いやほんとまさかでしたね。アレは。
「まったく、仮面を壊された上に『負けた罰として皆様の分のかき氷を買ってまいります』だなんて、やはり彼はドの付くMですか?」
ヤシの並木のうち、一つの木陰で早坂愛は木にもたれかかりながらぼやいた。
早坂・美城カップルの敗北という形で終わったビーチバレー対決の後、美城は火照った体を冷やすためにもかき氷を買うと言って、早坂を引き連れて海の家の方まで向かっていた。
途中、壊れた仮面とバッテリーが切れそうな空調服の交換の為に美城が駐車場の方に向かってしまったので、一人寂しく待ちぼうけという状況だ。
「ハーイ! お姉さん一人?」
「俺達と遊ばない?」
「ヘイヘイ、ウィーアーサムライボーイズ」
「うわっ出ましたよ……」
そんな状況を放っておくチャラ男ではなかった。
この浮かれ切った砂浜で、早坂愛という特上の生肉が転がっているなら、むしろ飛びつかない方が失礼であると飢えたライオンは主張するだろう。オスのライオンは狩りしないが。
「ウェアーアーユーフロム?」
「サムライ、ニンジャ、ヤマトダマシイ」
早坂は絶対零度の視線を彼等にぶつけながら思案を重ねる。
金髪碧眼、白い肌が眩しい体躯を見て、彼等は早坂の事を完全にバカンスか何かで来た外国人だと思いこんでいる。カタカナ英語で話かけてくるなんて正にそうだ。
早くしないと彼が帰ってくる。
早坂は彼女の信条にもとるがパワープレイで押し切ろうかと考えた。
滅茶苦茶大声で、英語で捲し立てる。これだけだ。だが日本人にはよく効く。
「A~……」
英語の発音を意識して、早坂は口を開いた。
彼女はなにも彼氏にナンパされている姿を見られて軽そうな女として見られるのが我慢ならないという、可愛らしい乙女心のような殊勝な心遣いでいるのではない。
単純に五条美城という男にあってべらぼうに可愛い人物が、この場に現れた時の面倒くささを考えるとさっさと追い払った方が楽だと思ったのでそうしているのである。
美城に面倒くさい事が降りかかるのか、美城が面倒くさい事をしでかすのか。一番人気は後者の選択肢です。(オッズ1,18)
どうせ分からないだろうから、適当に朝ニュースの話でも捲し立てようか。
そう考えていざ話そうとした……
「あ、愛~、お待たせしました」
何かしようという間の悪い所で何か起こるのは、もはや全人類にかけられた呪いか何かだと早坂は思う。
宿題しようと思っていた所で母親に宿題しなさいと言われる事とか。……いいなあ私もママにそんな事言われてみたい。
早坂はちょっと切なくなった。
いけないと一回頭を振って澄み渡った声の方を向くと、案の定美城がそこにいた。
「見てください愛。舌が真っ青」
「もう買って食べてる!?」
重い鎧を脱ぎ捨てた五条美城が次の服に選んだのは、アラブの男性が着ているような、白くて長袖で足元まである衣装だ。ワンピースに見えない事もない。
二人で買いに行くという話だったのに。この僅かな時間で六人分のかき氷を購入して現れた美城に、早坂は思わず日本語でツッコむ。
ニコニコとプラスチックのトレーにかき氷を乗せながら、彼はベーと可愛らしく舌を突き出した。あざとい。
「ふーん……エッチじゃん」
エッチ前リョーマさん!?
