怪獣娘(絶) 〜ウルトラマンZ参戦計画〜 作:ただのファンだよ。
次に、今回は世界観やオリ主との関係などの説明回になります。
とある休日の昼頃、幼馴染に呼び出された。
「おう、来たぞ」
すぐ近所に住む幼馴染の家の幼馴染の部屋──ベッドに机に本棚と特に変わった所の無い、シンプルな個人の部屋って感じ──に入れば普段から眠たそうな印象を与える目をした幼馴染がどこかソワソワとしながら待ち構えていた。
「それで、話って?」
突然、スマホに『話したい事がある』という一文だけ連絡が入れてきた幼馴染は不安と心配、でも何処か信頼してくれている様な目線を向けてくる。
「う、うん。……あの、ね」
「………」
言い淀む幼馴染を俺はそっと黙って待つ。本人が覚悟を決めて言ってくれるまで。
これからの話は、きっと幼馴染にとってとても大きい事なのだろうと思うから。
「ぼ、ボク!」
「……」
好きな人でも出来たのだろうか?友達と喧嘩でもしてしまったのだろうか?どんな相談でも受けよう、そして一緒に考え応援しよう。
どんなおかしな話だろうと受け入れてやる───
「『怪獣娘』だったんだ!」
「………へぁ?」
え?………マジで!?
───『怪獣娘』
それは今じゃ記録上でしか確認出来ない、嘗て地球に生存していた。あるいはやってきた怪獣、異星人の
俺の幼馴染である彼女の名前は『宮下アキ』。茶髪と眠たそうな目付きが特徴的な少女だ。
「……おお!」
「う、うぅ…っ」
エリマキとツノの付いたフードを被り、茶色の髪を橙色へと変え、お腹を出した服装と太い両腕と尻尾。怪獣娘に成る事で変化した服、どうやら
これが、怪獣娘…ッ!
「スゲェ、本物だ…!」
「そ、そんなにじっと見られると恥ずかしい」
「おおお!」
「き、聞いてない」
現代では怪獣娘は一種のアイドルである。特別なチカラを持った怪獣娘は様々な業界で活躍している。テレビでも探せば簡単に見つかる程に。
そんな怪獣娘が目の前に居る!あ、写真撮ろ。パシャリ。
「え!?な、なんで写真撮ってるの?」
「記念に」
「記念……!?け、消して!」
「お断りだ!」
暫し怪獣娘兼幼馴染の姿を収めたスマホを奪い合い、他の誰にも見せない事を条件に許された。
「………」
「んだよ。写真は消さねぇぞ」
何か物言いたげな瞳を向けてくるアキに尋ねる。するとアキは小さく溜息を吐くと口を開いた。
「……怖がったり、しないんだね」
「ん?怖がる?アキを?……なんで?」
「だ、だって。その、普通の人とは違うんだよ。力が凄い、とか。怪我とかさせちゃうかもしれないし」
「……ん〜。別に」
「別に、って」
いや、だって、
「アキは
「……!」
「アキは誰かを故意に傷付けたりしない!これまでも、そしてこれからも。だから怖がる必要はない!はい論破!!」
何故ならそれが俺の幼馴染だからだ!
「……ふふ、なんだよそれ」
「…?事実だけど?」
「あはははははは!!」
むぅ、何がおかしいのかわからん。
「あはは……はは。うん『ゼツト』」
「ん?」
「───ありがと」
「……」
まぁ、いっか。
アキの笑顔見てたらどうでもよくなったしな!
「おうッ。どういたしまして、だ」
『
「へー、ほー、なるほどなるほど」
そんなゼツトはスマホとボクを交互に何度も視線を移しながら納得する様に唸っている。
どうやらゼツトはインターネット上の
「……」
ボクに夢中になってくれている事がとても嬉しい、けど正確には
「いいよなー、アギラって」
「……ねぇ」
「うん?」
ボクはゼツトに一つ、疑問を尋ねてみた。
「なんで、そんなに怪獣娘が好きなの?」
「……うーん」
ボクの問いにゼツトは腕を組んで悩み始めた。あ、あれ?ボク変な事聞いちゃった?
