ミッションが始まると共に広がる宇宙空間。
何度も戦ってきたはずの場所で、φは自然とコンソーラを握る力が強くなった。
同時にアラートが鳴り響くと共に見えたのは一つの機体だった。
全身が真っ赤に染められたその機体は、背中に巨大なジェットパックを背負いながら、こちらに接近していた。
そんな赤い機体の中で、一番に目立つ緑色のモノアイが真っ直ぐとこちらを見つめていた。
「君が対戦相手か。
良いだろ、相手になろう、このアメイジング・サザビーが!!」
その言葉と共に、アメイジング・サザビーはそのままさらに加速させながら、その手に持ったビームアックスで攻撃を仕掛ける。
それに対して、φもまた対抗するように、ファイズ・バトルメイスを手に取り、対抗する。
互いの武器がぶつかり合う事によって広がる火花の中で、アメイジング・サザビーの肩に装着されていた小さな機械が離れる。
「ファンネル」
「っ!!」
その言葉と共に、φはすぐにその場を離れる。
同時に襲いかかるビームの嵐に驚きを隠せずにいられなかった。
「これが、ファンネル」
これまでの戦いの中で、何度もファンネルを使う相手と戦ってきた。
小さな機体から放たれるビームというのは厄介なのは知っていたが、ギリギリに避ける程追い詰められたのは、φにとってはこれが初めてだった。
だが、その間にもアメイジング・サザビーは攻める手を緩める事なく、攻め続ける。
両手に持ったビームアックスと、無数のファンネルとの連携。
たった一機と戦っているはずが、目の前にいる相手はまるで数人、いや数十人と戦っているような感覚を襲われる程にφは追い詰められている。
「これが、アニメの中のキャラクターっ」
これまで戦ってきたダイバー達が憧れた姿であり、φ自身も多少は見ていた。
それでも、ここまで追い詰められるとは思ってもみなかった。
「君のガンプラは確かに素晴らしい。
君が理想としている姿が見える。
だが!!」
その言葉と共にアメイジング・サザビーが振り下ろしたビームアックスによって、バルバトス・ファイズの腕は切り落とされる。
「ぐっ」
その事に思わず苦渋に満ちた顔をするが、同時にアラートが鳴り響きながら、アメイジング・サザビーはそのままバルバトス・ファイズを蹴る。
「同時に君が限界を決めつけているようにも見える」
「限界を」
その言葉に俺は思わず目を向けてしまう。
「君は理想を未だに決めつけているだけだ。
未だに見ぬ可能性を、辿り着いた答えの一つに満足しているだけだ!!」
その言葉と共に俺は思わず目を見開く。
「君は知っているはずだ!
理想を超え、その先への道が!!」
その言葉と共に、俺は
「あえて言おう!
ガンプラに限界はない!!」
その言葉と共にバルバトス・ファイズは真っ二つに切り裂かれる。
その言葉と共に、バトルが終わる。
「限界はないか」
その言葉を聞いて、俺は
「・・・そうか、俺は仮面ライダーに対する理想を求めすぎたかもしれない」
バルバトス・ファイズは、いわば俺が仮面ライダー555をガンプラの形にした機体。
だが、仮面ライダー555の最終形態であるブラスターフォームの力の再現であるファイズブラスターパックを身に付けた事で満足していた。
だけど、俺はその理想を完成させたけど
「まだまだ、俺はその先を見てみたいんだ!」
仮面ライダー555の先を。
そして、バルバトス・ファイズの先に。
「とりあえずは、あいつらにも相談しないとな」
そう言い、俺はそのままログアウトして、その先を探す為に向かった。