「……? 愛、こちらのお三方は? 愛の知り合いですか?」
「見て分かりませんか? ナンパですよナンパ」
「えぇ! これがナンパなんですか!? 私初めて見ました!」
美城のニコニコ笑顔がぱあっと明るく花開いて、マジで恋する何秒か前不可避なその容貌をチャラ男三人へと向けた。
早坂は『初めて』という言葉に引っかかりを覚える。藤原千花いわく、二秒に一回ナンパされる彼がその存在をしらないという事は……。
書記ちゃん……。
早坂は能天気な美城の言葉から藤原の苦労が偲ばれた。ママの鑑。
「初めましてナンパ師さん。ちょっとお話聞いてもよろしいですか?」
大事に大事に日陰で育てられた美城は、生息地が夏の浜辺か日サロあたりの陽の者に興味津々なようだ。
不死身の妖怪になりたい人間と、早く人間になりたい妖怪の関係に似ている。永久に交わるはずの無かった二つの道が、今ここで交差していた。
科学と魔術が交差する時物語は始まるように、陽の者と陰の物が交差する時にもなんか始まりそうだった。
「おい逃すなよ」
「分かってるって」
「もちろんいいよ~」
「どうしてその度胸があるのに彼女さんがいらっしゃらないのですか?」
「なんだぁ……テメェ……」
チャラ男、キレた!
「行動力とモテは比例すると私は思っているのです。でしたらお三方には彼女さんがいそうな物なのに……。それともいらっしゃるのにナンパをされているのでしょうか? それはそれで愛想を尽かされそうといいますか……」
「どうしてそんな事言うの?」
チャラ男、泣いた!
「ちょっと遊んだだけじゃん……あんな怒らなくてもいいじゃん……」
「ちょっと女子ー、いじめるとかサイテーなんですけど」
「謝りなよ」
チャラ男はそっと泣き出した友人に寄り添った。精神的ショックにより徒党の組み方が女子になっている。
こんがり焼けた肌の男達がくんずほぐれつしているのは素直に言って気持ち悪かった。
「す……すみませんでした。まさかそんな過去が御有りでしたとは。あの、よかったらこれどうぞ」
美城はその居た堪れない雰囲気に押されて色とりどりのカップが載ったトレーを差し出した。
それは短期的には有用な手だったかもしれない。
「ありがとね……」
「ほら向こうで話しようぜ」
ナンパはお開きムードになって立ち去って行ったので、早坂をナンパから救うという目標は果たせたのだから。
「みぃ~」
眉間にしわを寄せて怒った様子の彼女がいなければもっと良かったのだが。
……
「会長、お帰りなさい。混んでいませんでしたか?」
「まあそれなりにな。まだ五条達は帰ってきてないのか?」
「海の家だってそれなりに混んでるでしょうからね」
「大丈夫ですかね五条さん。ナンパとか」
「そこは早坂の方を心配してやれよ……」
眞妃達は美城の立てたパラソルの下でそんな会話をしていた。腰を下ろして完全に休憩モードに入っている。
「心配するのも無理ありません。あんな顔してる人ですから」
「あれ? 愛、ナンパされてない?」
「どこだ?」
「ほら、あそこのヤシの木の下」
「あー……あの金髪か」
「ど、どうします会長? 助けに行きますか?」
「もう少ししたら五条が来るだろう。しつこいようなら俺達で行くか」
「あ、なんかアラブな恰好した人が早坂さんの所に行きましたけど」
「それ五条だろ」
「なーんかにこやかにナンパ野郎に話かけてるわね」
「絶対五条じゃん」
美城はそういう変な事をする。その確信が四人の中にはあった。
しばらく成り行きを見守っていると、ナンパ師三人の内一人が顔を押さえだしていた。
「泣いた!?」
「何言ったのよあの子……」
「かき氷をあげましたね」
「私達のかき氷……」
かぐやは物惜しそうな顔をして美城の事を睨んだ。金額的には大したことの無い物であるが、かぐやにとって初めての友人と食べるかき氷である。
それを易々どこの誰ともしらない馬の骨に渡してしまうなど……かぐやは理解できなかった。
じとーっと睨み付けていると、美城の大胆な行動にあっと小さく声を漏らす。
彼は開いた早坂の口に、自分が食べていたかき氷を放り込んだのだ。
「かか、間接キス……!」
「きゃー大胆」
「早坂さん怒ってますよ」
「そりゃあな」
早坂は怒った様子のまま浜辺に下りて来る。それを少し困ったような表情で追いかける美城。
「ねえ、美城なんて言ったと思う?」
「か……『間接キスですね』とかじゃないでしょうか」
「そんな感じじゃなくて、もっとツッコまざるを得ない感じだと思うけど」
「『青色どうしで共食いですね』とか」
「言いそうだけど、違うと思うわ」
「四条は分かるのか?」
「まあね。たぶん……」
「お待たせしました」
「ねえ聞いてよ、みぃってば……」
「『私、虫歯ないので大丈夫ですよ?』って言われたでしょ」
「何で知ってるし!」
「ほら」
「すげえ……」
早坂の反応を見て、美城の言った言葉当てゲームの正解ど真ん中を当てた勝者に驚きの目線を送る。
正直何と戦っているのかは分かりませんが!
