に纏わるスキル持ちである(グリーン)の名前を持っている通り森林内での自己バフなども駆使する<サウダーテ霊林>でもトップクラスのモンスターである。

 ……とは言え、そもそも【グリーンドラゴン】は()S()T()R()()E()N()D()()の種族であり亜音速以上の速度が出せるのは些か可笑しいのだが、それでも現実としてドラゴンがそれだけの速度を出して彼等へと突っ込んで行き……。

 

「《フリーダム・ランパード》《鉄壁の城壁》!」

『GUGYUAAAA!!?』

 

 そのドラゴンの突撃は彼等に到達する直前、両者を別つ様に地面から生えてきた厚さ1メートル・幅10メートル・高さ5メートル程の城壁にぶつかった事で止められた。

 彼、でぃふぇ〜んどの<エンブリオ>【自在城壁 パラスアテナ】は普通のTYPEキャッスルが持っている様な特殊性が高いスキルを何一つ持っていない代わりに非常に高い耐久力と強度を持ち、そこに彼のメインジョブである【城壁衛兵(キャッスル・ガード)】のパッシブスキル《城塞強化》と、城壁への物理的ダメージを減少させる《鉄壁の城壁》を乗せた上で分厚く展開すればドラゴンの突撃でもヒビが入る程度で済む強度を誇るのだ。

 

「止まったな、《足引きの呪縛域(ディーセライセーション・ゾーン)》!」

「まずはデバフを掛けるぞ、《ピュリファイ・アンデッド》!」

「じゃあ私は牽制ね、《ヴァイパー・アロー》《光炎之矢》!」

『GIEEE⁉︎』

 

 そうして動きが止まった相手にはクロードの【減速領域 スロウス】による凡ゆる敵を減速させる領域(テリトリー)に捕まってAGIを2000弱まで落とされ、そこにレントの掛けた聖属性アンデッドデバフ魔法を追加された上で、ひめひめが【アマテラス】の五本の光熱の矢を番えて上空に射ち、それが城壁を乗り越える様に直角に曲がる軌道を描いてドラゴンの背に突き刺さった。

 この《ヴァイパー・アロー》は魔弓手系統ジョブの魔法矢に特性を付与するスキルの一種で、放った矢が事前に設定した軌道を描いて飛ぶと言うもので、彼女は《魔矢多重展開》と合わせてそれぞれの矢の軌道を()()()()()()()()()()()()()()()()()城壁の反対側から攻撃したのだ。

 

『GUGYUAAA!!!』

「《透視》……あら、あんまり効いてないわね。聖属性が使えないとは言え火・光属性ならそこそこ効くと思ったんだけど。《ハウンドアロー》《光炎之矢》」

 

 ……が、それらの矢はドラゴンの樹木に侵食された表皮を僅かに貫いた程度で大したダメージは与えられておらず、その様子を城壁を透かして見たひめひめは想定以上のステータスを訝しみながらも目の前の城壁を壊そうとするドラゴンを妨害すべく誘導効果を付与した光熱の矢を上から射かけていく。

 

「《看破》……ッ⁉︎ S()T()R()()E()N()D()()()()()()ですって⁉︎ しかもこれは全ステータスに+100%のバフが掛かっています!」

「《メタ・アナライズ》……ふむ、これは《死霊強化》のレベルEXか。加えて【森司祭(ドルイド)】の森の中限定で植物の耐久性と魔法耐性を上げる《森の守護者》も掛かっとるか」

 

 その【プランツアンデッド・グリーンドラゴン】の異常なステータスの秘密を見破ったのは、ハイデスが作ったアンデッドに詳しく《死霊知識》スキルで解析能力が強化されているペルシナと、特殊な解説スキルと圧倒的な知識量を有するネリルだった。

 ……まあ、そこまでの秘密と言う程でも無く、このドラゴンは【ハデスブランチ】のレベルEX《死霊強化》などのパッシブスキルなどで強化されているだけなのだ。この霊林の管理者から権限を奪った所為でパッシブスキルの有効範囲も大幅に上昇している故に。

 

「でも【冥王(キング・オブ・タルタロス)】の《死霊強化》レベルは最大で10だった筈……<UBM>化で強化されたの……⁉︎」

「《死霊強化》のレベルEXは“アンデッドを征する”【冥王】では無く、“アンデッドを使役する”【屍王(キング・オブ・アンデッド)】か【屍将軍(アンデッド・ジェネラル)】の領分じゃからの」

