ゴリラ的人生哲学   作:ヤン・デ・レェ

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あんまり長くしないように気をつけます。
カラダの不思議。なんか教育図鑑の見出しみたい。


ゴリラのカラダ

「…どうだ?」

 

「…」

 

指令!第一使徒ロマ沈黙!沈黙しました!

…おふざけはここまでにして、なんというか穏やかな顔になったか?

?どうしたのか?私の肉は変なものでも混ざっていたのだろうか?

…ッととと、いててて。

集中し過ぎて、冷静になったら腕が痛いことに気づいた。

目を向けると、すでに出血はなく、わずかに肉の胎動を感じるのみであった。

それから間も無くして、歯形が濃く残っていることを除けばいつものたくましい腕に戻っていた。

歯形は残るのな…。

…それにしても、おかしなカラダである。

本来であれば痛いはずなのだ、それも泣き叫ぶくらいに。

なのに、さほど、うん、痛い…この程度でいいのか?

私の痛覚神経が壊れたことも疑わしい。

しかし、問題はコノカラダの回復力はどれほどなのか?ということである。

グールがヒトを食べることは、ヒトがウシやブタを食べるのと変わらない。

なのにその本来のあり方がグールにのみ不都合な形で歪められているから、同じ人間なのにヒトとグールは苦悩を続けてきたのだ。

 

 

もしかしたら、だ。

私はグールが食べられる"唯"一頭のゴリラなのかもしれない。

私が思うこと、それはヒトの肉と他の食物の成分を徹底的に調べ上げることで、何が作用してグールはヒトの肉以外を食として受け付けないのかを明確化し、その差を補うこと。

わざわざヒトの肉を食わなくても、ヒトの食べ物の足りない部分を補う形で、ヒトとグールが同じ食卓を囲むことが出来れば、これ以上の理想はないだろう。

私に言わせれば、戦時体制において最強の矛となりうるのは他ならぬグールである。

国防の観点からみても、グールの排斥は人間にとって反利益主義と言える。

何より、ナチスユダヤ的な解決は最も忌み嫌うべきである。

絶やされそうになってからでは遅いのだ、ここにおける最大の傲慢は大多数の第三者による被害の当事者の心情を無視し、ネコババ的に合理的解決と社会機構にカタを当て嵌め、あまつさえ当事者をそこに押し込める事である。

 

 

私は人間たるゴリラである。

だが、ヒトでもグールでもない。

私はナチスユダヤ的結末を壊すためにこれらの合理的解決、社会機構を破壊するつもりである。

 

そのためのコノカラダと言う力だと思うのである。

 

 

私は恍惚とした表情を浮かべていたロマの頬を緩く叩いた。

 

「ッふぁ…あ、か、齧ったけど?」

 

「うん、どうだった?感想を聞かせてくれ。」

 

「感想って…いってもね、…ん〜…おいし、かったよ…」

 

「そうか、それは何よりだ。私はグールでも食べられる肉を持ち、食まれても尽きないカラダを授けられたみたいだな。」

 

「な、確かに…グールでもないのに、もう齧り付いた傷が無くなってる…歯形は残っちゃったんだ…」

 

「まぁ気にすることはない。本当はここの完全掃討のために送られたんだけど、相方も来なかったしな。これも何かの縁だ、ついでに今夜の夜露を凌ぐための住処探しを手伝ってくれないか?」

 

今日会ったばかりなのに寝床まで求めるのはいささか図々し過ぎたかな?

少し罪悪感を感じていると、彼女は最初にあった時に比べてどこか自然な笑みで私に答えた。

 

「いいよ!ふふっ、案内してあげるよ〜。」

 

よくは知らんがご機嫌そうで何よりだ。

青空には太陽がもう真上から地上に光を届けていた。

朝っぱらから忙しい1日だったが、私の足取りは軽い。

 

私は美味しいゴリラだったようだ。

 




久しぶりの吐露回でした。
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