碧弾の守り人   作:水流

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駄メイド

 

男子寮の俺の部屋

その部屋の中にあるソファに先ほどの少女が座っている

翡翠色の髪にアーモンド色の瞳

ドラグノフを持ち、ヘッドホンを付けている小柄な子

 

「えっとじゃあ君は依頼されたんだね?」

 

相手に確認を取るように話しかけた

 

目の前に居る少女はレキ

無表情かつ抑揚の無い声で俺の写真を要求する“変態”

そう思っていたのだが、どうやら任務のようだ

 

良かった・・・いや良くはないだろ

 

「はい」

 

「一体、誰がそんな事を・・・」

 

「2年A組の生徒の大半です」

 

まぁ、そこしかないよな

納得してしまう俺も俺でおかしいと思うが今日、俺の顔を見たのはそこの人達くらいだ

男に写真を欲しいって言われるのは怖いから除外していたけど

 

「じゃあ、これだけ渡すから任務は諦めてくれ」

 

財布から取り出した10万円程の札束を相手の前に差し出す

 

顔写真

 

なんで俺みたいな顔の写真を欲しがるのか理解が出来ない

というかそんなのはどうでもいいと思う

 

俺の影が薄過ぎて皆が顔を忘れるから顔写真が欲しい

 

そんなのじゃないと俺は写真なんて撮らないからな

 

「・・・・・」

 

お願いだ、なんか言ってくれ

もしくは何か“YES”そうわかる合図を・・・

 

先程まで石像かと疑う程、動かなかった少女が立ち上がった

 

と思うと何故か真っ直ぐにこちらへと手を伸ばして来る

 

「な、何を・・・!?」

 

仮面を触ろうとするので、その手を掴み顔と顔を近づけるようにして聞く

 

大抵、ここで目を合わせると相手が動きづらくなるらしい

いきなり実戦とは中々に嫌だが、しょうがないだろう

 

・・・・ダメだ

目と目を合わせる事に抵抗がありすぎて目が合わせられない

 

「リアンさんの仮面を取り、シャツのボタンを外し、服装を乱した写真を1枚撮影。その後、リアンさんの笑顔と寝顔を撮影します」

 

真顔で言ったレキ

 

仮面の下では俺の表情は鏡を見るまでも無く焦りまくりである

 

だが、力は俺の方が強い

乱暴はしたくないがこのまま後ろに押し返すか!?

 

「多いな注文!?・・・ってなんでそんなに枚数が必要な上にマニアックなんだよ・・・!」

 

レキの手を持った状態を出来るだけキープしつつソファから立ち上がり、後ろへと逃げる

ソファを挟んでも一歩も状況は進歩しないが取り敢えず、隣の人にhelpを出そう

 

手を離してダッシュで部屋から出て、隣の部屋のドアをダメ元で開けてみる

 

意外にも隣の部屋は開いており、すぐに鍵を閉めて室内に靴が2足あるので人が居る事を確認しつつ中に入った

レキは恐らく、あそこにたっているであろう

 

だから、俺はベランダから隣のベランダに移って自室の鍵を閉める

 

「すみません「アンタ、アタシの奴隷になりなさい!」

 

リビングの方へと歩いていくとアニメ声の少女

 

アリアが確か・・・遠山 キンジに奴隷になれと言っている

邪魔してはいけないが邪魔させて頂こう

 

「姉さん、変な人から写真を要求されてるので匿って」

 

「なんでアリアに許可を求めんだよ」

 

キンジの言う事をスルーして隠れられそうな場所を探す

なんか無いかな

 

「変な人?誰よ、それ」

 

浮かぶのは先程の無表情な子

 

背筋に何故かいきなり悪寒が走り、ゾワゾワした

なんだ、この妙な感じは・・・

恐ろしい

 

「・・・考えたくもない」

 

「リアンがそんな事を言うなんて重度の変人ね」

 

不思議そうに玄関を確認しにいくアリア

対して俺はというとベランダに出て逃げる通路を確保していた

 

「人の部屋にズカズカ入ってきた奴がそれ言うか?「風穴」

 

アリアとキンジがパートナーか

 

もしもそんな事になったら殺伐としていそうだな

メヌとアリアも中々に喧嘩は凄かったけどここはここで凄そうだ

 

キンジも男だから女性に暴行は与えないだろうし

 

アリアは容赦なく殴る蹴るの暴行を与えるだろうが人間には耐えきれない時もある

 

そう考えた俺はとにかく俺の部屋側の扉を叩いていく

 


 

キンジと一緒にゲームをしていた時

 

「リアン。玄関を見に行ったけどレキしか居なかったわよ」

 

戻ってきたアリアはそう言い放った

 

そのレキが危ない人だ

 

アリアにそう言おうとしたが時既に遅し

レキは既に室内に入ってきており、逃げ場は・・・無い

 

アリアがいる状況で逃げるのは愚策

なにより、アリアは俺の部屋の鍵を持っている

合鍵なんかレキに渡されたら心の居場所がなくなってしまうぞ

 