『GYU! GYUAAAAAA!!!』

「それよりもアイツ壁壊すの諦めて回り込もうとしてるぞ……《魔法遠隔起動》《魔法多重発動》《ホーリーライト》」

「回り込みはさせません、囲みます! 《フリーダム・ランパード》《キネティック・レジスト》!」

 

 そんな二人の詳しい解説の間にもドラゴンはようやく壁を破壊出来ないと判断して横から回り込もうとするが、その周囲にレントが展開した聖なる光を放つ複数の光球によるデバフと浄化効果を受けて一瞬足を止めた隙に、でぃふぇ〜んどが追加の城壁を左右と後方にまで展開してドラゴンを囲んでしまった。

 

『GU⁉︎ GIGEEEEE!!!』

「よし、パターン入ったわね。削り殺すわよ、《スコール・アロー》《炎勢之矢》!」

「成る程、そういうパターンな訳ね……《瞬間装備》【パラディンブレード】《グランドクロス》!」

 

 四方を囲まれて一瞬狼狽えるドラゴンに対してひめひめは容赦なく上空から数十本の炎の矢を射かけて火達磨にし、それを見て()()の意図を察したレントは以前騎士団のクエスト報酬で貰った《聖属性適正》の付いた剣を装備しつつ、城壁の内側の地面のみから聖属性の光の奔流を吹きあがらせてドラゴンを焼き尽くした。

 ……これがひめひめ達パーティーが飛行能力を持たない相手へ行う『AGIデバフを掛けて四方を城壁で囲んで動きを封じ、その外側から一方的に攻撃する』と言う必勝パターンであり、ガチガチに物理抵抗スキルを重ね掛けされた城壁に囲まれれば高いSTRを持つドラゴンと言えど破壊しての脱出は出来ず、猛毒のブレスを浴びせる《グリーンブレス》も使い用が無い。

 

「……アレだけの純竜がこうもあっさり……」

『ハメ殺しはこの世界での戦いの基本ドラ』

「壁の向こうは聖属性が乱舞してるから、今回は呪怨系スキル乗せた怨霊軍団を送り込むのは無しね」

「強力なバフが掛かってる状態異常攻撃出来る相手なら私の出番かと思いましたがそんな事はありませんでしたのです」

「しょうがないよミュウちゃん、このパターンに入ったら私も周辺の見張りか万が一乗り越えるられた時の為の準備しかやる事無いし。……視線が通ってないと精神干渉し難いんだよね」

「やる事無いのは私も同じだけど、今回は相手のステータスがかなり高いから飛び越えられる可能性もゼロじゃ無いわよ」

 

 そんな一方的な展開を見て、包囲と攻撃に参加していないメンバーは呑気に(ちゃんと周囲の警戒はしている)喋っているが、自身の<エンブリオ>である“赤いラインの入った白い槍”を持ったクラリスが発した警戒通り一方的な攻撃に晒され続けたドラゴンは、度重なる聖属性攻撃とデバフを耐えながら頭上から降り注ぐ矢を無視して無理矢理城壁を登ろうとしていた。

 

「判断が遅い。ヴォルト、ネリル、お前達もだ。《魔法多重発動》《魔法遠隔起動》《ホーリー・ネイル》」

『承知……《サンダーボルト》!』

「了解了解……《魔法遠隔起動》《魔法威力拡大》《セイクリッド・バースト》」

『GEGYAGYAGYA⁉︎』

 

 だが、よじ登ろうとした途中でレントが上空から10本程の聖属性エネルギーで出来た釘──直接ダメージが無い代わりにアンデッドなどの聖属性弱点の相手に突き刺す事で【拘束】と継続ダメージを与えるスキル──が放たれ、それが突き刺さったドラゴンは動けなくなり地面に落ちた。

 更にそこへ間髪入れずにヴォルトが上空から落雷を落としてダメージと【麻痺】を与え、その直後にネリルが聖属性・火属性複合の聖なる炎を城壁内部に放ってドラゴンを焼き尽くし光の塵へと変えた。

 

