THE IDOLM@STER Glitter of Platinum 作:織部よよ
あと今回オリキャラが出ます。癖が強いタイプの。
私は常々感じていた。
ビル群はフェチズムを的確に突いてくるなと。
私は生を受けてから15年ほど、東京で過ごしていた。その後は3年ほど奈良県の真ん中の方に居を移していたのだが、15年かけて慣れ親しんできた故郷の景色は誇張なしに私の美意識を再形成していった。もちろん、古都の大自然も3年で随分と好きになったが。
ビル群は良い。聳え立つ文明の象徴も、切り取られる空も。ただしヒートアイランド現象による異常な暑さだけは勘弁してほしいが。
ビルに取り囲まれていると、私自身がちっぽけな存在のように思えてくる。それはもしかしたら本当にそうなのかもしれないが…自然と対峙した時とも違う、自分が隅っこにいるようで…。
まあ思考がうまくまとまらないが、そんな言語化しにくい感情も含め「都会」というものに愛を感じているのだ。
「ふぅ……今日もいい紅茶ですわ…」
そしてそれは765プロの事務所内も例外ではない。こういう狭い空間は大好物なのである……大好物なのである!大事なことなので2回言った。
特に窓のすぐそばにある応接間のようなスペースが好きだ。革張りのソファに座り、外を眺めながら紅茶を飲むのが割かし日課になってきている。
「百合ちゃん。おはよう」
「あら、あずささんおはようございますわ。今日も綺麗ですわね」
「あらあら、百合ちゃんに言われると自信が付くわぁ」
私が
でももう伊織ちゃん辺りにはバレてそうなんだよな…。
あずささんは私の向かいに腰を下ろすと、カバンから雑誌を取り出す。あー…また恋愛関係のやつですか。私は自分については興味がつゆほどもないけれども。
「あずささんにも紅茶をお淹れしますわ。今日の茶葉はわたくしの一押しのものですので」
「ありがとう、百合ちゃん。雪歩ちゃんの緑茶と並んで、もうすっかり事務所の皆に好まれているわね」
「本当にありがたい限りですわ」
実を言うと私は緑茶も結構好きだったりする。というよりもこの容姿でいることの反動なのか、私は愛国心がとても高い。どれくらいかというと、プロフィールの「好きなもの」欄に書ききれないほど。
この世には好きなものがたくさんある。苦手なものは虫とスケベな男くらいだ。スケベな奴らは全員逝ってよし。おっと。
一旦ソファから立ち上がって給湯スペースに向かう。
「あら、雪歩さんに真さん。おはようございますわ」
「あっ、織部さん…おはようございます…!」
「おはようございます、百合さん!」
丁度、その雪歩ちゃんが急須でお茶を作っている最中だった。そのすぐそばで椅子に座っている真ちゃん。
真ちゃんと雪歩ちゃんは、事務所の中でも特別仲のいい組み合わせだ。きっかけは聞いたことはないが、2人とも波長が合うのだと思う。
「今日も雪歩さんは奥ゆかしくて素敵ですわね」
「いっ、いえ!そんな、織部さんに比べたら私なんて全然そんなことないです…」
雪歩ちゃんはとにかく自信がない。もちろんミキミキを筆頭とする「デキる勢」を間近で見てしまっているので、それと比べて自分を卑下してしまうのも仕方ないのかもしれない。いやあの人らがやべーんだわ、主にミキミキとか姫ちゃんとか姫ちゃんとかミキミキとか。体力も才能もない私とは雲泥の差である。
「あら、自分に自信を持つことは大切だと、日頃から言っているでしょう?貴方の持つ雰囲気は、うちでは他の誰も真似できませんもの」
「ねね、僕はどうですか百合さん!」
割り込んでくる未来の王子様…もとい、まこまこりん。多分だけど、私のお嬢様ムーヴに憧れに近いものを抱いているのではなかろうか。確かそういう願望が根底にあったよねこの子。
お世辞にも私は歌やダンスはうまいとは言えないのにこういう態度を取られている辺り、本当に765プロの皆がいい子過ぎると思う。いつかよしよししてやろうそうしよう。
