ゴリラ的人生哲学   作:ヤン・デ・レェ

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「ゴリラとしてのワタシ」を主人公が追い求めるハナシです。今回は、に ん げ ん を出します。あくまでも、人間です。


我、ゴリラたれ

私は、ヒトであった時のジブンを表すのに容易な言葉を選ぶ。

弱い自分。

情けない自分。

軟弱な自分。

病弱な自分。

病弱なのに大病を患わなかった。

筋肉を鍛えているのに、そのせいで体調を崩した。

もはやヒトとしての面影も残っていない過去のジブンへの回顧はあまり良いものではないな。

そう考えて思考をやめた。

 

一方で、だ。今の私はどうであろうか。

筋肉モリモリマッチョマンの変態も真っ青の全身筋肉達磨。

その巨躯の前では誰もが竦むだろう2メートルを優に超す、圧倒的威容。

黒々とした、今の私の強靭な肉体からはそんな印象を感じる。

というよりも、なんだか"ただの"ゴリラにしては大き過ぎる気もする。

まあ、そんなことは今は思考の無駄である。

ある意味、今の私は相当に満ち足りている。

ゴリラという生き物は、私の知る限りだと

穏やかで

筋肉もりもりで

ストレスに弱くて

争いを好まない

そんなイメージがある。

ストレスが弱いのは愛嬌だ。そうに違いない。

そんなことよりも、筋骨隆々であることが重要であった。

 

それに限らず、強靭な自分というものにたどり着く一方で、ストレスに弱い軟弱さを捨て切れていないというところが、今やゴリラとなった私に、ヒトで会った頃の面影を感じさせた。

これは、ジブンが良い意味で変わったという喜びを噛み締めるための、一種のスパイスに他ならなかった。

 

しかし、先ほど思い浮かべたゴリラの印象と比べて、意外にも、今の私は争いは嫌いなのだという感覚が薄かった。

穏やかを尊ぶ心持ちは言うまでもなく天元突破状態であったが。

こういうのも興味深い、今の自分の有り様は言ってしまえば暇人とも言える。思考に時間をほとんど割いてお釣りが来るだろう。

 

だが、今の私はゴリラとしてどうだ、と思うのだ。もっとゴリラらしく、ゴリ凛々しい様を、この他の追随を許さない威容を持って示すべきではないかと、そう思うのである。

そのために必要なことは、私の中の逞しさの解放に他ならない。

 

私はすぐさま行動を開始した。これが一時的とはいえ大きな混乱を呼び起こすとは知らずに…

 

 

 

「ウホッウホッ❗️ウホホウホッ‼️(ウオーー‼️我がドラミングの力強さに酔いしれるがいいィィ‼️)」

 

展示窓の向こう側

 

「えっ…⁉︎な、なんだよ、なんだよ…アイツいきなりどうしたんだ?」

 

「わからないけど、なんか面白いね〜プフッ!何あれ、すごいゴリラっぽいww」

 

「いやいや、アレはゴリラなんだから普通じゃね?」

 

「そっか〜。いや、でも、アハハハッ、流石にこれはやり過ぎでしょ!」

 

「うおぁ!なんだよアレ!グルグル回ってるぞ。今日は珍しいもん見ちまったなぁ。」

 

「なぁなぁ、動画!動画!これは話題になるって。みんなにも見せよぅよ!」

 

「おぅ、そうだな…ってかアイツ周りのゴリラに引かれてんぞ!ウケるww」

 

 

「ウホ?ウホホ?(おかしい。明らかにおかしい…なんだか馬鹿にされてある気がする。)」

 

明らかにゴリラっぽさを追求した結果。

彼が行ったドラミングは、腕を幼子のように大振りに振りたくる、なんとも滑稽にキマッてしまっていた。

さらに、そのような滑稽極まりない様に飽き足らず、本来言うわけがない

ウホウホという、典型的なゴリラの鳴き真似を、ゴリラがしているのだから、滑稽な様に磨きがかけられまくり、四方の展示窓を周回する健気なのか、陽気なのかよくわからない行動と相まって、その日からしばらくの間

"はぶられゴリラ"としてネット上でボッチアニキの仲間入りを果たしたのはまた別の話。




会話文というのは難しいのですね。コメディにする気はなかったのですが。
人間を出す出すいって、固有名詞のある人間ではないというね…。まぁ、そのうち。ちなみにオリジナルな人物?ゴリ物は彼オンリーのつもりです。
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