アスナ転生とか何番煎じだよって感じですが、許してください、なんでもしますから
時は2012年。
一人の少年がとあるテレビ番組を齧りつくように視聴していた。そこに流れているのは鮮やかな色彩で描かれたアニメ番組。名を『ソードアート・オンライン』と言った。
現役高校生である彼は、そのアニメを夢中で視聴し、ついには既刊の原作を全て買い揃えては一晩で読み切るほどの嵌りようであった。
舞台はフルダイブ型VRの中で起こるデスゲーム。ただ彼はその凄惨な設定よりも、未知であるフルダイブVRというものに強く惹かれていた。アニメの舞台設定では2022年であるが、もしかしたら現実でもあと10年すればこのような技術が確立されているのかもしれない。そう思うと胸が躍る。
ただもしできるのであれば今すぐ楽しみたい。
「俺もこの世界に行けたらなあ!」
アニメのEDを感慨深そうに見つめながら何気なく呟いたこの一言が、彼の人生を大きく狂わすことになるとは。
――――――――――
「ん……朝……??」
目覚ましが鳴る前に窓から差し込む日差しで目を覚ますことができるとは、何て気持ちのいい朝だろう。
暖かい日光が頬を撫でるのを感じながら、まだ覚醒しきっていない脳を叩き起こすためにぐっと伸びをする。
いつもの癖で枕の横に置いてあった携帯電話を確認しようと右手を動かしていた時だった。
「……ん?」
徐々に明瞭になる視界。
明らかに木造の部屋に、お世辞にも綺麗とは言い難いガタガタのベッド。被っていた布団も所々汚れていてなんだか不快感が強い。
「ここどこ……」
まだ微睡んでいる脳みそでも理解できた。ここは今まで俺が生活していた部屋ではない。
ふと下を向いていた時だった。
男では決して持ちえない、確かな胸の膨らみが二つあったのだ。
ふぁっ!!? これにはさすがの俺も理解の範疇を越えてパニックになってしまう。
次に腕を頭の後ろに回し、髪を触ってみる。
自分は割と短く切りそろえていて、耳にもかからないくらいの長さで調節しているはずなのに、さらさらとした艶のある髪の毛は肩を越え、そして腰回りにまで伸びていたのだ。
そして極めつけは
「あそこがない―――――――――――!!!!!!!????」
男性の大事なシンボルが綺麗に消えてしまっていたのである。
一体、何が起こった!? 朝起きたら女体化してましたってそれどんなラノベだよ!
しかし突然とはいえ自分の身に降りかかってしまえば現実だと認めざるを得ない。
と、とにかく自分の姿も大事だがここがどこだか把握しないと!
ガバっと立ち上がり、外へ通じるだろう扉に手をかけたところで、部屋の隅っこに立てかけてあった鏡がふと視界に飛び込んできた。
そこにいたのは一人の女の子。
「綺麗……」
思わずそう呟いてしまうほどの美しさを持ち、かつまだあどけなさが残る女の子がそこに立っていた。
しかし、これはどう見ても自分なのである。
俺は自分で言うのもなんだが、顔は特段良くもなく、特段悪くもないまさに偏差値50を体現していたはずだし、何より確実に男性だったのである。
それが一晩寝たら突然、腰まで伸びた綺麗な栗色の髪の毛を持つ超絶美少女に生まれ変わったなどと誰が受け入れられるだろうか。
そしてまじまじと自分の姿を観察してある違和感に気付く。
「あれ、この子どっかで……」
そして高速回転する頭。
なぜ気付かなかったのか、俺はこの子を知っている。
知っているどころか毎週必ず見ていたではないか!
そうだ、この子は昨日まさに見ていたアニメ『ソードアート・オンライン』のヒロインのアスナじゃないか!?
じゃ、じゃあちょっと待て! それじゃあここはまさか、ソードアート・オンラインの世界なのか!?
そして俺はこのアニメの世界に転生してアスナの身体になっちまったってことなのか!?
はは……それなんてエロゲ
と冗談が言えたらどれだけよかったことか。
ここはギャルゲーの平和な世界などでは決してない。
俺は知っている、この世界は茅場昌彦と呼ばれる一人の狂人によって作られた恐怖の世界。一度死んだら終わりのデスゲームであることを。
……そして今俺がなっているアスナ、通称「閃光」はこのデスゲームの攻略に必須な重要人物であり、何より主人公のヒロインであることを。
その瞬間、様々な心配事が彼の脳裏をよぎる。
死の恐怖。攻略組となって人類の希望となる重責。これから嫌でも目にするであろう人が死んでいく場面。
自分の恐怖を押し込んでモンスターと戦っていかなけばならないことを。
しかし、彼はそれらの非常に大事な問題を押しのけて、ある一点だけが重く圧し掛かってきていた。
それはたった一つ。
もし原作通りに行くのであればこのゲームはいずれクリアされる。ある一人の剣士の活躍によって。しかし彼がラスボスを倒せたのは偏にヒロインであるアスナとの愛の絆だったのである。つまり、原作通りに安全にこの世界を攻略するためには……
「俺は男と恋愛しなくちゃいけないのか!?」
……
「そんなの嫌だあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
そして気付く。それを回避する方法を。
引きこもって原作の主人公が死んでしまっては元も子もない。ならこうすればいい。俺が誰よりも強くなればいい。俺が、
基本シリアスとかじゃなくてギャグよりなのでよろ