THE IDOLM@STER Glitter of Platinum 作:織部よよ
A. 個人的な趣味だけど意味がないわけではない(と信じたい)。
Q. チート?
A. ではありませんが一部強めあり。基本顔と雰囲気で遊んでしまったパンピー。
前回の口調の切り替え、ちょっと変更します。テンポ良い会話が求められるときや親の前ではしっかり普通の口調にしているということで、ひとつ。
まだアイドルと会話すらしていないのに評価が3つも…!ありがたい限りですな。
スレSS時代の影響を強く受けているとも言える。
「彼女が、アイドル…?」
「そうとも、事務所のビルの前に佇んでいたところを、私が直々にスカウトさせてもらったよ。いやぁ~そのときのオーラと言ったら!」
高木社長に自分もアイドルになることを伝えた直後。
『たのもーっ!』
『正体を現しなさい!』
事務所のドアが蹴り飛ばされるかというくらいの勢いで開かれたと思ったら、髪の両サイドにリボンを付けた真面目そうな美少女と銀髪の超然とした雰囲気の美女が乱入…乱入?してきた。
その2人が天海春香と四条貴音であることにはすぐに気づいたので、この場合乱入者はむしろ私の方であることになるが。
『ごきげんよう、わたくしは織部百合と申します』
『あ、あれ?』
『……まぁ』
案の定、彼女らは私の(無駄に洗練された)挨拶を受け、すっかり毒気を抜かれてしまうのだった。
回想終了。
「そういうわけで、わたくしも今日から皆さんと共に頂点を目指させていただくことになりました。どうぞ、よしなに」
「あの、社長。レッスンとかはどうするんですか?」
「それは、やはり頑張ってもらうしかないだろうねえ。出来るかい、織部くん?」
出来るか出来ないか。それは正直わからない。わからないけど、やる。
私は生前そういった音楽関係にはあまり触れる機会がなかった…ような気がする。少なくとも覚えている範囲では全く記憶がないので確かだ。ただ体力がないのと
時間軸的にまだPが来ていないので、今から頑張れば私もそれなりに追いつけるのではなかろうか…と、希望的観測は持っておいてもいいだろう。どうせこちらに来れば時間しかないのだ。むしろ好条件とさえ言える。
「うふ、わたくしは今から精いっぱい努力するだけですわ。努力をすれば出来ないことなんてありませんから」
私のその言葉に、社長は満足げな表情を浮かべた。こういうスタンスは社長によく合うのだろう。気が合いますねしゃっちょさん。
「そう言えば、まだ私たちは自己紹介していませんよね?私、天海春香です!」
「四条貴音と申します」
知ってます。この先めっちゃ有名になる人らですよね…ほんとまぶしい…。
…あ、そうだ。
ここに来て、お姫ちゃんに会ってやろうと思っていたこと__ただの悪戯だが__をやってみよう。思い立ったがなんとやら。
2人が自己紹介を終えたその直後、姫ちゃんに向かって震えるような足取りで歩いていく。私の突然の行動を止めようとする人は誰もいない。当の仕掛けられる本人はきょとんとしたままだ……あーた、その美貌でそれをやって可愛いとか天才かよ。お友達になって。
「ひ、姫……?本当に姫なのですか…!?」
突然両手を掴み、誰もが誤解するであろう一言を演技たっぷりで言い放った。なお私は大根役者とする。
「…え」
「はい?」
「どうしたのかね?」
「……はて?」
しかしその適度な棒読みっぷり(自覚あり)に違和感を持たれることはなく、ものの見事に全員固まった。なんか面白いけどちょっと申し訳ないねこれ。
「ずっとお会いしたかったのです、姫…あのようなことに見舞われてからずっと探していたのですよ…!」
前言撤回。めっちゃ楽しい。
「ど、どどどどどういうこと貴音ちゃん!?百合ちゃんと如何様なご関係で!?」
「そ、そうですよ貴音さん!知り合いだったんですか?」
「…いえ、初対面のはずですが…織部百合、説明を」
「………うふっ」
そこでようやく握っている姫ちゃんの両手を放し、その場でくるりと1回転。
薄く微笑みを浮かべながらネタばらし。
「もちろん、冗談ですわ」
「…あ、あー!なーんだ冗談ですか!びっくりしちゃいました…えへへ」
春香ちゃんが固まった空気を切り裂くように言葉を発する。それを皮切りに、事務所内の雰囲気も一気に弛緩したようだ。
「すみません、あんまりにも綺麗な方がいらしたので。四条貴音さん、でしたわね?今後ともよろしくお願いいたしますわ」
「…随分と面妖な方ですが…こちらこそ、よろしくお願いいたします」
改めて握手…うわ手ぇほっそ!白柳かぁ?