「……ようやく倒れたか。しかしアンデッドでありながら、これだけの聖属性攻撃を撃ち込んでようやく倒せるとはな」

「ステータス倍加や魔法耐性だけでなく、アンデッドと植物の複合による再生能力の高さもあったからのう。……このレベルのモンスターを量産出来るなら厄介じゃろうて」

「こんな連中を大量に使役出来るとかだと厄介ね。……でも、今は手勢の数は減ってる筈だしこれ以上戦力を増やさない内に急いで『ひめひめさん! 右!!!』ッ⁉︎」

 

 念の為に【プランツアンデッド・グリーンドラゴン】が完全に消滅した事を確認した彼等はようやく一息吐いていたが、突然大声で発せられたミカからの警告を受けたひめひめは咄嗟に右側を向くと、そこには辺りの森に溶け込んだ同じく体表の幾らかが黒色の樹皮に変質した虎──【プランツアンデッド・レイドタイガー】が今にもこちらに飛び掛かろうとしている光景があった。

 ……この【レイドタイガー】はレイド(急襲)の名の通り気配を消してからの不意打ちを得意としており、今回も《気配遮断》と《森林迷彩》によって姿を消して《不意打ち(スニーク・レイド)》による奇襲を狙っていたのだ。

 

『GUUAAAAAAA!!!』

 

 目視されたが故に《スニーク・レイド(非発見時攻撃力上昇)》は機能しなくなったものの、クロードがMP回復の為に《足引きの呪縛域》を解除していた事もあり、タイガーはレベルEXの《死霊強化》により超音速に到達した速度でひめひめに飛び掛かってその首を食い千切ろうとし……。

 

「 《堅樹光球》! ……舐めるな!」

『GEEGAAAA!!!』

 

 その牙は、直前に反応したひめひめが身に付けていたマント型の特典武具【葉竜外套 ドラグリーフ】の第三スキル《堅樹光球》によって発生させた光の半球状バリアに阻まれた。

 更に高出力の光エネルギーに触れた所為でタイガーの口部と頭部は焼かれ、それにより思わず飛び退って距離を取ってしまい……その一瞬が致命傷になった。

 

「クソッ、もう一度《足引きの……「HP6()()消費! 《我が命を捧げ破壊の一投を(サクリファイス・バスタージャベリン)》!!!」

『GAAAA⁉︎』

 

 奇襲に対して他のメンバーが反応するよりも一瞬早く、真面目に警戒を続けていたクラリスが瞬時に自身の<エンブリオ>【命捧血槍 ロンギヌス】のスキルを使用した上でそれを全力でタイガーへと投擲した。

 ……それに気付いたタイガーは慌てて避けようとするが、“音速の三倍で飛翔し尚且つ追尾機能まである”その槍を躱す事など出来ずに横腹に直撃、そのまま着弾部を中心にした肉体の八割以上を消し飛ばされて倒された。

 

「よし撃破! この森に来てからあんまり活躍出来てなかったけど漸く活躍出来たわ! ひめひめ大丈夫?」

「ええ、大丈夫だけど……助けて貰った身でこんな事を言うのもアレだけど、クールタイム24時間あるスキルをポンポン使うのは……」

「姉ちゃんはボスキラーなんだから節約とかしろよ」

「《セルフ・フォースヒール》……でも、使わずに死んだら意味ないじゃない? それに私は宵越しのエリクサーは持たない主義なの」

 

 そんなひめひめとクロードのツッコミに対してクラリスは戻ってきた【ロンギヌス】をキャッチしながら、自己回復魔法で減らしたHPを回復させつつあっけらかんとそんな事を言った……彼女の<エンブリオ>【ロンギヌス】は世界一有名な聖遺物をモチーフにしている通り多様かつ強力なスキルを複数持っているが、その性能を発揮する為は多量のHPをコストに捧げる必要がある上、クールタイムは全てのスキルが24時間と言う非常にピーキーな代物なのだ。

 ……そんな<エンブリオ>なのだが、彼女自身が決断力に溢れた所謂『エリクサー症候群』から程遠い性格なのもあって、必要な時にスキルが使えない事も結構あったりする。

 

「それに、これ以上時間を掛ける方が危なくない? あの虎AGI高いからでぃふぇ〜んど君でも捉えられなさそうだし」

「……まあそうね。ここで無駄に時間掛けるぐらいなら一気に先に進む方がいいかな、レント達も居るし……足を止めてゴメンね! 先に進むわよ!」

 

