THE IDOLM@STER Glitter of Platinum 作:織部よよ
お ま た せ 。
もう片方の連載が終わったり新しいのが始まったりで投稿タイミングを逃してしまっていましたが、無事こちらも再開できました。お待たせしてすみません。
今回は特に記憶の瑕疵が激しいので多少の名前違いは許してください。
後今回から1話分を前後半に分けます。新しく始めた連載の方に合わせる形になります。これまでの話も文字数を見て前後半調整をするのであしからず。
追記
すみません百合のイメージ図挙げるの忘れてました。忙しくて微妙に間に合いませんでしたがだいたいこんな感じです。
【挿絵表示】
『それではカメラ回しまーす!3!2!』
1、 と手の動きだけでカウントが消費され、照明が展開される。
「げろ、げろりん、げろりんちょ」
「カエルちゃん番組をご覧の皆さん!私たち765プロが、ゲロゲロキッチンにアマガエルさんチームとガマガエルさんチームとして登場します!」
「私たちの対決を、是非お楽しみください」
「……げろんぱ!」
『はーいオーケーです!お疲れ様でした!』
……特にリテイクもなく終わった。
いや、私と姫ちゃんの台詞謎過ぎだろ。なんでこれでOKが出るのか分からない。
*************
今度、誰も見ていなさそうなローカルのケーブルテレビの番組「ゲロゲロキッチン」に、765プロのアイドルが参戦することになった。メンバーは春香ちゃんと千早ちゃんのアマガエルさんチーム、相対するは私と姫ちゃんのガマガエルさんチーム。
はい、お分かりですな。なんと響ちゃんの代わりに私が出演することになってしまったのである。
……私も、南国風を作らないといけないのかなあ。あれは響ちゃんだから許される、みたいなところあるよね。
「こうなったら、無理やりコンセプトを作って別のものにするしか……」
まず初手で思いついたのはバリバリの洋物。いや別にオトナなビデオとかそういうんじゃなくて。
私の見た目というか、特徴を一言でばしっと言い表すならやはり「海外のお嬢様」だと思うんだ。口調も容姿も。なんでそのあたりをしっかりと生かすことが出来れば、十分アマガエルへの対抗馬になりうるかもしれないけど……ちょっとコンセプト的には弱いかな?少なくとも南国には負けそう。地域の具体性的に。
「何をそんなに悩んでいるのですか、百合」
「珍しいですよね、百合さんがうんうん唸っているのって」
後ろの全身鏡の前に立っていた姫ちゃんと、私の2個隣に座っていた春香ちゃんから声をかけられる。
今私たちがいるのは、先ほどCMの撮影の楽屋。それぞれ被っていたカエルの着ぐるみや皆の荷物があるくらいでそこまで物があるわけではないけれども、それなりに狭い。
まあその着ぐるみのうちの1つは未だに
「今度のゲロゲロキッチンで、一体何を作ろうかと思案していたところですわ……」
「……作るって、何をですか?」
「?料理に決まっているではありませんか。そういう番組なのですから」
「………え?」
「え?」
……あー……そういえばこの子たち、ゲロゲロキッチンの番組内容も詳しく知らないんだっけ?いやそこは知っとこうよ。さっき千早ちゃんも「私たちの対決を~」って言ってたじゃん。
と思ったけど、このころの彼女は歌の仕事にしか興味がないハイパー興味薄ガールだったな。そりゃ台本をただ覚えて読むだけになっても仕方ないか。
「ゲロゲロキッチンという番組は、二手に分かれて料理対決をしながら途中で始まるボーナス食材を巡るゲームに勝って高級食材が使えたり使えなかったりする番組とのことですわ」
「……そんな内容だったんですね……歌は、あるんでしたっけ……」
「プロデューサーさんによれば、歌わせていただけるらしいですが」
たぶん急遽その歌パートは消えて料理するだけになると思いますわ、という言葉は続けないで置いた。彼女をここで落胆させるのは良くないと思って。
「百合はどこでそれを?」
「流石に自分が出演させていただくところの情報くらいは仕入れておきますわよ。とは言え、探し当てるのはかなり骨が折れましたが」
これは本当だ。ネットで調べても、ローカルのケーブルテレビの番組なためにあまり多くは乗っていないことが多いからだ。なんとかSNSとかも使って、他人に説明できるレベルの情報を仕入れることが出来た。
ま、私は前世のアレで最初から知っていたわけだけれど。
「今の私たちにとっては仕事そのものがオアシスのようなものですから。全力を尽くせるようにある程度は備えておきますわよ」
「……流石、百合さん……良い意味で意識が高い……」
だからそれ勘違……いやもういいや。意識高い系なのは認める……認める!