と、ちょっとしたジョークを交えながら金の卵ちゃんたちとコミュニケーションを取っていると、後ろからガチャリという音が。察するに他のメンバーだろうか。
「お疲れ様です~」
「はふぅ……まだ眠いの…」
「今日のレッスンも頑張ろうね、雪歩!」
「そうだね、真ちゃん」
おや、やっぱり765プロの他のアイドルちゃんたちか…おっと、亜美真美がこちらに向かってくる。
「目標発見!突撃ぃ――って、あれ?」
「真美のすてみタックルが躱された!?追撃行っくよー!」
「亜美ちゃん、真美ちゃん。お客さんに失礼よ……ごめんね百合ちゃん、うちの子たちが」
「ふふ、大丈夫ですわ。元気なのはいいことではありませんか」
しっかし、双海姉妹は実際目の前にいると思ったより元気なことがわかる。まだ中学生なりたてくらいだっけ?いいね、若いってのは。前世での
続々と奥へ入ってくるアイドルの卵たち。その誰もが、私の姿を目に入れてはびっくりして固まっているように見える。あの星井美希ですら、普段の眠たげな眼をぱっちりと開いているではないか。え、彼女公認で綺麗かな私?(すぐ調子に乗る)
「あら、皆一緒に来たのね?ちょうどよかったわ」
「あの、小鳥さん。隣にいる金髪の女の人は、もしかして新しいプロデューサーですか!?」
まさか。私はこの業界のことなんも知らねんだぞ。もっとも、万一の時のリカバリーが最低限でも保証されているなら、好き勝手やっていろんなことを経験しながらセルフプロデュースするけど、そうはいかんでしょ。
とは思いつつ、彼女らがそう勘違いするのも仕方ないと思う。突然謎の外国人女性(しかも見てくれ
しかし、天性のカリスマとアイドルの才能を持つたった一人だけはしっかりと見抜いていたようで。
「んー、たぶんだけど、その人プロデューサーじゃなくてミキたちと同じアイドルになろうとしてるんじゃないかな?でも、どこかで見たことあるような…」
「美希?それって…」
「あらあらあら~。こんなに綺麗な人が、私たちに加わるなんて頼もしいわぁ」
『……ええええええっ!?』
星井美希、三浦あずさの両名の発言によって、たちまち事務所内が驚愕に包まれた。え、そんな老けて見えたのかね私……。
「そちらの金髪の方の言う通りですわ。初めまして、わたくしは織部百合と申します。高木社長にスカウトをされて、この度アイドルになることを決めましたの。以後よろしくお願いいたしますわ」
そしてもう一度スカートの裾をつまみお辞儀。いつまで経ってもハリボテ深窓の令嬢ムーヴだけは完璧である。たぶん。
「お姫ちんとは違うタイプのお嬢様…!」
「これはイロイロ面白そうですなぁ!」
「わ、私、本物の貴族なんて初めて見ました…」
「お、おお落ち着いて雪歩!今の時代貴族なんていないから!」
「ちょっとアンタ、織部と名の付くグループなんて聞いたことないわよ?社交パーティーでも見かけたことないし…」
「社交パーティー……やっぱり水瀬さんってお金持ちなのね…」
「すっごく綺麗な人ですーー!」
「貴音と並ぶと、姉妹みたいだぞ…」
まさに阿鼻叫喚。見た目だけでここまで混乱に陥れるって、ある意味すごいのではないだろうか。
「皆さま、落ち着いてくださいまし。同じところを目指す以上、普通に仲良くしていただけるとありがたいですわ。今の私は、ただの『織部百合』ですから」
「そうね、せっかくだから皆も自己紹介したらどう?」
ピヨちゃんのありがたい一言で、とりあえず騒がしさがなりを潜める。確かに、私は一方的に脳内で知ってるけど、対外的には知らないことになってるもんね。皆の自己紹介、生で聞かせていただきますか。
「双海亜美!」
「双海真美!」
『どぅえっす!』
「えと、萩原雪歩です…」
「菊池真です!」
「星井美希なの。やっぱりどこかで…」
「三浦あずさです~」
「水瀬伊織よ」
「…如月千早、です」
「うっうー!高槻やよいですー!」
「自分、我那覇響だぞ!」
…おお。おおおー!
