■■■■「私が此方に来て大丈夫なのでしょうか?」
「お帰りなさいませ、リィン様。」
ユミルへと通じる最後の街道。
そこへの道というか、門衛が守る場所のような入口側。
顔を知らないはずなのに良く見知った相手のような。
名前を知らないはずなのに口はその名を軽く呟く。
こんな奇妙な、まるで乗っ取られた感覚のような物が一番奇妙。
けれど、そこで待っているメイド服を着た女性を見て思ったのは。
「出来る」と、そんな戦闘方向への認識だった。
……確か、
「今戻りました――――
「ふふ。 心配はしておりませんでしたが……。」
やや薄紫色の髪をした、豊かな肢体をした万能メイド。
彼女が此処に来たのは……俺が引き取られて数年した後だったか。
もう一人の自分、とでも呼ぶべき記憶を辿るなら。
それを妙に強く覚えているのは、自分の《鬼の力》とやらに目覚める直前だったからだろう。
嫌な記憶と結びついてしまっているからこそ、はっきりと覚えてしまっている感じ。
ユミルへ通じるロープウェイの真下、つまりは対岸……とでも呼ぶべき場所で。
人気がない、目立たない場所で大怪我を負って倒れているのを見つけたのが俺だった。
大慌てで両親を呼び、何とか命は助けたものの。
何故そんな場所にいたのか、一体何をしていたのかは。
その時も、そして今も俺には知る余地もなかった。
テオ父さんだけは、その理由を聞いているらしいのだが――――。
少なくとも、普通じゃないものに関わってそれを受け入れる度量は見習いたいとは思う。
「それにしても、ずっと此処で?」
「いえいえ。 少々此方での買い物と……後は時間帯が被りそうだったので、待ってみただけです。」
にこやかに笑う笑顔に苦笑を返しながら、絶対嘘だろうと思う心を黙らせる。
勘、という単語一つで片付けられないくらいにはタイミング良く姿を現す彼女には慣れていた、らしい。
慣れたからと言って驚かないというわけではないのだが。
「買い物、ですか。」
「ええ、調味料などが少々。」
買ったものを何処に格納しているのか、などとは聞くに聞けず。
そして押し黙ったままの煌翼もまた、何かを考え込むようにし続けている。
それらしいことを呟いて、自分の違和感をすり合わせていく作業をしていくしかない、というのが現状の所。
「リィン様は……お目当ての刀は手に入ったのですか?」
「ええ、自分に合うものに調整して貰うのに時間も掛かりましたが。」
坊ちゃま、みたいな呼ばれ方でないのは俺自身が何度も拒否したからで。
そうでなければ、多分妙な気恥ずかしさで顔を合わせるのも難しかった気がする。
何しろ、ユミルのような小さい領地にいるには相応しくなさすぎるメイドなのだし。
外見も、行動力もすべてを含めて。
「そうですか、それならば旦那様方も送り出した甲斐があったというものです。」
「俺がいない間、何か有りましたか?」
街道沿いを歩きながら、談笑……というには、少しだけ違う何かを混ぜた会話が続けられる。
よく見知っている魔獣達とは言え、警戒が薄くなっている理由は……明らかに、隣にいるメイドの影響がある。
懐に隠した鋼線と、短剣。
そしてある種の特殊な足捌きによる視界の撹乱と上空・地面沿いを含めた高低差からの奇襲。
『暗殺者』とでも呼んだほうが相応しいようで、そしてそれ故のものなのだろうと。
決して話そうとしない過去に関しては、そんな認識を抱いていた。
「いえ。 お嬢様が少しだけ不機嫌だっただけで。」
「……もう少し淑女らしくしてほしいんですけどね。」
「まぁ。
かも知れないが……女学院に入ってから、妙に余所余所しい気がしている義妹のことを思うと。
少しばかり、溜息を漏らした。
「お疲れですか?」
「いえ。 ……少し考え事があっただけです。」
そんな会話を、続けながら。
ゆっくりと、しかし確かに。
自分の今の家へと向かい続けていた。
というわけでシャロンがシュバルツァー男爵家にいます。
基本的な部分は原作沿い、唯色々と弄ってる感じ。
鋼線・短剣使用的な意味でアヤの成分を半分インストール。
…………脳内ピンクェ……
他シリーズからヒロイン1~2名追加しても良いと思います?
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GO
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NO
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どうせだしキャラ入れ替えれば?