とその時、コンコンと楽屋の扉がノックされる音を聞いた。
「皆いるか?」
諸悪の根……我らがバネPだった。根源なのは私にとってのみの話だから。実際他意はないって知ってるからぁ!
プロデューサー曰く、本番がもうすぐなので早く着替えろとのこと。バネPはこういうところで天然ボケ()をかますので春香ちゃんが着替えられないんで早く出てくれと苦言を呈したりというプチイベントがあったが、バネPなんで許してほしい。
「面妖な……」
あと姫ちゃんは早く着替えなさい。似合ってるけども。
*************
「それにしても、歌わせてもらえなくなってしまったのは本当に残念ですわね」
「あ、ああ……先方曰く、ギリギリになって変更になったんだと。本当、申し訳ない」
「プ、プロデューサーさんのせいじゃありませんから!」
というわけで私が自ら地雷を踏みに行った。とはいえ私もちょっと残念に思ってはいるしね。こういう急な変更は予測できずに(私以外の)心臓に悪いのでいいぞもっと……いや止めてほしい。心の中の愉悦が。
「……千早、やっぱりショックか?」
「……ええ、歌だけを楽しみにしていましたから……それがなくなるなんて、この仕事にはあまり身が入りません……」
こらこら、そんなテンションが下がるようなことを言うでない。確かに、確かにこの番組は(私たちが新人だからか知らないが)露骨にサービスシーンを撮影したり食材の差をさも悪いかのように言ったりしてきて絶対に腹が立ちそうだ。けれどこれも仕事で、しかも現時点では貴重なメディア露出だ。いっそここで印象を残すくらいしていった方が先方に気に入られやすいというもの。
まあ私は大丈夫かもしれないけど。主に見た目と料理スキルのギャップでなんかウケそう(素人並感)。それに念のためのサービスシーン対策はしてきたし。
「まあまあ、わたくしたちのような新人は最初は歌なんて歌えるわけがないのですわ。どうせなら楽しんでいきましょう」
「まあ百合の言う通りなんだが……それ、どうしたんだ?」
「え、この頭のやつですの?これはまあ、コンセプト作りというか」
今日の私たちの衣装はアマガエル側がコックの着るような服。それに対し……そう、私たちガマガエルはエプロンドレスなのである。
もう一度言おう、エプロンドレスなのである。
更に言おう、エプロンドレスなのであるッッッ!!!!
全
それが、どうだ。私の見た目でエプロンドレスを着たら、まさしく「少女時代から無垢なまま育ったいいとこの一人娘」感が出るだろうよ!!はは、今日ほど自分が金髪碧眼美少女で良かったと思ったことはないね!
というわけで今回はそのコンセプトを流用しつつ、
ちなみに何を付けてきたかは今はまだ言わない。番組内で言うことにする………言うタイミングがもらえれば。
「何はともあれ、今回はメディア露出の練習とでも思って気軽に行きますわよ。千早さんも、元気を出してくださいな」
「………ありがとう、ございます。織部さん……」
はは、心の全く籠ってない励ましってやっぱダメだわウケる。いや人でなしか。
『ゲロゲロキッチン!』
「さあ今週も始まったゲロゲロキッチン。今日のゲストはナムコプロダクションのアイドル達だ!まずはアマガエルさんチーム!」
さあ始まったよ、この後にとんでもない空気が待ち構えている恐怖のゲロゲロキッチン。
「精一杯頑張ります!ね、千早ちゃん!」
「え、ええ。そうね」
千早ちゃん、精いっぱい取り繕うとしてるけどテンション駄々下がりなの隠せてないな。今から冷や冷やさせないで……いや対策は考えているけどさ。
「なんとも威勢がいい返事だ!お次はガマガエルさんチーム!」
「り、料理はあまり得意ではありませんが、チームメイトの貴音さんと協力してしっかりと勝利したいですわ、ね」
「おおーっと、これはいい啖呵をもらったぞ!」
____うん、番組が始まる前に粗方予想はついていたが、やっぱりめちゃくちゃ緊張するわ。
番組収録……いや生放送か、ということでカメラマンさんがそこいらにいるわけだ。それだけなら私も普段の撮影と変わらないかなと身構えることもなかっただろう。
