黒翼の魔王   作:リョウ77

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決闘を終えて

「ん、んぅ・・・?」

 

 夕焼けの赤い光が視界に滲むのを感じて、エレンは目を開けた。

 視界に入るのは、見覚えのある部屋と、近くで床に胡坐をかいて座ったまま生徒手帳をいじくっている真の姿だった。

 

「ん?目が覚めたか」

 

 布団の衣擦れの音が聞こえたのか、真はすぐに目を覚ましたエレンに気付いた。

 

「シン、ここは・・・」

「寮の部屋だ。一応、俺たちのって言えばいいんかね?ここで寝てるのは、幻想形態による極度の疲労で倒れたから。その程度なら、医者やiPS再生槽(カプセル)を使うまでもないからな。もちろん、ステラさんと一輝も隣の部屋で寝てる。向こうには理事長先生がついているから、特に問題もないだろ」

 

 真から一通りの説明を聞いて、エレンはまずは安堵の息をついた。今さら一輝のことでいろいろと敵視するというわけでもないし、そもそも“一刀修羅”の副作用でステラよりもよっぽど重傷なのだから手の出しようもないだろうが、万が一の事故がないとも限らない。その点、黒乃が面倒を見ているのなら心配ないだろう。

 そこまで考えて・・・今度はベッドに体を深く沈みこませた。

 

「ということは、やはり私があなたに負けたのは事実なんですね」

「そうなるな。あぁ、忘れないうちに言っておくが、決闘の時の『負けた方は勝った方に服従』云々はなしにしてくれよ。ただでさえ周りから不良扱いされてるのに、さらに変態属性まで加えられたら俺の胃がまず間違いなくぶっ壊れる」

「むぅ、私としては、約束を反故にするようで嫌なのですが・・・」

「だったら、これが最初で最後の命令だ。あの時のことは全部なかったことにしろ。それで文句ないだろう」

「そういうことなら・・・わかりました」

 

 それがご主人様の命令であるなら、従うしかない。

 

「それにしても・・・改めて思いますが、まさかステラ様も私も負けることになるとは思いませんでした。イッキが本当にFランクなのか、疑ってしまいます」

「まぁ、それは無理もないか。だが、ランクはあくまで実力を測る物差しではなく、伐刀者(ブレイザー)を管理するための規格だ。あの時も言ったが、一輝は伐刀者(ブレイザー)としてはまず間違いなく劣等生だ。まぁ、ハンデ付きとはいえ理事長先生に模擬戦で勝っといてFランクってのもおかしな話ではあるが」

世界時計(ワールドクロック)にも勝っているなんて・・・本当なんですか?」

「マジだ。俺もその場にいたからな。だから、ステラさんはこれ以上ないレベルで相手が悪かったとも言える。まぁ、他がどう思うかは知らんが・・・」

 

 エレンとしては真の最後の言葉が気になるところだが、ここで聞くことでもないだろうと違うことに意識を向ける。

 

「そうですか・・・では、いろいろと聞きたいことがあるのですが、質問しても?」

「かまわんぞ。あくまで俺の話せる範囲でよければだが」

「構いません」

 

 真の念押しに頷いてから、エレンは質問を始めた。

 

「まず最初に聞きたいのは、あなたの能力についてです。あなたは自分の能力を封印していたと言っていましたが、どういうことですか?」

「初っ端からそこかぁ・・・」

 

 あからさまに「うわ~、言いたくねぇ~」という表情を浮かべる真だが、割とすぐにその表情を改めた。

 

「まぁ、他に言いふらさないってなら言ってもいいか。つっても、一輝は知ってるけど。ステラさんも、まぁ、機会があれば言ってもいいか」

「いいのですか?」

「むやみに言いふらさないならな」

「わかりました。約束します」

 

 当然、他人の伐刀者の能力を詮索すること自体かなりグレーゾーンなため、エレンもそこは違えるつもりはない。

 同意を得た真は、説明を始めた。

 

「そうだな。まずは、俺の能力は加速じゃない、ってことは察してるよな?」

「はい。模擬戦の最後のあれは、もはや時間加速に限りなく近い領域でした。ただ出力が上がったというだけでは、あれほどの速度を出すことはもちろん、発動後に五体満足でいることの説明もできませんから」