 だが、クラリスの決断力はその場その場での咄嗟の判断力に優れているからでもあり、今までも本当に致命的なタイミングでミスを犯す事は無く、その辺りを理解しているひめひめは話を切り上げて今はとにかく先に進むべきだと判断して森の更に奥へと進む事にした。

 

「森の奥に向かうなら急いだ方がいいじゃろ……先程から大気中や地脈の自然魔力が森の奥へと流入しておるからな。既に儀式は始まっているのかもしれぬ」

「後、なーんか森の奥から微弱な怨念っぽいモノを感じるのよね。何かが起きようとしているのかも」

「そういう事はもうちょっと早い言いなさいよね……とにかく警戒しつつ急ぐわよ!」

「……師匠、今度こそは間に合わせます」

 

 ……そんな各々の思いを抱きながらも彼女達は森の奥へと進んで行ったのだった。

 

 

 ◆◆◆

 

 

 ◾️<サウダーテ霊林> 【冥樹死王 ハデスブランチ】

 

『……ようやくだ、ようやく儀式の準備は整った……』

 

 彼女達が襲撃して来たアンデッド達を退けた頃、<サウダーテ霊林>深部で堕ちた【ハデスブランチ】は彼だけがそう思っている“完全な死者蘇生の術式”準備を終えていた。

 

『……待っていてくれ、お前たち。すぐに永遠の命を与えてやれる。……さあ、死者蘇生の儀式を始めよう……地脈接続、自然魔力吸収開始……』

 

 そう言った彼は魔方陣の中で霊木に触れながら儀式魔法発動の為に呪文を詠唱し始め、その呪文に呼応して魔法陣と霊木が光を放ち、魔法陣に刻まれた術式に従って周囲の魔力を吸収しだす。

 

『冥樹死者化術式正常起動……続けて蘇生術式を……』

 

 普通の言葉ながらどこか狂気を感じる呪文の詠唱が進むと共に、魔法陣と霊木の光が強まりながら吸収した膨大な魔力を使って魔法陣に刻まれた術式が効果を発揮し始める……そうして順調に儀式を進めている様に見える彼だが、そこで二つのイレギュラーがあった。

 

『肉体から抽出した霊的情報固定……知性復旧……』

 

 まず一つ目はこの魔法陣に刻まれた術式は『あらゆるモノを知性のあるアンデッドにする術式』であり、彼はそれによって妻子の遺体をアンデッド化させようとしていたのだが……魔法陣の特性上、当然ながらその術式の効果範囲内には()()()()()霊木が入っていた事。

 

『……◾︎◾︎◾︎……』

 

 そしてもう一つは彼が狂気の中で作り上げたその術式が、彼が思う以上の効果を持っていた事……膨大な魔力を抱えながらもモンスター化しなかった程に安定していた樹齢数百年の霊木を()()()()()()()()()()()()()()()程の効果があった事である。

 ……生前の彼ならばそれらの不備も当然気付く事が出来ただろうが、今のモンスターとなり狂い果てたソレには気付く事が出来ず……故にここに“最悪の事態”となって結実した。

 

『このまま引き続き霊的情報の固定を……これは……⁉︎』

『……◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️!!!』

 

 アンデッドモンスター【ハイ・アンデッド・ジャイアントウッド】と化した霊木は、術式の効果でかつての管理者の残留思念をすくい上げて知性が芽生えた事により、自身の領域に侵入して管理者を鏖殺した【ハデスブランチ】を敵性存在と認識してしまった……この術式は妻子を蘇らせる為であるが故に、アンデッド化した後の制御などは一切考えられていなかったのが災いした形だ。

 

『◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️‼︎』

『何を⁉︎ ……ガアア‼︎』

 

 そしてジャイアントウッドは【ハデスブランチ】の一瞬の動揺の隙を突いて魔法陣に干渉し、自身の膨大な魔力を術式を行使していて無防備な彼へと逆流させてダメージを与えながら僅かな時間だけ魔力を行使する感覚を麻痺させた。