けれど今日は別。カメラマンさん、ディレクターさんとめっちゃこっち見てるし、何より私たちの作った料理を審査して優劣をつける審査員がいるのだ。川〇さんって生で見ても面白いなやっぱり。
多くの人に見られながらの露出というのは、ひどく心臓に悪い。違いますえっちなことじゃないです。メディア露出という意味です。
「……百合、どうされました?」
そんな私の様子に気が付いたのか、姫ちゃんが心配そうな声音で訊ねて来る。
「……アホほど緊張してるのに加えて料理スキルがないので、ここからどうやって乗り切ろうかと考えていたところですわ」
「……それは、真大変ですね。
「……すち」
小声で開き直ったように真実を伝えたら、ノータイムで案を出してくれた。なんやこのアイドル……私と違って絶対大物になるやつやで……いやなるなそう言えば。
あやうく握手を求めそうになったのは内緒だ。
………よし、生放送だけどなんとか得意の悪運の強さで乗り切っていこう(運頼み)。
「………」
「……百合の顔が、真面妖なことに……」
そんなこんなで、原作にはなかった
心臓に悪い(n回目)。
*************
とは言え、そこは作中屈指の完璧超人である姫ちゃん。
自身の万能っぷりを遺憾なく発揮しつつ、私がさも料理を結構出来るかのように振る舞える神采配でなんとかミスするリスクを減らすことに成功していた。まじ姫ちゃんぱねーっす。
『Go!Go!Girl!』
全員での「乙女よ大志を抱け‼」のコールもしっかりと決めていくぅ。
さてここからどう展開していくか____と考えようとするタイミングで、今回の目玉イベントの開始を告げる笛が高らかに響いた。
来たわね。
「さあここで最初の対決だ!今回の対決で勝ったチームは、ななななんと!超大型のイセエビを食材として使えるぞ!」
司会者のカエルがイベントの説明をしている間に、キッチンから一旦出て指定の位置に並ぶ。勿論、私が勝負するに決まっているでしょう?
………とは言いつつも、今回のこの2回に渡るビーチフラッグもどき、ほぼ確定で私が2回とも勝つことが目に見えていたりする。
私の体は見た目こそ深窓の令嬢チックなちょっと肉少なめやせ型体型なのだが、内に秘められた膂力なんかは外見と違ってとても高い水準でまとまっている…………というのもこの体、どうやら前世の全盛期の肉体性能をそのまま引き継いでいるみたいなのだ。前にちょっとだけ説明した気がす……メタい話はここまでだ。
その性能はというと、50m走が大体6秒8、垂直飛びが50㎝ほど、立ち幅跳びが240㎝くらいで、1500mの持久走が6分。前世も今世も持久力だけが課題だったのだが、それはダンスレッスンを積み重ねることである程度改善されている。なんで覚えてるかって?高校生になって実際に測定したときになんか思い出した。
男子の出す測定結果としてみれば標準的かもしれない。けれど女子の出す記録(殊この可憐な体で行う測定の結果)として見た場合は、間違いなくトップクラスの部類に入るだろう。ゆえに、走る系のイベントは出来レースに等しい。これならちょっと先の大運動会も勝ったなガハハ(フラグ)。
____ただ、それではあの伝説の千早ちゃんの「取ったゲロ~~~~!!!」が聞けないので、2回目の対決では意図的に足を滑らせようと思っている。勝負事としては怒られるかもしれないけど、これも千早ちゃんの成長のためなんだ。断腸の思いで手を抜かざるを得ない。
「それじゃあ早速行ってみよう!位置について____」
その掛け声に応じて前傾姿勢を取る千早ちゃんに対し、私は自然体で立ち尽くしているだけ。その余裕綽々な姿は、きっと絵的にもばっちりだしさぞ皆を驚かせていることだろう。
「____よーい、ドン!!」
「ごめんなさい、千早さん」
「え………って、速い!?」
ニュートラルから1歩でトップギア……とは言わずとも、それくらいを意識して最速で負かしに行く。テレビ受けもフラッグも狙ったその姿はまさに弾丸。
思ったより長くない距離を一瞬で詰めて、目測で旗までの間隔を計算しダイブ。
「_____取ったゲロ、ですわ!!」
そして、お決まりのアレを声高に叫ぶのであった。
たぶんこれからは6日投稿になると思います。間に合わないと7日になりますが、そこは何卒ご容赦ください。