ゼロから始まる『ありふれた』異世界生活   作:青龍の鎧

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沢山の感想本当にありがとうございます!
ご期待に応えれるように頑張って投稿します!!
ありふれたとリゼロについては設定が色々とややこしいので矛盾など見つけましたらご指摘お願いします。

後、リゼロの登場キャラの性格を色濃く表した『オリジナルキャラクター』を主なメインキャラとして進めていくつもりなので…もしそれが不快だったり苦手な方がいましたら本当にすみません。

この頃のスバル、本当に友達作り下手くそで……

ちなみにオリキャラ全員、何処かの転生者で前世の記憶を持っていたり持っていなかったりする設定です。
何故転生者がいるのかは本編でいつか説明します。



1話 『ゼロから始まる菜月家の朝』

俺の名は菜月昴。

昨日まで引篭りをしていた。

 

だけど、2日前の夜。

俺はとある夢を見て以降、このままではいずれ本当に後悔をするのでは?

 

その恐怖心が今までの『怠惰』だった心を震わせて、俺は両親に今までの事を謝り、そして今日……

 

俺はやっと学校に通う決心がついた。

俺は制服に着替えている所で親父が部屋に入ってきた。

 

「グッッッッッモーーーーーーニング、息子ォ!!」

 

「親父、今日は起きてるし今プロレス技かけたらまた逆戻りしかねないから勘弁な」

 

俺はそんな軽口を親父に言った。

そんな俺の様子に親父は真剣モードに切り替えて、俺に聞いた。

 

「昴、行くのか?」

 

「あぁ、あの日の親父のファザーヘッドが俺の目を覚まさせてくれたからな」

 

「その割には1日休んでいたが?」

 

「あの日は親父が無理矢理俺を…………俺を……いや、俺の目を本当に覚まさせてくれたのは…………親父、ありがとな。そして今まで本当にゴメン」

 

俺は昨日の朝、結局、怖くて怖くて身体の震えが止まらなかった。だけど、親父がそんな俺の心象を察して親父の勝手な決めつけで俺が得意そうなゲーム大会と称して親父と勝負をしまくった。

 

午前の部では全敗だった。

でも、午後の部で一緒にやったとある鬼畜難易度MAXのダンジョンゲームのマルチ協力ゲームの攻略。

 

初めはもう無理だと親父すらも諦めていにも関わらず、俺は何故か…何故か絶対に諦めたくないと、夢で出会った彼女達の事を思い……クリアした。

 

その瞬間、親父が言ってくれた一言。

 

『昴、例えお前がどう思うと、お前は俺の自慢の息子だ……よく頑張ったじゃないか』

 

それの一言が俺の今までの恐怖や壁をを完全に消してくれた。

 

「スバル……何か変な物でも食ったか?妙に素直すぎるが……」

 

「うるせえよ!というか俺、昨日からずっとお母さんの料理しか食ってないからさっきの親父の理論だとお母さんの料理に変な物が混じってるって言ってることになんだろ!」

 

「おいおい!そんな事言ったらお母さん泣いちゃう……はっ!」

 

俺と親父はさっきの失言に青ざめて振り返った。

そこには俺の部屋の目の前でニコニコと笑っている母さんがいて……

 

「二人とも、そろそろ朝ご飯にしましょう。ちなみに変な物は入れてませんからね?」

 

と何故か上機嫌だった。

俺と親父は冗談だからと連続して訴えた。

 

そしたら…………「そんなこと初めから分かってるよ」と、さらに嬉しそうなお母さんが今までにない笑顔を浮かべていた。

 

降りてきた一階の食卓で、スバルはあまりの衝撃に曖昧だった意識が覚醒に導かれる感覚を味わっていた。

 

「お母さん。俺のために頑張ってくれたって言ってたけど……」

 

「うん。お母さん、昴のために頑張ったよ。朝から準備が大変だったんだから」

 

ふふん、とばかりに鼻を鳴らしてどこか自慢げな菜穂子の態度。その態度に後ろめたさがまったく感じられないのを見るまでもなく感じ取り、スバルは嘆息する。

そのスバルのため息の行き着く先、食卓の上をトイレを経由してやってきた賢一が見つけて、「おお」とある種の感嘆符を口にすると、

 

「すげえな、昴。お前の皿、特別メニューじゃん。緑の森じゃん」

 

