ゼロから始まる『ありふれた』異世界生活   作:青龍の鎧

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鬱、グロ注意。
原作より酷い開幕だ。


3話 『独りよがりの末路』

「……いってきます、とは?」

 

イシュタルはいきなり素っ頓狂な事を言われて困惑していた。

 

「昴!そんな事より……」

 

光輝が何か発言しようとしていたが、「悪い。今のはほんの前置き前置き。通じたならそれについてをじっくり話そうかと思ったけど……この様子じゃ、完全に無駄に散ったけどな」と昴は光輝に笑顔で詫びを入れた。

 

それでも何かを言いたげな光輝の様子を昴は察したのか、再び光輝を宥めた。

 

「分かってる。泣いたって喚いたってアイツらは俺達の家に返すつもりはないって事は……俺は覚悟を決めたけど、やっぱコイツらの思い通りには」

 

「みんな「聞けよコラ!」………」

 

光輝は昴の言う事を無視して進めようとしたため昴は大声を荒げて無理矢理静止させた。

 

「なんだよ。君はとっくに分かってるんだろう?」

 

「分かってるよ。ただ、お前の考えと若干……いや、かなりのズレがある事を無慈悲に思い知らされたけどな」

 

「だったらさっさと言ってくれよ」

 

昴はかおりんの好きな人は南雲一筋という事を思い知らせてやろうかと考えたがそれはまた後でとし、昴は再びイシュタルと対峙し、悪びれた顔で指を刺した。

 

「イシュタルさん。アンタの話はよく分かった。こうなっちまったら嫌だ嫌だとごねる奴も諦めるしかねえ……俺がその一人ということは覚えておいてくれよな」

 

「………………勿論だとも」

 

イシュタルは怒っているのか笑っているのかよく分からない顔をしていた。

怖えけど、ここが頑張りどころと俺は大袈裟な表現を入れつつ……『使命』を受け入れた。

 

「しょうがねえから俺達は"トータスの世界に住む人達の為"に勇者にでも何でもなってやる」

 

「…………物分かりがよくて助かるが」

 

「ただし!」

 

俺は再びイシュタルに指を刺して、睨みつけた。

 

「俺達は自由にやらせてもらう。アンタらは俺達が誰か一人でも死なないように徹底的な指導と最低限の知識とお金の稼ぎ方。ついでにその後の旅立ち支度金を要求する」

 

「………………なに?」

 

「ちょっと待て!それは危険だ!!」

 

「危険?光輝、この人達の顔をちゃんと見たのか?アレは利用してやるみたいな顔してたぞ」

 

「昴!!」

「おい馬鹿よせ!」

「これ以上は……」

 

みんなが青ざめていた。

理由は分かる。

 

下手したら暗殺されるかもと思っているんだ。

 

「やめてくれ……」

 

 

「だ・か・ら、そもそも俺達に何の了承もせずに呼び出した事が一番の大問題なんだよ!俺達の世界で言うところの監禁……誘拐か?とにかく奴らはそれを躊躇なくやったんだ!」

 

だからってアイツらの『誘拐』の罪は許していい訳ない。

 

 

「俺達の誰か一人でも死んだら……アンタら全員、その遺族に地面を擦り合わせて一生その償いをしろ」

 

「………………勿論そのつもりだ」

 

くそ、あの野郎なに睨んでやがる。

加害者はお前らだろ?

 

俺は奴らに常識を叩き込もうと胸ぐらを掴もうとしたときだった。

 

「そこまでだ」

 

また光輝が割り込もうとする。

 

「なんだよ?お前も言ってやれよあの犯罪……むむぅ!?」

 

突如としてクラスメイトと男達が俺を取り押さえにかかったのだ。

 

「おい、お前ら何を……」

 

そして目の前で雫が俺の前に立ち塞がって……

 

「頼む!言わせてくれ!!あの身勝手野郎に一言言わないと……」

 

パァン!

