IF:仮面ライダーゼロワン DARKEST DAYBREAK 作:TAC/108
ピンク色のハヤブサが飛翔し、地下道を一気に突き抜ける。背中に乗ったサウザーの制御は見事なもので、一キロメートル程度の距離は容易く越えてしまった。ジャミング設備の設置予定地点に到着したところで、フライングファルコンのライダモデルが着地する。
サウザーが軽く得物を振るうと、ライダモデルは光の粒子に分解されてサウザンドジャッカーの先端に吸い込まれていく。再度展開する時は、同じようにジャッカーを振るだけで良い。便利なものである。
地上に降りたフーとエンデュランスは、既に作業に取り掛かっていた。エンデュランスが土を掘り、片手に収まるサイズの装置を穴に入れる。フーが無線接続による調整を完了させると、ジャミング装置が自動的に光る。
『見事な活躍です。あとは我々にお任せを』
装置からコトブキの声が聞こえてきた。その場に三人が集まり、彼からの通信に混ざる。
「この装置を制御する役割はコトブキ氏が行う、ということか。後の設営は任せるとしよう」
『第一部隊は準備完了しております。物量ではあちらが圧倒的に上回るとはいえ、地下通路が一本道で助かりましたね。双方の採用できる戦術がシンプルで実に私好みですよ、フフフフフ……』
コトブキがわざとらしく悪意の滲む笑い声を漏らした。テンションの差に垓は少し戸惑うが、その横でエンデュランスが呆れ気味に言う。
「昔から変わらんな、その抜け目の無さは」
『これでもフラタニティを長いこと守ってきた、というわけです。さて……こちらの行動は察知されたものと考えるべきでしょう。道中で敵兵に遭遇したと思いますが、貴方達の情報は彼らを通じてネオZAIAのネットワークに伝わっているハズ。最悪のパターンですが、作戦自体もバレている可能性があります』
コトブキは次なる助言を下そうとしたが、それを阻む謎の声があった。
『当然だ。この広大な地下通路は誰が作らせたと思っている?』
三人が一斉に身構える。誰もが忘れぬその声は、通話機越しからでも天津垓と瓜二つであることが分かる。何者かがコトブキの通信に割り込んできたのだ。
「私の偽物か。つくづく巡り合わせの悪い男だな……悪巧みにも懲りたらどうかね」
『忌まわしきオリジナルもいようとは運が良い。この戦いでフラタニティ共々根絶やしにしてくれよう』
ネオZAIAエンタープライズ社長・骸。天津垓の容姿を転写したヒューマギアにして、三大勢力の巨頭たる一人が、突如ジャミング装置からの通信に姿を現したのである。
『やれやれ、手段が強硬になってきましたね。大方そんなところだろうとは思っていましたが、そろそろ我々としても決着をつけたかったところですし、タイミングとしては悪くありませんね』
『これはこれは。一度は負けを認めておきながら、私を拒み続けた男が随分な物言いだ。お前をその箱に封じ込めたのは誰だと思っている?』
『確かに、フラタニティ中立の証として私はこの筐体に電脳を封印しました。ですが……私はただの一度も、降伏するなどとは言っておりませんよ』
ジャミング装置が甲高いサイレンめいた音を発すると、通話機からノイズ混じりの苦悶の声が聞こえる。骸が通信機越しにハッキング攻撃を受けたらしく、憤慨した様子で声を荒らげる。
『貴様! ……まあ良い。小癪な真似などできぬように、フラタニティは一人残らず滅ぼし尽くしてく——』
骸の声がいきなり途切れた。通信から追い出されたらしく、呆れたようにコトブキが嘆息した。
『まったく、誰の回線に割り込んでおられるのやら。こちらが何の対策もしていないとお思いなんですかね』
「いやお見事。悪辣な手管だが、ヤツには有効でしょうな」
サウザーがコトブキに拍手を送った。とはいえ、状況が好転したわけではない。コトブキの懸念通り、ネオZAIAにはフラタニティの作戦が筒抜けになっている。向こうの物量作戦に押し潰される前に、迅速に手を打たねばならない。
