今後の見通しはあやふやながら見つかりました。
とは言ってもエト編の始まりくらいまでですが。
午前10時を周り外には人通りが増えている。
繁華街から離れた所にある年季の入ったコンクリートに囲まれた地下駐車場が待ち合わせの場所であった。
退屈そうに足を揺らして少女が一人入り口近くの排気パイプの上に座り人間の出入りがないよう見張っている。
駐車場の中には冷たい空気が満ちていた。
二人の男が対面している。
方や白のテントの様に分厚い布地のコートを着心地狭そうに身につけ、黒光りする鋼のヘルムで顔を覆った偉丈夫。
方や黒のコートに黒の帽子を被り顔を不可解そうに歪めるダンディズム。
言葉を選び終えた黒い帽子の男が重々しく口を開いた。
「……私がお前に助けを求める?…どう言うことだ?」
「そのままだ。お前には避けられない事ではあるが、私に託せば上手くいくことを約束しよう。ちょうど、旅行の準備を始めているところだよ。」
「お前が何を言っているのか分からんぞ。ふざけているのか?」
「大真面目だよ。功善…君は彼女に惹かれているのだろう?」
「⁉︎…何を言うかと思えば…いい加減にしろ!アイツは正式に組織に属しているとはいえない…いわばグレーゾーンの人間だ!ましてやヒトだ!私とはそもそも分かり合えん。」
「今はそう言うだろうと思っていた。…君はこれから苦悩する瞬間が必ずやってくる。だが、それは本来なら悲劇の道になることを私は知っている。勿論今すぐ信じてもらおうとは思わない。まだまだ時間はある、私はもっと君のことも知りたいし、君に私のことを知ってほしい。今はそれだけ覚えていてくれれば私の言うことはもう無いよ。」
「…相変わらずだ、全く理解できん。…しかし、私も一度は命を拾った身だ、初めて会った時から自分をゴリラと言ったり、本当にゴリラの檻で寝ていたりと…ほんとうに、お前は変な奴だ…。…わかった。今度食事会でもしよう。食べるものは違うがな。」
「うん。ありがとう。それでいい。…ロマ!待たせて済まなかった!もう用事は済んだよ。」
「ホントだよ!どんだけ待たせんのさ〜!早く行こ行こ♪」
「そう言うわけで、…また会おうな功善。俺は理不尽と悲劇を破壊することが生きがいの変なゴリラだが、嘘は言わないと約束するよ。」
「……ふふふ。仰々しいゴリラだな。…あぁ、また会おう。」
「ご〜りさぁーん!置いてっちゃうよーー!」
「…悪い悪い。今行く!」
……憂那。確かに私は彼女に惹かれている。
お前が私の何をどうして知っているのか、正直あの時から疑問が絶えない。
しかし、確かにお前はウソはついていない。
私のことを短い間にもかかわらず人より理解しているのか、はたまた何か特別な情報源があるのか、私には皆目見当がつかないが確かにウソだけはついていないのだろう。
そもそも、ウソをつくようなズル賢さがお前にあるようだったら、なぜあの動物園で全裸のままヒトの見世物になろうなどと思うのか。
お前は確かにゴリラなのだろう。
私には人間にしか見えんが…確かにお前の力強さを見せつけられれば、お前がゴリラだと言われても納得するかもしれないな…ふふ、全く変なヤツだ。
いつかその選択の日が来たのなら、お前に話してみるのも悪くない。
…それにしても、この明らかに怪しい新聞紙に包まれたブツは何なのだ?
ガサガサッ…
カサ…⁉︎
に、肉?
…ンん、なんだこの薫りは……ヒトの肉…か?
いや、違う…アノハナシは本当だったと言うわけか…。
フッ…まさかここまで変わったヤツだとはな。
なるほど、グールに会う程度では動じない訳だ。
自身の肉をグールに配る。
とんだ捜査官もいたものだ。
社会にも人間にも見捨てられた我々グールからしたら夢のような、正に天使か何かに当たるかもしれんな、ゴリラだが。
本当ぅに、大した齬理羅だ。
ゴリラ肉。
次は子ナキとヤモリの兄貴達に会いに行きます。