 ……その間にジャイアントウッドは魔法陣に刻まれた『アンデッド化』と『魔力吸収』の術式を、管理者から引き継いだ技術で無理矢理統合し『アンデッドを吸収する術式』として起動させた。

 

『がアアアアアァァァ◾️◾️◾️◾️……』

『◼️◼️◼️◼️◼️◼️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️……』

 

 魔力感覚が麻痺していた【ハデスブランチ】はその吸収術式に抗う事が出来ず、そのまま彼の妻子の遺体と共に霊木アンデッドに吸収されてしまった……のだが、無理矢理統合した術式だったからか、或いは彼の狂気に侵された妄念が霊木に芽生えた知性を上回ったからなのか、【ジャイアントウッド】と【ハデスブランチ】は、その肉体と精神が混じり合って一体のモンスターへと変成してしまった

 

『……◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️……』

 

 そうして変質した霊木の姿は周りの木々と比べても大きさが倍以上に成長して黒い幹と紫色をした葉を生い茂らせ、その上部には【ハデスブランチ】の上半身に似た形のウロがある禍々しい姿となっていた。

 ……そして、自然ダンジョン内の樹齢数百年の霊木が変化した高位(ハイ)の樹木アンデッドと伝説級<UBM(ユニーク・ボス・モンスター)>が融合してしまった“コレ”は、世界(システム)唯一(ユニーク)と認められるに十分過ぎるモノだった。

 

 

【(<UBM(ユニーク・ボス・モンスター)>認定条件をクリアしたモンスターが発生)】

【(過去に類似個体なしと確認。<UBM>担当管理AIに通知)】

【(<UBM>担当管理AIより承諾通知)】

【(対象を<UBM>に認定)】

【(対象に能力増強・死後特典化機能を付与)】

 

【(対象を()()()()()──【冥樹屍界 バイオハーデス】と命名します)】

 

 

 そんな複雑な経緯で生まれた【バイオハーデス】であったが、そこには【ハデスブランチ】が残したたった一つの意思(妄念)……『皆と共に永遠を生きる』という意思だけしか残っていなかった……故に【バイオハーデス】はその意思に従って行動する。

 

『◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️……』

 

 まず【バイオハーデス】は<UBM>化した事により動かす事が出来る様になった枝や根を触手の様に伸ばして周辺にあった木々に接触し、自身の固有スキル《冥樹侵食・屍界拡大(ハデス・ハザード)》を行使した……すると接触していた枝や根から禍々しいオーラが木々に流れ込み、それらの木々は即座に【バイオハーデス】と同じ黒い幹と紫の葉の樹木アンデッドになっていった。

 

『◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️『◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️『◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️……』

 

 そうして変異した木々も同じ様に周囲にある普通の樹木へと枝葉を伸ばして禍々しいオーラを流し込んで変異させ……それを鼠算式に続けていった結果、<サウダーテ霊林>深部の森はあっという間に黒と紫に染まった樹木が不気味な唸り声の様なモノを響かせる場所へと変わってしまった。

 また、それと同時に固有スキル《魔力集積賦活》──魔法陣の自然魔力吸収機能が【バイオハーデス】のスキルとなったモノ──によって周辺の自然魔力を吸収する事で消費したHP・MP・SPを回復していく。

 

『◾️◾️◾️◾️『◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️『⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎……』

 

 ……そうして【バイオハーデス】は残された一つの思いに従い、どんどん<サウダーテ霊林>を呑み込んでいく……全てを(皆と)吸収して(共に)同じ【バイオハーデス】にする(永遠を生きる)為に……。




あとがき・各種設定解説

でぃふぇ〜んど:地味だがパーティーの要
・彼の【パラスアテナ】はシンプルな機能でありながら汎用性は非常に高く、防御に捕縛に足場作成などでパーティーを強力に支援する。
・……と、非常に重要なポジションで他のメンバーも認めている程なのだが、本人は『イマイチキャラが地味じゃ無いかな』とか悩んでいるそうな。

《死霊知識》:死霊術師系統パッシブスキル
・アンデッドに纏わる事物への解析系スキル効果を上昇・拡大させるスキルで、その事物に関する知識量によって効果が増減する。
・例えば今回の様に【プランツアンデッド】に詳しいペルシナがそれに使えば、ステータスだけでなく保有スキルや掛かっているスキル効果なども《看破》スキルで表示される。
・様々な種別の事物に応じたジョブには、それぞれに対応する《○○知識》のスキルがある。