「だろうな。だが、時間加速が俺の能力というわけでもない。俺の能力は、他にある」

 

 そう言って、真はパチンッと指を鳴らした。

 次の瞬間、空中に多数の黒い羽が現れ、その中の3枚の形が変化していった。

 その光景に、エレンは目を疑った。

 

「なっ!“妃竜の罪剣(レーヴァテイン)”に“精霊妃の権杖(ティアターニア)”、それに、イッキの“陰鉄”まで・・・」

 

 空中に浮かぶ固有霊装は、どれもが真のものではない、他の誰かのものなのだ。

 

「これが、俺の本当の能力。言ってしまえば、『何にでもなれる能力』といったところか。家族からは“世界全録(アカシックレコード)”なんて言われている。それで、この黒い羽こそが俺の本当の固有霊装(デバイス)だ」

 

 真が言うには、一度見た能力や魔術を模倣し凌駕することはもちろん、今までにないオリジナルの伐刀絶技ですら生み出すことができるという。

 エレンとの模擬戦で纏ったコートも、真の黒い羽の固有霊装“夜羽”によって生み出したもの。

 エレンの“四元素を操る能力”とは比較にならないほどの自由度を持った、規格外の能力。

 ランクで言えばAランクは確実だ。それも、Aランクの中でも最上位と言える。

 そのすさまじさに言葉を失うエレンだったが、それで真の言っていた『封印』と今の能力が結びついた。

 

「なるほど、そういうことでしたか。騎士学園に入学してからその能力を見せなかったのは、使()()()()()()のではなく使()()()()()()からなのですね」

「そういうことだ。さすがに、エレンさんには身に覚えがあるか」

 

 真の言葉に、エレンも苦笑しながら頷いた。

 能力の自由度が高い。これだけ聞けば強力に聞こえるが、自由度が高いということは相応に制御も難しいということである。

 その最たる例の1つがエレンだ。1つの能力を扱うことでさえ一苦労することが多い中で、エレンの場合は4つの能力を持っているようなものだ。当然、使いこなすのに相応の苦労をした。

 思っていた属性と違う属性を出してしまうなんてことは当たり前。時には暴発してステラ以上の大けがを負うことさえあった。

 それでも、自分の1番の憧れである姫が、全身にやけどを負っても修行を続けていたのだ。ならば、自分がどうして途中で投げ出せようと言うのか。

 そのようなことがあったから、王族と平民が家族のように対等に接しているヴァーミリオン皇国の中でも珍しいほどステラに敬意と忠誠心を示しており、能力を使いこなすとともに、例外的に平民からステラの近衛騎士になるに至った。

 そういう経緯のあるエレンであるからこそ、真の苦労が手に取るようにわかった。

 

「俺の場合、思った能力を使えないってのもそうだが、魔力も多すぎるせいで暴発したら辺り一帯が更地になるなんてこともあった。幸い、俺の家は山奥だから人様に迷惑をかけるようなことはなかったが、だからといって無視できることでもなかった。そういうことで、“封印”の因果干渉系能力を持っていた俺の爺さんが3段階にわけて俺の魔力と能力に封印を施した。さっきのエレンさんとの模擬戦で解いた第一封印は、魔力と能力の一部を縛っていたものだ」

「能力の一部というのは?」

「一度に展開できる固有霊装(デバイス)の数と出力の制限だな。魔力放出に関しては特に制限はかけられていないから、ああいう力技ができたが、固有霊装(デバイス)越しだとあそこまではできない」

 

 そして、この封印は真自身によって解除することができる。段階ごとに解除できる難易度が異なっており、相応の力を操るに能う魔力制御によって封印を解除できる仕組みになっている。

 一応、今の真なら第二封印までなら問題なく解除できるほどの魔力制御は行えるが、それでも解除しなかったのは偏に真が目立つのを嫌ったからだ。

 これほどの能力、学園の中はもちろん、国や世界ですら無視することができない。

 実は精神的にも割と不良サイドに片足を突っ込んでいた真は、その面倒を嫌ってわざと封印を解除せずに過ごしていたのだ。

 

