そういう原作の四コマから拾ったネタを仕込むためだけの回です。
reの方の巻末に載ってたんですよね。
ヤモリ…本当に青少年だな。
まだ綺麗なヤモリなんだもんなこの時は。
くッ涙!ヤモリの神兄貴の綺麗な姿をよく見とこう。
とか言ってたらなんだか盛り上がっているようだ。
古今東西舌戦から戦端を開くのは嫌いじゃない。
「お前がレートAのヤモリだな?お前を危険度の高い喰種として今ここで駆逐する!」
「できるもんならなぁッ!!テメェら2人でどうにかなればいいがな、俺たちは正々堂々やる気はねぇからなッ」
「アァにキィィィ!!!」
「チッ、数ばかり集まるなど小賢しい!…しかしこの数は、まずは報告を急ぎましょう、この数は手に負えません!フレッドくッ⁉︎⁉︎待っ…」
「あ°」
ドドドドダダダドドだダダダだダダダだだ!!!
どガァっ!
メコォ〜〜…
ついついロマとのことを思い出して、気づけば全力突貫していた。
目の前がひどい有様だな。
ズルルぅぅぅ
ドシャり…
あっ。
「あ、あ、あっアニキィィぃぃ!!!」
しまった、上から降ってきたヤモリが丁度正面に陣取ってたから向かいのコンテナごとメタァァしてしまったようだ。
あぁあぁ、こんなになって、鼻血とか大変なことになってるな。
うわぁ、右腕、右足首から下と抜かりなく赫子も突進と衝突の衝撃でふにゃふにゃになっちゃったよ。
捻挫かな?(ヤブ医者)
ついでに両肺の肋骨まで…なんか色々丸見えになっていらっしゃる。
「ガバァッ、ゲホッゲボぉ!ぐゔぅぅ…ごどや"どゔ……」
「…すまん。ここまでするつもりはなかったんだ。本の出来が心で………
私、真戸呉緒はほんの数瞬前にこの世で到底信じられないものを目撃した。
レートがA以上と目されていた喰種を素手で、更に一撃で屠り、あまつさえ戦闘不能に追い込まれる様を。
これが同じヒトとして出来るものが存在しただろうか。
無論、常人の数倍のパワーを発揮することのできる人間は存在する。
彼らとて世界の総人口よ0.01%にも満たないが確かに存在する、一種のバケモノとさえ言える存在だと断言できる。
我々の上司である黒岩上等捜査官などは正にソレに該当する極めて稀なヒトである。
…しかし、それはBやCなどの下級、中級レートの場合がほとんどである。
強烈な格差を顕現せしめるAレート以上の個体に対してこうした手段、いわばステゴロを申し込めるほどにはヒトは強く無い。
だが、私の相方であるフレッド君はやってのけたというわけだ。
現に周りの手下グールも頭を一つ叩かれるだけで血に沈んでいる。
彼はクインケに対して多少の執着や信頼の感じられない、あまり良い言い方では無いが調子に乗っている、そう取られても仕方のないような扱いであった。
グールに対して恐怖心がない、そんな物言いもあり私自身もたまに訝しんでしまうことがあった。
なるほど納得するしか無い。
「終わったぞ〜。はぁ、全く。寄ってたかって俺を攻撃してくるんだからたまらんよ。それにしても沢山いたんだなぁ。数えてなかったから少し壮観だ。」
「あぁ、お疲れ様。それで終わったのはいいがトドメは刺さないのか?」
「トドメかぁ…」
外見に反してどこか抜けているのかもしれない。
私は左手に持っていた彼のクインケを渡した。
「これを使ってみないか?君には必要性を感じなくなってきたがね。」
少々の嫉妬と憧憬を抱いた私の、密かな皮肉であった。
私も油断していたのである。
「ま"だだあ"ぁ"‼︎‼︎」
「ぐうぅッ⁉︎」
「オオゥ⁉︎グァ!」
跳ねるように起き上がったヤモリが鞭のように密かに修復を続けていた赫子をしならせた。
2人の捜査官は双方大きく跳ね飛ばそうと力強く叩きつけられたソレは。