鋭い痛みが俺の頬を襲った。

 

「アンタ……少しはみんなの顔を見なさいよ!」

 

俺はふと、目に映る雫の周りにいるクラスメイト達の顔を見た。

 

 

 

 

 

全員、信じられないと、怖いと言わんばかりの顔を、俺は見た。

 

この後は光輝がイシュタルに俺の無礼を謝罪、俺は土下座を迫られてやった。その後は……光輝がみんなを引っ張った。

 

 

それは当然の帰結だった。

 

 

その夜、俺は泣いた。

自分の部屋で、啜り泣いて……

 

 

 

 

お父さん、お母さん。

俺、俺……またやっちまったよ。

 

 

ごめんなさい。

 

 

@@@@

 

 

その翌日の事はうろ覚えで、

その間の昴は惨めなものだった。

 

一応、昴が初めに要求したトレーニングと知識はしっかり教えてくれた。というか元々教えるつもりだったのだ。

 

みんな、朝から早々俺の顔を見るなり避け続けていた。

南雲も、俺の顔を見ようとしなかった。

 

でも唯一、愛ちゃん先生は辛そうな顔で俺の心配をしてくれて話しかけたりもしてくれたが……

 

「はっ!あの馬鹿、愛ちゃん先生に慰められてら」

「あの時の気持ちは分からないでもないけど、ここ異世界だってのにあの喧嘩腰……」

「…………高1の恐怖を思い出したぜ」

「でも、また静かになったみたいで助かった。口を開いたら地雷地雷だからな」

 

俺はこれ以上は悪いと先生に作り笑顔で「ありがとよ」と言い、その場を離れようとしたら講師……騎士団長様がやってきた。

 

騎士団長……メルドさんは俺の上位版のような人。

いや、メルドさんに失礼だ。

 

とにかく彼は豪快な人だった。

そのメルドさんからステータス表みたいな物を説明してくれた。

 

「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。 『ステータスオープン』と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ? そんなもん知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」

 

「アーティファクト?」

 

アーティファクトという聞き慣れない単語に光輝が質問をする。

 

「アーティファクトって言うのはな、現代じゃ再現できない強力な力を持った魔法の道具のことだ。まだ神やその眷属けんぞく達が地上にいた神代に創られたと言われている。そのステータスプレートもその一つでな、複製するアーティファクトと一緒に、昔からこの世界に普及しているものとしては唯一のアーティファクトだ。普通は、アーティファクトと言えば国宝になるもんなんだが、これは一般市民にも流通している。身分証に便利だからな」

 

なるほど、と頷きみんなは、顔を顰しかめながら指先に針をチョンと刺し、プクと浮き上がった血を魔法陣に擦りつけた。すると、魔法陣が一瞬淡く輝いた。俺も同じように血を擦りつけ表を見る。

 

すると……

 

================================

ナツキ・スバル 17歳 男 レベル:1

天職:一般人

筋力:5

体力:10

耐性:8

敏捷:10

魔力:1

魔耐:♾

技能:【死に戻り】 ####...

===============================

 

………………一般人。

 

表示された。

されてしまったよ。

 

昴……スバルは死んだ目で自分のステータスを眺める。他の生徒達もマジマジと自分のステータスに注目している。

 

メルド団長からステータスの説明がなされた。

 

「全員見れたか? 説明するぞ? まず、最初に〝レベル〟があるだろう? それは各ステータスの上昇と共に上がる。上限は100でそれがその人間の限界を示す。つまりレベルは、その人間が到達できる領域の現在値を示していると思ってくれ。レベル100ということは、人間としての潜在能力を全て発揮した極地ということだからな。そんな奴はそうそういない」

 

当たり前だ。

そんなことできる奴はゲーム世界で言うところの廃人だ。

 

「ステータスは日々の鍛錬で当然上昇するし、魔法や魔法具で上昇させることもできる。また、魔力の高い者は自然と他のステータスも高くなる。詳しいことはわかっていないが、魔力が身体のスペックを無意識に補助しているのではないかと考えられている。それと、後でお前等用に装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。なにせ救国の勇者御一行だからな。国の宝物庫大開放だぞ!」

 

メルドさんの言葉から推測すると、魔物を倒しただけでステータスが一気に上昇するということはないらしい。地道に腕を磨かなければならないようだ。

 

…………魔法、使えるかな?