「かき氷なのですが、三つほどダメにしてしまいまして……」
「いや見てたから。何故かナンパにあげてる所」
「そうだったんですね。すみません、すぐに買いなおしてきますので。とりあえず先にお渡しいたします」
六人に一個ずつかき氷を買ってきて、一つは美城が先に食べた。残りから三つ渡したので、トレーには二個残っている。
残り二つは誰かの選んだ味であるので、当然その二人が一つ食べていいのだが。
しかし先ほどの、美城が早坂に分けっこした行動が四人には刻まれているので、思考が段々と誰かに分けないといけないのかという方向に傾いていった。仲良く(?)分け合っている人達の目の前で、独り占めするのはどうよ?といった感じに。
「では先に眞妃様のレモン味とかぐや様のイチゴ味を渡しておきます」
そして間の悪い事は続くもので、手渡されたかき氷は女性陣二人の物だった。これが男女に分かれて手渡されていれば、同性同士で分け合って『男で分け合って何が楽しいんだよ』『四宮(四条)と一つかき氷を分け合うなんて』などと笑い話にもなるが……。
これはこの困った状況下をどうアドリブで切り抜けるかという、ジャズのセッション染みた様相を呈してきていた。
天才達の恋愛セッション編が始まる。
「つ、翼くん。半分こしましょう!」
状況を打ち破り、最初の音を出したのは眞妃だ。彼女と翼は交際関係にある。一つの物を分け合って食べてもおかしくない。
(つまり分け合いっこするという事は、あなたと交際関係にある男女がするような事をしたいと言っているような物!?)
かぐやは混乱した。
流れが来ている。一つの物を分け合うというカップルっぽい流れが。
(どうしましょう、気にせず食べる? いや、でもカップルとは言え分かち合う人の隣で食べるのも何だか冷たい女みたいだし……。あぁでも早くしないと溶けちゃいますし)
「会長! 先に食べてください。美味しかったらそのまま全部食べていただいてかまいません」
かぐやは裁量を白銀に押し付ける事で難局を乗り越えようとした。
大丈夫か、かぐや。先を行く眞妃の旋律は翼との連弾だぞ。
さて任された白銀は白銀で困った事態に頭を抱えそうになっている。どうせすぐに新しい物が来るのだから待っても全然かまわないはずなのだが、それはそれで逆に意識しすぎなのでは? そんな事を彼は思った。
「かき氷なんて久しぶりだな。昔は圭ちゃんと半分こしたもんだ」
白銀、ここで予防線を張る。過去にもした事がある、つまり分け合ったとしても、それは普通の人間には起こりうる事なのだという正当性をわずかながらでも得るためだ。
サクッと赤いシロップのかかった氷を一匙すくい上げ、白銀は何でもないかの様にかき氷を口に含んだ。
「やはり夏によく合う。四宮もどうだ。といっても元はお前のだったな」
ははは、気にしていませんけど何か? みたいな空気を纏いながら、白銀はスプーンを氷に刺してかぐやの方に向けた。
かぐやは二択を迫るどころか、逆に迫られている現状に臍を嚙む。まさかあんなにあっさりと白銀が口をつけるとは予想を超えていたからだ。
……やるしかないか?