【葉竜外套 ドラグリーフ】:ひめひめ所有の伝説級特典武具
・外見は緑色の葉っぱを折り重ねた様なフード付きの外套で、装備防御力が100、装備補正がMP+20%と光属性耐性+100%で装備スキルが3つ。
・1つ目の《陽力装》は【ドラグリーフ】に後述する2つのスキルを使う為のコストとした光エネルギーをチャージするスキルで、最大まで溜まっている時に光エネルギーを吸収すると装備者のMPを回復する効果もある。
・太陽光以外にも何かの光属性スキルを当ててのチャージも可能だが、某【モノクローム】と違って100%吸収ではないので加減が必要。
・2つ目の《光剛勢》は装備者が使う光属性を含むスキルへ蓄積した光エネルギーを追加する事で強化するスキルで、追加する光エネルギーは任意で決定可能。
・3つ目の《堅樹光球》は蓄積した光エネルギーを使って自身を守る光の球状バリアを展開するスキルで、展開範囲と時間に応じて光エネルギーを消費する。

【命琫血槍 ロンギヌス】
<マスター>:クラリス
TYPE:アームズ
到達形態:Ⅳ
能力特性:生命力消費・奇跡
固有スキル:《我が命を捧げ無双の力を(サクリファイス・ブーストアップ)》《我が命を捧げ聖なる守りを(サクリファイス・ホーリーシールド)》《我が命を捧げ奇跡の癒しを(サクリファイス・ミラクルヒーリング)》《我が命を捧げ破壊の一投を(サクリファイス・バスタージャベリン)》《我が命を捧げ光の裁きを(サクリファイス・ディバインバスター)
・モチーフは神の子の血を浴びて聖遺物となった“ロンギヌスの槍”。
・奇跡を能力特性とする通りスキルはそれぞれ『物理ステータス・装備攻撃力大幅上昇』『高強度聖属性シールド展開』『全状態異常回復』『高速高威力追尾投槍』『高威力聖属性拡散ビーム』と強力かつ多種多様。
・だが、全てのスキルにおいて高い効果を出すにはコストとして多くのHPを捧げなければならず、更にクールタイムが24時間と非常に長いので継戦能力にも乏しい。
・加えてステータス補正がHP以外全てGで装備としての攻撃力も低く、各スキルは併用不可のデメリットもある。
・クラリスの場合は自己回復に長けた僧兵系統の武器使用可能な派生である【戦僧兵(ウォリアーモンク)】系統とHP極特化で他者へのダメージを転嫁する【肉盾(ライフ・シールダー)】系統を組み合わせコストであるHPを確保し、スキルを使い切ったら文字通り仲間の肉盾になるという割り切ったビルド。

《我が命を捧げ破壊の一投を》:アクティブスキル
・自身のHPを任意消費した上でターゲットを設定、その対象に追尾機能及び対象に命中するまで支払ったHPの半分の数値分だけ速度と攻撃力が上昇する効果を持たせた【ロンギヌス】を投擲するスキル
・クールタイムは24時間で、おまけに投げた【ロンギヌス】は自動で手元に戻って来る仕様。

【ハデスブランチ】:枯れ果てた冥界の枝の末路は新たな樹の養分になる事だった
・妻子の魂が見つからなかった絶望から、<UBM>になった際【冥王】の『アンデッドを征する力』の殆どを失った代わりに『アンデッドを使役・製作する能力』や『呪怨系攻撃スキル』などを獲得及び大幅な強化していた。
・だが、“征する力”を失った故に対アンデッドの能力は生前よりも下がってしまっており、それが今回の末路に於ける原因の一端となった。

【冥樹屍界 バイオハーデス】:新たに生まれた“冥樹”にして“屍界”
・伝説級<UBM>と高位の霊木が融合したので最初から古代伝説級判定されており、現在もその規模を拡大中l
・そのスキル詳細は次回から説明するが、どうやら典型的な『条件特化型』の古代伝説級の様だが……。


読了ありがとうございました。
今回はあとがき含めてかなり長くなった……登場人物が多くて場面も2つだったからね。次回からは場面が統一……対【バイオハーデス】に入るのでもう少しスッキリするかな。
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