ゴリラ的人生哲学   作:ヤン・デ・レェ

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はい。前回の続きですね。戦闘をなかなか挟まずに残念。
今回は半ばデート(強制)になりそうです。


俺の名はゴリフレッド

どうやら捜査にご協力願えるそうだ。

なので場所を移そうとしたら名前を聞かれてしまった。

 

「私の名前は齬理……フレッドだ。」

 

危ない危ない、初対面では流石にゴリラなんて名乗れないもんな。

そうだよな?

 

「ん、よろしくね〜ゴリフレッドさーん。」

 

そっ!そっちも拾われちゃったか〜…いいのに、フレッドだけで。

ゴリなんとかって、ゴリアテくらいじゃい。

…まあ、律儀ないい子なのかもしれない。

うむ、そう思うことにしよう。

ふぅ、それにしても腹が減った。

まさか社畜ゴリラだからって、朝の8時に起こされるとはな。

動物園暮らしですっかり早寝遅起きが習慣化してしまった。

おかげで急いで朝食も食べられなかった。

奢るとか言っても…買ってきてもらうしかないんだよなぁ。

経費自体は貰えるとかなんとか…もっとちゃんと話聞いとくんだった。

 

「ね、ね、ゴリさん。さっき奢ってくれるって言ったよね。」

 

「うん、言ったよ。それがどうしたんだい?まぁ、協力してくれるなら今すぐでも無理ではないかな。」

 

「そっか、じゃぁ、ゴリさんを食べちゃいま〜〜すぅ!」

 

いつの間にか三方をコンクリートに囲まれていた。

 

以前とおんなじ状況というわけか!

大振りの赫子が突きを高速で繰り出してきた。

狙いは私の腹だったようで、闇雲に腕を振り回しても前回のようには上手く掴めなかった。

 

「グッ!ウぅぅ…」

 

ここにきてから、初めて苦痛を味わったかもしれない。

私の腹を鋭く無数の触手が貫いたようだ。

 

「ありゃりゃ〜、あっけなかったね。ゴリさん体がおっきいからもーちっと硬いかな?とか思ったけどそうでもないんだね。」

 

「まっいっか♡大きいぶん食べごたえがありそーだしッ!」

 

そう言って彼女は私の体を肉塊に変えようと、赫子の形状変え始めた。

私は自らが貫かれている今の状況をどこか俯瞰的に眺めていたが、自分の体の潜在能力の可能性を思い出した。

糊のついた新品の特注スーツを突き破り、私の肉体から生えているように見えるソレを、今の全力でもって握り締めた。

 

「あれれ、抵抗しちゃうか〜?楽には死ねないぞォ?」

 

どこか楽しそうに赫子を唸らせながらロマは私を笑っていた。

 

ミヂッチキィ‼️

瞬間

バパッツパン!

赫子が木っ端微塵に爆ぜ千切れた。

 

私は己の肉体に宿るよくわからない、兎に角膨大な膂力、胆力に感嘆しつつ、全身に力を込め突貫した。

腹の傷は既に無く、痛みまで消え去っていた。

 

「えっ⁉︎エッ⁉︎そ、そんなのあり⁉︎はぁぁ⁉︎あ、ウッソぉ…」

「ッはっやっい!!くんなや〜っ!」

 

半ばからちぎれた赫子を巧みに操り、形状の変化を中断して迎撃に注力してきたようだ。

私は武道の経験など僅かばかりしかないため、思い切って悪質タックルによる質量攻撃を敢行することにした。

 

双方の衝突まで10センチと言うところ、私は大きく腕を開いた。

 

「ぁわぷっ!」

 

「ぐおぉう!」

 

ダカンっ!ガラガラゴジャリ…

 

ロマを抱え込むようにして、どちらかというと直線上にあったコンクリート壁にタックルをかます結果になった。

 

私はおでこにクリーンヒットしたが、ロマは私の胸板にはさまれ苦しむのに留まったようだ。

 

「な、何すんのさぁ!っお前ぇ、いきなり突っ込んできたかと思ったら、胸板押し付けやがって!」

 

「ふん!私のことを朝食か何かと勘違いしている少女には礼儀を教える必要があるようだな!特に何もしないけど!」

 

何もしない、そう言いながらもロマの赫子を根本から引きちぎっている辺り、このゴリラ中々に強かである。

あくまでも赫子そのものに焦点を搾ったのは彼女の赫包を傷つけたくないという一種のしんしてきゴリリズムからくるものであった。

 

「はぁ〜?…お前、捜査官なんだろ?箱も持ってないし?手ぶらでラッキーとか思ってたらとんだ勘違いだったわ。」

 

なんなんだこいつは?

彼女、帆糸ロマは20年にも満たない人生で最大のピンチを迎えていた。

闘争と享楽、血による快楽だけを頼りに生きてきた彼女にとって、捜査官とは邪魔ではあるが、その程度の雑魚が大半であり。

自分が素手で倒されるほどの小物ではないことを正しく認識していた。

故に、自身の生の謳歌を打ち止めるだけの武力を、グールでもない存在によって身一つで体現されることに確かな恐怖を得た。

それはある意味明確な死のビジョンであり、怯えであり、嫉妬であり、絶望であり、諦めであった。

どれもこれもがこれまでの自分には新鮮に感じてしまい、死を目前にどこか達観した自らに不似合いな自然な穏やかさを笑った。

 

「殺せば?」

 

短い言葉だった。

しかしそれは、明確な自分への判決を受け入れる穏やかさと死への怯えという相反する感情を垂れ流していた。

ゆっくりと目を閉じて幕が垂れ墜ちるのを待った。

 

 

がしかし、この男はゴリラであった。

 




いやぁ、戦闘シーンは難しいですね。ボチボチ詳細には書いているつもりです。妄想を膨らませて下されば幸いです。
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