「そうですねこうして友人と一緒に食べるのは初めてです」
どれほどの効果が見込めるか分からないが、何もしないよりマシとかぐやは薄い論理武装をする。稀代の天才四宮かぐやが身に纏うには、あまりにも脆弱な鎧であった。
(会長と間接キス……?)
思い返すはいつぞやのコーヒー騒ぎだ。しれっとかぐやは白銀のカップと自分のカップを取り換え、間接キスを図ろうとしたが、口を付ける直前に藤原がそのコーヒーはコピ・ルアク(ジャコウネコの糞から取られたコーヒー豆)だと言った事で口を付けるのをためらった一幕。
だがいまから口にするのはそんな心配は一切不要の味のついた氷だ。
かぐやは恐る恐るといった風にスプーンで氷をすくうと、ゆっくりそれを口元に……
「皆さまスプーンは人数分……あっ、いえなんでもありません」
美城はスプーン一つを巡ってぎくしゃくしている空気を解きほぐしたくて、根本的な事を言おうとしたが途中で野暮な事を言っていると気が付いて無理やり終わらせた。
手遅れだったが。
「「……」」
真夏の真昼の真っただ中なのに、闇の底のような目をかぐやは美城へと向ける。眞妃も。
「「先に言いなさい!!」」
「も……申し訳ありません……」
本日の勝敗 美城の敗北(かき氷九つ出費の上怒られる)
――― ――― ―――
「うぅ、何かまだ背中がヒリヒリする気がします」
私は四宮別邸の廊下を歩きながら、いつもの体勢に違和感を覚える事を周りに誰もいない事を確認しながら口にした。
「昨日は結局みぃに振り回されてばかり」
まあ何もない夏休みよりは、遥かにマシですけど。
かぐや様の夏の予定は、会長から誘われる事を前提にした脆弱極まる物なので、下手したら八月下旬にある花火大会まで何も無しという事態になりかねない。
昨日は怪我した会長は海には入れなかったようですけど、横目でチラリと見た限りでは二人が楽しそうな様子だった事をはっきりと覚えている。
「昨日は楽しかったわね、早坂」
私はいつもの様に昼食の用意が出来ましたとかぐや様に伝えに行くと、ゆっくりと写真が変わっていくデジタルフォトフレームを眺めながら、主人は噛みしめるようにその言葉を口にされた。見間違いではなかったようです。
「そうですね」
「特にあれ、スイカ割り。ふふふ、傑作だったわ。まさか会長にあんな弱点があったなんて」
くすくすと楽しそうな微笑みを浮かべると、私が教えたようにフレームを数回タッチして目当ての写真を表示させる。
そこには目かくしをしながら海に突っ込んでいく白銀会長の姿が映っていた。
キリッと真剣な口元が、これから数秒後に起きる悲劇の滑稽さを際立たせている。次の写真に移り変わると、派手な水しぶきを上げながら海へと倒れこむ主人の思い人(本人は認めてない)の姿があった。
「ふふっ、この世には下手な方がいい事もあるのね」
心底楽しそうに笑いながら、昨日の想い出を回顧される姿を見ると、肌を焦がしながらも夏の海に出かけた甲斐があると言う物だ。昨日のお風呂は辛かった。
胸にはっきりと水着の三角の痕が残っていたのは、必要経費と思って支払うしかないと思ってはいます。
「五条くんのおかげね」
突然、自分の仮初の恋人の名前が出て背筋が思わず伸びた。
背中が痛い。日焼け跡にブラが擦れて薄皮一枚くらい持っていかれそうだ。
「あなたと出かけるために私をダシにするのは気に食わないですけれど。まあ彼がどこまで考えているかはともかく、私も外に出る事はやぶさかではありませんし?」
そうか。かぐや様の視点ではそうなるのか。
私と彼の共通認識として『かぐや様は会長に惚れている』というのがあるので、かぐや様を外にお連れするためにどう振る舞えばいいのか、という事を考える。
五条美城は私と出かけるためにかぐや様を利用している、のではなく、かぐや様が出かける用事を作るために私を利用している。かぐや様が述べられた言葉と主と従が逆転しているのだ。
別にそれを言おうとは思いませんけど。変にかたくなになられても困りますし。
「今年の夏休みは幸先良好ね」
「そうですね。それで、会長と次の予定は決まってますか?」
「何を言ってるの? あんな場が用意されたのだから、会長の方から誘うのが道理じゃないですか。私から誘うだなんて……はしたない」
「はあー……」
幸先にいきなり暗雲が立ち込めた気がした。
追い風を吹かせても順風満帆と行かないのが何とも『らしい』と言いますか……。そんな貞操観念なら水着を晒すのも充分にはしたないと思われますが、それはそれ、これはこれなのでしょう。
「そんなため息を吐かなくても大丈夫よ。ちゃんと帰る前に『またどこかに遊びに行きたいですね』と言っておいたんだから。会長からのお誘いは秒読みよ」
「だといいんですが」
そのパターンで成功したこと、一度でもありますか?