「そうですわね、真さんは自分のやりたいことと周囲から求められることが真逆になる可能性があります。それによってファンの人は受け入れがたいと感じるかもしれません……ですが、“自分を出せない”ことほど複雑な悩みはありません。いずれそうなるように、初めのうちは耐え時かもしれませんわね」
その話をするに伴って、前世にいたある1人の歌手のことがふと思い出された。
その歌手は男性で長らくがちがちに性別に合わせた服装でテレビに出ていたのだが、ある秘密を暴露し、それからは中性的な衣装も着るようになっていったのだ。この時点で秘密がなんなのかはもう割れているが。
だからまこりんもしっかりとタイミングを見れば受け入れてもらえる日はくるのではなかろうか。話の内容が、彼女がこの先有名になることを前提みたいな聞こえ方はしてしまっているだろうがまあいい。
「うわぁ…やっぱり百合さんって凄いなあ!ありがとうございます!」
「いえ、それほどでも。わたくしも真さんにはダンスレッスンに付き合ってもらっていますし、お互いに持ちつ持たれつですわ?」
「…やっぱり、奥ゆかしさは織部さんには勝てないなぁ…」
大丈夫だよ雪歩ちゃん。そのうちどうせ私の外見のイメージなんてすぐ壊れる。すぐ壊れるんだ……
ということを言えるはずはなく、笑って誤魔化すしかなかったのであった。
「そういえば、百合さんはここへ何の用に来たんです?」
「ああ、そうでした。あずささんに紅茶を淹れて差し上げようと思いまして。やかんを使ってもよろしくて?」
「あっ、はい…たった今お湯を入れたところなので、空いてます…!」
「わかりましたわ」
もうそろ夏が近づいてくる季節だというのに、まだ少しだけ肌寒い。温暖化が進んでないってこんなにありがたいことだったんだね……いっぱい紅茶飲もう。
いつもの手順で手際よく淹れ、すぐにあずささんの元へと帰っていった。
「……あら?」
スペースに立ち入ろうとする直前に、話し声が聞こえた……それも3つ。1つは男性の声だ。それも、前世でよく聞いた激烈なイケボ。
ああ、今日だったのか。一応形式上の取材ということは思い出していたし、左程重要じゃないと思ってたから忘れてた。
なら、私も参加させてもらおうかな。
*************
「あずささん、お持ちしましたわ……と、あら?そちらの方は?それに貴音さんも」
765プロの中でも年長な方である三浦あずささんと四条貴音さんにいろいろと質問をしていると、ふと後ろの方から別の声がかかった。振り返ってみると、そこには四条さんとよく
似た髪色と碧い眼を持った、これまた綺麗よりの出で立ちをした女性が。両手でカップを乗せたトレーを持っている。
「百合ちゃん、今カメラマンさんに質問を受けていたの」
「おはようございます、百合」
“こちらの方もアイドルですか?”
「百合」と呼ばれた女性はテーブルにトレーを置いた後、その場でスカートの裾をつまみ膝を軽く曲げてお辞儀をする。
「ごきげんよう、カメラマンさん。わたくしは織部百合と申します。皆さんと同じ765プロに所属するアイドルですわ」
……これまた、絵に描いたようなお嬢様だな…。四条さんは言葉遣いから、現代というよりは古風な印象を受けたが、織部さんは“ザ・お嬢様”と言わんばかりの佇まいだ。四条さんとは髪色はほぼ同じなのにある意味対照的なのが、
“…どこかの貴族の方ですか?”
「あら。それは秘密、ということで」
「むぅ……百合、それは
「あら、実際事実なのですから仕方ないですわ」
「それは、確かにそうですが…」
「まあ、秘密の1つや2つある方が女性は魅力的に見えるものでしょう?せっかくなので、わたくしもこのまま取材を受けることにしますわ」
そう言って織部さんは四条さんの対面…つまり、俺の隣に座ってくる。え、そこに座るのか…まあ、いいか。
“四条さんと仲が良いんですね”
「そうですわね。わたくしが初対面であんな冗談をしてしまったことが嘘のようですわ…」
“……何をされたんですか?”
