ゴリラ的人生哲学   作:ヤン・デ・レェ

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ジャック・オー・ランタン様へ、お忙しい中拙作の誤字を指摘してくださるほど読み込んで下さり誠にありがとうございます。
今度は間違えないように頑張ります。

さっさと進めようとか思ったけど会話が少ない小説なもんで、人物の心情やらをもっとじっくりと描きたいなと思いましたのでウタsideを描こうと思います。


空くまでもなく ウタside

ウタは空いていた。

 

物心がつく頃から何かに激しく感情を揺さぶられることは無かった。

 

確かに食事の際の命を奪う感覚や戦闘、それこそ殺し合いのような命の遣り取りによる快楽は自身を高揚させる。

 

四方蓮示という好敵手ともいえる存在の出現に心躍らせることもあるが、それ以上ではない。

 

幼少よりウタという存在は冷たく社会へ臨んでいた。

 

彼が両親、親といった自らを守り、凡ゆる不安から覆い包んでくれるような存在を欲することは無かった。

 

知らないと言うことが齎す不幸の一つに数えられるべき事実を彼は背負っていた。

 

彼は断じて早くから狂騒に身を委ねるような存在として自己を確立していたわけではない。

 

幼き頃より終ぞ教えられることのなかった安穏の柵の内側の世界への憧憬を抱かなかったのである。

 

自身が捨て置かれている土に身を馴染ませるほか幼い彼の不安を払拭できる選択肢は無かったのだ。

 

生まれ落ちた場所で強くなった、彼の人生が放つ色はただそれだけである。

 

人間は様々な比較の上に今を生きている。

 

万の選択肢から千の選択をし百の結果から十の正解を求め一の幸福を追求するのである。

 

盾を持たずして産まれ落とされた彼には最初から半分の選択肢も与えられなかったのである。

 

彼は自身が生きるこの世そのものを乾いた味覚で味わうことしかできない。

 

自身が生命の初まりから背負わされている不条理は彼に狂騒によって気が紛れることを教導した。

 

彼はとにかく激しく自信を揺さぶってくれるものを求めた。

 

色欲、酒食、豪遊…およそ自身の思いつく刺激を堪能した彼には空しさと一つの心当たりが残るのみとなった。

 

死は生の表裏一体の概念である。

 

彼の心当たりは生死の境界に臥す絶対の概念であった。

 

死ぬことと生きていることは明確かつ絶対の摂理でありその有り様は何人から見ても一様に同じである数少ないものだと言える。

 

皆一様に生きているのか死んでいるのかの二対の現実があるのみ。

 

精神と肉体の生死を互いに其の撞着から目を逸らし合っている滑稽。

 

淡々と燃える好奇心に身を焼かれながらヒトを殺めることで自身の命を奪おうと躍るピエロを笑った。

 

案外にも無邪気に生きることは苦痛であった。

 

轟々と自身の中で荒巻く寂しさには気づいていた、自分の求めるものが何なのかは嫌でも明確に自分に付き纏う。

 

しかし望んでも望んだものが得られない苦しみに耐えられるほどに彼の本性は冷たくなかったのである。

 

冷たい血に身を浸し方時の狂騒に耽ることで自らの夢想から目を逸らし続ける。

 

自分の今の有様に凍え、水面に自分が映らぬように更なる高揚でかき混ぜ続けてきた。

 

ウタは狂うことに疲れていた。

 

今となっては過去の夢想も擦れて、これからの長い生涯に映える面白味を探すばかりとなった。

 

がむしゃらに争い、殺し、遊んだ。

 

その間に出会ったロマやニコという似た存在と互いのあり方の歪さ、滑稽さを笑い合う歪んているが確かに友人と言える存在もできた。

 

今を空いている彼にとっては、共にいると穏やかに時間を過ごせる稀有な存在だった。

 

そんなロマの様子が変である。

 

恋でもしたのかと茶化せばいつもはヘラヘラと空い笑い声を響かせるのだが、その日は違った。

 

「お、面白いヤツにあったんだよねぇ。そのさ、なんていうか本当に不思議なヤツなんだよ〜。ゴリさん…って言うんだけどね。」

 

何度思い出してもまさに想い人への懸想を親しいものに明かす時のような甘くて温い空気をまとっていた彼女の姿には驚かされる。

 

その時も大いに驚いて変な声をあげたが、それはロマの隣のバーカウンターの椅子にしっくりと収まっていたニコも同様らしい。

 

最近はどうにもこうにもヤモリの付き合いが悪いらしく何処となく不機嫌だった彼女もこの話には興味津々だった。

 

「え、え〜でもなぁ〜…悪いヒトと悪いグールには言っちゃダメだってゴリさんと約束しちゃったしなぁ〜。」

 

二人で根掘り葉掘り聞き出そうとすると彼女は目を何度も泳がせながら、免罪符のようにニコもウタも友達だから大丈夫大丈夫などと呟きながら話し始めた。

 

「う〜ん、そうなんだよぉー。でもさ〜ハトなんだって〜。私と初めて会うきっかけだって20区の喰種を完全するために本部から寄越されたからって言ってたし。」

 

「そうそう!そうなんだよ〜何がいいってねぇ、いつもは隠してる顔が実はすんごい男前なとことか〜。あとはあとは、やっぱりあのでっかい体に見合うような優しい所かな〜……」

 

突然黙りこくってしまった彼女の様子が気になり声をかけようとすると、

 

「初めて会ったときね、負けたの。それで私死ぬんだ〜って思ったんだけど…突然お金を渡されてね、お腹が減ってるからご飯を買ってきてって言ったの。…グールの私に態々だよ。ふふふふっ今思い出してもオカシイよね!…でもさ、私はなんだか諦めの境地?的な何かでさ、それにあんまり変な奴だったから圧倒されちゃってね、私ともあろう者が従順に従ってしまいましたよ〜ムハハ〜!」

 

それでそれで、そんなふうにニコと声を合わせて話の続きを急かした。

 

今は聞かなきゃ、そんな感情に支配されてるみたいにロマの声帯の震え以外そのときの僕には何も響かなかった。




次に持ち越し!

やはりね、こう言うものを書きたいのよね。

セリフって所謂言葉でしょ。

言葉ってどうにもこうにも軽々しく口から漏れ出るものだからね、どれだけ重みだとかその人の本心だとかとのたまっても結局それは音でしかないわけですよ。

人間の精神だとかは解剖してもわかりませんものね。

想像、妄想の類とは言え多少私の中身を見せてさしあげられるのですか
ら匿名で小説が書けることは大変なことだと思いますよ。

私は私でしかないのです。

水星フレッドは水星フレッドでしかありません。

悲しいかな自分を表す記号と自分というものは軽妙な不一致の上に揺蕩うのだと思います。

長くなってごめんなさい。
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