閃の軌跡if~もしも銀の叙事詩と混じったら~   作:氷桜

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未だにSC~3rd時空なので原作キャラも出しにくい……!


9.巡り。

 

ざぁっ、と砂を滑る。

目の端に見えたのは、細い糸のような一瞬の何か。

背筋が凍る――――とまではいかないが、アレを受ければ次の動きは確実に阻害される。

咄嗟に一歩前へ進み、そのままの勢いを消すこともなく刃を向けた。

 

「二の型――――《疾風》ッ!」

 

移動からの攻撃を行う、八葉一刀流の中でも一対多に優れた型。

ただ、今は移動と攻撃を兼ね備えたモノとしての判断だ。

目の前の……そんな時でも微笑みを絶やさない彼女は、当然のように俺の攻撃を短剣で受け流す。

武術で言えば《化勁》と呼ばれるものに近い、まともに受けない力を消す技術。

自分自身も身体を回しながら、俺の攻撃を背後へと擦り抜けさせ。

 

「糸の動きを見切ったのは結構ですが。」

 

そして、その刃を腰の辺りに押し付けようと押し付ける。

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だからこそ、目の前の彼女の背後に回った時点で身体を無理にでも回転させていた。

二の型・《疾風》からの連携、一の型・《螺旋撃》。

後は、攻撃が何方が先に当たるか。

そして、刃の長さの関係上俺がどれだけ身体を逃がせるかの勝負だ。

押し付けるのが早いか、俺が攻撃を当てるのが早いか。

そう思っていたはずなのに。

 

「リィン様の動きは、幾度も見ておりますから。」

 

脚が急にがくり、と折れ。

その場に倒れ伏し、顔の真横に短剣が立てられる。

刀を手放すことはなかったが、今の状況。

 

「はい、これで終わりです

「……ですね、俺の負けです。」

 

少しでも気を変えれば、いつでも喉を掻き切れる状況。

こんな状況に持ち込まれた時点で、剣士としては敗北だ。

 

「ふふ。 それにしても強くなりましたね。」

「そう言われても、自分では全然分からないんですけどね……。」

 

青い空を見上げながら、鍛錬後特有の熱気とは別に。

周囲の暖かさというか、短い暑さを否が応でも理解させられる。

既に、季節は七月後半。

ユミルの地も、短い夏を迎えていた。

 

「比較対象がなければ……ということでしょうか?」

「どうなんでしょうね。 実感というか、まあそういうのが薄いようにも感じますけど。」

 

女学院が再開し、エリゼが再び皇都へと戻り数ヶ月。

リベールの地で起きていたらしい異変も無事に解決し、妙な緊張感が漂っていた新聞記事もある程度元に戻っていて。

今まで通りの日常が、戻ってきたようなそうでもないような。

ただ、変わってしまったことも幾つかあった。

 

「ご安心を。 リィン様は間違いなく実力は付いてきていますよ。」

「そうやって褒められるのもむず痒いんですけど……。」

 

その中の一つが、来年の春からの士官学校への入学だろうか。

実際の所、将来をどうするか悩んでいた俺にとっての渡りに船のようなモノ。

トリスタ、という皇都からも程近い街に存在する二年制の士官学校、《トールズ士官学校》。

そちらへの入学を打診され、両親と話し合った結果入学試験を受ける事になった訳だ。

まあ、当然今まで以上に修行や勉強をすることになったけれど。

そこは目の前のスーパーメイドが教えてくれることで解決した。 してしまった。

 

『ある程度は技も使えるようになったか。』

『いや、全然未だだ。 老師の《疾風》なら受け流す暇すら与えなかっただろうしな。』

『当然だ。 鍛錬は積み重ねるもの、一時に跳ね上がるものではあるまいよ。』

 

そして、修行に関しても一人で息詰まることも大分減っていた。

シャロンとの一対一での修行や、型の練習を外の目線で見つめ、指導する煌翼。

自分一人とは違い、気付き難い事柄であっても他者の目線から言われる事柄を吸収し、飲み込み。

自分の血肉として取り込む。

一端の武術家として、それが楽しくないわけがない。

現に、初めた当初に比べて彼女と打ち合える時間は確実に伸び続けていた。

……未だに勝てないのは、少々気恥ずかしさのほうが先に立っているが。

 

「それはそれとして、ですね。」

「はい?」

 

で、言うべきか迷った事柄を彼女に告げる。

 

「いい加減、上から退いて貰えますか……?」

「あら。」

 

押し倒されているようなこの状況。

幼い時から良く見知っている、年齢の近い近所の姉というのが近いのだろうか。

年齢が離れすぎているのならば兎も角、こうして近いと()()()()()()()()()()()()

それは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……いえ、もう少しこのままで。」

「なんでですか!?」

 

上から見下されるようなこの形。

下から見上げる姿は、彼女の顔と肩口ほどまでの姿を嫌でも視線に入れてしまう。

メイド、という割には動きやすさを重視した姿はあちこち動き回るユミルの土地ならではの格好であり。

そしてうっすらと上気するような熱は、彼女自身からも漂ってきて自然と目を逸らす羽目になっていた。

 

「……なんでだと思います?」

 

その笑みの答えは、どうにも浮かばず。

暫くの間、されるがままのように。

鍛錬場として設けられた、人が来ない場所で二人。

長いような短いような時間を過ごさざるを得なかった。





エリゼ優先、という訳でもなく純粋に単ヒロインでもあるシャロンさん。
立ち位置とか設定とか凄い好きなんですけどあんまり出番見ないよねーって。

他シリーズからヒロイン1~2名追加しても良いと思います?

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  • どうせだしキャラ入れ替えれば?
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