特にどこか惚けた様子を見せていた真戸の足に痛撃を与えた。
「ッッづぅぅゔぅッ⁉︎」
「ぐぅ…!大丈夫かッ!オイッ!クレオ!」
「ばははぁはは…ペッ!第二ラウンドといこおカァ!」
右足のふくらはぎの肉に大きな裂傷を負い、かつ衝撃をもろに受けた左足を骨折した真戸呉緒は立てなかった。
目の前に差し迫った殺気から逃げられないことに恐怖を感じる。
何かをやり残した気がする、そんなぼんやりとした感情とともに死相を顔を映しかけたその時。
ドゥっパァァァンッッッ‼️
強烈な破裂音が鳴り響いた。
爆発にも思えたその音の正体は、いつも穏やかな顔を覗かせる自らの相方の怒りを滲ませた表情の先、振り切られた彼の筋骨隆々の左腕とヤモリの顔面よ肉の合唱であった。
分厚い掌、筋肉の流動を感じる戦車の砲塔の如き腕をもって、瞬時に全ての筋肉を収縮し、全力をもって解き放たれた一撃。
被災者は顔面の歪んだ顔の皮膚を残して、その脳漿と頭蓋骨の粉塵を巻き上げた。
重力に引き摺られて、緩やかに高度を下げた赤い塊は、振り切られた掌の衝突点から力の向きを変えずに、画用紙に力強く線を引く赤いボールペンの軌跡の様相を暗いコンクリートの地面に描いた。
先ほどまでの手下のグール集団に対する掌底が、ほんの撫であげであったことを両陣営に悟らせるには十分すぎる光景であった。
「…やり過ぎたのは謝るが。お前達の頭も俺の相方の脚をヤってくれたからな。何処かで負の連鎖は止める必要がある。まだ争うならば相手をするが?そこに大人しく寝ていろ。」
穏やかに、しかし明確に伝えられた指示はよく響いた。
体を起こした手下のグールたちは、倒れ伏しゆっくりと肉が胎動するヤモリの胴体に近づいた。
「あ、アニキ…早く、早く起きてくだせぇ…」
先ほどの威勢とは裏腹に何処か現実への納得を匂わせながら男に声をかけた。
聞こえるのか、否か、それは関係なく集まった手下は彼に声をかけ続けた。
その頃、ゴリラは相方の異変に気付いた、どうやら白目をむいている。
「おっとぉ〜…これはいかんな。しかし、こいつらどうするかなあ。……あっ!おい、そこのお前!」
「えっ!お、おれ?」
「そうだ!そこの将来目元に隈ができそうなお前!」
「なっ、なんだよ!てかっ、クマなんかデキルわけねーだろ!おれはグールだぞ!」
「どっちでもいい!俺は齬理羅!20区の廃マンションに住んでる。ちょんまげみたいな髪型の可愛い隣人のいる6歳のゴリラだ!ついでに言うとこの前まで就活していた!」
「ごっ、ゴッ?ごりら?…ゴリラ⁉︎」
「そうだ!多分今ので合ってる、相方が危ないから手短に話すぞ!腹が減ても人を襲わずに20区に来い!場所は駅から3キロの距離にある廃マンションの下から10番目の階の左から1番目だ!」
「え?ええ?なんだって⁉︎慢心?三帰路?何言ってんだよ⁉︎わっかんねぇよ!ムツカシイコト言ってんじゃねぇ!」
「…そうだったな!思い出したよ!悪い悪い。とーにーかーく!腹が減ったら20区に来い。そんで俺を探せ!そしたら肉を食わしてやる!」
「…ん。よくわっかんねぇけどアニキには伝えとく!」
「ん!素直でよろしい!まだ小さくて食べ盛りだろうしな!近々また会うことになるだろう!いいか!絶対にヒトを襲うなよ!」
「サッサとカエレや!」
「じゃあな!」
ふう。どうにか種は撒いた。
彼らが私の思惑通りに来てくれることを願うばかりだ。
よいしょっと。
はぁー、軽い軽い。
やはりもっと食べさせないといけないようだな!
だが今はいち早くコイツを病院に連れてかないとな、まずはそれだ。
待ってろクレオ!
帰ったらモルヒネをもらってやるぞ!(言ってみたかった)
戦闘シーン相変わらず長め。
前よりも密度が増していることを祈願しときます。