怪獣娘(絶) 〜ウルトラマンZ参戦計画〜   作:ただのファンだよ。

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本日二話目です。まだの方は前編からどうぞ。

【スペース・ジョーズ】ザキラ登場!?





ティアー・ドロップ(中編)

 いつも通りの路地裏にてゼットライザーを取り出す。

 

「取り敢えず、変身しましょうかゼットさん!」

 

 俺は意気揚々とゼットライザーのトリガーを押した。

 

「…………あれ?」

 

 何も起きなかった。

 

「え?あれ?ゼットさん?あのー、聞いてます?助け、求められてますよ〜。ここで行かなきゃウルトラマンじゃないですよ〜?」

 

 ゼットさんを呼び掛けながら何度もトリガーを押してみるがうんともすんとも言いやしない。

 もしかして、本当にもしかしてだけど───乗り気じゃ、ない?

 

「ゼットさん!?いや、あの!あの人……人でいいのかな?兎に角助けを求めてるんですよ!ゼットさん!ゼットさーーん!!」

 

 お願いしますゼットさん!ついさっき“俺達は『ウルトラマン』なんだから!!”…とかカッコつけて思っちゃったんです。これで変身できなかったらめちゃくちゃ恥ずかしいんですけど!?

 それでも 彼は 答えてくれません。

 

「〜〜〜っ」

 

 顔が恥ずかしさで熱くなるのを感じる。

 いや、ぶっちゃけ声に出した訳じゃないから誰かに聞かれたりしてないけど、それでも恥ずかしいものは恥ずかしい。

 それでも、変身出来ないものはしょうがないので取り敢えず今は落ち着く事。そして忘れる事に集中した。

 

「……ふぅ、 落 ち 着 い た 」

 

 落ち着いたもんは落ち着いたんです(自己暗示)

 

「それにしても、なんでですか?」

 

 右手のゼットライザーに目を向ける。試しにもう一度トリガーを押してみるが、やっぱり何の反応も無い。

 ……まぁ、じっとしてても如何にもならないし、あのウルトラウーマンの近くに行こうかな?あ、いや、もしかしなくても怪獣娘(GIRLS)の人が居るだろうし、見つかったらアキにまた怒られる。

 如何したモノか、と悩んでいた時。ゾクリと背筋をイヤな感覚が走った。

 

「ーーッ!!」

 

 何がなんだかわからないが兎に角その場に突っ立っているのはマズいと感じた俺は飛び込む様に前転してから振り返る。

 

『ーーー』

「……影?」

 

 名状しにくい黒いアメーバみたいな蠢くモノ。

 なんじゃこりゃ!?

 

『ーーー!』

「うおっ!?…と、襲ってきたって事は敵だなオメー!」

 

 俺は目の前の異形の影に臆する事なく駆け出し、勢いを付けてジャンプからのドロップキックをかます。俺の両足は影のど真ん中を捉え、影はボールの様にぶっ飛び、地面にぶつかり跳ねた。

 

「へ、へへ。どうだ参ったか!(いてぇ、肘打った)」

 

 ドロップキックした際、地面に肘を打ちジンジンと痛むのを我慢して影に指差し不敵な笑み(自称)を浮かべる。(実際は表情が引きつっており目尻に小さな水滴が溜まっている)

 

『ーーー!』

「……ゑ?ちょっ!効いてなくない!?」

 

 影は暫くモゾモゾと蠢いていたが、ムクリと起き上がると同じ様に飛び掛かってきた。

 

「こっんにゃろ!」

 

 飛び掛かる影の側面に俺は回し蹴りを叩き込む。

 だが、

 

「ぐっ、(おっも)ってうわ!?」

 

 俺の蹴りを受けた影だが弾かれず衝撃を吸収され、逆に脚に絡み付いてそのまま押し倒された。影に触れられた瞬間から気色の悪い感覚が全身を駆け巡る、異物(ナニカ)が入り込んでくる様な感覚。

 影は俺の腰回りに覆い被さるとぶわっと胸元まで弾ける様に広がった。

 

「だぁー!くそ、離れろぉ!!」

 

 俺は両腕で押し退けようと抗うが影はずっしりと重く、俺の力じゃ引き剥がすどころか押し戻す事すら難しい。

 脚は完全に呑まれて動かない、殴ってもクッションでも叩いてるみたいに少し凹むだけ。その間も影はゆっくり広がってくる。

 

(なんか、なんかないか!?)

 

 右腕で対抗しつつ左腕で辺りに何かないか手探りで探る。

 すると指先に硬い感触が、目を向ければそこにはゼットライザーが転がっていた。影に押し倒された際に落としてしまったのだろう。

 …ゼットライザーのブレードって先尖ってるよな。……いくっきゃねぇ!!頼む!!

