元白浜ケンイチは、(平穏に)白浜ケンイチを見守りたい   作:turara

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 太郎は、スーツ姿になる!


叶翔

 「おい。」

 

 「・・・なんでしょう?」

 

 「なんだその格好?今から潜入するんだろ。脱げ!」

 

 アジトから少し離れた場所。太郎は叶翔に叱られていた。何でも、この黒いフードが駄目らしい。あと、マスクも駄目だそうだ。

 

 そんなこといったって、このマントを脱いでしまったら、身ばれする可能性激増である。太郎にとって譲れない部分である。

 

 「でも、俺、これ脱いだら干からびます。」

 

 太郎は、そうボソッと呟く。勿論出任せである。

 

 「そんな訳ないだろ!?脱げよ!」

 

 「・・・。」

 

 敵の組織はかなりの勢力を持っているようで、警固も固い。こちらは二人しかいないので、戦いになることはできるだけ避けたかった。

 

 そこで、変装し潜入することになったのだが、そうなると、太郎の変装もとけてしまう。太郎としては、どちらも潜入しているのと同じことなので、ここで変装をといてしまうのは元も子もないような気がした。

 

 「・・・わかった。けど、マスクとサングラスだけはつけさせてもらいます。」

 

 太郎は、めちゃくちゃ譲歩してそういったつもりだったが、叶は全く納得してない様子だった。

 

 「いや、怪しいけど。疑われたら終わりなんだけどな。」

 

 叶は、そろそろ堪忍袋の緒が切れそうだった。

 

 それでも、太郎が全くおれる気配を見せず、このままだと任務に支障がでそうだったので、叶は、しぶしぶマスクとサングラスで許可を出した。

 

 

 太郎と叶は、スーツに着替え、いかにも社員のように変装する。

 

 スーツは体のライン、筋肉の付き方など、比較的観察しやすい。それは、全身マントに比べてと言うことである。

 

 叶は、着替え終わった太郎を観察する。これまで、戦闘技術に関して全く情報のなかった太郎を知るのに、大きな手掛かりになりそうだった。

 

 叶は、この任務もそうだが、本郷から太郎について調べてくるようにもいわれている。

 

 

 

 叶は、太郎の体つきを見、あまりの筋力のなさに驚いた。シラットは柔術のように相手の力を利用するような技ではない。ある程度の鍛え方はしていると思ったが、そうではないことに意外に思う。

 

 「・・・なんですか。」

 

 太郎は、叶の視線を感じそう問う。フードに比べて格段に相手へ伝わる情報量が増える。何か違和感でもあったのだろうかと心配になった。

 

 「いや、思ったよりほっそりとしてるなって思ってね。」

 

 太郎は、しまったと思う。ジュナザードの弟子なのにこんな体つきではおかしいだろう。しかし、筋力というのは一朝一夕でのびるものではない。ジュナザードの弟子にされ、毎日のように敵を送り込まされ、少しは体力が付いたかもしれないが、まだまだである。流石に誤魔化しようがない。

 

 「弟子になったばかりだから、実力もまだまだなんです。」

 

 叶は、「へー」という風にいい、太郎をじろじろみる。

 

 「まあいいや。時間ももったいないし、行くか。」

 

 

 敵のアジトはかなり大きなビルである。およそ20階建ての超高層ビルで、周りの街にとけ込んでいる。表向きは警備関係の会社と装っているが、裏でいろいろ取引を行っているらしい。

 

 本郷の説明にもあったとおり、そこの会社のある社員が国から機密情報を盗み出した。

 

 国を揺るがすほどの情報らしく、官僚も大慌てしている。とはいえ、情報を盗まれた国はとても小さな国だ。機密情報とは言え、杜撰な管理だったのかもしれない。

 

 

 「まずは、あの会社の社員がどうやって中に入っているかだね。」

 

 見たところ、icチップのはいったカードをスキャンしているようだ。思ったより忍び込むのは簡単そうである。

 

 太郎と叶は、社員と思われる人を数人捕まえ、icチップを拝借した。

 

 そして、ついでに会社の情報も聞き出す。どこに何があるのか。詳しい見取り図や、社内の簡単な情報を喋らせると、気絶させ横たわらせておく。

 

 「なるほど。恐らく例の情報は、このあたりでしょうね。」

 

 簡単に書いてもらった見取り図を元にそこを指し示す。情報処理を管轄している部署である。そこは、他より数倍、警備が堅く、入るにも限られた者しか入れない。icチップだけでなく指紋認証、顔認証が必要なようだ。

 

 

 「ある程度のとこまでいったら、武力行使も必要かもね。ここは警備関係の会社だから、油断は出来ないけど。」

 

 すると叶は、太郎を見る。

 

 「君、どのくらい出来るの?」

 

 「出来る・・・とは?」

 

 叶は、苛立ちげに言う。

 

 「どのくらいの強さかってことだよ。知っといたほうがこの先やりやすいだろ。」

 

 太郎は、どう答えようか迷う。流石に、叶より何十年も生きているだけあって、叶よりは大分強いと思っている。しかし、正直に答えても信じてもらえないだろう。それに自分の戦闘姿はあまりばれたくないと思っている。何故なら、ジュナザードの弟子なのにシラットをまだ実践で使いこなせるほど修得してないし、かといってシラット以外の技を使うのはやめた方がいいからだ。

 

 空手などというのももってのほかである。叶が空手使いであるのに、太郎も空手を使うとおかしいだろう。

 

 「・・・全くの素人です。先ほどもいったとおりジュナザードの弟子になってまもないんです。」

 

 そう答えると、叶は疑いの目を向ける。

 

 「適当なこと言うなよ。任務だからな。」

 

 「ほ、本当ですよ。」

 

 太郎は、どぎまぎしながらそう答える。しかし、戦わなくていいならそれに越したことはない。警備会社とはいえ、叶にかなう奴はいないだろう。

 

 もし、危ない奴が出てきたらそのときは助太刀しようと考えていた。

 

 「もし、武力行使になったらお願いしますね。俺、そのうちに情報奪い返してくるんで。」

 

 叶は、面倒な役割を押しつけられうんざりしている。

 

 叶には申し訳ないと思うがこれは好都合だ。それにこの任務、どこか胡散臭さを感じていた。

 

 

 裏に何かあるな。

 

 

 こういう小国が絡んでいるきな臭い任務はだいたいろくなことがない。それに他国の警備会社が小国の機密情報を盗むなんてそうそうあるわけがなかった。

 

 太朗はどさくさに紛れて、その機密情報を盗み見れればと企んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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