「これは、何の冗談だ」
めぐみんに呼ばれて、俺達が向かった先に立っていた存在。
その見た目には見覚えがあり、誰がどう見ても、確実に俺の作り上げたバルバトス・ファイズだった。
「ふふっ、どうやら、もう気づいたようですね」
「さて、どういうつもりなんだ?」
目の前にいるバルバトス・ファイズに乗り込んでいる相手であろうマウンテン・デューの2人に向けて質問する。
「簡単な事です。
私達はブレイクデカールを使うマスダイバー。
だからこそ、マスダイバー達と出会う確率もとても高い」
「けど、最近はあなたの活躍のせいで、マスダイバー同士の戦いも起きるようになったのでね。
だからこそ、潰しているあなたのガンプラのデータを貰いたくて、わざわざここまで来たんですよ」
その言葉と共に、俺はバルバトス・ファイズを起動させると共に
「だったら、倒されても文句は言えないよな!!」
俺はそのままバルバトス・ファイズで目の前にいる奴を蹴り上げる。
だが、奴はその攻撃に対して、軽々と受け止めると共に、目の輝きを黄色から紫へと変わった。
「さすがに正面から戦うのは危険ですからね!
最初から、全力でやらせてもらいますよ!!」
「うわっ!?」
バルバトス・ファイズはそのまま足を掴まれ、遠くへと吹き飛ばされる。
目の前にいるデータを盗んで作り上げたバルバトス・ファイズはその能力も完全にコピーしている。
その上でブレイクデカールを使って、その性能を確実に上げる。
「同じ機体ならば、さらに一つ強化する物があれば、十分に勝てる可能性があるという事ですよね!!」
その言葉と共にファイズフォンをこちらに向けて、引き金を弾く。
直感で危機を感じた俺はすぐにその場を走り上げると共に、あまりの威力に近くにあった砂漠の山は瞬く間に消し飛ばされていた。
「なっ、ビームマグナムですかあれはっ!?」
驚きを隠せないめぐみんの言葉を聞いている余裕はなく、俺はそのまま走りながら、考える。
操縦技術にどれだけの差があるのか分からないが、目の前にいる敵の性能は確実に俺よりも上位互換の存在。
これまでのように必殺技だけで倒せる相手ではない事は確実だ。
「凄いよ、さすがはマスダイバーハンターだね!
こんなのを持っていたなんて。
どんな頭をしたら、こんなのを思いつくのかっ!!」
「ファイズというのも意味が分からないけど、この多様性だけは認めてあげるよ!!」
「ちっ」
目の前にいる奴は俺がこのバルバトス・ファイズを作る際に参考にした仮面ライダー555の事ば馬鹿にしているようだ。
そんな奴に、このまま負ける事が許されるのか?
「だったら、見せてやろうよ、555の戦い方をな!!」
俺はそのまま言うと、懐から取り出したファイズポインターを構え、そのまま足に装填する。
「そんなの、こっちだってできるんだよ!!」
そう言って、奴らもまたファイズポインターを装填する。
【【Ready】】
重なる音、それを聞きながら、俺はそのまま走り抜けながら、目の前にいるバルバトス・ファイズに向かって飛ぶ。
【【Exceed Charge】】
聞こえる音声と共に、俺はそのままバルバトス・ファイズに向けると同時に互いに現れた光の渦が激突する。
「はあああぁ!!」
上空からそのまま跳び蹴りを行い、互いの必殺技であるクリムゾンスマッシュ同士の激突は激しかった。
だが、すぐに俺の方は瞬く間にヒビが割れ、そのまま上空へと飛び上がる。
「勝った!!」
その言葉と共に、そのままバルバトス・ファイズは貫通し、爆発が起きる。
勝利を確信した奴らはそのまま上を見上げると、そこにはクリムゾンスマッシュによって爆発した煙が上がっていた。
「感触は確かに【Exceed Charge】っ!?」
必殺技を発動し、勝利を確信した2人に聞こえてきたのはあり得ない音声だった。
「はぁ!!」
同時に爆煙の中から出てきた俺はそのまま手に装着されていたファイズショットで、目の前にいるバルバトス・ファイズにグランインパクトを叩き込む。
「なっ!?」
グランインパクトを叩き込まれた事により、目の前にいるバルバトス・ファイズの装甲は崩れ去り、完全な敗北となった。
「なんでっ、確実にっ!?
バックパックはっ!?」
「危なかったぜ、本当に」
クリムゾンスマッシュの激突、確実に負ける戦いにおいて、俺が取った選択肢。
それはバックパックであるオートバジンを踏み台にして、そのまま上空へと飛び上がる事。
それによって、オートバジンはそのままクリムゾンスマッシュを受けて、爆散したが、なんとか必殺技を撃てる状態の俺はそのまま奴らに叩き込む為にファイズショットを構えた。
仮面ライダー555において、クロコダイルオルフェノクとの最後の戦いで行った方法。
それを知っていたからこそ、行えた賭けだった。
「かっ勝ちました!!
本物が勝ちました!!」
その事にめぐみんは笑みを浮かべ、俺も安心したように息を吐く。
「まだです!!」
「なっ!!」
その隙を狙うように、俺を拘束したのは、これまで見たことのないガンダムだった。
「なっザクⅡ」
それは、どうやら、もう一人は何時の間にか脱出しており、そのまま俺を押さえつけた。
「ここで倒せば、まだ取り返せる!
お前をここで倒す!!」
「ぐっ」
身動きが完全に取れない、絶体絶命の状況。
俺はそのまま目の前の攻撃を避ける事ができず
「そういうのはつまらないよなぁ」
「っ!?」
「なっ」
聞こえてきた声、同時に目の前にいたザクⅡは完全に動きを止めた。
そこには、黄色のエネルギーネットによって、身動きが取れなくなっていたが同時に俺の上に乗っていたザクⅡは何かによって、×字に胴体が切り裂かれる。
「ぐっ!!」
回復したバルバトス・ファイズでそのまま蹴り上げると、ザクⅡはそのまま爆散する。
同時にその技をかけただろう相手を見つめる。
「黒いアスタロトっ!?
それに、あの見た目は」
「カイザ」
それは、仮面ライダー555に出てくる仮面ライダーの一人であり、ある意味、最も555と共に戦い、戦った相手である仮面ライダーカイザを思わせるガンダムだった。
「どうやら、あれから強くなって、俺は嬉しいよ」
「あの時のっ」
その声から、ブルーディスティニーとの戦いの時に現れたアスタロトである事は間違いなかった。
「君のアイディア、なかなかに面白いかたら、使わせて貰ったよ。
うん、良いよ、これ、本当に使い勝手が良くて、気に入ったよ」
「それはどうも」
目の前にいる奴に気に入られたのは正直気にくわないが、それでもその性能を見るだけでも、今の俺に勝てるかどうか分からない。
「あぁ、安心してくれ。
今、この場で君と戦うつもりはない。
力を最大限に発揮するバックパックもなく、ダメージも酷い君と戦っても、僕は全然楽しめないからね」
「それはどうも」
俺はそう言いながらも、目の前にいる奴がどうしても気にくわない。
「そう言えば、君に名乗り忘れていたね。
私の名はカイ、そしてこれこそ、私の新たな相棒、アスタロト・カイザだ。
君との戦いはまたいずれ」
その言葉と共に、アスタロト・カイザは完全に消した。
「Φ」
「気にするな、今は少し落ち着いている」
俺はそう言って、ゆっくりと息を吸う。
どうしても興奮してしまう俺の心を落ち着かせると共に
「カイ、てめぇを絶対に倒す」
倒すべき相手を見据える。