「別に怪獣娘が特別好きって訳じゃないぞ」
「え。…そうなの?」
「おう。俺は怪獣娘の元になった怪獣。より正確には言えば怪獣と戦った光の巨人が好きなんだ」
「光の、巨人」
たしか、それって。
「ウルトラマン」
「そう、ウルトラマン。俺らが生まれる前、数十年か数百年前。まだ怪獣と人間が戦ってた時に突如現れ怪獣を倒した光の巨人
じっとスマホの画面を見つめるゼツト。今、彼のスマホには何が写っているんだろう。
「そのウルトラマンが戦ってる映像を初めて見た時な。スッゲエ興奮したんだ。まるっきし正義のヒーローだからな。それからいろんなウルトラマンを調べたよ。初めて地球にやってきた赤と銀色のウルトラマンや初代にそっくりなウルトラマン達。初代とは違う赤い身体に黄色い目のウルトラマン達。他にも色と一緒に能力まで変わるウルトラマンや面影こそあるものも姿が変わるウルトラマン。めちゃくちゃカッコ良かった!!」
目を輝かせて熱く語るゼツト。楽しそうに話す様子に自然と惹きつけられる。やがて、冷静になったゼツトは顔を少し赤らめながら恥ずかしそうに頬を掻いた。
「で、ウルトラマンを調べてるうちに怪獣にも色々な奴がいる事を知った。大昔から地球に居た恐竜みたいなタイプ。宇宙からやってきたタイプ。地球に侵略に来た宇宙人も怪獣のカテゴリーに含まれてるしな」
「中でもな」、ゼツトはそう言って続けた。
「ウルトラマンと一緒に戦った怪獣もいたんだよ。それがアギラ」
「……」
一応、知ってはいる。ウルトラマンの次に地球に現れた二人目のウルトラマン───ウルトラセブンと共に戦った三体の怪獣の内の一体。
「でも、一度も勝った事、ないよ」
「───じゃあ弱いのか?」
「え?」
真剣な顔だった。さっきまでの楽しそうな表情は無くなって真面目な顔で、真っ直ぐな目でボクを見ていた。
「勝った事がなければダメなのか?負けたら意味がないのか?───違うだろ。誰かの為に戦った事が大事なんだ」
「……。もしかしたら、命令されて戦ってただけかも」
「それは無いな」
「…な、んで、言い切れるの?」
すごく当然な事の様にゼツトは言った。
「だって、
「───」
「お前は、誰かに頼まれれば一生懸命になれる奴だ。『自分しか出来ないなら自分がやらなくちゃいけない』って想える奴だ。怪獣娘が怪獣の魂を引き継いだ存在だってなら怪獣であるアギラだって誰かの為に戦ってた筈だ」
あ、ああ、うぅぅ…ッ!
恥ずかしい、顔が熱い。でもそれ以上に。
「う、ぅぅぅ……ッ」
「って、うええええ!?な、なんで泣いてんだ!俺酷い事言っちゃったか!?」
「ち、ちがう、ちがうよぉ…」
嬉しいんだ。涙が止まらないぐらい。嬉しいって気持ちが、
でも、それもボクの気持ちだ。ボクが感じた想いなんだ。
「えぇっと、えぇっと。一体どうすりゃいいんだよぉ」
オロオロと顔を左右に動かした後に困った様に頭を抱えるゼツト。そんな姿も。
「……ふふ」
ボクね、やっぱりゼツトの事が好き、だよ。
初回からオリ主に対する好感度マックスなアギちゃん。気付いたら泣いてるんやけど。
なんで?(無垢な瞳)
取り敢えず、ごめんなさい(土下寝)