黒翼の魔王   作:リョウ77

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元々、構想は頭の中にあったんですが、そのままずるずると引っ張って頭の中であーでもないこーでもないと妄s・・・想像を広げて、原作の最終章突入と自分の他作品の一時投稿停止を機に執筆することにしました。
投稿ペースは、なるべく間は空けないようにしますが、タグの通り不定期になりそうですかね・・・。


プロローグ

『・・・・、・・・・・』

『・・・・・!・・・・・・!』

 

 気が付けば、光に包まれているかのようなおぼろげな視界に幼い少年と少女が映っていた。

 少女は目に涙を溜めながら、少年の腕を掴んでいる。

 声は聞こえないが、状況からして少女が少年に対して行かないで欲しいなどと言っているのだろう。

 それに対し、少年は困ったような表情で首を横に振る。

 いつの間にか周りにいる大人も、何とかして少女をなだめようとしているが、一向に収まる気配はない。

 

『・・・、・・・』

 

 すると、周りの大人が途方に暮れそうになった時、少年がカバンの中から2つの指輪を取り出し、片方を少女に渡した。

 

『・・・?』

『・・・・、・・・・・・』

 

 渡されたものが何か尋ねる少女に、少年が説明をする。

 説明を聞いた少女は、次の瞬間に感極まって少年に抱きついた。

 

『・・・・・!・・・・・・!』

『・・・・・。・・・・・』

『・・・』

 

 それから少女は、少年に何かを話した後、そっと顔を近づけ・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピピピピ、ピピピピ

 

「・・・」

 

 アラームの音で目を覚ませば、目に映るのは学生寮の一室、二段ベッドの上の方の底。のっそりと横を向けば、目覚まし時計が朝の6時半を示してアラームを鳴らしている。

 

「・・・夢か」

 

 夢オチだったパターンのテンプレなセリフを吐いたのは、如月真(きさらぎ しん)(16歳)。白髪に数本の黒いメッシュがかかった特徴的な頭の持ち主だ。

 ちなみに、セリフはテンプレだが、別にこれが真の妄想だとかそういうのではなく、子供の頃にあった実際の出来事だ。

 ただ、当時のことをほとんど覚えていないため、声も聞き取れない、情景も虫食いな状態でしか思い浮かばないのだ。

 覚えているのは、相手の少女は同い年くらいだったことと、綺麗な金髪だったこと、そして2つの指輪だけ。名前はおろか、細かい容姿すら記憶にない。

 どこで会ったかすら定かでないのだから、どうあがこうが会いようがない。

 

「まぁ、どうにかしようってわけでもないんだがな」

 

 真はそう呟きつつ、服の下からチェーンに通した指輪を取り出した。

 この指輪がある限り、最低限のことは忘れないだろうが、例の夢は最近では見ることもほとんどなくなっている。最初のころはそれなりの頻度で見ていたが、今となっては前に見たのはいつだったかわからないくらいには久しく見ていない。

 どうして今になって、この夢を見たのかはわからないが、考えたところでしょうがないだろう。

 ひとまず、寝起きの頭をすっきりさせるためにもテレビをつけた。

 テレビをつけて真っ先に映ったのは、空港らしき場所に大勢のカメラマンとキャスターが映っているところだった。

 

『ヴァーミリオン皇国の第ニ皇女であるステラ殿下が、破軍学園に歴代最高成績で入学されることになり、今日ついに来日することになりました!また、ステラ殿下の護衛として同行することになったエレン・アンリネットさんもステラ殿下に次ぐ成績を残しており・・・』

 

 簡単に要約すれば、外国のお姫様と護衛の人が来日することになった、ということだ。

 どうでもいいや~と思いながら他のチャンネルに変えるが、朝のテレビ番組などニュースがほとんどで、どれもが同じ内容だった。つまり、お姫様と付き人の留学についてだ。

 

「ったく・・・」

 

 元から大してテレビを見るつもりではなかったが、話題の留学生で騒ぎ立てるニュースを朝から見るのも気が滅入る。

 結局、真はさっさとテレビを消して着替えることにした。

 運動しやすいようにジャージを着て、タオルやスポーツドリンクのペットボトル、タブレット端末の生徒手帳を持って外に出る。

 小走りで中庭に向かうと、そこには待ち合わせていた先客がいた。

 

「悪い、一輝、待たせたか」

「いや、気にしなくていいよ。僕が早めに来ただけだし」

 

 待ち合わせの相手は黒鉄一輝(くろがね いっき)、真の元ルームメイトだ。

 今年からは別々の部屋になってしまったが、それでも隣同士なため気軽に接している。

 

「それじゃ、始めようか」

「だな」

 

 2人は荷物を邪魔にならないところに置き、ランニングを始めた。

 このジョギングはもともと一輝がやっていたのを、真も途中から混ざる形で参加するようになった。

 今となっては、ペースは違えど、朝はこうして2人でランニングをすることが日課になっていた。

 これが、2人がルームメイトになってから続く、いつもの日常だった。

 ()()()()()

 

 

* * *

 

 

 ランニングを終えた2人は、クールダウンを済ませてからそれぞれの自室に戻った。

 

「んじゃ、後で着替えたら模擬戦な」

「うん、後でね」

 

 模擬戦の約束をしてから、一輝は鍵を開けて中に入った。

 それに続くように、真も鍵を開けてドアを開けようとしたのだが、開ける直前でぴたりと動きを止めた。

 注意しなければわからないほどだが、部屋の中から物音が聞こえる。

 まさか部屋を間違えたのかと部屋番号を確認するが、プレートに書かれている数字は406。真の部屋に間違いないし、一輝も一緒に来たから寮そのものを間違えている可能性も低い。

 まさか、泥棒が入ったのかと思ったが、真と一輝が在籍している破軍学園は全寮制で、セキュリティもしっかりしているから、この可能性も低い。

 あり得るとすれば、新しい同居人がいることくらいしかありえないが、そのような通達は届いていないし、そもそも真の新しい同居人は()()()、入学式もまだのこの時期に入寮するのはあり得ない。

 はたして、どういうことなのか。

 思考する真だったが、事態は真に考えさせる余裕を与えなかった。

 

 

 

「いやぁああああ!!ケダモノぉぉおおおお!!!」

 

 

 

 突如、寮にでかい悲鳴が響き渡った。

 その出所は、隣の一輝の部屋である。

 「何事っ!?」と口を開こうとするが、その暇もなかった。

 

 

 

「ステラ様!どうしましたか!?」

 

「ぐぼあっ!?」

 

 

 

 突如、真の部屋のドアが思い切り開け放たれた。

 完全に油断してドアの前で突っ立っていた真は、ドアノブをわき腹にめり込ませながら真横に吹き飛ばされた。

 

「なっ!?この無礼者!ステラ様に何をした!!」

「すぐに捕まえて、エレン!こいつ、私の下着姿を見た上に、自分まで服を脱いだの!」

「なんですって!?」

「ちっ、違うんです!これは・・・」

「問答無用!」

 

 朦朧とした意識の中、罵声と悲鳴と弁護の声を聞きながら、真は警備の人が来るまで外の廊下でうずくまったまま放置されることになった。




今回はプロローグで短めですが、次からはもっと長くなる予定です。
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