その日も変わらずGBNをプレイする予定だった。
待ち合わせしていた紅と共に、俺はプレイする予定だったが、今は少し予定が変わって、向き合っていた。
「それで、これはどういう事ですか」
そう言いながら、紅が目を向けたのは、俺が連れてきたもう一人の人物だった。
普段からあまり接点のない人物であり、黒髪に眼鏡をかけている人物。
彼女の名前は朝田詩乃、とある理由でここまで一緒に来ていた。
俺はその理由を言うように
「だから、朝田と組んで、俺達で女神の円卓とか言う奴らをぶっ潰す」
「すいません、意味が分かりません」
そう言い、首を傾げる紅。
「とりあえず、1から説明するな」
そう言い、俺が思い出すのは学校から帰る前の事だった。
いつものようにGBNへと向かおうとした所、何か騒いでいるのが見えて、俺はすぐにそこに向かった。
『あなたが作ったガンプラのせいで、私のフォースが負けてしまったじゃないですか、どうしてくれるんですか』
『そんな事、言われたって』
そこは模型部だったのか、朝田と知らない女子が見つめ合っていた。
その女子の周りには集団ができており、朝田を取り囲むように睨んでいた。
『まったく、模型部の天才と言われているから、頼みましたのに、この程度しか作れないって、本当に使えないですね』
『あっ!?』
そう言って、彼女が作ったと思われるガンプラをそのまま地面に落として、そのまま踏みつける。
『こんなガンプラしか作れないような役立たずだったら、ガンプラ、作るのを辞めたらどうですか』
『っ!!』
そう言われた瞬間、朝田はそのまま目に涙を浮かべそうになっていた。
『はぁ、なにが負けただ。
負けた理由を人のせいにするんじゃねぇよ』
『なんですの』
俺の声が聞こえたのか、集団がそのまま俺を見つめる。
だが、俺はそれ以上にむかつき、奴らを睨むと、一瞬でその場を離れ、俺はそのまま奴の元へと行く。
『どけ』
『っ!!』
態度だけは大きいようだが、小心者だったのか、そのまま奴はどいた。
俺はそのまま奴が踏みつけたガンプラを見つめる。
あまりガンプラに詳しくない俺だが、紅が熱心に語っていたから覚えているが、サバーニャという機体だと見て分かる。
本来の武装とは変更されているが、それでも塗装や様々な所が丁寧に行われているが分かり、あのペルシアで見た機体と同等かそれ以上だと見て分かる。
『てめぇにこのガンプラを踏む資格も、ましてやこいつを作った奴を馬鹿にする権限なんてねぇよ。
てめぇこそ、自分のガンプラを作らず、人のせいにしているならファイター、辞めろ』
『言わせておけば!!』
そう言い、奴は俺を見つめると
『でしたら、勝負しませんか?
私が負けたら、素直に謝りましょう。
ですが、私が勝ったら、あなたは一生、私の奴隷ですわ』
『別に良いぞ』
『だっ駄目だよっ、そんな事っ』
そう言い、俺を止めようとしてくれた朝田。
だけどな
『大丈夫だ、俺は負けるつもりはない。
それで、勝負の方法は』
『一週間後、GBNにてフォース戦です。
私達、女神の円卓に12時に勝負を申し込みなさい』
『乗った』
「乗った、じゃないですよ、この馬鹿!!」
そう言いながら、紅は俺の首を掴みながら、振り回していた。
「相手がどんな奴か知っていますか!?
女神の円卓なんですよ」
「知らないよ、そんなの」
俺はそう言いながら、紅へと目を向ける。
「はぁ、女神の円卓は最近になって有名になったチームですよ。
フォースのリーダーであるクイーンを中心に様々な問題行動を行う事で有名なチームです。
運営も対応しているのですが、決定的な証拠もない為にGBNでも有名なチームです」
「へぇ、なるほど。
確かに気に入らない奴だったしな」
「それを、フォース戦って。
そもそも私達を含めてもたったの3人で、どうするんですか」
そう言い、紅はそのまま落ち込むように、目を臥せると
「・・・ごめんなさい、迷惑を掛けてしまって」
「朝田さん」
「私と関わらなければ、こんな事にならなかったのに」
「そっそれは」
朝田が困惑している様子を見て、紅もどうすれば良いのか目を回していた。
だが
「勝てば良いだけだ」
「大上」
「迷惑とか、そんなのどうでも良い。
だったら、今から、奴らに勝てれば良いだけの話だ」
「ですが、他にも噂では全員がマスダイバーで、それに私達は「メンバーはこれから集める」大上」
「メンバーを集めて、ガンプラも強くして、そして奴らに勝つ。
難しいけど、できない訳じゃないだろ」
そう言い、俺はそのまま紅を見つめる。
「まったく、お前はいつもそうだから。
あぁ、そうだな、やってやるよ!!」
そう言い、紅も立ち上がり、朝田さんを見る。
「朝田さん、俺も力になるよ!
