ゴリラ的人生哲学   作:ヤン・デ・レェ

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ゴリの大兄貴はナキの兄貴の兄貴のヤモリの兄貴の兄貴!!!(早口)

これからのゴリラにとって大切な要素となるハナシです。


ゴリの大兄貴

「ねぇねぇ〜もうすぐじゃない?…ほらっ見えてきたよ!」

 

「「「ゴリの大兄貴ィィイイイィ!!」」」

 

「うわぁ…ゴリの大兄貴だってぇ〜〜!ブププ!」

 

「兄貴!お疲れ様だですッ!」

 

「ゴリラの兄貴お疲れ様っス!」

 

「毎週ありがとうございまっす!」

 

「今日も読み書き教えて下さいっです!」

 

「おおぉぅ、うんうん。わかったわかった!わかったから一旦落ち着けヤモリ軍団ン!」

 

「ニャハハハっ!!ゴリさんっ、必死!ッッアハハ!」

 

「「「はいいいィィっス!!大兄キィィィ!」」」

 

「はぁぁーーーー……」

 

「ふふふ、もうお疲れだね〜♪これからだよ!これから!」

 

「わかってるよ。だいじょうぶだ!俺はゴリ兄貴だからな!」

 

そうなのだが…。

おいおいどうしたヤモリ軍団。

この前本当に肉を全員分用意してから手のひら返しがくるっくる。

まったく、現金な奴らだ…向上心あふれるあの子はホオグロと承正かな?

ま、それは後でで良いとして。

ほらほら!並べならベェい!

順番を守らんやつとヒトを襲うのはワルイグールだぁぁ!

オマエたちはワルイ子なのかーーーーーー?

 

「「「ちがいまぁーーーーすぅぅ!!!」

 

うむ、元気なお返事ができてアニキ嬉しい。

そんじゃならんだからい前と同じようにくばっていくぞー。

先ずは、ハイ。

ヤモリの分、いつもみんなをまとめてくれてありがとよ。

 

「あ、ありがとよ…アニキ……」

 

うむうむ、再開した時はチビるくらいビビりまくってたもんな。

その節はホントごめんな、やり過ぎたの感はありまくりだったから。

仲直りできて良かったよかった。

次、子ナキ!

お前は正に最大のこうろうしゃだぞ!

 

「あ、ありがとうござ、います、ゴリラのアニキ…こーろーしゃって何すか?」

 

お前がイイコだってことで良し!

 

「オレすっげえ…ありがとうごさっすまっす!!」

 

うむうむ、まだまだ日本語であそぼだな!

次はーーーーーー

 

 

つつがなくその日の配給を終え、ゴリ島ゴリ八郎先生によるゴリゴリバナナ塾の時間となった。

 

これは、さる日に彼が感じた彼らグールへのモラルや基礎的学力、品性やらといったヒトの社会でも生きられる為の下地を育む目的で始めた青空教室である。

 

ついでに争いの絶えず心の擦り切れてしまっている彼らは娯楽や打ち込めるものを提供し、更に動物園での自身の穏やかな日々を送る幸せを経験談兼人生の教材として彼らに伝えることでグールなりの幸せを個々人に模索させようというのである。

 

意外に好評を得ており、特に読み書き、計算に関してはロマとヤモリ、ナキも熱心に耳を傾けている様子である。

 

因みに今日はホオグロと承正が足し算引き算とひらがなをマスターしていた。

優秀な生徒を持って私もニッコリである。

 

今日は休日ということもあり、3時間もゴリゴリバナナ学園の授業は続いた。

終われば皆んなでお昼寝するらしいので私も横になった。

頭のヘルムを外したら、ヤモリと子ナキに「顔は意外と綺麗なんだな…」

と驚かれた。

なんだか納得がいかないようにも思えるが、彼らにとっても私は人間に見えるらしく、どことなく安心している私もいた。

ロマは眠そうに目を擦って私の元にやってきた。

 

「…ご〜りさ〜ん…私ぃ、ごりさんのうえでねてみたいよ〜…わたしのべっどになってよぅ〜…」

 

くっ!可愛いこと言うじゃないか!

しかし、私はゴリラだぞ?臭くないのか?

 

「ぜんぜんそんなこと、しないよ〜。いいにほいだよー…だから~、ね?」

 

グハッ!くッ、不死身のゴリラともあろうものが!

上目遣い(背の関係で常時発動)に負けようとは!

だが…いい人生だった…おやすみ、ロマ。

 

「…う、ん。おや、す、み…ごり、さ……スゥ…スゥ…」

 

…動物園の頃を思い出した。

そう、だよな。

いつもヒトの目を恐れながら、押し込めて押し込めて、そうやって生きることを強いられてきたんだもんな。

強い弱いは関係ないもんな…ちぃさい頃から、誰かに愛されたいと思っても、誰も許してはくれなかったんだもんな。

寂しいんだよな、みんな。

 

ぐおおぉぉ……

 

クゥ…クゥぅ……

 

ふふへ…もうたべられ、ないよ……スぅ…

 

ふごっ…フガフガ…くぅううぅぅ〜…

 

そうだよな、今まで食べて命を絶やさないことで精一杯だったんだよな。

淋しかったんだよな、こいつらみんな。

ヤモリは強い…ナキも強くなる、他の奴らもそうだろう。

だけど、誰かと一緒にいたくって、その一心でアニキ兄貴ってヤモリの背を追ってたのかもな。

強さに憧れるってのも、いつかヒトに復讐する為ってのもあったかも知れない。

けど、本当は腹一杯食べて、誰にも憚ることもなく、ゆっくり寝たいと思ってたって悪くないだろうに。

 

 

今のいっときとはいえ、自分の生んだこの時間がどうにも尊く思えて仕方がない。

 

私はゴリラだ。

だけど、グールなりに幸せになってほしいと思った。

ヒトですらないグールでもない、タダのゴリラなのにな。




無邪気に昼寝を楽しんで欲しかった。
もう一話ほのぼのを挟んでから、ゴリラの新しいチカラについて描こうと思います。
悪いな悲劇!お前に休む暇は与えん!ゴリラのニューアビリティに震えて眠れェ!
グールには幸せになってもらおうか。
では、また会いましょう。ニチャラティ

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