「話すと長くなるので……
…これは確かに、四条さんと並んでミステリアスなアイドルだ。だけど、独特なお茶目さを感じる。いや、四条さんに感じないとかそういう話ではないけど。
「あずささん、そちらに載っているのは占いですの?」
「そうなのよ~。百合ちゃんも占いは見たりするのかしら~?」
「そうですわね……あまり見ませんわね。見たとしても参考程度に留めておくタイプですわ。あずささんはお好きでしたわね?」
「私は、良いことが書いてあれば信じるわね~。やっぱり都合が良すぎかしら…」
「いえ、そんなことはありませんわ?何かを信じて生きるというのはとても大事なことですし、良いことを頭に入れておけば自然と意識してそうなるかもしれませんもの」
「あら~嬉しいことを言ってくれるわね、百合ちゃん」
「成功するには常にそのイメージを持ち続けることが大事だと聞きますが、百合の言うこともそれに通ずるものがありますね」
“随分と達観していますね、四条さんと織部さんは”
「わたくしたち、実はまだ19歳ですわ」
……若い。19歳だと大学1年くらいか?それにしては四条さんは超然とした雰囲気を完成させているし、織部さんは皆のあこがれにもなりそうな令嬢という雰囲気だ。こんな子たちがアイドルを目指すなんて、奇妙なこともあるもんだな。
*************
その後、ちょうどオーディションを受けに行くという織部さんにもう少し取材をしようと思い、ついていくことにした。
オーディション会場で、彼女は数いる参加者の中でもひと際異彩を放っている__そうだろう、ただでさえ目立つ髪色に加え、その独特な口調と雰囲気だ。相手側へのインパクトという点ではとてもおおきな武器になるだろう。
………と、思っていたんだが。
“…織部さん、かなり緊張していましたね”
「そうですわ……わたくし、人前に出ることがとても苦手ですの……これで6回目くらいですのに…」
…そう、織部さんはとても緊張しいだったんだ。オーディション部屋に入る前から表情筋が引きつっていたくらい。これからプロデュースをしていく身としては、そこは是非とも改善した方がいいとは思うんだが…まあ、おいおい頑張るしかないな。
織部さんは目に見えて落ち込んでいる。自分でもわかってるんだろうな。
“ティーンズモデルをされていたんですよね?慣れたりとか、そういうのは…”
「……モデルはあくまで撮影がメインでしたし、そんなに緊張することはなかったのですが…自分が公平に評価されるような場だったり、大勢が見ている状況ではどうも。高校在学中も、クラスメイトの前で発表するのもかなり顔がピクピクと動いていましたわ…」
事務所への帰り道を辿っている途中、どことなく遠い眼をする彼女。妙に親近感が沸くな。意外ととっつきやすい子なのかもしれない。
「それに、モデルの撮影はそれなりに好きにやらせていただいてたので、あまり気負いしなかったというのもありますわ。当時よくわたくしを高く買ってくれていた掛川さんとは今でもやり取りをさせてもらっているのですが、本当にお世話になりましたわ…」
“緊張しやすいとやっぱり大変ですよね?”
「ええ、ええ!まったくもってその通りですわ……」
ですが、と一旦言葉を切った彼女は、次の瞬間にはその顔に挑戦的な笑顔を携えていた。ああ___いい眼をしているな。
「それも含めて、この
“____自信があるんですね”
「大事なことですから。それに、容姿に限って言えば一応それなりに有名になったらしいので」
“____頑張ってください”
*************
「頑張ってください」
「………あら、貴方が引っ張ってくださるのではなくて?」
そう口に出すと、面白いようにカメラマンさんの表情が驚愕に染まる。