「ですが、よかったのですか?これであなたも有名人の仲間入りを果たすことになるわけですが」

「まぁ、前まではよくなかったんだろうが・・・一輝と会ってからは改めた。たしかにあいつはFランクだが、俺はあいつが、それこそステラさんと同じくらいか、あるいはそれ以上に世界に名を知らしめることになると思っている。贔屓も込めた勘だけどな。だから、あいつといるにふさわしくなるためには、その程度の面倒は受けて立ってやると思っただけだ」

 

 真の言葉に、エレンもなるほどとうなずいた。

 少なくとも、今回の模擬戦で“紅蓮の皇女”を倒したという事実はすでに様々なところで反響を及ぼすことだろう。

 だからこそ、エレンには腑に落ちないことがあった。

 

「そこで、2つ目の質問です。どうして、あなたとイッキは留年したんですか?」

「ん?言っただろ。一輝は能力不足、俺は授業をさぼって単位不足だからって・・・」

「たしかにそうですが、私もステラ様の傍にいたので、国家にとって有用な伐刀者(ブレイザー)がどれだけ重要か、ある程度理解しています。だからこそ、あれだけ戦える人間を単位不足を理由に留年させるなんて、それこそ不自然です」

 

 ステラに勝った一輝もそうだが、真だって封印を解いていないDランク相当の能力でエレンと互角に戦ってのけた。

 いつ、どこでも、強い魔導騎士は必要とされている。解放軍(リベリオン)という伐刀者によるテロ組織が現れている現代ではなおさらだ。

 この指摘に、真も苦笑いを浮かべる。

 

「まぁ、たしかにな。それを言われたら、理事長先生だって苦笑いするしかないだろうよ」

「ということは、他に何か理由があるのですね?」

「そういうことだ。たしかに、単位云々は学園側の建前だ」

「建前、ですか?」

「あぁ。俺たち、というか一輝の留年は、言ってしまえば、面子とか家のしがらみとかが絡みに絡まった、盛大かつくだらない嫌がらせのようなもんだ」

「嫌がらせ、ですか?」

「あぁ。エレンさんは、黒鉄って名前に心当たりはないか?」

「黒鉄、ですか・・・?」

 

 言われたエレンは、どうしてそんなことを聞くのか不思議に思ったが、1人だけ、それこそ世界中に名前を知らしめる、黒鉄を名乗る人物がいた。

 

「っ、まさか、“サムライ・リョーマ”ですか!?」

「そう。“サムライ・リョーマ”こと黒鉄龍馬。一輝の曽祖父にあたる人だな」

 

 黒鉄龍馬。“サムライ・リョーマ”と呼ばれた彼は、かつての第二次世界大戦において、小国である日本を戦勝国へと導いた極東の大英雄だ。

 

「そして、黒鉄家は日本で伐刀者(ブレイザー)がまだ“侍”と呼ばれていた明治から優秀な伐刀者(ブレイザー)を輩出してきた名家だ。そういうこともあって、今でも騎士の世界に強い発言力を持っている。その黒鉄本家が、破軍学園に直接圧力をかけてきたそうだ。『黒鉄一輝を卒業させるな』ってな」

「なっ、どうしてそんなことを!?」

「名家ゆえの面子、ってやつなんだろうな。家系からFランク(落ちこぼれ)なんてでたら家名に傷がつくなんて思っているんだろう。今の社会は基本的に『ランクこそがすべて』だし。そんで、前理事長はこれを承諾。実践教科を受講する最低能力水準なんていう()()()()()()()()()()()()()()()()、一輝を授業から追い出した。一輝の留年は、その理不尽の結果だ」

「・・・っ!?」

 

 これを聞いたエレンは、胸中に激しい怒りを覚える。

 それが、親の、教育者のすることなのかと。

 だが、それとは別に違う疑問が浮かび上がった。

 

「でしたら、どうしてシンまで留年することになったのですか?」

「それに関しては、まぁ、ぶっちゃけ完全にとばっちりだな」

「とばっちり、ですか?」

 

 どうして、一輝の理不尽のとばっちりで留年することになるのか。

 このエレンの疑問に、真はあいまいな表情で答えた。

 

「そうだな、エレンさんは如月って名字にも心当たりはあるか?」

「はい。“サムライ・リョーマ”と一緒に思い出しました。“テング・ムサシ”ですよね?・・・まさか!」

「そっ。“テング・ムサシ”こと如月武蔵は俺のひいじいさんだ」

「本当ですか!?」

「うおっ!?」

 