すごい!生自己紹介、ありよりのありだ。
「ふふ、改めて皆さんよろしくお願いいたしますわ」
言い終える前に、双海姉妹が再度私の元へとやってくる。
「あだ名は“ゆーりん”に決定~!」
「よろしくね、ゆーりん!」
ふむ……“ゆーりん”か。
まあ良いのでは?姫ちゃんみたいにthe・お嬢様って感じのあだ名ではないし、差別化が図れるだろう。個人的にもそちらの方が親しみやすくていい。どうせこの口調だろうとボロが出るし……てへ。
「あら、かわいらしいニックネームですわね。ありがとうございますわ」
「あーーーーーーーーーっ!?」
ミキミキが突然おっきい声を上げる。その視線はどう考えても私の方を向いていた…その絶叫に相応しい、驚愕の色を添えて。
「どうしたの?美希ちゃん」
「その人、“ユーリ・ローラン”なの!!」
「あら」
『…ええっ!?』
その名前に反応したのは、ピヨちゃんや社長を含めた14人のうちたった数人。まあそんなもんかな、知名度としては。もしかしたら大体の人がそもそもモデル雑誌とか見てない可能性もあるしね。
というより初見でユーリ・ローラン=私ってわかる人いるのね…。
「それって…3,4年前に姿を消したティーンズモデルの?!」
「カリスマモデル“ジャンヌ・ローラン”の実の娘で、母親に負けず劣らずの容姿をしていたという?!」
「ええっ!百合ちゃん、ジャンヌさんの娘さんなの!?道理で目鼻立ちが似てると思ったら…」
その数人に加えてピヨちゃんまで反応してきた。
あー…そう言えば私の母さんがさっき言ってたね。『小鳥さんを行きつけのバーでよく見かけて、何度か話したことがある』って。その関係かぁ。思ったより私の(というより私と母さんの)名前はその界隈には広く知られているのかもしれない。
「でも、ユーリ・ローランって黒髪だったよね?」
「ある雑誌で一回だけ今の髪色になったことがあるの。そのときはウィッグだと思ってたけど……まさか地毛だとは思ってなかったの」
「どど、どうなんですか織部さん!事の真相は!」
件の数人だけでなく、事務所内にいる私以外の全員がこちらを見ていた。そんなに気になるだろうか。でも、聞かれたなら答えるしかない。
「そうですわ、わたくしは中学在学中に“ユーリ・ローラン”名義で活動していましたの……まあ、中学卒業と同時にすっぱり辞めてしまいましたが」
「それはまた、どうして?百合ちゃんほどの容姿なら続けても良かったんじゃないかしら?」
「そうなの!皆復活を待っていると思うの…!」
その疑問は至極当然のことかもしれない。今の反応を見る限り、当時の雑誌を読んでいたっぽ人らは例外なく私のことを知っているみたいだし。
というかやけに気にしてますねミキミキ。
「まあ……親の影響で始めたことですし。それに他にやりたいことが出来たので、折を見て、という感じですわ」
嘘は言っていないが、真実も言っていない。流石に「3年でそこそこ稼いだし十分楽しんだから辞めた」なんて言ったら顰蹙を買い兼ねん。傲慢だというイメージを持たれたら今後のコミュニケーションに影響を及ぼすだろうから、絶対言わない。
……あ、そう言えば今何時だろう。そう思って腕に着けてる時計を見てみると__
「あら、いけません!もうこんな時間ですわ!」
「何か用事でもあるのかね?」