「端的にありがとう。うん、マジそんな感じ。……これ、どういうこと? なんで俺の皿だけ、こんなこんもりグリンピース積んでるの?」

 

賢一の指摘に頷き、スバルは自分の定位置……自分の席の前に並べられた朝食、その中でも異質な雰囲気を漂わせる一皿を指差す。グリンピースが親の仇とばかりに積まれたそれは、他の食材が埋もれて見えないのか端から入っていないのか、グリンピースしか見えない。ちなみに、スバルはグリンピースが嫌いなのだが、

 

「ほら、いつだったか昴がグリンピース嫌いって言ってたじゃない? そういう好き嫌いってよくないとお母さん思ったの。だから、この機会にいっぱい食べて克服してもらおうかなーって」

 

「そんないつだったかも覚えてないような記憶を頼りに俺の好き嫌いを直そうとしてくれたんだ。しかもこの機会って……よりにもよって今日かよ!」

 

「成る程、流石母さん。昴の脱引き籠り記念日を狙って用意したんだな?」

 

「いいえ、そこまで深く考えてなかったわ」

 

「その一言が無かったら気合い入れて食ってたよ!?でも……せっかくだしここでいっちょ俺の復活戦の準備運動と称して食い切ってやるぜ!」

 

「その粋だ!俺の息子!!」

「頑張れ〜、昴!」

 

二人の応援が今の俺のやる気を震わせて……3口で、久しぶりの今日の弁当は今目の前にある大量のグリンピース入りのピラフにしてくださいと俺はお母さんに頭を下げるのであった。

 

ちなみに親父も一緒にピラフを頼んだので負担は半減したが……お母さんはピラフすら食べなかった。

 

そして家の玄関で……有給でお休み中の親父と朝ご飯の件で不満げなお母さんが俺を見送ってくれた。

 

「昴、学校に慣れきれなくても母さんの弁当は食べきれよ?」

「全くもう。好き嫌いは良くないのに……」

 

「お母さん、その台詞はグリンピース……せめてそれ入りのピラフを食べてから言ってくれる!?」

 

俺は意地でも食べなかったお母さんに文句を言いつつ、深呼吸をして気持ちを整えた。

 

いよいよ学校に登校する。

随分と立ち直るのが遅くなった……なり過ぎた。

でも、このまま引き籠るよりは…………

 

その今となってはありもしない後悔が、俺の背中を押し続けているのだった。

さて、行くか。

 

俺は親父とお母さんに久しぶりの挨拶をかけようとした時だった。

お母さんが俺の手を取ったのだ。

 

「昴、あの夜の会話」

 

「あぁ……分かってる」

 

ゲーム大会を終えた夜、俺はお母さんと沢山話した。

そして色々と思い知った。

 

お母さんも親父も俺の事をよく見てくれている事を。

 

俺は親父になる事はない。

俺は俺らしく頑張れって事を。

 

その過程で照れ隠しのグーパンをもらったのはご愛嬌……

今でもヒリヒリする。

 

そして最後にお母さんから貰った『宿題』の意味。俺はその答えをきっと、きっと探し続けるのだろうと直感していた。

願わくばその意味は後悔より先に気づければと思う。

 

俺の顔つきを見てニコッと笑ったお母さんが親父に目配せをして、親父が悪戯っぽい笑みを見せて……

 

 

 

 

「「いってらっしゃい」」

 

 

 

 

 

そう、久しぶりの言葉を耳にした。

 

ヤバかった。

本当にヤバかった。

涙なんて2日前と昨日で出し切ったと思っていたのに、まだ涙が溢れてきそうになる。

 

きっとそれは、その言葉の意味を……俺は真に理解できたからなのかなと少し自分を内心よく気付けたなと褒めつつ、だけど、今度こそ……今度こそ俺は『ゼロから』始めるために……

 

その幕開けの言葉を、俺を産み、育てて、見守ってくれた二人の為に。

俺は、俺は!!