俺はありもしない希望をため息交じりに願いつつ、メルドさんの説明を聞いた。

 

「次に"天職"ってのがあるだろう? それは言うなれば"才能"だ。末尾にある"技能"と連動していて、その天職の領分においては無類の才能を発揮する。天職持ちは少ない。戦闘系天職と非戦系天職に分類されるんだが、戦闘系は千人に一人、ものによっちゃあ万人に一人の割合だ。非戦系も少ないと言えば少ないが……百人に一人はいるな。十人に一人という珍しくないものも結構ある。生産職は持っている奴が多いな」

 

『一般人』は生産職なのか?

そもそも『一般人』はどんな部類だ……

 

しかし、メルド団長の次の言葉を聞いて……俺は絶望した。

 

「後は……各ステータスは見たままだ。大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな! 全く羨ましい限りだ! あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ。訓練内容の参考にしなきゃならんからな」

 

ふざけんな……

俺はそもそも10以下のパラメーター3つとバグが1つだぞ。

 

その後に呼ばれたみんなはどいつもコイツも化け物級だった。

唯一、南雲が普通だった。

 

そして俺は最後に呼ばれた。

くそっ、どいつもコイツもニヤニヤしやがって……

 

どうせこの後、南雲と俺はいい笑われ者になるんだ。

俺はため息をつく同時に乾いた笑みを浮かべて……

 

「どれどれ………………!?」

 

おっと、メルドさんが顔を真っ青になっちゃったよ。

当然だな。

これで俺も役立たずの……

 

「ゔわぁぁぁぁ!」

 

「………………は?」

 

俺は突如として叫び声を上げたメルドさんを見てどうしたんだと彼に近づいたのだが……

 

「ス……スバル君!!き……君のアーティーファクトが……」

 

メルドさんから震える手で、アーティーファクトを返却された俺は改めて見返したが……

 

「どうしたんすか?……まさか魔耐性かスキルの『死に……』!?」

 

 

 

突如として俺以外の時が止まった。

…………何だこれは?

 

その時だった。

禍々しい『闇の手』が突如として俺の目の前に現れて……

 

 

『闇の手』は俺の胸をいとも簡単に貫き、そして心臓を優しく撫で回した後……ギュッと張り裂ける痛みが胸から響いてきた。

 

そんな痛みに俺が耐えられるわけでもなく……

 

「ぐあああああああああああああ!!!!」

 

俺は甲高い悲鳴を上げざるを得なかった。

 

「スバルくん……?スバルくん!?」

 

メルドさんがさらに顔を青くさせ、クラスメイトのみんな……特に女子が悲鳴を上げたのだった。

 

「「「きゃーーーーーー!!」」」

「お……おい、菜月…大丈夫か!?」

「これヤバいんじゃ……」

 

それぞれが困惑した反応をしたのだが……

 

「昴。昨日、恥をかいたからっていきなりそれは……」

「馬鹿!!そんな風に見えないでしょ!?スバル……スバル!?」

 

呆れ果ててる光輝に頭を叩いて青褪める昨日俺を訳わからない理由でぶった女。

何なんだ……

畜舎……

 

そんな時だった。

いじめっ子の檜山が俺を助けるフリをして、近くまで寄ってきたのは……

 

そしてアイツは耳元で、こう囁き始めた

「お前、『一般人』なのかよ?うっかり見ちまったぜ……それにしてもさぁ」

 

何だ……

アイツ、今更一体何を……

 

 

 

 

「お前、何で『学校』に復校したんだよ」

 

 

 

…………は?

 

「お前……な……にを……?」

 

俺はかすれる声で檜山の顔を見た。

その時のアイツの顔は、いつも南雲をいじめている時の顔で……

 

「だってそうだろ?あんだけ1年入学直後に『生き恥』を晒しておいて……何で今更ここに来たんだよ」

 

 

コイツは何を言っているんだ?

 

 

「もしかして……お前親に説得でもされたのか?」

 

 

止めろ。

親は関係ないだろ。

 

 

「お願いだから俺達の顔の為に学校へ行ってくれ〜とか言われたか?」

 

 

黙れ。

親父もお母さんもそんな事絶対に言わない。

 

 

「それともそれとも〜………………」

 

 

その時、俺の殺意は限界まで振り切って……

 

「檜山ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

俺はあの屑の首を閉めようと手を伸ばした。

殺してやる殺してやる!!

 

よくも、よくもふざけた事を……言いやがってぇぇぇ!!