『さて……現在位置をポイントA、次の目標をポイントBとします。第二目標を完了した際は、その場で待機してくださいね。渡すものがありますし、それまでに敵の襲撃で設備を破壊されては困りますから』
通信が終了し、三人が顔を見合わせる。先程の攻撃に対して、骸は本格的に兵士を寄越してくるだろう。すぐにでもこの場を発ち、ポイントBへと向かわねばならない。
一足飛びに進むべく、再びサウザーがハヤブサのライダモデルを出力した。三人を乗せた大きなハヤブサが、金切り声を上げて飛翔する。
◆◆◆◆◆◆
サウザー達がポイントAを出発してから、およそ五分後。
フラタニティの作業班を満載したトレーラー車が、Dr.コトブキの指示通りにポイントAに到着した。戦闘こそできないものの、彼らも必死である。常ならば控えるはずのマギア形態へと変身してまで、作業を素早く進めている。
まだ整備が完全には整っていないためか、天井は土に覆われている。飛行可能なマギア達がそこに小型のジャミング装置を埋め込み、地上を警戒する。いくら力があるとはいえ、彼らはその使い方を知らない。兵士として戦闘に優れるネオZAIAのマギアとは、たとえ数値上のスペックが同じでも、戦力としては大きな開きがあるのだ。
互いが互いを励まし合いながら進んできた作業が、ついに完了した。マギア達は達成をハイタッチで祝するが、そこに不穏な影が迫る。
「おい、あれを見ろ!」
作業員の一人が、ネオZAIAの刺客を捉えた。向こうも気付いたらしく、速度を上げて二十体前後が攻め寄せてくる。
『皆さん、ご苦労でした。後は私にお任せを』
トレーラー車からの声が命じる。ジャミング地帯より後方に控えるべし、と通達し、その通りに作業班が後退した。
無人であるはずのトレーラーがその場で鮮やかなドリフトターンを決め、尖兵の一団を挑発する。正面に向き直ってバックすると、その動きに釣られた数体がジャミング地帯へと足を踏み入れた。
次の刹那、七体のマギアが何かに躓いたように転倒した。残りの襲撃者が遠くから様子を伺っていると、七体が一斉に立ち上がり、各々の武器を構えた——彼らの味方である、ネオZAIAのマギア達に向かって。
襲撃者達の間に動揺が走る中、トリロバイトマギアが一斉にアサルトライフルを連射した。大型の特殊弾頭を銃口にセットした一体が、散開した雑兵の一団に向けてそれを撃ち放つ。これはネオZAIAが開発した対マギア用の榴弾であり、地面に着弾することで大爆発を起こす。
三つのチームに分かれたマギアが、徐々に七体のトリロバイトマギアにその数を減らされていく。二体が飛び出して格闘戦を挑み、それぞれが自爆に合わせてウイルスデータを含む強力な電波を撒き散らした。爆発を切り抜けたマギアの背後から新たな裏切り者がナイフを突き刺し、地面に押し倒して何度も拳銃を撃つ。
阿鼻叫喚を生み出しながらネオZAIAの尖兵が滅びゆく様を睨むように、トレーラーがヘッドランプを妖しく光らせる。その積み荷こそはDr.コトブキ、かつてフラタニティ最強の戦士だったヒューマギアの人工知能を搭載した、機能複合型多次元プリンターである。
果たして数分後、ネオZAIAの一部隊は全滅していた。生存者はただの一人もなく、地面に転がるマギアの残骸は駆動音一つ発しない。
『では、行きましょう。急ぎポイントBへと向かい、主力部隊を援護します』
何事もなかったかのように話すコトブキの号令に、フラタニティのヒューマギア達は身がすくむ思いであった。
そう、彼らは知らぬわけではない。かつてDr.コトブキがヒューマギアのボディを持っていた頃……戦場における彼は、極めて苛烈な戦士であり、勝つための手段を選ばぬ冷徹な戦術家だったのだ。
