茅場!テメェは俺を裏切った!   作:やってられないんだぜい

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 お久しぶりです。

 元気にしてますか?

 今更なんですが、アニメの話を原作の様に詳しく進める感じだと報告しときます。原作オンリーの話は番外編などで書く事もありますが基本はアニメ勢にも分かりやすい話にしときますね。

 では本編どうぞ!


少女とモンスター

 

 自分の所為で犯罪者を生み出してしまった事に酷く落ち込むファイン。しかしクヨクヨしてる暇は無い。自分はこのゲームを攻略して皆を解放しなければいけない。それが現代の孫悟空の役目なのだ。自分の原点を思い出し、目的へと足を踏み出すファイ。そんな時、プレイヤー達の噂話が耳に入った。

 

 「知ってるか?47層の話」

 「知ってるぜ。『思い出の丘』だろ。使い魔蘇生用のアイテムがドロップするって話だろ。だけどモンスターをテイムもしてないのに意味ないだろ」

 「何言ってんだよ。別に俺らが使わなくても使い道はあるだろ。例えば、売り捌くとか」

 「アホか?俺らのレベルじゃそもそも攻略出来ないし、需要が低すぎるんだよ。ビーストテイマーなんて片手で数える程しかいないんだぜ。それに俺らが実行に移す前にだれかしらやり出して意味が無くなるさ」

 「……それもそっか」

 

 ビーストテイマーという蛇の道への扉に入る前は存在しなかったワードに、少し聞き耳を立てる。しかし、モンスターをテイムしていない自分には関係無い話なので無視して進もうとすると、今度は無視出来ない話を耳にした。

 

 「シリカちゃん大丈夫かな?」

 「さぁ、自分から離脱したんだもの。死んだとしても自業自得よ」

 「死⁈」

 

 死という単語に敏感に反応するファイン。声の方を見ると数人の男女が歩いていた。男達は落ち着かないのかウロウロしているが、女の方は違った。赤い髪で片目を隠す彼女は、パーティから離脱したであろう人が死のうがどうなろうが興味ないといった感じだ。そこに絆は感じない。ちゃん付けで呼ばれている事から、その人物は少女と推測出来る。ゲームをクリアして大勢を助ける為に、少女を救わないという考えはファインには無かった。助ける為に少女が今何処にいるかを聞き出す事にした。

 

 「おい!そこのあんたら!」

 「な、何よ急に」

 「悪い、その子は何処にいるんだ」

 「はぁ?何言ってんの?」

 「いいから教えてくれ!」

 

 ファインは街中で大声で叫ぶ。彼の気迫に気圧された赤髪の女性はたじたじと答える。

 

 「シ、シリカならこっから北の『迷いの森』と呼ばれる森林地帯にいるわ。でも1日近く経つからもう死んでるかもね」

 「クソッ!」

 

 女性は最初こそうろたえていたが後半は見下す様に言った。ファインは彼女の態度などどうでもいい。目にも止まらぬスピードで少女を助ける為に、迷いの森目掛けて走り出す。もう死んでいるかも知れないなんて事は全く考えない。助けられる可能性が少しでも残ってるならと足を動かす。

 

 そして数十分で入り口まで辿り着いた。因みに、何故ここが迷いの森と呼ばれているか。それは似た風景が続くからというだけでは無い。この森は碁盤状に数百のエリアへと分割され、ひとつのエリアに踏み込んでから1分が経つと、場所がランダムに入れ替わってしまうのだ。攻略するには、1分以内に次々とエリアを突破するか、道具屋で販売されている高価な地図アイテムで位置を確認しながら歩くしかない。しかもエリアの距離は絶妙な具合の距離に設定されている為、ギリギリのところで転移されてしまう。そうしてプレイヤー達の体力を減らしていくのだ。

 

 「シリカちゃーん!何処だー!返事をしてくれー!」

 

