あんまり面白くないですよね〜ゴメンなさい。
すんごい関係ないけど作者の性癖の話。
正直あんまりああ言うのを書くつもりはないんですよね。
人間の内面のドロドロした濃い愛情やらを描きたいのが正直なところ。
狂気に至るまで溜め込む内面と平然とした外面の歪みによる深い深い懸想がヤンデレの真骨頂だと思うのですよ。
ヤンデレに関して言うと、タイプにハマれば男も女も関係ありませんね。
歪んだ物ほど謙虚に美しさを湛えているのですよ。
ロマに教えてもらった住所に来た。
確かに中からは強烈な気配を感じる。
高鳴る胸に気づかないフリをして自分の歪さに引き攣る顔にマスクを張り付けた。
ロマは言っていた。
「うーん。確かにね、本当に変なやつだよ。ヘンなやーつだよ。」
「ふふふ、私のお隣さんなのだ〜ぷぷっ!毎日起こしてくれって普通頼むかな〜?だってワタシグールだよ〜、しかも治ってたけどお腹にあなポコ開けちったし。ほんっと変な奴だよ!」
…だけど、一緒にいるととっても楽しいよ……
控えめに言って心底穏やかな笑顔だった。
僕が知ってるような笑顔じゃない。
冷たかったり、いやらしかったり、艶やかだったり、粘り気を帯びていたり…色んな笑顔があったけど、どれとも違った。
その時の羨ましい気持ちを抱いたまま今日になってしまった。
…多分、本当に違うんだろうなぁ。
なんともまとまりのつかない不甲斐ない言葉しか浮かばなかったけど、自分がロマの言うゴリさんに会っても多分…違うんだと思う。
僕は穏やかさが得られない。
ロマみたいに接してもらえたとしてそれは同じだと分かっているんだ。
構ってほしい、遊んでよ、そんな感情は蓮示くんにも抱くものだけど。
ロマの笑顔を通して感じたゴリさんに対しての感情はもっと深い何かを切り離せないでいる、離してはいけないって言ってる。
僕は自分を表すことが得意だ、芸術なんかはその最もな所だと思う。
僕はゴリさんの部屋に訪ねることをやめた。
これから一週間、蓮示くんに会わずに、誰にも会わずにいよう。
ただ彼を観察ていよう。
そして一週間が過ぎたら僕を彼に表してみよう。
これ以上自分の生命が自然の脈から拒絶されるのが怖くてそう言い訳をして一週間も勇気を渋った。
最初からわかっているんだ。
僕がロマの笑顔を通してゴリさんに求めるものは明白だった。
僕は甘えたい。
1週間が経ってしまった。
ロマに紹介されるのは嫌だった。
期待が裏切られたから。
僕はずっと彼のことを見ていたが特に面白いとも思わなかった。
確かに変わっていたけど、それだけだった。
僕の感じた強い強い衝動は何だったんだろう。
それでも諦め切れない気持ちがあって、それで今彼の家のドアの前にいる。
これ以上水面の自分を見ないままでいることのほうが嫌だった。
結局のところ逃げて逃げて散々置いてきたものだけど、捨てることはできないんだ。
僕は彼の家のベルを鳴らした。
彼の声は観察ていた時とは全く違う雰囲気を具していた。
心なしか弾んでいるようだった。
一週間ずっと僕は頭の中で一番彼に甘えられることを考えていた。
ヒトの頭部をズタズタにした悪趣味なマスクを三つ作った。
いつもなら絶対に作らない代物だ。
それをマネキンの頭にかぶせて髪を模した部分を掴み上げて彼の返事を待っていた。
ロマとの穏やかな生活をひしひしと感じさせる言葉が僕に投げかけられる。
僕はドアを蹴破って彼に肉薄した。
彼は心底驚いたようだった。
実物はずっと大きかったし、何よりずっと頼もしかった。
気取ってセリフを言い放ち、手荒に三つの餌を撒いた。
目を見開いた彼の顔は困惑、怒り、驚愕…鮮やかな感情に彩られていた。
美しいとは思わなかった。
でも蓮示くんとの遊びよりもずっとチリチリと身が焼けつく興奮を覚えた。
彼の怒りをかったという事実に僕にはとても満足している。
怒って欲しい。
案の定、彼は怒った。
僕の父親だとか言い出した時はびっくりしすぎて俺なんて言ってしまった。
あんまりにも変なヤツだった。
変だとは思ってたけどこれはあんまり過ぎる。
蓮示くんと遊ぶときよりずっと興奮してたし、今まで感じたことが無いくらいの圧を感じた。
生まれて初めて自分の身体全部で必死に抵抗した。
怖いわけがなくて、とにかくたまらなかった。
体が今までにぐちゃぐちゃにされて意識は坂を下るヘドロのように床を滑っている。
僕に向かって拳を振り上げては降ろして僕の根本を揺さぶってくる。
興奮よりも心地良さ、不安よりも熱望、後悔より身を焼く渇き。
僕は僕の中で何かが弾けていることを悟られぬように彼から与えられる身の痛みを噛みしめた。
ロマから彼の肉らしいものを貰い、体を修復する。
彼は意識を失して寝ている。
僕は自分が彼から与えてもらえるものがどれだけ甘美なのかを忘れないようにと生まれて初めて何かに願った。
痛いのが好きなわけじゃない。
彼から向けられた温度は怒りや困惑もあったけど、お節介や温もりを包含していた。
その感情は真心というやつなのかもしれないし、違うのかもしれないけどどうでもいいことだった。
僕にとって彼は特別な存在なんだと思ったことが心地よかった。
今はそれを肴に水面の自分を眺めていられる気がした。
水面の前、僕の隣にいてくれるのは彼自身じゃないけど、彼から貰ったものだと言うことは疑いようもなく自明だった。
生まれて初めて甘えることができたんだ。
生まれて初めて誰かが叱ってくれたんだ。
ダメなんだぞ。
かかってこい、受け止めてやる。
水面の中でずっと待っていたのだろう。
いつもの僕は笑っていたと思う。
形は関係なくて、僕を見て、僕を思って、彼は僕を打ちのめした。
あんな理不尽そのものの力を初めて味わった。
決して自分の身勝手な事情に縛られているわけでもない、純粋に僕を映して放たれた拳はすごく痛かった。
もっと甘えたかった。
彼は僕が去る時まで謝ったばかりだった。
いつもの彼は穏やかで頼り甲斐があるのだろう。
僕はそんな彼の自然な姿を見れたことに心が温くなったが、底冷えするような欲求に襲われた。
僕を貴方に今一度甘えさせて欲しい。
そう言外の想いを滲ませて去り際に彼に僕は悪い子だと伝えた。
暴れたら叱ってくれるかな?
多分ね、絶望の種類はたくさんあっても根っこは子供の癇癪なんだと思う。
結局一皮二皮大人になるにつれて被っていってもね、その人が眠る寝台は変わらないのだから苦しむ根元は変わらない、変わらなかった幼さなんだと思うのですよ。
無邪気は知らないだけ、つまりは教えてもらえなかっただけなんだと思います。