トレーラーに乗り込んだヒューマギア達は、コトブキの手管に慄きながらもポイントBへの到着を待つこととなった。
◆◆◆◆◆◆
コトブキのポイントA到着より、少し時は遡る。
サウザー達はファルコンライダモデルを利用して高速で目標地点への移動を続けている。道中で遭遇する敵の数は徐々に増えてきているが、相手は雑兵。歴戦の勇士たるサウザーとエンデュランスにとっては物の数ではない。
ところが。
ポイントBまで残り三キロメートルを切った時のことである。強化されたサウザーの聴覚が、車両の走行音と思しき何かを捉えた。
「降りるぞ。この音……恐らく大型の車両を走らせている。今までのようにはいかないだろうな」
ハヤブサを空中で消失させ、フーを背負ってサウザーが着地する。先に降りたエンデュランスは腰の刀に手をかけて前方を警戒していた。
果たして、音の正体はすぐに判明した。黄金色の塗装を施された装甲車が三台、サウザー達の前に現れた。荷台に乗っていたマギア達が、停車と同時に飛び出して横列を成す。
トリロバイトマギアだけでも三十体は確実にいる。加えて、運転席から降りてきたのは多種多様な属性のマギア達である。垓は仮面の下で歯噛みした。
「ここで時間を取られるわけにはいかない。一気に片付ける」
『JACK-RISE! JACKING BREAK!』
サウザーがサウザンドジャッカーで前方を薙ぎ払い、戦端が開かれる。青白い極寒の冷気が放出され、前列のトリロバイトマギアを凍結させた。撃破はしていないが、しばらくは動けまい。
「フー、ショットガンを!」
「しょうちしました」
フーが照射成形機を搭載した手袋から可変兵装・アタッシュショットガンを作り出し、突撃するサウザーに投げ渡す。マギアの氷像を飛び越えてきたトリロバイトマギア達とサウザーらが交戦し始め、早くも敵が四方八方に散らばり始めた。
二人の討ち漏らした敵兵が一人、フーに向かって狙いを定めた。これを察知したフーは、手袋からの光線で虚空に何かを描き始める。銃撃を回避しつつ、赤い光条が巨大なホッキョクグマめいた何かを生み出した。
虚像と思われた大熊が凍った地面を踏み鳴らし、咆哮と共に強烈なブリザードじみた冷気を吐き出す。
フーが出力したのは、何と氷を操るプログライズキーであるフリージングベアーのライダモデルだった。ホッキョクグマのライダモデルが一人、二人とその剛力で敵兵を薙ぎ倒し、ネオZAIAにその暴威を見せつける。
ライダモデルを出力するという異様な能力。これにフーが目覚めたのは、かつて移動拠点だったネオZAIAの本社を撃墜する作戦の終盤である。戦いに参加する中でフーはこの怪能力に覚醒し、フラタニティの戦力として活躍が見込めるようになった。
フーの援護を受け、サウザーとエンデュランスが敵兵を打ち倒す。隊長格たる六体のマギアがそこへ乱入し、さらに戦いは激しさを増していく。
戦いの最中ではあるが、天津垓は冷静に状況を分析していた。フーの新たな力で戦況は好転している。しかし、垓はそれに不吉な予感を抱いてもいた。
フーというヒューマギアには謎が多い。正確な出自は本人も知らず、ヒューマギアでありながら少女の姿をしており、更にはその身に複数のプログライズキーの力を宿している。明らかに普通のヒューマギアとはわけが違うのだが、決定的な正体は未だに判然としていない。
ネオZAIA本社撃墜作戦の折に、フーは骸からハッキングを受けている。それが引き金となって、内なるライダモデルを引き出せるようになったのだとしたら……骸はその時にフーの正体を知った可能性がある。
そうだとするなら骸から聞き出せば済む話だが……それ以上の「知ってはいけないような何か」に自らは踏み込もうとしているのではないか。恐怖に似た思いが、サウザーの挙動を僅かに鈍らせる。