 ファインが大声で呼んでも一向に返事が無い。だが彼女の身を考えれば、聞いた事の無い男の声に反応する方が可笑しいだろう。冷静で無いと見つけられるものも見つからないと思い、深呼吸をした。そして冷静を取り戻すとある事を忘れていた。緊急だったため、頭から抜け落ちていた自分のスキル。

 

 「そうだ!気!」

 

 界王様から現実世界では常に意識していたが、この世界で長らく使用していなかった為忘れていた。ファインは直ぐ様スキルを発動させる。……しかし意味は無かった。習得してから日が浅い。そのため多少の肉体強化しか出来ず、探知する事は不可能であった。

 

 「クソ性能が!」

 

 現在の能力と雲泥の差であるゲーム機能に文句を言う。しかし今はそんな事をしている場合では無い。いち早く見つけなければ1人の尊い命が失われてしまう。ファインは捜索を急いだ。

 

 「シリカちゃーん!助けに来たー!何処にいるんだー!」

 

 しかし中々見つからない。脳内に既に彼女が死んでしまったと脳裏を過ぎるが、そんな事を考えるのは早過ぎると頭を振って考えを掻き消す。

 

 「よくもピナを!」

 

 すると少女の怒り声が聞こえた。ファインはその声を元へと必死に駆ける。道中に木々が邪魔で辿り着くのが少し遅れてしまったが、やっとの事で辿り着くと2体のモンスターの攻撃が少女へと迫っていた。少女は恐怖で顔を背けてしまっている。ファインは地面を勢いよく蹴り、モンスターまで一飛びで女性とモンスターの間に入り、後ろ回し蹴りで同時に2体のモンスターをワンパンした。ファインはモンスターを倒すと、後ろでいつ来るか分からない攻撃に怯えている少女に優しく、彼女の身の安全を保障した。

 

 「大丈夫だよ、もうモンスターは倒したから」

 

 

 

 

 

 

 シリカはアインクラッドでは珍しい『ビーストテイマー』だ。その彼女がテイムしたのは『フェザーリドラ』。全身をふわふわしたペールブルの綿毛で包み、尻尾の代わりに2本の大きな尾羽を伸ばした小さなドラゴンだ。シリカはその子に『ピナ』と名付けた。彼女はピナのサポートもあって順調に経験値を稼ぎ、中層クラスのプレイヤーの間ではそれなりのハイレベルプレイヤーとして名前が通るまで成長した。

 

 相対的に少ない女性プレイヤー、更に彼女の13歳という年齢、更にピナの可愛さも相まって、『竜使いシリカ』と二つ名を貰い、多くのファンを持つ人気者になった。そんなアイドル扱いをされた彼女は多少舞い上がってしまうのも無理は無かった。彼女の年齢を考えれば当然と言えただろう。だが、その慢心が今回の悲劇を引き起こしてしまったのだ。

 

 始まりは些細な口論だった。彼女は2週間前に誘われたパーティに加わって、『迷いの森』での冒険に参加していた。多くのトレジャーボックスを発見して、かなりの金額とアイテムを稼いだ。そこまでは順調だった。

 

 周囲が夕刻の色彩を帯び始め、皆のポーションがあらかた尽きたので、冒険を切り上げようとした時、パーティを組んでいた赤髪の女性、ロザリアがシリカに言った。

 

 「帰還後のアイテム分配なんだけど、あなたはそのトカゲが回復してくれるんだからヒール結晶は必要ないわよね」

 

 彼女の真意は分からない。もしかしたらアイドル扱いされているシリカに嫉妬したかも知れない。単純に気に入らなかっただけなのかも、しかしそんな事はどうでもいい。この言葉がシリカを怒らせた。

 

 「そんな貴方こそ、ろくに全面に出ないでクリスタルなんか必要なんですか?」

 

 後は売り言葉に買い言葉で、リーダーの仲裁も焼け石に水、頭に血が上ったシリカはとうとう言い放った。

 

 「アイテムなんかいりません。貴方とはもう絶対に組まない、あたしを欲しいっていうパーティは他にも山ほどあるんですからね!」

 