「ふふっ、『どうしてそれを』って顔ですわね?簡単ですわ…わたくしたちは新しくプロデューサーが来ることを聞いていて、同じタイミングでこの取材。まだ弱小事務所であるわたくしたちに“アイドルに個別に”取材が来るとは考えづらい。では、“わたくしたちのことを知ろうとする誰かが撮っている”のなら想像が付きますわ。何より、まっとうな取材であればもっと多くの人手が来るはずですから」
「……参ったな。そこまで察されていたとは」
カメラマンさん__私たちのプロデューサーさん(予定)は、カメラを切るような動作をして撮るのを辞めた。うん、やっぱりバネPはイケメンだ。イケメンで優しくて夢に一生懸命なのはモテる。間違いないね。
でもごめんね、推理は後付けなんだ。本当は知ってただけです。
「撮影を止めるのですか?」
「まあ、一応。後日皆で見ようと思ってるので」
「自分の仕掛けたドッキリを見せるなんて、なかなかイイ趣味をお持ちですわね。どうせ全員分の取材を終えた後に一斉にバラすのでしょう?後、わたくしに敬語と苗字は使わなくても宜しいですわよ。貴方のプロデュースするアイドルなのですから」
「わかった。あと、それは言わないでくれ…今回に関しては自覚はある」
「ふふっ、でもきっと貴方はお優しいですから。すぐに事務所の皆に馴染めると思いますわ。ちなみにこれは参考ですが、わたくしは皆に普通に接してもらえるまでおおよそ4か月くらいかかりましたわ」
ほんっと。特に雪歩ちゃんとか未だに壁を感じるし。いや、まあそういうスタンスでも全然おかしくはないけどさ。そもそも私が後からずけずけと入ってきた部外者みたいなものだし。
「やっぱりお嬢様然とした雰囲気で近寄りがたいからか?」
「恐らくは。とは言え、雰囲気の話をするなら確実に貴音さんの方が謎めていますわよ。あの方は本物のオーラが半端ないですわ…ですが例に漏れずとても素敵な女性ですわね」
「へぇ…四条さんにも話を聞いてみたいな」
「いいですわね」
お、そろそろ事務所じゃーん。今日は私だったけど、他にも全員分こなす予定なのだからプロデューサーの熱意は本当に尊敬する。あ、ちょうど裏口から姫ちゃんが出てきたわね。向こうもこちらに気付き優雅に歩いてくる。今日も優雅だ…。
「貴音さん、今からお仕事ですの?」
「あら、百合ではありませんか。それに“かめらまん”の方も。そうですね、只今より“おーでぃしょん”へと向かうところです」
「そうでしたの。それならちょうどいいですわ、カメラマンさん、取材の一環で貴音さんについていっては如何でしょう?ああ、安心していいですわ、貴音さん。この方は近年まれに見るとても誠実で素敵な方ですから」
そこは保証する。神に誓ってもいい。何故なら彼はイイ眼をしているから。
私の言葉に嘘がないと信じてくれたのか、姫ちゃんはカメラマンさんもといプロデューサーに向かってお辞儀をする。
「よろしくお願いします、“かめらまん”さん」
「こちらこそ、突然の事態で申し訳ありません」
あ、プロデューサーの口調が取材モードに戻ってる。まあ私が見抜いた(という形になっている)のが異常で、更に敬語も取っ払ってもらったのだからそりゃそうか。でもどうにもプロデューサーは敬語よりも普通に話してもらう方が違和感がない。私がアイドルだからだろうか。
「それでは参りましょう、“かめらまん”さん」
「頑張ってくださいまし、貴音さん。カメラマンさんも」
2人と別れ、ビルの扉を開ける。まあ、プロデューサーの人格についてはちゃんと言っておいたし、何もないでしょう……ないよね?うん、まあないでしょう!
*************
“今から向かうのはどのようなオーディションなんですか?”
「確か……どらまの端役だと記憶しています。受けられるものは受けておくべきだ、と百合が言っていたので…」
“そうだったんですね…そう言えば、随分とお2人は仲がいいですよね。事務所で「あんな冗談」と織部さんが言っていましたが、詳細を聞いても?”
「あれは、真面妖な冗句でした……なんと、初対面で『あんなことに見舞われてからずっと探していたのですよ、姫……!』などと言われてしまって」
“………姫?”