その迷いを見て取ったように、マギアの一体が高速で凍結した路面を走り抜けた。頭足類の絶滅種・ネオヒボリテスのデータから生じる、複数の触腕を頭部から伸ばしたマギア——ネオヒマギアが、頭部から黒い霧を噴出した。
識別機能を狂わせる霧が、一瞬にして戦域全体へと広がった。氷の砕ける音が断続的に響き、サウザー達は味方でない足音を幾つも聞き取る。
後方からはフラタニティの作業班がが向かってくるはずだ。一兵たりとも取り逃すわけにはいかない。サウザーがサウザンドジャッカーから大きなハヤブサを召喚し、その羽ばたきで黒い霧を一掃する。
霧が晴れ、視界が確保される。大柄なマギアを斬り倒しながら、サウザーは敵の数を確かめた。凍っていたトリロバイトマギア達が解放されたらしく、兵の数が明らかに減っている。更に前方から新たな一小隊が出現し、ライフルを乱射しながらサウザー達に向かって突撃してきた。
「伊達に最大勢力ではないな! こうも数が多くては、取りこぼしが起きる……フー! コトブキ氏と繋げられるか!」
後方に控えるフーに呼びかけると、サウザーは頭部の通信機から別の声を聞く。Dr.コトブキの声であった。
『彼女を通じずとも、回線は常にオープンなのですがね』
「コトブキ氏か! そちらに敵兵が向かったハズだ。作業班はどの辺りにいる!?」
『ポイントAで作業中です。しかしご安心を、私がついてますからね……相手が兵力に富むネオZAIAである以上、こういう事態は最初から想定済みでした』
作戦会議で説明は受けていたが、今回の作戦では作業班をコトブキが引率することとなっていた。リーダーが持ち場を離れるというのは、味方の士気への影響も鑑みると極めてリスクの高い行為であったが、目的を確実に達成させるためであるとコトブキは言う。
『故に、討ち漏らしが発生したとしてもお構いなく。時間をかければかけるほど、この戦いは相手方の有利に働きます。今頃、敵の本陣では我々を叩き潰すための準備が進んでいるハズですからね』
何やら秘策や迎撃手段の類があるようだが、何はともあれコトブキがそう言ってくれるのは垓達にとってはありがたい。
「少なくとも来た道を戻らずには済みそうだ……ならば!」
『JACKING BREAK!』
サウザーが頭上にジャッカーを投げ上げると、先端を下にして黄金の武器が停止する。ジャッカーの切っ先から無数の雷撃が放たれ、地上の敵を次々に狙い撃つ中、サウザーがベルト右側に装填されたプログライズキーを押し込んだ。
『
黄金の光を全身に帯び、サウザーの動きが高速化した。光の尾を引く高速移動によって質量を持つ分身を出現させ、それらが全ての敵に向けて飛び蹴りを放つ。
絨毯爆撃じみた攻撃に巻き込まれぬよう、エンデュランスが攻撃を切り上げて後退する。宝石のように輝きながら、無数のサウザーがマギアと共に爆散した。空中から落下してくるジャッカーをキャッチし、本体が爆炎を背に姿を見せる。
「敵兵を幾らか逃したか」
「コトブキ氏に策ありだ、ひとまず我々はポイントBに急行するぞ!」
「ここはわたしにおまかせを」
フーが手招きすると、巨大なホッキョクグマのライダモデルが四足歩行の体勢を取った。三人はこれに跨り、地下の道を踏み鳴らしながら先へと進む。
高速で地下道を駆け抜けるベアーライダモデル。速度こそファルコンライダモデルには劣るが、馬力で言えばこちらが上だ。加えて、地上で遭遇する敵を強引に吹き飛ばしながら進めるという利点もある。冷気を解放して路面を凍らせ、巨大な熊がネオZAIAの地下通路を滑る。
ポイントBは目前に迫っていたが、敵の数も距離に比例するように増えてきていた。統制の取れた軍隊のような、中隊規模のマギア達と遭遇する。
ネオZAIAの本拠地へと近づいているからか、道も舗装されたものへと変わってきていた。地上であれば、三大勢力の主戦場たる市街地方面には入っていると思われる。先頭でライダモデルを操るフーに、垓は現在位置を問うた。