 

「くらいやがれ!」

 

 左手で掴んだゼットライザーを振り上げると影に向けて勢いよく振り下ろした。

 すると、影は簡単にスパッと切り裂かれた。

 

『ーーー!?!?』

「お?効いてる!」

 

 俺は影にゼットライザーを何度も何度も叩き付けた。

 影はゼットライザーのブレードによって潰れて、切られ、引き裂かれる。そして限界を迎えた影は最後に溶けて消えた。

 

「はぁ……はぁ……、なん、だったんだ」

 

 俺は荒れた息を整える為に大の字に腕を広げる。思いの外、精神的なダメージが大きかったみたいでドッと疲れた。

 たが、休む暇は与えられなかった。大きな衝撃が大地を走り、俺の身体が一瞬浮遊した気がしたのとほぼ同時に後頭部に痛みが。

 

「オゴォ!?……〜〜〜ッッ」

 

 後頭部を両手で押さえて悶える。

 異次元空間の時もそうだったけど何処かしら打ちすぎじゃない、俺?

 

『ギィーーー!!!!』

「ああークソォ!!少しは休ませろ!」

 

 轟く怪獣の咆哮に俺は飛び起きると路地裏から出る。

 すると、

 

『ギィーー!ギィィイ!!!』

 

 黒緑色の身体に、後方に向いたトゲの様なツノが頭や背中に幾数本も生えており、括れがなく、トカゲの様な顔をした典型的な恐竜タイプの怪獣がウルトラウーマンに襲い掛かっていた。

 怪獣から逃げたからか都合の良い事に見渡す限り人の姿は無い。俺はゼットライザーを取り出すと呼び掛ける。

 

「怪獣が現れたんです。今度こそ頼みますよ!」

 

 ゼットライザーのトリガー押す。すると今度は反応してくれて目の前にヒーローズゲートが出現した。……よかったぁ。

 ホッと安堵の一息を吐くと、ヒーローズゲートに飛び込んだ。

 

「……カレカレータ」

 

 その声がしたのは、俺がヒーローズゲートを越えた直後だった。

 

 

 

 

 幾つもの光が駆け巡り幾何学模様の様な軌跡を描くインナースペース内で、俺はゼットさんと対面する。

 

「さっきはなんで出てきてくれなかったんですか!」

『いや、それは、その〜、気が乗らなかったといいますか、なんて言うか』

 

 俺の質問にゼットさんは言葉を濁してちゃんと答えてはくれない。

 

『えぇっと、彼女は、あの』

「……ああ!?もういいです!この話は後にして今はあの怪獣をどうにかしますよ!」

『お、おう……です』

 

 俺は意識を集中させると胸の前にアクセスカードが出現するので、手に取りゼットライザーにセットする。

 

《Zetuto Access Granted》

「宇宙拳法、秘伝の神業!!ゼロ師匠、セブン師匠、レオ師匠」

 

腰のメダルホルダーから三枚のメダルを取り出し、ゼットライザーのスロットに装填してブレードを動かして認証させる。

 

《ZERO.》《SEVEN.》《LEO.》

「オォッス!!」

 

 気合充填!覚悟完了!!

 さっさと片付けてゼットさんに問い詰めてやりますよ!!

 

『ご唱和ください、我の名を!!ウルトラマンゼェェット!!』

「ウルトラマン!ゼェェェット!!!!」

 

 ゼットライザーを掲げてトリガーを押した。

 

ULTRAMAN

ALPHA – EDGE

 

「ジェヤッ!」

 

 

 

 

 

 

「ギィーー!!」

『キャァ!」

 

 怪獣───ザキラの腕の殴打に、戦闘訓練なんか受けた事のない私は簡単に吹き飛ばされ、この星の建物を壊して倒れてしまう。

 

『ーーーっ。はぁ…はぁ…』

 

 痛い。腕が、肩が、脚が、身体中が痛い。ザキラの容赦の無い攻撃を私は防御すらまともにする事が出来ずに一方的に嬲られ、胸のカラータイマーが赤く点滅している。

 ザキラの狙いは私だけの様で()()この星の人々に直接攻撃が及ぶ事はなかった。

 

『……づっ、あがぁっ!?』

 

 起き上がろうとする私の腹部をザキラが蹴り上げ、私は痛みに呻きながら転がる。

 

「ギィィイ!!」

『あぐっ、ぐふっ、アアア!?』

 

 ザキラは転がる私を追いかけ、同じ様に私を蹴り転がす。

 

「ギィーー、ギィィィイイイ!!!!」

 

 ザギラが勝利を確信したのかさっきまでとは一変して吼えた。

 ずんずんと余裕を持って近付いてくる。ザキラは鋭い牙が並ぶ口からダラダラと涎を流し両腕で拭っている。

 私を、食べるつもりだろうか?……確か、ザキラは他の怪獣を──特に渡り鳥怪獣バルを好んで──食べる獰猛な肉食怪獣だ。しかも獲物を生きたまま喰らおうとする残忍な性格をしている。

 

『……っ、……くっ』

 

 私を逃してくれた彼らの為にも、私は死ぬ訳にはいかない。こうなったら、例え私が光の国に戻り()()()()()()()()()()!!