絶対に思い知らせて……!!

 

「おっと、危なーい☆正当防衛!!」

 

その忌々しい声が聞こえた時、俺の腹部に鋭い痛みが再び襲った。

檜山が正当防衛と称して俺に攻撃を仕掛けたのだ。

 

「檜山くん!!」

 

愛ちゃん先生が檜山の蛮行を注意したが……

 

「いやいや、急に菜月の奴が襲いかかってきてさぁ……なぁ、菜月?」

 

蹲る俺に檜山とその仲間達が集まり、俺に迫った。

 

【黙っていろ】と。

 

俺は縋るような目で愛ちゃん先生を見た。

他の連中?

当てになんかできるか。

 

もう信じられるのは……愛ちゃん先生しか…………

しかし、他の生徒が愛ちゃん先生を俺から遮るように立ち塞がり、愛ちゃん先生は………………

 

 

 

 

 

俺の目から申し訳なさそうに逸らしたのだ。

 

 

 

 

その時だった。

俺の『何か』が壊れたのは。

 

俺は気づけば、大声で大袈裟な動きで俺の所有スキルの事を話していた。

【死に戻り】……特殊の極みだ!

もしかしたらとんでもない代償を迫られるが、戻りの文字があるので何かしらの時を戻せるのではないかと俺は大声でみんなに自慢した。

 

 

 

 

 

 

何故かみんなは命乞い纏い、土下座を始めていたが、大好きな両親の元に帰る手段を失い、信じられる物を全てを失った俺にはそんな些細な事など、知ったこっちゃなかった。

 

 

 

「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは♪」

 

なんて優雅な時間なのだろうとゴミの屍を踏みにじって笑いまくっていた。

その時だった。

 

 

背中に鋭い痛みを感じた。

…………はぁ、やっと死ねる。

 

恐らく耳栓でも着けた兵士が俺の胸を貫いたんだろうな。

はぁぁ……何でこんな事になったんだ。

 

俺は自分の罪と向き合って、両親に謝って、これからみんなに謝ろうと……行動でさ…………

 

何で、何でこうなったんだ?

俺は自然と乾いた笑い声を挙げ始めた。

 

そんな時、俺を見下ろす男の姿がいた。

その男は黒色の短髪で、引き篭もりにいつも来ていたジャージを纏って……

 

 

 

あれ?

 

 

俺を見下ろす男はたまに幻影になりつつも、ため息を吐いて愚かな俺に……

 

「やっぱり『俺』は都合の悪い物は見て見ぬフリをしてやがったな……」

 

侮蔑と怒りの形相で俺を睨みつけていた。

 

「よーく分かったよ。俺は俺が大嫌いだ……その事実は、間違いじゃなかった。全く、ここからよぉ……どう好きになりゃいいんだ!!」

 

男は俺に怒鳴りつけて、顔を近づけて『この悲劇の原因』を俺に静かに述べた。

 

そうだ。

俺は夢の世界と違って……

 

 

「『やらかした事は絶対に消えてなくならんよ』その言葉を……次忘れたら、俺は『お前』を殺してやる」

 

 

現実世界では、そんな『贖罪の積み重ね』など……一切クラスメイトのみんなにやっていなかったのだった。

 

全く、この道筋を忘れてみんなを纏められるという浅ましい、俺の『舐めきった心』は何ともまぁ……

 

俺は、俺を見下ろす男……『ナツキ・スバル』にケタケタと笑い、その『ナツキ・スバル』は俺にこう言い放った。

 

「お前、『怠惰』だな」

 

こうして、俺の『全クラスメイトの仲間と生きて元の世界に帰る』という俺の夢は、自爆して、見捨てられて、発狂して……最低最悪のスタートを切ってしまったのだった。

 




badendその1
「やらかした事は絶対に消えてなくならんよ by:アナスタシア」

そもそもイシュタルの機嫌どころではなかった(汗)
ちなみにスバルは高校1年生の入学直後に女装で3日間学校に登校して、裏声を失敗してバレて……君悪がられて空気になりました。

リゼロを元としたオリキャラクターの名前を一部変えて登場させるか?

  • リゼロのキャラ名をそのまま出す。
  • キャラ名を一部変えた方がいい。
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