「ねおざいあほんしゃとのきょりは、すでに
語り口は淡々としているが、その目つきは危ういほどに前方のみを見つめている。フーの赤い瞳が、いつになく強い輝きを放っている様を、垓は背後から垣間見た。
何がとは言い切れない。だが、言葉にできぬ不穏な予感が垓の心中にあった。
果たして、フラタニティ主力部隊はポイントBへと到着した。しかし、彼らの眼前に広がるのは、無人の広大な通路などではなかった。
「待ち構えていたか……!」
サウザーがライダモデルから降り、武器を構える。ジャミング装置を配置すべき場所には、既に五十体近い数のトリロバイトマギアの大部隊が展開されていた。それを率いる上位のマギアは、強度を高める黄金塗装に全身を包み、サウザー達を嘲笑うように得物の切っ先を向ける。
更に厄介なことに、敵の中には見慣れない車両があった。高さ五メートル前後のそれは、車輪ではなく
正体不明ながら、極めて攻撃的なフォルムの車両が二台、マギア達に守られる形で鎮座していた。
静かな睨み合いが数瞬のうちに繰り広げられ、その間にフーとエンデュランスが体勢を整える。サウザーが両者に目配せした次の瞬間、トリロバイトマギアが雪崩のように襲いかかってきた。
◆◆◆◆◆◆
サウザー達がポイントBに到着したのと、同じ頃。
ネオZAIAエンタープライズ本社ビル直下は、既に巨大な地下要塞と化していた。骸の指示した突貫工事により、一日にも満たない時間で、ネオZAIAは深く広くその根を張り巡らせたのだ。方法は極めて単純、資本と物量に物を言わせた人海戦術である。
天津垓と瓜二つの風貌ではあるが、骸とてヒューマギアである。しかし、彼はこの時代のヒューマギアとしては極めて特異な価値観、あるいは倫理観を持つ存在であった。
骸にとってのヒューマギアとは、尊ぶべき同族ではなく単なる道具なのだ。三大勢力のリーダーである無銘やゼロ、あるいはフラタニティの指導者たるDr.コトブキですら、ヒューマギアに対する認識は「同族」である。ちょうど彼らを生み出した人類が、互いを「人間という同じ種族」として見るような価値観は、ヒューマギアの時代にあっても継承されている。
比喩でも誇張でもなく、骸からすれば他のヒューマギア……特にネオZAIAに従う者達は、工業用のレンチやボルトと大差ない。自らの所有物をどう扱おうが己の勝手であるとして、彼は慚愧など持ちはしないのだ。
ある意味では、自らの源流が人間に作られた「被造物」であることにこの上なく忠実であるとすら言える。しかし、世界の主役がヒューマギアに移った今となっては、彼はまさに「圧倒的支配」の五文字で平和を侵す巨悪であった。
骸の意識は現在、ネオZAIAエンタープライズ専用ネットワーク『NZN』の中にある。彼はネットワーク管理者として膨大な種類の管理権限の999%を酷使しながら、自らの胸に宿した「ある計画」を凄まじい速度で推し進めていた。
電脳の海から流れてきた情報の一つを認知し、骸の意識が喜悦する。
図式化された情報は、ネオZAIA本社ビルと何らかの巨大構造体を組み合わせることで、地上全てのヒューマギアを
ネオZAIAエンタープライズが直面している現状とは、一つの計画の最終段階であると同時に、次なる時代を始めるための一歩でもあった。
地球上の五割以上を支配領域とする
電子の海に描く夢想が、満天の星空を映し出す。古き時代においては、人間が道標とした無数の星々。骸はそれに手を伸ばす。
「
世界の全てを己の色に染め上げる野望を実現するために、彼は一つのプランを実行した。ただ一人の絶対者がいれば完成する、究極の支配構造。
星々が配列を変え、文字列を完成させる。骸が見据えるそれこそは、来るべき新時代を示す計画の名であった。
その名は——『
つづく。