ヴーッ! ヴーッ!
「ほら!」
「うそぉ……」
かぐや様の旧型ガラケーがメール着信を知らせるために震えていた。会長の名前が点滅しているので書記ちゃんからだと、ぬか喜びする事態はあり得ない。
今日は記念すべきそのパターン成功例その一らしい。
「見て早坂! 会長からプラネタリウムに行かないかって誘われたわ!」
「良かったですね、かぐや様」
とはいえ、そんな事を言って腐す必要は全く感じない。喜びにあふれたかぐや様はそれだけで尊いので私も何だか嬉しくなって、自然と口角が上がるのを自覚した。
「あら?続きが……どうやら五条くんからペアチケットをもらったらしいわね」
かぐや様はメールを下にスクロールすると、出て来た続きの文面に納得したような響きの声を漏らした。確かにコ〇カミノルタのプラネタリウムは経済状態の芳しくない白銀家にとってそう易々と出せる金額ではない事は、再三の調査により知っているのでおかしいと思いましたが。
「えぇっと、二枚も? という事は……ふふっ、全くしょうがない人ですね。どれだけ早坂と出かけたいのかしら五条くんは」
いやそれは普通に二回くらいデートに出かけてくださいという事だと思いますけど……。
チケットを二枚、という所を深読みしたかぐや様は、『愛されてますね』などと言いながらありもしない裏を読んでご自身と私の忙しくない日程の確認を始めた。
人は利益で動くという考えが恒常化しているこの子は、会長にペアチケットを二枚渡した事で五条美城にどんな利益が生まれるかという事をごく自然に考えてしまう。
かぐや様と会長が進展して、恋愛頭脳戦によってかかる私の負担が減る事が一番の利益なんですから、二枚とも使ってさっさとくっ付いてください。
「楽しい夏休みになりそうね、早坂」
「ええ。本当に」
狡知に長けているのに、会長の前ではポンコツになるかぐや様。
いつも肝心な所で上手く行かない彼女ですけど、この夏は上手く行きそうで私もほっと胸をなでおろす。
彼には感謝しないといけませんね。
かぐや様はこう仰られる事がある。
『誰しも幸と不幸のバランスは同程度に収束する』と。
それは恵まれた環境に生まれながら、恵まれたとは言い難い家庭内におけるご自身の立場を称して……つまるところ、それは彼女の自虐だ。
けれど私はそうは思わない。
名家に生まれたからと言って、我慢を強要される理由がどこにあるのか。
優れている人だからと言って、不幸になる必要がどこにあるのか。
見てください五条美城の事を。名家に生まれながらあんなに自由奔放ではありませんか。
見てください四条眞妃の事を。かぐや様ほどに優れた人でありながら、想い人と付き合えて幸せそうではありませんか。
「なりません」
だから、四宮かぐやがこんな仕打ちをされる理由がどこにあるのか。