 真の言葉にエレンは疲労も忘れて真に飛び掛かり、真もいきなり飛び掛かられて驚きの声を挙げる。

 だが、真もなんとなくだがエレンがそれほど興奮している理由がわかっていた。

 

「ということは、真の家はNINZYAの家系ということなんですか!?」

 

 そう、如月家は伊賀忍者やSASUKEに引けをとらないほどの知名度がある忍一族だ。

 そのため、海外での人気も高く、如月の一族を題材にした創作物も多くある。

 もちろん、真がそうであると明言しているわけではないため、このことを知っている人物は多くない。せいぜい、一輝のような親しい人物や黒乃のようなごく一部の実力者くらいだ。

 というのも、

 

「でしたら、真もなにか忍術が使えたりするんですか!?でしたら見せてください!」

 

 こういうことがあるからだ。

 そして、真もげんなりしながらエレンを引きはがす。

 

「あのな・・・言っておくが、忍者と言ってもそんなものはないからな」

「えっ、そうなんですか!?」

「忍者ってのは、もともと日本の伐刀者(ブレイザー)の旧称だった“侍”から派生した俗称だ。言ってしまえば、伐刀者(ブレイザー)の中でも隠密行動や工作活動に秀でた人物を指す言葉だ。世間で言われている忍術なんかも、基本的には伐刀者(ブレイザー)としての能力にすぎない」

 

 そもそも、水上歩行は伐刀者の訓練にも用いられることがあるし、分身の能力を持った伐刀者も少なくない。

 だが、どうしてもNINZYAという色眼鏡を通してしまう結果、今のように忍術という言葉が盛大に独り歩きしてしまったということだ。

 もちろん、かの“天狗”こと如月武蔵の勇名や伝説が世界にとどろいたというのも理由の1つではあるが。

 そういうこともあって、忍の偏見の弁明を非常にめんどくさがった真は、基本的にこのことを隠している。

 当然、如月本家もそのような注目を避けるために、本家の場所は厳重に秘匿している。

 まぁ、とはいえ、だ。

 

「そう、だったんですか・・・」

 

 ここまで露骨にしょんぼりされると、真としても罪悪感のようなものを感じないでもない。

 

「・・・まぁ、機会があればステラさんも一緒に家に招待してやるよ。からくりはないが、純和風だから雰囲気だけでも楽しめると思う」

「いいんですか!?」

「機会があればな」

 

 すぐに元気を取り戻したエレンに真は「現金だな・・・」と苦笑いを浮かべながら、盛大に脱線してしまった話を元に戻した。

 

「とまぁ、その如月家なんだがな。実は、黒鉄家とすこぶる仲が悪い」

「そうなんですか?」

「あぁ。なにせ、黒鉄家と如月家では理念が真逆だからな」

 

 黒鉄家が掲げる理念は“才能至上主義”。Fランクの一輝を目の敵にしているように、生まれた時点での才能を何よりも重視する。そのため、黒鉄家では生まれながらの天才は他の何よりも尊重されると真は聞いていた。

 それに対して、如月家では「才能は二の次。才能があろうがなかろうが、力の使い方を誰よりも追求すべし」とされている。大雑把に言ってしまえば、「死に物狂いで努力して、格上のランクでも勝てるようになれ」といったものだ。

 それを体現するかのように、如月家で行われる訓練では半死半生になる者が出てくることが珍しくないほど過酷なものになっているが、その分質は黒鉄家にも引けを取らない。

 

「そういうことがあって、もともと全体的なランクは黒鉄家よりも低かったにも関わらず、如月家は黒鉄家と匹敵するほどの発言権を持っていた。そんなの、黒鉄家からすれば面白くないに決まっているわな。黒鉄龍馬と如月武蔵は良好な関係を築いていたようだったが、黒鉄家から黒鉄龍馬が排斥されると同時に、あの手この手で如月家を表舞台から排斥したらしい。まぁ、当時の当主だった爺さんは特に文句を言わずに受け入れたようだが」

 

 そもそも、忍者とは基本的に裏方の、それもあまり人に言えないような類の人種だ。どちらかと言えば、発言権なんてものは邪魔でしかない。

 だから、理由はともかく表舞台からの排斥については「どうぞ、お好きに」といった心境だったらしい。

 その余裕の態度のせいで、さらに黒鉄家から嫌われることになったわけだが。

 