「ええ。元々今日はこちらで一人暮らしをするための物件の、内見を予定していたのですが、予定の時間が後20分で来てしまうのですわ…そういうわけで、わたくしは今日のところはここでお暇させていただいても宜しいでしょうか?」
『え~~っ!?』
「ああ、そういうことなら私は全然構わないがね?次に東京に来るのはいつ頃になるかね?」
「……早くて1週間ですわね。身の回りの家電等を揃えないといけませんので。こちらにお伺いする日の目処が立てば、またご連絡させていただきますわ」
「それがいいと思うわ、百合ちゃん。レッスンなんかも参加しないといけないし」
話がまとまりつつある。
まあ、実際に1週間くらいでまたここに来れると思っている。今から向かう賃貸アパートは一応即入居可だし、ここら辺の地域でそれほど高くはないが安すぎるというわけでもない。余程の問題や欠陥が見つからなければ今日中に部屋で寝られる。割と心配どころである。
置いていたカバンを取り、改めて皆に向き合う。
皆一様に物足りなさそうな顔をしていた。そりゃそうだ、突然来た人がアイドル目指す上に元ティーンズモデルだってんだからいろいろ気になることもあるだろう。でもごめんね…。
「それでは皆さん、また近いうちにお会いしましょう」
立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は百合の花。
私のポリシーの一つであり名前の由来になった言葉のように、瀟洒に優雅に歩いていき、事務所を出たのであった。
「ちょっと待ってなの!」
「あら?」
この先ずっと直らないであろうエレベーターを尻目に階段を小気味よく下っていると、2階あたりまで降りたところで誰かに呼び止められた。
声の主は星井美希。
「どうされましたの?美希さん」
「本当に、本当にもう現役復帰する予定はないの!?」
……なるほど。どうやらミキミキは私のことをよく見てくれていたらしい。いちファンからすれば復帰を望むのも当たり前だ。私とてその気持ちはよく分かる。
でも、あまり申し訳ないとは思わない。むしろそのことに申し訳ないとは思う。
「…残念ながら、今のところはありませんわ…貴方の気持ちは、よく分かりますが」
「………!」
「それに、わたくしには……いえ、なんでもありませんわ。お話はそれだけですの?」
「……わかったの」
ひどくやるせないような表情を浮かべて階段を上っていくミキミキ。少し言い方が冷たすぎたかもしれない。今度会ったときは弁明しよう。
__後日、ダンスレッスンのスタジオにて床に突っ伏している私の姿が、765プロの皆に晒されることとなる。
主人公はテンションがあがるとゲーミングお嬢様みたいになる。そのせいでどうあがいても貴音みたいな本物感は出せないという。
織部 百合
CV.石川〇依
アイドルとしての才能(特に歌やダンスに関して)は、お世辞にもあるとは言えない。しかしとても研究者気質であり、また天性の努力家でもある。ただし自分の好きなことにしかそれを発揮できないため、どこかの誰かさんの劣化版(だと本人は思い込んでいる)。
自分で確認できるミスや穴があれば「まだ詰められる箇所がある」と感じ穴を埋めにかかる。失敗したときは、どこでどういう原因なのかをきっちりと突き止め、即座に改善案を考える。がっちりとハマった方面に関しては、自分が納得するか求められるラインまで一切止まることはない修羅。
たぶん雪歩とかと同レベルで体力がない。
前世の記憶の大半を忘れているが、前世で経験した感情は