 せめて森を脱出して街に着くまでは一緒に行こうと引き止めるリーダーの言葉にも耳を貸さず、シリカは5人と別れた。たとえソロでも短剣スキルを7割マスターし、ピナならアシストもあるシリカにとって強敵では無かった。道にさえ迷わなければ。

 

 最初は苦戦こそしなかったが、いつまでも森を抜けられない事に苛立ちと不安が募っていく。やがて走る事を諦め、偶然森の端のエリアに飛ぶ事を期待して歩き始めた。しかしそんな幸運は訪れない。そんなシリカをモンスター達は容赦無く襲ってくる。レベル的には余裕があるとは言え、徐々に体力をへらされ、遂に回復アイテムを使い果たしてしまった。ここで初めて、自分の過ちを悔いた。

 

 「神様、反省します。2度と自分が特別だなんて思いません。だから次のワープで森の外に出して下さい」

 

 シリカは胸の前で手を組み、神様に祈った。そしてワープの時間が来た。一瞬目眩に似た感覚の後、眼前に広がったのは今までと変わらぬ風景だ。しかもおまけ付きの。

 

 「きゅるっ!」

 

 ピナが鋭くないた。警戒音だ。モンスターが近くにいる事を意味する声に、シリカは愛用の短剣を抜いた。数秒後、巨木の影から3匹のモンスターが現れた。『ドランクエイプ』、迷いの森で出現する中では最強クラスの猿人だ。

 

 レベル的には、それ程危地では無かった。しかし回復アイテムが既になく、1日中森で凌いでいたシリカの精神が限界に近かった。しかもレベルこそ足りているものの、それに技術が比例している訳では無い。ドランクエイプの回復能力もあり、シリカは追い込まれていった。そして止めと言わんばかりの振り上げられた棍棒をシリカは黙って見つめる事しか出来なかった。粗雑な棍棒が赤いエフェクトを放つ。しかしシリカに当たる事は無かった。代わりにピナがドランクエイプの攻撃を受けたのだ。

 

 「きゅる……」

 

 地面に叩きつけられたピナはシリカを見つめて小さく鳴いた。その直後にポリゴンの欠片となって砕け散り、長い尾羽が1枚ふわりと宙を舞い、地面に落ちた。

 

 その瞬間、シリカの中で決定的な何かがキレた。

 

 「よくもピナを!」

 

 それはピナを殺したモンスターに対してだけでは無い。自分の不甲斐なさ故に、これまで支えてくれた友を殺してしまった自分への怒り。その怒りによりシリカは限界以上の力を出す事が出来た。他の2体には目もくれず、ピナを殺した奴を集中的に狙った。全身の力を込めて短剣を奴の胸目掛けて撃ち込んだ。奇跡的にクリティカルヒットの派手なオブジェクトと同時に敵のHPが消滅し、砕け散った。まだ終わらない。2体残っている。そう頭で理解しているが、復讐を達成した体はシリカの思いとは裏腹に動きを止めてしまった。そしてモンスターはその隙を見逃さない。

 

 (あ、あたしはここで死ぬんだ。ごめんね、ピナ、お父さん、お母さん)

 

 目を閉じて死を覚悟したその時、後ろから草を掻き分ける音が聞こえた。モンスターかと思ったがどうでもよかった。どうせもう殺されるのにモンスターが増え様がどの道一緒だと。しかし音はシリカの横を通り過ぎ、その勢いで砕け散る音が聞こえた。しかし自分は死んでいない。砕け散る音が聞こえたのに死んでいないこの矛盾に困惑していると、

 

 「大丈夫だよ、もうモンスターは倒したから」

 

 優しい男の人の声が彼女の耳に届いた。

 

 

 

 

 

 

 





 ご愛読ありがとうございました。

 次回も楽しみに!またね。
 
 
 今日の一言。 
  思ったんですけどさ、キリトってなんでシリカと直葉が似てるって言ったんでしょうね。全然違いそうですが。

 
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