だって、こいつにこのまま言われっぱなしなのも嫌だからな」
「そんな、私のせいで」
「お前のせいじゃない。
俺は、俺が奴らを倒したいからやるだけだ、お前の為じゃなく、俺の為にやっているだけだ」
そう言って、俺はそのまま朝田を見つめる。
「だから、お前はお前のやりたい事をやれ」
そう、俺は真っ直ぐと朝田を見つめる。
「・・・分かったわ」
そう言い、彼女はそのまま見つめる。
「私もこのままじゃ終わらせたくない。
あいつに、私のガンプラを馬鹿にしたツケを払って貰うわ」
「へっ、そうこなくちゃな」
そうと決まれば
「次はメンバーを集めなくては。
私達3人に加えて、2人を加えた5人チームにしたいのですが、朝田さんの機体はどんなのですか?」
「私?
私のはこれよ」
そう言い、朝田さんが取り出したのはザクだった。
「これは、ザクか?」
「えぇ、でもこれって、凄いですよ!!
これって、ガナーザクウォーリアの改造機ですよね!?
しかも、持っている武装はデュナメスのスナイパーライフルとか、なんですか、この機体は!?」
「イチイバル・ウォーリア、敵を殲滅する事に特化した機体。
邪魔な奴は焼き尽くして、ターゲットを打ち抜く機体よ」
「なっなんというか、色々ととんでもない機体ですね」
「あなた達の機体も見せて。
勝つからには、私も全力でやりたいから」
「ふふっ、良いでしょう」
「頼むぞ」
そう言い、俺達は互いのガンプラを出した。
「こっちのはヴァーチェね。
機体のコンセプトは分かるけど、もう少し塗装しないとトランザムも使えないでしょ」
「うっ、その通りです」
「んっ?
トランザム?」
いきなり出てきた言葉に俺は思わず首を傾げる。
「OOに出てくるシステムだよ。
一時的に性能を上げる切り札のようなシステムだよ」
「あなた、まさか知らないの」
「あぁ、まったく」
「大上は最近になって、初めたばかりなんで」
「そうなの、それは問題点が多そうね」
「まぁ、とりあえず、これが俺の機体だ」
そう言い、俺はそのままバルバトス・ファイズを朝田に見せた。
「これって、バルバトスルプスの改造?
色々な部分でユニコーンのクリアパーツが嵌められているし、背中にあるのはガンダムレギルスのビームビットの発生器?
どういうコンセプトで作られたガンダムなの?」
バルバトス・ファイズを見た瞬間、驚いたように見まわしていた。
「塗装も上手とは言えない。
素人が始めたばかりの機体改造ね」
「まぁ素人だからな」
「でも、この特徴って、もしかして、あなたΦなの!?」
「えっ、あぁ、そうだが」
俺がそう言うと、朝田は驚いたように目を見開いた。
「そう、なるほど。
ズルしていたマスダイバーに対抗できる素人ビルダーという事ね。
良いわ、燃えてきたじゃない」
そう言って、朝田が鞄から取り出したのはヤスリにニッパーなどガンプラを作るのに必須な物ばかりだった。
「私があんた達のガンプラを最高の物にしてやるわ」
「違うな、そこは俺達だ」
そう言い、俺も向き合う。
「これは全員で力を合わせる戦いだ。
だったら、手伝わせろ」
そう言うと、朝田は一瞬、ポカンした顔をしたが
「・・・そうね、分かったわ」
そう言い、俺達は向き合う。
「ならば、私はメンバーを集めるとしますか」
「本当に大丈夫なのか」
「何を失礼な事を!!
私の人脈があれば、フォースメンバーを集めるのは簡単です。
だから、あなた達はそのまま機体の調整をお願いします」
「・・・だったら、任せた」
「任されました!」
そう言い、俺達はハイタッチをして、そのまま離れる。
これから始まる、新たな戦いに備えて。