元白浜ケンイチは、(平穏に)白浜ケンイチを見守りたい   作:turara

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太郎は困惑する


本郷

 秘密情報D。それを盗むことが今回の任務とされる。

 太郎と叶は、その情報の入ったUSBファイルがあるとたれ込みのはいった組織のアジトへ向かっていた。

 

 

 何故俺がこんな任務を受けなくてはならなかったのか。それも叶翔とである。ことの始まりは1週間前。叶翔の師匠である本郷と会った時である。

 

 

 

 

 「君が新しく弟子になった平穏か。」

 

 太郎は、フードを深くかぶり直す。YOMIの会議の後すぐのことだった。たまたま、彼とあうなんてことはない。恐らく太郎に用事があって会いに来たのだ。

 

 「何か御用で?」

 

 太郎は、低い声でそういう。太郎は、警戒していた。

 

 本郷は、グラス越しにじろりと太郎を見る。何か品定めをするような目つきに太郎は不快感を感じた。

 

 「いや、彼が弟子をとったというものだからどういう者なのか気になってね。」

 

 本郷は、良くも悪くも太郎に興味を持っているようだった。

 

 「・・・そうですか。」

 

 太郎は、黙って本郷と向かい合う。

 

 太郎はこんな事になって言うのもなんだが、実力を隠すのが得意である。もともと、身体能力が並みの体つきであるし、強者のオーラと言うのも感じられたらことがないらしい。(by梁山泊)

 

 ジュナザードはなにを思ったのか太郎の実力を勘で感じ取ったみたいだが、普通は気づかれないものである。

 

 太郎は、フードをプラスして被っているわけだし、本郷が興味を持つ要素がないように思われる。ジュナザードの弟子という以外である。

 

 

 

 本郷は、なにを思ったのか、とても変なことを言い始めた。

 

 「・・・。実は、ここ最近忙しくてな。」

 

 彼は、腕を組み上から太郎を見下ろしている。彼の黒いサングラスがきらりと光る。太郎は、黙って見つめていた。

 

 「君に、頼まれてほしいことがある。」

 

 太郎は、お馴染みの嫌な予感センサーがバリバリ点灯していた。

 

 「な、何でしょう?」

 

 太郎は、フードの中で冷や汗を流す。本郷、彼はサングラスのせいもあり感情が読みにくい。彼は一体自分に何を頼もうとしているのか。

 

 そもそも、太郎でなくてもこんな事があれば恐怖である。組織に入って秒で一影九拳の幹部から頼み事をされるのである。普通、なかなか幹部に会うことさえ出来ないのだ。

 

 太郎には、何かを企んでいるとしか思えなかった。

 

 「ところで君は、かなり派手な自己紹介をしたようだな。」

 

 太郎は、突然の話の展開に動揺する。まさか、幹部の耳にまで届いているとは思っていなかったからである。太郎は、思わず身構えた。

 

 しかし、彼は太郎の自己紹介に悪いイメージを持っていないようだった。

 

 「任務を受けたくないそうだな。」

 

 ギラリと彼のサングラスが光る。

 

 太郎はなんと答えようか迷う。受けたくないと言えば受けなくて良いのだろうか。まさか、そんな単純な話ではあるまい。

 

 「・・・。」

 

 太郎は、無言で答える。返答を誤るわけにはいかない。太郎は、無言の勝負だと勝手に思う。

 

 「それは、何故だ?」

 

 本郷は、そう太郎に直球で聞く。どうやら太郎を責めても何でもいないようである。純粋な疑問なのだろうか。

 

 太郎は、何か引っかけ問題を出されているような気持ちになる。

 

 しかし、彼はジュナザードのように考えを強制するような人間ではないということを太郎はよく知っていた。質問には誠実に答えるべきだろう。

 

 「俺は、戦いたくない。平穏な生活を送りたいんだ。」

 

 そういうと、本郷は、「ふむ。」と腕を組みながら言う。

 

 酷い空気である。時折訪れる重い沈黙。そして度直球に核心を突いた質問。さらにいかつく光る真っ黒のサングラスである。この3拍子はいささか新人にはきついとは思わないだろうか?