「仮面を取って撮影に応じて下さい」

 

両手にカメラを持って真顔でジリジリと詰め寄ってくるレキ

 

テンパリまくりの俺には今、この状況の打開策が見つからない

室内に何かいい隠れ場所は・・・

 

後ろに居たキンジにぶつかりバランスを崩してしまい前に倒れていく

 

「あっ、ごめ・・・・・・は?」

 

キンジが俺に覆い被さるような形で俺の上に居る

 

脳内で物凄い光景

アリアと俺の頭ではそのように処理される

レキは無表情だが、どこか軽蔑しているような視線だ

 

「えっと・・・・だな・・・これは「人の弟に何してんのよ馬鹿キンジ!!」

 

アリアはキンジの脇腹に向けて跳び蹴りを1発、お見舞い

 

顔を真っ赤にし、額には青筋が無数に浮かんでいるアリア

 

髪色や背丈、瞳の色など色々と違う所はあるが似ている所は似ている

顔なんか色を全て揃えればほぼ同じに近い

自分が押し倒されたかのように感じたのかもしれないな

 

「風穴!!風穴ドロップ!」

 

なんの商品名だそれ

まぁ、なんだかんだであの2人はイチャイチャしだしたので部屋へと戻った

 


 

何故だ

一体、何故こうなったんだろうか

 

「リアン様、リアン様。アイスをよこせ」

 

玄関を開けたら何故かメイドが居た

そしていきなり部屋に入ってきてアイスを求めてくる

 

冷凍庫からアイスを1本取り出し使えに置く

 

それをみるとすぐ様、アイスの袋を開けて食べ出す駄メイド

 

「エミリア、何のようですか」

 

金髪に混じったピンクの髪

瞳の色もピンクのなんともダルそうな雰囲気のエミリアというメイド

 

幼少期の頃から俺の世話をしているメイドで今年で20歳

 

年齢はあまり離れていないが彼女はなぜか俺のメイド

 

体の弱い俺をアリアの次にこき使った最強の女

なんならアリアでさえも逃げてしまう程の女傑っぷりだ

 

「なんのよう?それは勿論」

 

シーンっと流れる静寂

そして、謎のドヤ顔を見せたエミリア

 

「・・・・・・・貴方の健康管理です」

 

勝ち誇った顔で言い切ったよ

もはや潔すぎる嘘だ

 

食べ終えたアイスの棒をゴミ箱に捨てるエミリア

 

「嘘でしょそれ。間が凄かったけど」

 

これでごまかせる

そう思っているのだからすごい

 

呆れ切って大きな溜息を吐いてしまう程だ

 

「溜息を吐くのはあまり良くありませんよ」

 

誰のせいだ、誰の・・・

 

心の中で反論し、手元にあったバイオリンに触れる

糸が切れていたので修理に出した物が帰ってきたのだ

駄メイドもアリアも演奏中は比較的に大人しい

 

音楽には人間を穏やかにしてくれる力があるな

 

そう思いながら演奏する事は多々ある

 

────ブップー♪

 

クイズ番組で出演者が外した時の効果音が鳴った

だが、今つけているTVはニュース

どう考えてもそんな効果音は流れない

 

「エミリア、君は何をしたの?」

 

必然的にこのメイドだ

普段はダラダラしているがこういうのは上手い

これまた巧妙に人の神経を逆撫でていくのだからある種の才能だ

 

「面白そうなのでインターホンの音を変えました」

 

玄関に向かい、誰が来たのかの確認へと向かう

 

扉を開けると────レキが居た

 

「リアンさん」ガチャッ

 

目があった瞬間に扉を閉じ、仮面を一旦外して目頭を触って仮面をまた付ける

 

「何故、閉めるんですか?」「変われ(Changed)

 

玄関の前に居る人の存在が完璧に変わって欲しい

 

ここまで明確に思ったのは初めてだろう

居留守を使えば良かったな

 

再び扉を開けてレキが居る事を確認してしまう

銃を一通り整備する為の道具一式

キャリーバッグというなんとも少ない荷物を持ったレキが玄関前に居る

 

「暫くの間、お邪魔致します」「帰れ下さい」

 

ドアを閉めようとすると手でドアを押さえたレキ

 

これでは扉を閉められない

 

おかしな日本語になったが、それ程のことなのだ

先程までキンジを俺は哀れんでいたのに全く一緒の状況下に置かれている

その時点であまり好ましくはない

 

ましてや今はエミリアが居る

とてつもなく悪戯が大好きな人でレキは無表情

故に絶対に何かしらの反応を見せるまで仕掛けるだろう

そんな状況で部屋に居るだなんて死んでしまうかもしれない

 

主に過労死で

 

「リアン様、リアン様。どうかなさいましたか?」

 

何故、今出てきた

 

「・・・・・」

 

何その無表情でありながら俺を軽蔑してそうな視線

 

女難の相というのが出てるのか、俺は

冗談じゃないぞ

なんとしてもこの状況から抜け出さなければ

 

 

 

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