 私は、私達『光の国の聖職者』だけが持っている()()()()()()()()をザキラに向けて使おうとした───その時でした。

 

「ギィ!?ギィャ!!」

『!!…づっああああ!?!?』

 

 私がチカラを使おうとしたのを察知したザキラが両目からレーザーを使って私を攻撃した。眩い閃光と電撃の様なエネルギーが私の身体を暴れ回る。

 

『……ぁ……っ…ぅ』

 

 強力なレーザーを受けた私は、チカラを使うどころか動く事すら出来なくなってしまった。

 

「ギィギィギィィ!」

 

 ザキラが笑っている。私が動かなく……抵抗出来なった事で到頭(とうとう)食事に移るつもりなのだろう。

 ザキラが倒れる私のすぐそばに寄った。手を伸ばせば届く距離だ、ザキラの顔が近付く。怪獣の生暖かい息遣いが、口から垂れた唾液が私の顔に堕ちる。粘着性のあるベタついた体液、異臭すら感じる。

 

『……ひぃ』

 

 痺れた身体からでも引きつった声が洩れ、身体が震える。

 怖い、嫌だ、死にたくない。彼らが命を掛けて守ってくれたのに、彼らが命を捨ててでも信じてくれたのに…!私は、私は何も出来ずにこの怪獣に喰われて死ぬ。

 

『ダ、レか……タス、け…て』

「ギィャァ!」

 

 ザキラが顎を広げて振り被った。勢い良くかぶりつくつもりなのだろう。

 ……ああ、ごめんなさい皆さん。私が、弱かった所為で…ッ!!

 

 

 

 光の国の聖女に牙が迫る、か弱い命が無惨に喰い散らかされる。

 ───その様な事が赦される筈がない!!

 

「………ギィ?」

『………え?』

 

 ザキラの牙は聖女の柔肉を捉える───事なく空を切り、ザキラから呆けた声が洩れる。そしてそれは其処から離れた場所から聞こえる聖女の声も同じだった。

 

「ジェア」

『………ふぇ?』

 

 背中と膝裏に感じる自身を抱き抱え、支えてくれる腕の感触。力強く勇ましい戦士の声がすぐ上から聴こえ、見上げれば目の前に自分と同じ光の国の人間(ウルトラマン)の顔。

 

「ジィィヤ」

(大丈夫ですか?)

『…………』

(あ、あの〜?)

 

 硬直した聖女を横抱き───所謂、『お姫様抱っこ』する戦士、ウルトラマンZが心配して声を掛ける。

 

『……………』

(ああ、えぇっと。兎に角、降ろします、ね?)

『………(コクッ)』

(あ、よかったです)

 

ウルトラマンZが聖女を優しく地面に降ろして座らせる。

 

(お手を拝借)

『え?あ!』

 

 地面に座らせた聖女の手を優しく取ると、もう片方の手でカラータイマーを覆うと淡い光が掌に収まる。

 

(今、光を送ります)

「ジェ…アァ…!」

『……あっ、ありがとう、ございます』

 

 光が伴った手を聖女の手に重ねる。ウルトラマンZの手から光が聖女に流れ込む。

 

『あ、……ンッ』

 

 優しく慈しむ様な光が聖女の身体を満たし、傷を治癒しエネルギーを回復させる。十分なエネルギーが補充され、カラータイマーが青へ変わった。

 

『もうっ、…はぁ……大丈夫、です』

(よかったです)

『ーーッ!!』

 

 ウルトラマンZが───正確には一体化したゼツトが聖女に微笑む。地球人にはわからないだろう表情の変化だろうが、同じウルトラマンである彼女には彼の優しい笑みがわかった。

 

(あの怪獣の相手は俺達に任せて、此処で休んでいてください)

「ジェア」

『あ!お待ち下さい、お名前を!』

 

 戦士が立ち上がり怪獣と戦おうとするのを呼び止め、名を尋ねる。

 

(───ゼット。ウルトラマン(ゼット)

『ウルトラマン、ゼット』

(……ああ、後)

『…?』

(ゼットさんの()()、光国ゼツトです)

 

 

 




いつもいつも同じ展開、ワンパターンで恥ずかしくないの?(戒め)
はい、申し訳ありません。

関係無いですがティアがお姫様抱っこされた時、ゼットンさんは頬を膨らませ、エレキングさんが手に持ってたペンを握り潰したそうです。
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