 

 

 本郷は、突然納得したように頷いた。

 

 「・・・なるほど。」

 

 太郎はびびる。なにが「なるほど。」なのだろうか。さっきの発言に何か納得するような事でもあっただろうか。

 

 予測もつかない会話の応酬に、太郎はなかなかの緊張を覚える。

 

 本郷は、下を向き頷いていたが、突然太郎のほうへ向き直る。その時、本郷のサングラスはまたやはりギラリと光を反射させる。

 

 太郎は固唾をのんだ。

 

 「君は、なかなか私の弟子と気が合いそうにないな。」

 

 「・・・・。」

 

 太郎は、本郷の一挙一動をくまなく観察する。

 

 「君と翔は、全く性格が違うな。」

 

 そういうと本郷は、自分のサングラスをくいっとあげる。

 

 「君に、ぴったりの任務がある。」

 

 本郷は、太郎にそう言う。太郎は、今自分の話を聞いていたかとかちんとくる。先ほど、自分は闇からの任務は受けないと言い切ったばかりである。

 

 「君は、戦わなくていい。戦いはうちの翔に任せばいいさ。」

 

 本郷は、そう訳の分からないことを言った。

 

 どうやら本郷は、彼の弟子である叶翔の性格に少し難があると見ているらしい。

 

 彼は、あえて叶翔と全く性格の違う太郎と任務をやらせることで彼の中に何か心境の変化が起きないかと狙っているようだ。

 

 まあ、しかし、本当の目的はジュナザードの弟子である自分がどれほどの実力を持ち、どのような人柄であるのかを見極める為であった。

 

 本郷は、依然と沈黙し見つめる太郎にかまわず任務の詳細を口にし出す。

 

 「あるUSBを盗んできてほしい。」

 

 「USB?」

 

 太郎は、眉を潜める。

 

 「とても、危険な毒ガスの情報が入っている。」

 

 本郷は、腕を組み、さらに言葉を続ける。

 

 「一国を傾けるほどのやばい兵器だ。国の機密機関が組織に情報を盗まれたらしい。」

 

 どうやら、国の失態が招いた事らしい。こうやって秘密裏に闇のような組織を使って、国は自国の失態を隠そうとするのだろう。このような処理を秘密裏に受け付けてきたのも闇である。

 

 「情報は暗号化されている。恐らく、暗号の解読まで進んではいない。」

 

 太郎は、なるほどと思う。要は、敵に暗号が解読される前に盗まれた情報を処理してなかったことにしろと言うことだ。

 

 それにしても、弟子クラスがやるのにはかなり重い仕事だと感じた。もとは、本郷自身がいくつもりだったのだろう。それを何を思ったのか太郎に任せてきたのだ。

 

 恐らく、先ほどの反応といい、今先ほど思いついた案なのだろう。

 

 太郎は、ジュナザードといい本郷といい、むちゃな要求ばかりしてくる者にうんざりする。俺は、任務をしたくないと言ったばかりである。

 

 しかし、本郷は、太郎に対し言う。

 

 「簡単だ。戦いが嫌なら、敵にばれなければいい。ばれないように盗み出せば戦う必要はないだろう?」

 

 太郎は、そう無表情に、当たり前だと言うように見つめる本郷に、頭が着いていかない。

 

 「暗殺をしてこいとか、敵を壊滅して来いなんていってるわけではない。」

 

 本郷は、そう続けて言う。まるで太郎にピッタシの任務を見つけてきただろうといっているような雰囲気を醸し出している。

 

 

 どれだけ強くなろうとも、達人になろうとも、やっぱりこの人達の考えにはほとほとついていけないと太郎は思うのだった。

 

 

 

 

 




山田太郎の容姿は、ブリーチの山田花太郎と思ってくださいね!(^^)!

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