「お、お、おれは…俺、は…クウウッ……功善、私は…私は、齬理羅だ。」
「ふん、まあ今はいい。」
「あぁ、だが、私はゴリラではない、人間たるゴリラの 齬理羅 だ。」
悩んだが答えというものはそうそう難解なものではないと、そう考えるべきだろう。
ちっぽけ…まぁ図体は大きいが、そんな一ゴリラの苦悩など。
大切、元より何かを支えるものというのは、自分のあり方を自分で決める勇気だろう。
自分の決断や行動を正しいと認める、自分の存在を最初に認める者は自分その人なのだから。
なんだかんだ言いながら、私は自分を人間だとは認識できなかった。
それが答えとしては適当だろう。
悩まないことは不可能である。
哲学とは芸術や科学以上に、ただ思考を磨くそういうものなのだと思う。
自分を認める、良くも悪くも、今私の掌に有る物はそう多くない。
強いていうならば、先ほど千切りとった赫子の肉片の、昼飯のステーキの肉片…肉片しかないな。
まぁ、あとは自分の身一つ、裸一貫のゴリラの戯言である。
人間は断定の執行を自分の手から抜け落ちることのない、完全な権利か何かだと勘違いすることもあるだろう。
しかし、人間とは社会であり、これらを生み出したヒト、今は加えてグールたちの、手のひらからすでに摘まれているモノと言ってもいいだろう。
ヒトやグールが社会の残酷に身を打ち払わせるのは、誰かはナニかの限られたものたちの意思や意志などにはよらず、ただ"唯"社会をもとい人間を、我々が野放しにしてしまったというだけなのだ。
二人以上の人間によって行われる何かは、もはや誰の何も介在しない、自立した冷徹に他ならない。
淡々と物事は罷り通るのである。
私は自分をゴリラと認めることで、そこへ自らの無垢な人間を見出すことにした。
ゴリラは人間ではない、ヒトでもなく、グールでもない。
しかし、ゴリラたるゴリラは自分を決してゴリラだとは認め得ぬであろう。
私は自らを認める、人間たるゴリラだと。
私はこの時から、人間たるゴリラ、齬理羅として生きていくことを、目的の一つとして胸に灯した。
「ふ、ふっふふぁははははッククククク…クク…そうか、お前は齬理羅というのか。」
「名前までゴリラとは、恐れ入った。」
「ふふふ、はぁ…なるほどな、たしかに、ゴリラは見れなかったが、"タダ"のゴリラではなかったということか。」
「それもそうだな、お前のようなゴリラがあってたまらんな。」
「私にお前は明確な変化をもたらした、それは紛れもない事実だ。」
「ついてこい、これからVのもとに案内する、っと、その前に服を買おう。」
ーーー案外、私以外にもお前を人間に認める奴がいるかもしれんぞ。
ゴリラとして生を受けて早1週間余り、ようやく齬理羅は人間の理不尽にたいして宣戦布告を果たした。
「焼いた肉を食べたいのだが、どうにかならないか?」
「ヒトの肉のか?」
「いや、普通にヒト以外の肉でお願いするよ。」
「ファミレスには入れんしな、やはり一度Vの元へ向かおう。」
「お、そうだな。」
はい!まだゴリフレッドはVと接触していないというね。
次回やっとかな?何というか申し訳ない。指針はあるけど狂ってるんです。