 

 

 

「いってきます!」

 

 

 

最後の最後に涙声まじってしまった事を後悔しつつ、俺は二人に手を振って、学校に向けて走り始めるのだった。

 

そして、その幕開けの言葉を口にした二人の顔は……親父は満足そうにニッコリと笑い、お母さんは涙ぐんでいた。

 

「お母さん」

「ええ、分かってるわ」

 

二人は息子の立ち直りを見届けた後、『忘れていた現実』に関して不安を駆られたが……今の息子ならきっと大丈夫。

 

二人は息子の学校生活が楽しい物になるように祈りつつ、息子の帰る場所へ戻って行ったのだった。

 

因みに、二人が不安にしていた現実とは……

 

「遅刻だ遅刻だ完全に遅刻だぁぁぁぁぁ!」

 

復学早々の『大』遅刻である。

まさか家中の目覚まし時計が全部壊れていたとは……

 

「くそったれ……かなり危なかったぞ!間に合わないの意味ではなく、引き籠りの悪循環に取り込まれる所だった!」

 

正直な所、もう今日も休みでいいのではと思っていたが……3ヵ月もそれを言い訳に引き籠もっていた俺には引き下がってはいけない事だと分かり切っていた。

 

(いや、今の自分を変えたいのなら……引き下がるな!)

 

俺は今までの怠惰を貪ってきたバカな自分の心に両親に『幕開けの言葉』を言った時から喝を入れ続けていたのだ。

 

しかし、それでも自分の心は不安から解放してくれなかった。

 

無理もない。

 

高校デビューの凄惨な失敗。

3ヵ月の不登校。

しかも復学早々の大遅刻。

 

果たして、これからの学校生活はどうなるだろう?

…………多分、前と同じ空気のように扱われるだろうか?

 

いや、最悪…虐められるかもしれない。

 

だけどあの夢の中で、俺を助けてくれたのに…恩返しを果たせずに、役立たずの俺のせいで死んだ綺麗な銀髪の少女に対しての後悔と、

 

『一から、いいえ…ゼロから!』

 

慕ってくれた彼女に酷い暴言……さらに俺自身のダメな所、クズな所を的確に断言しても見捨てなかった、青髪の少女の言葉が……

 

何故か俺の体の震えを取っ払ってくれる感じがした。

俺はいつの日かその二人に胸を張ってお礼を言える男になりたい。

 

 

それが、いまの『菜月 昴』の心を変えるには十分過ぎたのだ。

 

それはそれとして、俺は学校に着いた時のみんなの接し方についての最終作戦の確認を自分の脳内で確認し、ようやく学校に着いた。

 

「おっしゃあ!!なんとかギリギリ……もクソもないな、マジで"ピエン"……」

 

俺は改めてやらかしてしまった事に後悔しつつ、3ヵ月ぶりの自分のクラスの教室に向かったのだった。

 

俺は廊下を走るなという学校伝統のキマリを焦りと緊張からかつい無視してしまい……遂に教室に辿り着いた。

 

(…………遂に、遂に3ヵ月振りのクラス)

 

菜月 昴は震えが止まらなかった。

もし、もしみんなが冷めた目で俺を見るのではないかと……

 

だけど、菜月 昴は…………もう立ち止まるのはやめた。

 

 

 

『ゼロから!』

 

 

 

 

 

『『いってらっしゃい』』

 

 

 

 

『いってきます!』

 

 

昴は勢いよく教室の扉を開けて、颯爽と教室の中に入り、2日前に親父にやった時と同じポーズを取り……

 

「俺の名は「皆! 教室から出て!」…………へっ?」

 

気づけばとてつもない眩しさが昴を襲った。

 

「うおっ……!」

 

昴は咄嗟に目を庇い……光が収まったのを感じて、目をゴシゴシして目を開けたら……

 

 

 

君の悪い、縦横十メートルはありそうなその壁画には、後光を背負い長い金髪を靡かせうっすらと微笑む中性的な顔立ちの人物が描かれていた壁画が昴の目に…………

 

 

 

「何だこの気持ち悪い奴!?」

 

 

 

高らかに『異世界』で絶対に言ってはいけない最悪の幕開けの言葉を放ってしまったのだった。

 




1話はIFの菜月家をお送りしました。
ちなみに何故この昴が原作の夢を見たのかは…………web版のリゼロ6章のとある出来事を活用させていただきました。


ちなみにこの作品を思いついたのがリゼロ2期の4話を見た時でした。
アニメで見て、原作を読んで、作者のツイート見て……切なくなって、何か2人に救いをと思ったのがきっかけの一つでしたね。

まぁ、この作品の昴も時期に地獄を見る羽目になるのですが……
昴のお父さん、お母さん……ごめんなさい(汗)

リゼロを元としたオリキャラクターの名前を一部変えて登場させるか?

  • リゼロのキャラ名をそのまま出す。
  • キャラ名を一部変えた方がいい。

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