「
“…その割には、今は普通の間柄に見えますが…”
「ふふ、何があったかは、“とっぷしーくれっと”です……おや、どうやら着いたようですね」
“本当ですね。頑張ってください”
*************
「ただいまですわ~…」
事務所に帰ってからダンスレッスンとボーカルレッスンをこなした後。おおよそ19時ごろにやっと家に帰って来れた。今日も今日とて少ない体力を酷使したので疲労が溜まっている。いやほんと疲れた…。
手早く風呂に入り、帰り際に買った惣菜やらなんやらでご飯を食べていると、不意に携帯に着信が入る。誰かと思ったら、私の良く知る人からだ。
「はい、もしもし」
『もしもし百合ちゃん、久しぶりねェン!』
「ええ、お久しぶりです_掛川さん」
掛川さん。本名
私がかつてティーンズモデルとして活動していたころ、界隈に名がそこそこ知れた理由が主に二つある。1つが有名モデルである「ジャンヌ・ローラン」の娘であること。そしてもう1つが、この掛川さんなのである。
もちろん、客観的に見れば私のことを高く買ってくれていたのには間違いない。だが、本当に掛川さんが私の助けになってくださっていた理由の本質は、別にある____
『と・こ・ろ・でェ……最近着た中で一番かわいかった私服はどうなのよン?』
「そうですね…いろいろ試してみましたが、個人的にツボだったのは白ブラウスと蒼いフレアスカートの王道の組み合わせですね。やっぱり私の髪にはめちゃめちゃ映えるんですよ……というより私の髪色って正確に言えばプラチナブロンドなんですけど、傍からでは銀髪となんら変わらないので基本何でも合うと思うんですよね…!」
『あぁ~わかるわァン!!それに、百合ちゃんは普段着ないでしょうけど、黒色をベースにした雰囲気でも全然合うのよねェ!アテクシのところに来ればもおっといっぱい遊べるのに…あれからこっちもいろんなモノを揃えたのよン?』
「例えば、どのような?」
『そうねェ…ズバリ名付けて「冬の夜に暖炉の側で本を読むしがないお嬢さまセット」!暖色のストールとゆったりとした厚手のワンピースを主体とした落ち着いた組み合わせよン!』
「あぁぁぁ~っ……あ゛あ゛ぁ………イイですね……今年の冬を迎えたらめちゃくちゃ着てみたいです…!」
___そう、端的に言えば「
私は自分の容姿をとてもレベルの高いものだと思っている。生来の自分の顔ならともかく、転生して自分の顔じゃないんだから客観視は出来るに決まってるでしょ(暴論)。
それを信じてモデル界隈に入って掛川さんと出会ってしまった私。挨拶を終えて私たちが会話をした第一声が、
「貴方、この服着てみないかしらン?貴方にとっても似合うわよォ?」
「おあぁぁ……あああぁっ…これですわ…とっても素敵ですわ!喜んで!」
だった。どうあがいてもオタク。
さて、そんな好みがとっても合う掛川さん。最初は隠していたものの、どうやら私のこの自慢の白金が好みに引っかかったらしく、モデルとして活動するうちは黒髪のウィッグで通そうとしていたのを一度だけ押し切られて地毛で撮ったことがある。そのときはそっちをウィッグということにしたが。
今ではうちの事務所の姫ちゃんのことも目を付けているそうだ。そういう意味じゃないです、綺麗なおべべを着せたいって意味です。
心底気持ちがわかる。わかる。
『それにしてもォ、そろそろアテクシにも敬語を使わなくてもいいのよン?アテクシも百合ちゃんのお嬢様口調は聞きたいしィ…』
「…すみません、掛川さん。私は貴方に多大な感謝と尊敬を抱いています。敬語はその表れですから…」
『あらァ~やっぱりイイ子ねェ!でも大丈夫、貴方はアテクシの同志なんだからァン!』
「ありがとうございます……いつか、いつか外せるように頑張るので…!」
『それじゃ、いつでも待ってるわヨ!またねェ!』
「はい、それではまた」
電話を切る。
やだ、昔から変わらず掛川さんが素敵すぎて私、泣いちゃう…!
このように、あの人とはいろいろ気が合うので4年ほど経った今でも連絡を取らせてもらっている。でも……掛川さんとこはそこそこ大きい会社らしいから、撮らせてもらうとしたら何か大きなきっかけがあった方が怪しまれないかも。それこそ
あ、でも向こうの服はいろいろ着てみたいな…今度プライベートで会うか。
掛川正美
そこそこ名の知れているファッション誌の割と上の人。
百合が活動を開始して半年くらい経った時に彼が街で偶然見かけ、正美が百合の髪を強烈に覚えていたところを偶然再会。意気投合し仲良くなる。オネェ。
好きなことは可愛い子にいろんな服を着せること。曰く、「見合った服を着ると”輝き”が増す」らしい。
同志ほど信用できるものはないんですよね。
まだ何もない。
追記 8/28
日間23位に入ってました。すごくありがたい。