「さて、ここで一輝の話に戻るんだが・・・実は、黒鉄家は一輝を留年させるだけじゃなく、一輝から何が何でも騎士になる権利を奪おうとした。この留年も、一輝に騎士資格を取らせないための一環にすぎないんだよ」

「そっ、そこまでですか!?」

「あぁ。幸い、一輝はそれに気づいていたから、僅かにも尻尾を掴ませなかったがな。とはいえ、一輝のことを擁護するやつが出てくることを嫌った黒鉄家と前理事長の派閥の教職員たちは、『黒鉄一輝と懇意に関わった者は留年する』なんて噂を流させた」

「ここまで来ると、徹底的にゴミですね・・・」

「まぁな。だが、俺としてはあんな面白いやつと関わるなって言われると余計に気になってな。寮が同室だったこともあって、基本的にあいつとは仲良くしていたんだ。ただ、それがいけなかったんだろうな~」

 

 自分たちの思惑通りに動かない、かつ目の敵にしている如月家の人間であるなら、理由は十分だったらしい。

 結果的に、真にも悪意が向けられることになった。

 

「学園では授業や実践教科をさぼったってなっているが、実際には奴らが()()()()()()()()()()()。いろんな手で俺を引きとどめて、授業に遅れたときはそのまま欠席扱い。なんなら、席に座っていても出席していない扱いになってたんだそうだ」

「そんな、ひどい・・・!」

 

 真に対する扱いに、さらにエレンの中で怒りの感情が膨れ上がる。

 が、

 

「まぁ、そんな扱いが始まって2,3日経ったあたりからは俺の方からさぼったけどな。入学してから1ヵ月くらいだったか」

「さぼったのは事実なんですか!?しかも早すぎません!?」

 

 結局、真が授業をさぼったというのは事実だったということだ。

 真の家族も、最初は教員の真の扱いに対して怒りを覚えていたが、早々自分からさぼるようになったという旨を聞いてからは盛大に真を叱ることになった。

 とはいえ、仮に出席していたとしても、どのみち欠席扱いになっていただろうが。

 

「そういうことで、『くだらねぇ教師に教わるくらいなら、こっちから留年してやら~』って感じで授業をさぼって、結果的に俺も留年することになったってわけだ」

「な、なんだかいろいろと腑に落ちない部分はありますが・・・だいたいの事情は察しました」

 

 結局のところ、真が不良であったことに変わりはなかった、というわけだ。

 だが、一輝に関しては見方が大きく変わった。

 

「それにしても・・・イッキは、本当に強い人なんですね。いったい、何が彼を動かしているのでしょうか」

「俺も一輝から詳しいことを聞いたわけじゃないが、子供の頃に黒鉄龍馬から励ましの言葉をもらったのがきっかけらしいぞ。それで、今度は自分がその時と同じ言葉を言えるようになるために、魔導騎士を目指しているんだとさ」

 

 己の価値を決してあきらめず、一瞬でも立ち止まらず。いつか自分と同じような境遇に立っている人物に同じ励ましの言葉を贈るのにふさわしくなるために。

 たしかに、それほどの人物なら、ステラと同室にふさわしいだろう。

 ステラ本人がどう思うのかは真とエレンにはわからないが、おそらくステラも一輝との同室を受け入れることになるだろうと予感していた。

 

「さて、それでは最後の質問です」

「ありゃ、まだあんのか?」

「えぇ。あります」

 

 真としてはすでに終わりのムードだったが、他に何があるのか。

 少なくとも、真には思い当たる節はない。

 だが、エレンはこれこそが本題だとでも言わんばかりに真剣な表情を浮かべている。

 

「最後に・・・シン、これに見覚えはありますか?」

 

 そう言って、エレンはチェーンに通した指輪を取り出して真に見せた。

 そして、真はその指輪に見覚えがあった。

 

「おい、それって、まさか・・・」

 

 エレンが持っている指輪は、()()()()()()()()()()()()()()()()

 そして、エレンは嬉しそうに微笑んで、

 

「はい・・・()()()()()()()()、シン」




一見チートに見えて、実は似たような能力は原作にもあるという。
これ以上はネタバレになるので言いませんが、だったら問題ないよねってことで。
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